麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第16回 感想あらすじ視聴率「大きな国」

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忍耐を強いられた元信(家康)は飄々と

さて、話を戻しまして。

そんな医者たちの元へ、赤い服も鮮やかな青年がやってきます。青年期にも別の俳優を起用するのだから、丁寧な作り。包帯をとったら西田敏行さんだった……そういうことではない。

そう、彼は松平元信(のちの徳川家康)です。

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彼は雪斎の元で学問に励んでおり、明るくさっぱりしていてそこまで落ち込んではいない。トレードマークの赤い服だって、東洋の伝統ではお祝いカラーです。本気で師匠の死を気にしていたら、こういう服装にはならないとは思います。

むしろハッピー? そういうことは気にしない? 彼も結構な変人で濃い性格だと思えます。

昆布と豆を煮ていると東庵から聞くと、「いいにおいじゃ」と興味津々。そのうえで、見てもよいかと聞いてきます。

食いしん坊? というより好奇心旺盛、かつ自分で見てみないと気が済まないタイプとみた。やはり、彼は先入観がない。

「下賤なものの食べるものじゃ」とか、そういうことは気にしませんね。そうエキセントリックではないものの、道三や信長と似たところはある。

駒の名前を聞きながら、座って食べ始めました。

春次こと菊丸は、感慨深げにこう口にしてしまいます。

「若様、ご機嫌麗しきご様子。祝着に存じます」

なんでも彼は、元信のいる館によく薬を持ってくるとか。

医者は便利だなあ。東庵も駒も、英雄三傑全員コンプリートできるし、実に便利な役どころです。こういうキャラクターは、うざいわけでも不要なわけでもない。その判断は作り手にある。

そのうえで、美濃の動乱について聞いてきます。

 

寺から抜け出すのを手伝ってほしい

道三と高政の争いの話を振ると、元信は今川の御家臣がそう話していたと肯定します。美濃の国が二つに割れたと。

やはりこの元信は、おそろしいものがある。彼は無害そうで、おとなしそうで、生真面目に見える。信長みたいに露骨なうつけはうつけでもややこしいのですが、元信は道端の草花のようにすら思える。

だから周囲は、重大なことでも見せて、聞かせてしまう。元信はそのことを全部脳内に仕舞い込んで、分析して、シナリオを組み立ててしまうのに……。

若い頃からそうで、古狸になってからも豊臣秀吉すら丸め込める。そういうところが、実に恐ろしい。石田三成さんがかわいそうになりますね。

駒は美濃のことに動揺していると、今川家の家臣が「なんの話をしているのか、薬屋は用が済んだのか」と聞いてきます。

駒の反応は普通です。
むしろ、あくまで冷静な元信が怖いってば。どこまで怖くなるのやら……。

そんな元信を東庵は気遣います。あの部屋で毎日、退屈ではないかと言うわけですが。どうも深刻ではないらしく、将棋の相手でもいればいいと返します。

やはり元信、リモートワーク適性あるよね?

ぼっちで食事しようが、勉強しようが、平気。薬の調合でもすればいいと割り切れるでしょ。これはいい陰キャです。

ここで東庵が、都では“将棋の東庵”と呼ばれていたと相手を申し出ます。

生き生きとして「ぜひ!」と答える元信。身分への先入観がなくて、東庵にも駒にも親切です。偏見なく、丁寧すぎるほど丁寧に接するのでしょう。

一見性格が善良そうで、実はそうでもないところはあると思います。風間俊介さんがこの家康を演じることは、これまた歴史的なことになるはず。

染谷信長も、佐々木秀吉も、風間家康も、現状で最高の像になる。ゆえに、本作は越年しようが作りあげねばなりません。期待して信じています!

このあと、駒と菊丸は薬の保管場所へ。

駒は美濃で確認したいことがあるから、夜に寺から抜け出すのを手伝ってほしいと菊丸に訴えるのです。

菊丸は迷いつつ、承諾します。

これはよい流れです。まさか演じる方の失言を想像してのこととは思えませんが、いい退場フラグが立ちました。

任務を捨てて、女の情に絆されて危険なことをする。死亡退場へのよいフックです。こうなったからには処理は難しいでしょうけれども、菊丸はもうすぐ見られなくとみた。

いいんですよ。こういう人物ならば、後継者である二号を出せばよいだけです。それこそ“菊次郎”あたりでいい。

 

ふてぶてしく生まれ変わった高政

光秀が苦しげな顔で稲葉山城に向かうと、歌声が響いています。

「我御寮となれば……」

今週も風俗交渉をしっかりとした歌声が響く中、明智光安が踊っています。

稲葉良通稲葉一鉄)らも集まり、中央には高政がいる。そんな飲みニケーションがそこにはありました。

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光秀は冷めた目を向けます。高政も冷たい目で見返してくる。視線に温度がある――そんな伊藤英明さんの演技が光ります。

伊藤さんの演技はどこか固く、ぎこちないようなところはあったかもしれない。それはあくまで高政の反映であり、わざとであったと痛感できます。

家督相続後の高政は、不器用な青年ではなくふてぶてしい存在に変わりました。

そして高政は、光秀と二人きりになって尾張に行った顛末、帰蝶と話し合った中身を聞いてきます。

光秀は嘘でもなく、帰蝶と話し合い、美濃に手を出すなと言ったと語るわけです。

高政だって、帰蝶への気持ちは冷え切っている。妹を憐む気持ちがそこにはない。

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光秀から「(帰蝶は)腹を立ててはいたが、すぐには動かない」と聞いて、納得しています。お互いがじっとしていれば、父上も動けない。結構な話だと。

ここで光秀に思い過ごしがあるとわかる。

彼は帰蝶に、幼い頃からともに過ごしてきて、高政の考えていることはわかると言い切りました。それが今やそうではないのです。

こうした傾向は家督相続後から顕著でしたね。むしろ道三と光秀の方が本音で語り合えている。

 

【自我】ではなく【虚像】で埋める

光秀はここで、火をつけた高政の責任を問いかけます。

父が道三様ではなく、土岐頼芸だと言っていること。どちらが本当なのかと問い詰める。

と、高政は思いもよらなかったことを返す。

道三が父だということくらい、わかってはいる。それでもこの国の土岐源氏の血を引いていて、成り上がりではないと思いたい。将軍家に守護の座を願い出るにせよ、通りがよかろう――。

そう言われ、光秀は苦い口調でこう返します。

「なるほど。賢いやり方だ」

「賢いやり方? 言葉に少々毒があるな」

「申し訳ござりませぬ」

光秀は素直なところがある。これも道三とのやりとりとは対照的なのです。

道三は光秀から正面切って嫌いだと言われようと、一時的にカッとなってもあとは引きずりません。高政のように「そういう言い方ってよくないよね。空気読め」みたいなプレッシャーはかけません。

高政が異母弟を殺害したことが、やはりサイコパスだのなんだの言われておりますが。そういう悪へ進む傾向がまた出てきましたし、その根本が見えてきたとは思う。

【自我】ではなく【虚像】で埋めること。なまじ高政は実の父を理解しているから、わかったうえでの芝居だと油断し切ってはいる。

それでも騙していることには変わりがないし、そのことがどれほど父母の心を踏みつけたのか、そこを無視しているとは思う。

自分に利益のために、平気で嘘をついて、偽りのアイデンティティで満足してしまう。自分ではコントロールできているつもりでも、やがて【虚像】に【自我】を喰われて悲惨なことになります。

高政は、道三や信長とは違う。

道三も信長も、サイコパス呼ばわりをされようと、自ら敵を殺した。けれども高政は違う。

この父親の件での詐称にせよ「将軍家や国衆、この世の中が血筋を望むから、そういう世の中のルールや【共感】に従っただけのこと」と自分の決断を回避していいわけすることはできるのです。

高政は周囲の【共感】を得る能力があります。あの飲みニケーションだって、道三にはできなかったこと。周囲を和ませて、人望を発揮し、人をまとめる能力はある。

でも、それだけでは危険ではないでしょうか。

 

領地の洗い直しをするから手伝え

そんな高政は、光安が挨拶に来たと語り始めます。光安は明智荘の安堵を求めてきたのですね。その願いが叶っての踊りであったと。

しかし高政は「光安殿には何も言うておらんが」と前置きして言います。

まだどことは決めておらぬが、もそっと広い領地を与えたいと思うてる。条件として、光安の隠居と光秀の家督相続があると言うのです。

光秀が驚いて理由を聞くと、その意図を語ります。

今の国衆は、自分の領地を抱え込んで石高がわからない。調べて明らかにして、領地の洗い直しをするぞ! だから手伝えと言ってくるのです。

検地を国単位でやるようなことで、発想としては間違ってはおりません。

ただめんどくさいと言えばそう。現在ならば確定申告や税務調査みたいなもんですかね。

検地にしたって、気候や地形の差異の考慮が不十分で、実測値と石高の差がついてしまい、トラブルがあったものでした。

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システムの改良は、痛みを伴います。光秀は今の領地を出ることに唖然としてしまう。もっとよい領地と言われようと、嫌なものではあるのです。

古今東西、ルーツの土地から引き離されることによる悲劇はたくさんあるもので。そういうことを断固嫌う国衆は存在します。

代表例が『真田丸』の真田昌幸

真田の土地を守るためならば、北条、上杉、徳川と同盟相手を変え、翻弄し、無茶苦茶なことをやらかした。そして「あいつは表裏比興でヤバイ」と言われるわけです。

彼は史実でもエクストリーム国衆、その結果、北条氏滅亡の引き金を引いたわけですが。

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ともかく、高政は禁断の領域に入り込んでしまったわけです。

自信過剰になりつつあるのでしょう。例えば以下のような事例からそう推察できます。

その1「困難に直面している」【ハード・イージー効果】:高政の状況はむしろ厳しいはず。それなのに、そういう時に限って自信過剰になってしまう。

その2「慣れてしまう」:国衆の扱いに慣れが出てきた。それならばまだしも、過剰になるのは危険。

その3「情報量」:彼は愚かでも迂闊でもなく、むしろ情報収集能力は高い。ただ、情報とは入手だけでは足りない。精査が必要です。

その4「経験」:自分でコントロールできるというのはよいことのようで、慣れると危険が生じます。高政はぐんぐん慣れてしまっている……。

どうにも、危ういのです。

 

左馬助の来訪「父が尋常ではない」

自宅に戻り、妻の煕子が見守る中、光秀は食事をとっています。

「まだ母上に申し上げてないのだが……」

「は?」

「明智の領地がお取り替えになるかもしれぬ。どこに移されるかまだわからぬが」

光秀には不満がモロに出てはいる。我らに落ち度があったわけではない、というあたりに恨みが出てしまっています。

煕子は困惑しつつ、こう言うばかりです。

「美濃のためによいことなら。私は十兵衛様について参るだけでございます」

「母上は驚かれるとは思うが……」

そう割り切れない中で、侍女の常が明智左馬助の来訪を告げます。

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左馬助は、道三の言葉を伝えてきました。

大桑城(おおがじょう)で一戦交える。志を同じくするものは参集するように。

光秀は驚きつつ、叔父上の意向を尋ねると。

「それが……父は様子がちがい、尋常ではありませぬ」

光秀は焦り、すぐさま光安の元へと向かうのでした。牧は、道三と高政の争いに驚愕するばかりです。

 

気の抜けた叔父が激情を見せるとき

光秀が叔父の元へ向かうと、光安は鳥籠に手を入れ、中の小鳥を逃しているのでした。

「明るいうちに逃してやろうと思うてな。森の方へ飛んでいった……」

気が抜けたようにそう語る光安。せめて明るいうちに逃すあたりに、彼の悲しさと優しさが凝縮されています。

そして語り出す。

「高政様から領地のことは聞いた。兄上から預かりしたこの領地を守れそうにない……何も申すな。わしが非力ゆえ。手を尽くしたが……そなたにも……牧殿にも……面目がない……美濃が新しい国になるという。それもよかろう。しかしあの高政ごときにわしの命を預けようとはゆめゆめ思わぬ! わしは大桑城に行く! 道三様のためなら心置きなくひと踊りできる! 行かせてもらうぞ」

人が良くて、自己主張をしなくて、優しい叔父上。律儀に、亡き兄の後を継いで生きてきた好人物です。甥に代わって家を継いだままにしようとも思わない。極めて生真面目に生きてきた。

そういう人が激情を見せるとき。その瞬間こそ、恐ろしいものかもしれない。

信長だの高政がサイコパスだのなんだの言われるけれども……。

そうではない善人のこの嘆きに、悲劇と怒りの頂点を見た気がします。

西村まさ彦さんつながりで「黙れ小童」を言わせろだのなんだの言われてきたこの光安。けれども、作品も人物像も違うからには、そんな手癖や視聴者の甘えに乗っかるようなことはすべきではないし、期待するものでもないと思いました。

SNS投稿はまだよいにせよ、そんな些末なこと、ネタをネットニュースにまでするのはどうかと思います。アクセスさえ稼げればよいのでしょうけれども。そういうイージーな【共感】願いは危険だと思うのです。

光秀は困惑します。

「道三様は勝てませぬ、無駄な踊りになります。明智家の存亡に関わる……これが我が父の声と思い、お聞きください!」

光秀は光秀で、ついに禁じ手を出してきた感はある。

光安はむしろ困惑し切って、光秀に判断を求めてくることが多かったものです。それなのに、光安は自分で判断をしようとしている。だからこそ、光秀は父である光安の兄を持ち出してきました。

これまで光秀は、立場を盾にするようなことをしてこなかった。それでもここでは敢えて出してきた。

二日お待ちください。そう告げ、光秀は大桑城へ向かいます。
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