鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第30回「全成の確率」

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第30回「全成の確率」

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蹴鞠を手ほどきするため鎌倉へ呼ばれていた平知康が、京都へ戻ることになりました。

残念がるのが北条時連

頼家側近衆の中では群を抜いて上達していただけに、もっと習いたかったのでしょう。

しかし知康は「鎌倉殿に要らんと言われた」とのことで、憮然とした表情を浮かべています。

そんな知康も時連の蹴鞠は認めていて、同時に改名も勧めてきました。

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なぜお金は賤しいとされてきたのか?

平知康はなぜ改名などを勧めてきたのか?

どうやら「連」は銭を連ねているようで、具合が悪いとか。

この時代、こんな嘆きが京都であったようです。

「銭の病が流行っておりますえ……」

銭の病というのは本物の病ではなく精神的なものであり、古今東西、金銭は賤しさと結び付けられがちです。

一体なぜなのか?

理由の一端と考えられるのが、金銭の流通による「経済の発展」です。

経済の進歩は「下剋上」の可能性を高めます。

例えば江戸時代には御家人名義も売買の対象でしたし、西洋でも金で爵位を売り払うことはあった。

要は「身分制度を揺るがす要因」となり、為政者サイドからしてみれば嫌悪すべき存在でもあります。

はからずも当時、日本の経済史で重要な変化がありました。

日宋貿易による「宋銭」の流通です。

日本でも和同開珎などの通貨が開発されはしましたが、実際に鋳造して流通させるとなると、そうは簡単ではなかった。

原因は金属加工の技術でしょう。

質を担保としながら、同時に信用力のある銭を作り流通させるのは並大抵のことではありません。

鋳造技術に加えて、流通インフラの整備など、整えなければならない項目は多岐にわたります。

そんな貨幣事情を変えたのが日宋貿易です。

宋との貿易により、手っ取り早く日本でも使える銭が入ってきた。

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そしてその経済力は、平家政権の基盤にもなりました。

銭でどうこうするなんてイヤらしい――かくして、そんな思想が生まれてゆきましたが、時連の場合、坂東武者であることがよけいにカネを彷彿とさせ、京都人は身構えてしまう。

だからこそ知康も「都受けを狙って考えろ」と言ってきます。

向こうでの活躍を夢見ているなら、なおさらそうしろと伝え、トドメがこれ。

「お前の蹴鞠は、他の者と違って邪心がない、まっすぐ」だってよ。

「師匠!」

時連に思いが通じたんですね。この人は俺の都で成り上がるドリームを応援してる! バカにしてない!

その感激がパワーあふれるキックになりました。

瀬戸康史さんはサッカー部出身だとかで、知康は受け止めきれず、倒れてしまいます。

慌てた時連が助け起こそうとすると、倒れた知康は床の下にある人形を見つけてしまうのでした。

時連は、彼がこねた餅を食べた頼朝が死にかけ、その直後、死に至る落馬をしていました。

嵐を呼ぶ弟なのかもしれません。

つくづくこやつは面白すぎる……こんな弟が後発で出てきたなんて。

 


幕府一の知恵者 広元が冷静に

週を追うごとに重くなっていく長澤まさみさんのナレーション。

北条と比企の対立を乗り越えようとする頼家たち。

鎌倉に平穏が訪れようとしていた。

そんなとき、頼家が病に倒れる――。

相変わらず北条と比企の対立は続き、頼家を中心にした政争は続きます。

平知康が拾った人形は、比企能員源頼家の前にありました。

能員が「原因はこれ」と差し出すと、頼家は顔色を変えます。

こんなことできる心当たりは一人しかいない。叔父上の阿野全成……いや、しかし認めたくないのか「まさか……」と否定しようとします。

大江広元も、決めつけは早計だとなだめている。

呪詛騒動は確かに危険です。

下手をすればアッチコッチへ冤罪の被害が飛び火して、誰一人として得しない状況に陥ってしまう。

まずは本人に確認することだ――として、その場をおさめます。

広元はできる男。頼朝時代は快刀乱麻を断つスタンスでよいけれども、頼家時代はことの影響を最小限に収める方向へ導こうとしていますね。

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そして広元は、北条義時にも疑惑のあらましを告げ、確認をしてきました。

「単刀直入に伺う。お父上は関わっておられるのか?」

「私にはわかりません」

「比企と北条は抜き差しならぬところに来ている。この一件で足をすくわれることのないよう……」

そう釘を刺す広元。

彼は漢籍のエキスパートです。

脳裏には、京都での呪詛騒動とともに、前漢武帝時代の【巫蠱(ふこ)の禍】が頭の中を渦巻いていることでしょう。

武帝ほどの偉大な皇帝でも、王朝を傾けてしまったとされる事件です。

呪詛騒動は困る。発案者の処罰が大規模になりかねないし、処罰したら主君も迷信深く残忍だとみなされかねない。

広元の脳内では困惑と怒りがふつふつとたぎっていそうです。

で、彼のような理知的なタイプは、すぐに直接逆襲するような真似はしません。

時政関与の尻尾をつかんだら、できるところでキッチリ突き落とす――それが謀臣でしょう。

 


全成の館から“のみ”と人形が……

北条義時に呪詛の件を問われ、阿野全成が慌てています。

「関わりないのか?」

義時がそう促すと、当たり前だと答えています。

なんでも「鎌倉殿(頼家)はかわいい甥」だそうですが、こうも血族で殺し合うドラマだと、それも虚しく聞こえますね。

夫が疑われてしまっている実衣は、祈祷なんて無理、そんな力はないとキッパリ言い切ります。

しかしそうは言っても、いざ尋問されれば人はどうなるかなんてわかりません。

義時は、頼家から呼び出しがあると告げ、決して認めるなと釘を刺します。

「だから忘れ物はないかと確認しろと言ったのに!」

夫がしでかしたポカに怒りを隠せない実衣。

自分と特定できるものはないから心配するな、と諭していますが、証拠は捏造もできますからね。

かと思ったら、比企能員がやってきて、館の中を捜索し始めました。

・人形

・のみ

出てきましたね……。

比企能員は三善康信とともに検分し、人形にある筆跡と比べています。

「同じと言っていい!」

興奮しながら言い切る能員。

かくして全成は逮捕され、殴る蹴るの暴行を受けることに。

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源氏の血筋でも簡単に始末し過ぎ

比企に囚われた阿野全成。

義時が「罪を認めたのか?」と緊迫していますが、泰時曰く、認めてはいないとか。

比奈はどうしてそうなったのかと不安げにしています。

泰時が、全成は鎌倉殿に取って代わりたかった(次の将軍になりたかった)のか? と尋ねると、義時は「そんなお人ではない」と即座に否定します。

そりゃ、現実的にそうでしょう。

武功がないので他の御家人はまずついて来ない。

確かに「悪禅師」という異名はありますが、ドラマでは演じる新納慎也さんの個性もあって、その手のギラつき感はありませんね。

義時は、勝ち誇る比企能員に、全成は頼朝殿の唯一の弟だからそれなりの礼を尽くすように言います。

これも皮肉な話でしょう。

もしも頼朝が弟を片っ端から殺していなかったら、全成の味方はもっと多かったはず。

そもそも源氏の血筋でも簡単に始末し過ぎていたから、他の御家人と同様、命がかなり軽くなってしまった。

能員は勢いづいている。

呪い殺そうとしたと言い募り、さらに度を過ぎると取り返しのつかないことになると脅してきます。

義時がその意味を尋ねるとこうきました。

「わしはな小四郎。これは全成一人の仕業ではないと思っておる」

確かに性格的にそうとしか思えません。

もう、ここまで言ってしまうと、北条の関与があれば始末すると宣言したようなもの。

比企は、自身も引けないところまで相手を追い詰め過ぎていて、こうなったら自らも腹をくくらねばなりません。

やろうと思ったら前振りも躊躇もなく即座に徹底的に潰すこと――。

今回みたいにジワジワしたやり方ですと、窮鼠猫を噛む展開を迎えてもおかしくありません。

 


戦を避けたいからこそ戦支度を始める

義時が父の義政を怒鳴り飛ばしています。

「自分のしたことがわかっているんですか!」

今度ばかりは許さない実衣も激怒。

それでも本当の黒幕であるりく(牧の方)は涼しい顔をして、「関わっていない」としらを切ります。

時政はオロオロ、オロオロ……命までは狙っていないとか言い出す。病になるよう祈っただけ……って、いやいや、それでも十分にダメだってばよ!

この場にいる畠山重忠も、さすがに呆れたような顔をしています。

それをハッキリと出さないところも彼らしいですが、中川大志さんが髭をたくわえ、貫禄がぐっと増してきましたね。

彼より年上で髭のない義村は、父同様、髭が薄いため伸ばさない設定なのでしょう。

義時は苛立ちながら、比企は一戦を辞さぬ覚悟だと言います。

時政は、いっそ自首して許してもらおうと言い出しますが、それでは比企の思う壺――義時が切れながら父親の愚行を諫めると、りくも珍しく気が合うと感心している。

「どうすればいいんじゃあ!」

慌てふためく時政と異なり、義時と重忠には策がありました。

・敢えて戦支度をする

・そのうえで戦にならぬよう、他の御家人に声をかけて仲裁してもらう

・とりあえず三浦と和田から

なかなかの妙案のようです。三浦一族が重要な役目を担っています。その三浦義村は裏切る危険性があることまで、義時は理解しているのでしょう。

実衣が夫の身はどうなるのかと言うと、この策で必ず救うと義時は言います。

しかし問題はもう一つあります。

実衣です。

全成の次に狙われるのは実衣だと言うと、ギョッと驚いて困惑している。

そんな彼女に「しばらく政子のところにいろ」と告げる義時。泰時もそばにつけるとか。

「わしも行こう!」

そう張り切る父・時政に向かっては「ここにいろ!」とイラつく義時。

ほんと陰謀に向いていない父ですね。陰謀の本体は、あくまで“りく”である。

ばかやろう、単純なくせにホイホイ企んでんじゃねえよ!と、時政の口調で叱り飛ばしたくなるわ。三浦義澄を墓から呼んできて欲しいわ、ほんとにもう……。

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