鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第37回「オンベレブンビンバ」

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実朝は今日も義盛邸へ

源実朝が、朝食に出された魚を前に箸を持て余しています。

妻の千世が嫌いなのか?と尋ねると、どうやら小骨が嫌な様子。

千世が取ろうとしてもそれを断り、今朝はもうお腹がいっぱいだとして、今度お願いするとのこと。

そして今日は出かけると言い出します。

実衣に急な外出はしないよう止められていても、和田の館に行くと主張して引かない姿勢です。

実朝に仕えている阿野時元が、母の実衣にそのことを報告。

気晴らしが必要なことを認めつつ、暗くなる前には帰ってくるのだと八田殿に伝えるよう念押しします。

尼御台に知らせるか?と尋ねられると、「しゃしゃり出てくるからそれはいい」と憎々し気に返す実衣です。

彼女はどうにも尼御台こと政子の権力を軽視しています。いつまでも姉と妹でもないのに、どうにも危うい。

和田義盛の邸宅では、義盛が頼朝との思い出話をしていました。

ジッと聞き入る実朝。

しらけた顔の八田知家巴御前

というのも、その話って上総広常のものなんですよね。

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なんでこういうすぐバレる嘘をつくのかなぁ……。

案の定、別人の話だとつっこまれ、巴の頬をつねって仕返しされてしまいます。

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のえが必死

そのころ鎌倉では、のえが泰時の妻・初にマウンティングしていました。

なんでもどこかで京都の話をするようです、初が一生縁のない話だと返せば、まだ若いのに、と意外そうに答えるのえ。

彼女は夫に出世して貰いたくてたまらない。高い官職についてもらって、向こうで雅に暮らしたいようで、りくそっくりですね。

本作では、源頼朝大江広元のように京都を捨てたらよいのですが、そうでないと危険であり……。

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場面変わって、今度は、政子、のえ、千世の女性三名が揃って話をしています。

千世から「実朝が魚の小骨が苦手だ」と聞き、懐かしんでしまう政子。

思えば頼朝もそうでした。彼女が小骨を取っていましたね。

しかし、のえは京都トークがしたい。

千世に向かって「斎王の役をしたことがあるのか」と聞いていますが、政子は何だかよくわからない。

前のめりになってのえが『源氏物語』にも出てくるとマウントしています。

読んだと曖昧に誤魔化す政子……忘れていた、と解釈しましょうか。読書にも好みがありますからね。大姫はハマっても、母はそうでもなかったのかもしれません。

政子は千世に、鎌倉殿はあまり気持ちを表に出さないから、話していてつかみどころがないかもしれないと気遣っています。

すると、いつも優しくしてもらっているとおっとりと答える千世。

それでも、のえだけが賀茂祭りのことを千世に聞いてくる。話を逸らそうとして、ようやく政子もその話はいいと促しました。

のえは、千世の話を聞くために集まっているのかと思ったと言います。

会話の目的はマウンティングだけじゃない。悪女というより俗物の塊のような女性ですね。

『源氏物語』でもそういうのは駄目では?

そしてここで注目したいのが、飲食物と食器です。

茶碗で茶を飲んでいると思われ、高坏には「点心」が盛られています。

点心というと、現代日本だと飲茶で楽しむ軽食としておなじみですが、この時代は、抹茶と共に中国から伝わった茶菓子を「点心」と呼びました。

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劇中では、小麦粉の生地をねじってあげたものが出されていますね。

日本人の主食は米だけであり、麦は最近だというデマがありますので、誤解なきよう。五穀豊穣とは米、麦、粟、豆、黍(きび)のこと。鎌倉のある相模は麦の栽培に適しています。

亀屋清永の「清浄歓喜団」は、香りが強烈ではあるものの、一度は味わう価値があるお菓子であり、『平清盛』に続いての大河出演と思われます。

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鎌倉の食文化も進歩したものです。

義時が八重に片想いしていた頃は、軽食はせいぜい餅かドライフルーツでした。それがこんな茶と点心を楽しめるなんて、凄い進歩じゃないですか。

手にしている茶碗も、薄くて軽い、宋の白磁でしょう。

思えばリッチになりました。そうなると、のえのようなワナビーは自分の地味な服装が嫌になったりするんですけどね。

 

時元の鬱屈は母に責任あり?

実朝を鎌倉殿が引きずり下ろし、平賀朝雅を後釜に座らせたい北条時政

計画を止める気は無いのでしょう。三浦義村と胤義に段取りを打ち明けています。

・これから鎌倉殿を館に連れてくる

・出家するよう起請文を書かせる

・平賀朝雅を新しい鎌倉殿にする

・そうすれば政子も義時も口出しできない

拍子抜けするほど単純で、しかも政子と義時も黙るだろうという見通し。甘いとは思わないのか。

胤義が、実朝をどうやって館へ連れてくるのか疑問を呈すと、時元が「和田の館に向かいます!そこが狙い目だ」と言い切る。

果たして時元の言葉を信じてよいものか。

義村が半信半疑でいると、時元は自身が鬱屈していたことを明かします。父は頼朝の弟である全成なのに、今の鎌倉殿とは差がついている。そのことに得心が言ってない。

「合点がいきました」

義村がそう返すと、時政は仔細と告げ、詰めに入ります。

時元も、もう終わりましたね。悪い方向へ踏み出した。

人はなぜ教訓を間違えて学ぶのか?

時元は、父・阿野全成が頼朝生前に粛清されなかったことを教訓とすべきでした。彼は無欲であり、それで生き延びた。

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それがこうも不満を抱いている。なぜか?

親と子は別人格とはいえ、母である実衣の責任は重い。

彼女はことあるごとに自分と政子の違いをわきまえず、軽んじるようなことを言ってきました。そんな母から政子とその子を軽んじる態度を学んだら危険でしかありません。

実衣はむしろ率先して政子親子を重んじる姿勢を、やりすぎと思えるぐらいに徹底すべきでした。

今となってはもう手遅れで……よりにもよって義村の前で本心を語ったことが、後々響いてくるでしょう。

 

「よくまた裏切ってくれたな」

りくは三浦が味方についたことを喜び、鎌倉はあなたのもの、時政を軽んじた者があわてふためく様が目に浮かぶと、すでに勝ったつもりでいます。

しかし、夫の時政は浮かぬ顔だ。

それに気づいて怖気付いたのかとけしかけると、とっくに腹はくくっていると返します。

その上で、望むものはもうないとのこと。

りくが驚いていると、時政は自分にとって一番の宝はりくだと言います。喜ぶ顔をみられたらそれで満足。あとはなにもいらん。

りくは焦りつつ、だったらもっとりくを喜ばせて欲しいと言います。

「りくは強欲にございます」

「ようわかった」

愛妻を抱きしめる時政。

そして夜までに一つやっておきたいことがあると言い残して、出かけてゆきます。

「父上も愚かなことを考えたものだ」

義時は、義村から全てを聞かされ呆れています。

どうせあの女子の手引きだろう。平賀とは正気の沙汰ではない。

そう呆れ果てる二人であり、義時はこう言います。

「よくまた裏切ってくれたな、平六。礼を言う」

なぜ裏切ったか?

義村は時政の嘘を見抜きました。

平賀が鎌倉殿になったら、善哉の目はない――。

ただし、こういう嘘を見抜けるのは義村ならではであり、単純な賢さの話ではありません。うまい話に人は乗るものです。

義時はそんな盟友に、このことを義時自身は知らなかったことにして、そのまま計画を続けてくれと頼み、義村も承諾します。

それにしても……義村は裏切ったのでしょうか?

彼はなんだかんだで、いつも義時についていることを踏まえれば、ある意味忠実といえます。

義村は美味しい立場にいます。

有力御家人として突出しているだけに、陰謀の助力を頼まれ、それを義時に売り飛ばせばうまい汁だけが待っている。

実によい位置を手に入れました。

頼朝生前は不満があったけれども、義時がそうなりつつある今は楽しくて仕方ないでしょうね。

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