『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第6回「初恋の別れ道」 甘いロマンチックの中に一匙の腹黒さ

 

「おとわは死ねない」自分が「カビた饅頭」になることこそ安泰の証

このやりとりを傑山は全て見ており、南渓に報告します。
南渓は困ったとは思うものの、無理矢理引き離しても仕方ないから様子を見ることにするようです。

次郎は入水したと見せかけようと考えるものの、なかなか決心できません。里の人と別れること、両親と別れること、皆を欺くことに心が乱れます。

千賀はどこかおかしい娘の様子が気になりだし、なんとか次郎と直親をめあわせたいと直盛に訴えます。直親は救っても次郎は捨て石にするなんてあんまりにも酷な仕打ちだと訴える千賀。しかし直盛の言葉通り、周囲は直親に一日も早く結婚し世継ぎを作って欲しいのでした。

次郎は南渓の、饅頭の謎かけを思い出して何故なのか理由を探ります。
そして自分は井伊家の跡を継ぐ名「次郎」をもらったこと、井伊家を継ぐと思っていた幼少時代を思い出すのでした。

翌朝、朝日が差し込む中、次郎と直親は井戸の前で再会します。
次郎は「おとわは死ねない」と決意を語ります。直親と自分はそれぞれひとつの饅頭、ふたつ同時に食べたら全部なくなってしまうが、とっておけばスペアになると説明する次郎。
直親に何かあった場合、次郎すらいない状況では井伊家にとって危険性が増すのだと語る次郎。

ここで情に流されて選択をあやまってはいけないと語る次郎と、「娘としての幸せを捨てて、あるかどうかわからない家の危機のために生きてそれでよいのか!」と迫る直親。

次郎の決意は変わりません。自分が「カビた饅頭」になることこそ、井伊家安泰の証だと語るのです。

別れを告げる次郎を、直虎は後ろから抱きしめます。少女漫画的な動作ではあるのですが、なかなかこれは辛い状況です。置き去りにしてすまぬと謝る直親。二人の縁は、彼が井伊谷を逃れた時に尽きていたのでしょう。
直親は次郎に先に行って欲しい、己の心を葬らねばならないと告げます。去りゆく次郎と、一人残り恋心を弔う直親なのでした。

 

次郎本人は腹を決め、同じく結婚に踏み切る直親

千賀は直盛にも頼んで「そのうち還俗させるつもりだ、我慢させてすまない」と次郎に謝ります。
が、次郎本人はふっきれています。次郎は、竜宮小僧として生きていく、このままがよいとすっきりした顔なのでした。

直盛は直親に気を遣い、数年の間は嫁を迎えるのを控えるよう告げますが、直親は「誰よりも井伊を思う竜宮小僧だから、待っても無駄です」と苦渋の決断。

かくして今川に頼むことは「直親の帰参のみ」と決まります。
直平は直親を結婚させておかなければ今川に正室を押しつけられるぞ、さっさと結婚させろと迫り、奥山朝利の女(むすめ)と直親の縁談が決まるのでした。

あっさりと一方的に縁談を決められた直親に、それでよいのか、腹は立たないのかと尋ねる政次。その政次に、「お前もそろそろ結婚しろ、いくら待とうとおとわはそなたのものにはならんぞ」と釘を刺す直親。政次はそんなことを考えたことはないと言いつつも、若干動揺した顔を見せるのでした。

駿府では、瀬名が雀を飼い慣らした竹千代に驚いています。
「嘘でしょ」と動揺する瀬名ですが、阿部サダヲさんがファンタジック過ぎて、ここは私もそう言いたい気分でした。

直親は妻を娶ります。
直親は止まっていた井伊谷の時間を動かし、運命をめまぐるしく変えてゆくことになります。

 

MVP:井伊直親

熱血爽やか完全無欠のイケメンプリンスとしての顔と、それ以外にチラチラと見え隠れする強引さのギャップが萌えるどころか恐ろしい存在です。
愛する自分と結ばれるためならば、相手に社会的な死というおそろしい境遇を選ばせかねない強引さ。直親の提案を受け入れていたら、次郎は両親とも引き離され、ひっそりと隠れ住む道しかなかったわけです。
そんな不自然な夫婦生活が周囲から認められるとも思えませんから、直親は別の女性も妻とせねばならなくなるでしょう。

次郎は、今の境遇ならば井伊家当主の娘として保護されているわけです。しかし、直親の策を用いたら彼女は頼れるものは直親の愛だけという、極めて不安定な立場に置かれるわけです。還俗すらままならないのに、そんな状況から社会復帰できるとも思えないわけです。
心から愛した女に、一方的なリスクを押しつけて、相手が悩み苦しんでいることにもはじめは気づかず、自分を愛しているならできるはずだと迫る直親。これはなかなか怖い男ですよ。

さらに彼は、笑顔でさらりと幼なじみの政次にも「おとわを狙っているだろう」とマウンティングしています。
直平や直満の暴走気質に、お菓子を食べたり作ったりしている系大河ヒロインよりも甘いロマンチックラブイデオロギーをかけあわせ、さらにひとさじ腹黒さをくわえたプリンス、井伊直親。こんな火薬庫のようなキャラクターをしれっと出してくるあたり、本作の底しれぬおそろしさを感じるのでした。

 

総評

男女の哀しいすれ違いという見方もできるかとは思いますが、何故かカラッとしていて清々しいのは、ヒロインが自我をはっきりと持ち、それを通した結果だからではないかと思います。
苦い結果とはいえ、ヒロインが自ら選びとったものであり、誰かの妻や母となる以外の道もあると示したわけで、これはこれで新しいあり方を示したと言えるのではないでしょうか。

以前、昨年の主人公・信繁は「魔法の鏡」のようなもので、その時々影響を受ける人によって行動や考え方でも変わると書きました。
今年はその真逆で、たとえ最愛の人であってもヒロインの信念を変えることはできないのでしょう。

生涯独身ヒロインとして、身を捨ててでも守る道を貫く「竜宮小僧」として、ぶれない彼女の生き方が今後も見られるはずです。

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【参考】
おんな城主直虎感想あらすじ
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link

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