麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第41回 感想あらすじ視聴率「月にのぼる者」

麒麟がくる第41回感想あらすじ~視聴率は13.4%でした

麒麟がくるキャスト

麒麟がくる全視聴率※1/18更新済
麒麟がくる感想あらすじレビュー

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天正5年(1577年)10月、松永久秀自刃――。

光秀は久秀の形見である平蜘蛛を受け取ります。

いかなる折にも、誇りを失わぬ者。志高き者、心美しき者。持つだけの覚悟がいる、そう伝えられた平蜘蛛でした。

 


丹波の国衆ではなく義昭

備後の鞆には、足利義昭がおります。

信長が勢力を安定させられぬ中、義昭は「信長倒すべし」と文を送り続けているのでした。

丹波の亀山城では、反信長の国衆が引き立てられて来ます。

藤田伝吾に縛(いましめ)を解けと命じる光秀。青い桔梗色の幕が美しく映えております。

光秀は敵の無念の情に理解を示します。戦に正義はなく、勝敗の時の運、明日は私がそこに座るやも知れぬ。そう語る光秀。そうそう、勝負は兵家の常ですね。

荒木という国衆は、首を刎ねるつもりならそうしろと言う。光秀はそのつもりなら昨日しているといいます。その上で「ご一同への頼み」を伝えます。

焼けた城跡に二度と城を築かぬこと。

戦で焼けた橋を架けること。

踏みならした田畑を耕すこと。

「我らを斬らぬのか?」

そう驚く荒木たち国衆。光秀は彼らに家へ帰るよう促し、しばらくは年貢を取らぬとまでいい出します。

そして国衆の力を借りたいという。今申すのはそれだけだと。

伝吾に見送らせつつ、ひとつ尋ねるのです。

何故、戦を続けるのか?

光秀は戦を続く世の中を変えたい。天下を一つにまとめ、よき世を作りたい。それなのに、国衆は耳を傾けてくれぬ。なぜ抗うのか?

すると荒木は答えます。足利将軍より授かり、恩顧を受けてきた。その将軍が西におり、助けを求めている。その恩に報いるために、戦うしかないのだと。

光秀は、控える斎藤利三にこう言うのでした。

「我らが戦うておるのは国衆ではない……備後の国におられる足利将軍だ」

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情けは人の為ならず

明智光秀の人生とは、なんと皮肉なのか……。

幼い頃、木に登った。そこから景色を見たかった。そして見えてきたのは、自分の原点です。

侍の頂点に立つ公方様こそ、倒さねばならぬことをまた見出してしまったのです。

光秀は大変な境地に入りつつある。

三淵藤英にせよ、松永久秀にせよ。生存本能よりも心を選んだ。

どうすればいい? そういうことなのか? 混沌が尽きません。

ここでの光秀を見て、ええかっこしいだの言うのは少し違うでしょう。

敵を追い詰めるにせよ、逃げ道をあえて用意することは戦術の基礎。というのも、四方をみっちりと塞ぎ降伏の手段を断つと、かえって死に物狂いになって向かってくるため危険です。

光秀のように寛大さを示し、心を気にかけることが基本。

用兵の道は心を攻むるを上となし、城を攻むるを下となす。心戦を上となし、兵戦を下となす――。

そういうことです。

現に、そういう綺麗事でスウェーデン王になった人もいるんですね。

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寛大さは、自身の生存のためにも必須です。

情けは人の為ならずとは、誰もが一度は耳にしたことがありましょう。

 


菊丸を一瞥する秀吉

京都の館に戻り、光秀は平蜘蛛を取り出します。

行方を知らぬと信長に言ったことを思い出しつつ、取り憑かれたように見つめるのです。

この光秀の顔には、何か変わった何かが見える。透き通った水のような表情に、何かがポタリと垂れたような……。

そこへ伝吾がやってきて、羽柴秀吉の使いが来ていると告げます。

要件は、明後日播磨に出陣するので、挨拶に伺いたいとのこと。

「お待ちすると伝えよ」

そう光秀は返します。

菊丸は、庭で腹痛に効くカワミドリを、光秀の娘・たまにさしあげたいと下女に差し出しています。

種も持参した、芽が出たらまた持ってくる、と。何気ない場面のようで「十兵衛様の腹痛」に効く漢方生薬を調べているために、手間がかかっていると思います。

こういう評価されにくいところで手を抜かないところが、本作の持ち味でしょう。

するとそこへ羽柴秀吉が案内されてくる。

いや、案内をふっきって勝手に広間に向かっているらしい。そして菊丸を見て、文字通り目の色を変えます。

「おう、その方。ふむ……」

そう言いつつ、奥へ向かう秀吉。

そしてお聞きおよびのことだとは思うが、播磨表の総大将を任されたと浮かれた様子で言います。

自慢ともとられかねないところを、これも明智様のお引きたてのおかげだと持ち上げます。そのお礼と出陣の挨拶だそうです。

光秀は、大した出世だと言う。

本願寺を支える毛利の出城のような土地であり、信長からよほどのご信任を得たと褒めると、秀吉は平伏しながら「光秀の足元にも及ばない」と言い出します。

光秀がその「足元」をとらえます。

 

「申し上げれば不義理、申しあげねば不忠の極み!」

「足元を掬われた」と問い詰める光秀。

秀吉がシラを切ろうとすると、掬われた方は呆れ果てるばかりだと光秀が問い詰める。

ここで平蜘蛛の一件だと明かすのです。

秀吉も茶には詳しくなった。茶釜のことは存じている。松永久秀が譲ったらしいと信長にご注進した。それで信長の寵愛を得た。そう問い詰めてゆく。

戯言だ、誰がそのようなことを!

秀吉はそうやって怒りを見せる。詰めが甘い相手ならば、これで通じるのでしょう。

しかし相手は光秀。秀吉には弟が大勢いて、忍びまがいのことをしている者もいると指摘します。

その中で口が軽い弟がいる。久秀と光秀の密会を言いふらしていると問い詰めるのです。

辰吾郎――そう名前を告げながら、引き立ててきてもよいと脅すように迫る。

もはや観念したのでしょう。言い訳に走り始める秀吉は、松永の動きを見張るよう信長に命じられ、まさかあんなことを目撃するとは思いもよらなかった、信長に申し上げるか迷ったと言います。

「迷うたが、出世の道を選んだ」

光秀は容赦がないし、秀吉の狡猾さも見えてくる。

彼特有の明るさ、陽気なパーソナリティでごまかそうという意図は感じますし、現にそういうことが通じる人生を歩んできたのでしょう。

理詰めで証拠をつけつける光秀に対し、感情を刺激して言い抜けしようとする秀吉。その対比がわかります。

そしてこうだ。

「申し上げれば不義理、申しあげねば不忠の極み!」

板挟みだったとアピールする。そのうえで光秀の心を操るようなことを言う。

戦に勝ちに勝って、敵を倒し、乱世を終わらせれば光秀のためになるとアピールするのです。乱世を平らかにしたあとで謝れば、許してもらえると思ったと。

なんて狡猾極まりないんだ……。

自己弁護のくせにいちいち「光秀のためを思っているんだってば」と、おしつけがましい一言を付け加えてくるのです。

何をするにも自己アピールをしてくる……なんなんだこいつは、本当にこいつは、一体なんなんだ。

世渡りで生きてきた感がすごい!

何事もスラスラと口先で生き抜いてきた――そんな巨悪を演じる佐々木蔵之介さんは今回も圧巻で絶好調だ! 止まらない!

何の迷いもなく、むしろ自信満々で、彼にオファーをするNHKの気持ちがわかります。

それに、この理屈をあてはまれば、秀吉は絶対許すことのできない巨悪、宿敵だとわかります。

海を超えて、朝鮮でも麒麟を駆逐し、明にも打撃を与える。その後始末にどれほど徳川は苦労することか?

朝鮮から持ち帰った耳を埋めた「耳塚」では、韓国の方と日本人有志が慰霊祭を現在でも続けています。

このあたりの事情は、金文吉(著)・ 天木直人(編集)『麒麟よこい』(→amazon)がおすすめできます。『麒麟がくる』の便乗本でもなく、ドラマの理解を深めるためにも読んでおきたいところです。

◆【書評】金文吉・天木直人編『麒麟よこい』(→note

このように秀吉は、光秀の論理からすれば絶対に許せない存在――そして光秀の意思を受け継ぐ人物が徳川家康だと、ここでも見えてきましたね。

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