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【青天を衝け第12回感想あらすじレビュー】
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10倍楽しみたい昭和の理想像
この大河は成功作にされているようです。
どの層でそう捉えられているのか?
私なりに見えてきたのは、
日本人
中高年
男性
プロパー
そういうエリートとしての自意識がある層ですね。
ここでは【四拍子層】と呼びましょう。
彼らの心をくすぐる仕組みがあって、かつ日本のメディアはこの層からの影響が強い。
週刊文春で『青天を衝け』特集していたぐらいです。
「でもイケメン揃えてスイーツアピールしているでしょ?」
◆ NHK大河「青天を衝け」出演者に志尊淳、犬飼貴丈、福士誠治ら11人発表(→link)
はい、それはその通り。見事なイケメン揃いですね。
でも、このドラマに出てくる女性像って、こういうエリート男性様が好きな、昭和の理想像にあてはまるんですよ。
例えば千代役の橋本愛さんは、初夜をやたらと強調。テロップで役名が渋沢千代になってキュンとするような趣旨のことを語っていました。
「やっぱり女っていうのはさ、好きな男の名字になるとときめくもんだろ!」
夫婦別姓論で出てくる王道の話ですね。選択制なら、そういう方は夫婦同姓にすればよいだけ。そもそも夫婦同姓って幕末ではどうでしたっけ。
一方で、朝ドラ『おちょやん』はこの手のメディアから叩かれます。過去には『スカーレット』もそうでした。
『スカーレット』の場合、ヒロインの家に婿入りするので結婚や離婚により女性の姓は変わらない。
『おちょやん』は、離婚して旧姓に戻った週のタイトルが「竹井千代と申します」でした。離婚によって開放感を味わっていて、ヒロインが同居する継母と姪は全員姓が違う。それでも消えない絆がある。
要するに、朝ドラは家族制度に「異議あり」と言い切っているのですね。
言い換えれば、受信料を使ったドラマから「おっさんの価値観もういらねえっすよ」と言われている。
一方で『青天を衝け』は四拍子層にとって最後の砦でしょう。
そこには『麒麟がくる』の駒みたいな、生意気なキャリアウーマンは出てきません。
ですから、おなじみ日刊ゲンダイさんもニッコリするんですね。当初は四拍子層が大嫌いなイケメン主演で叩いていたのに、今ではニコニコえびす顔でこういう記事を出すわけですね。
彼らが何にニヤニヤしているか?
せっかくだから分析してみましょう。
名実ともに「大河の顔」になってきた(吉沢亮さん写真のキャプション)
幻の初夜シーン…(橋本愛さん写真のキャプション)
栄一には知られているだけでも3人の妾がいた。
その1人である大内くには、何と神保町にあった当時の栄一の自宅で千代の許しを得て「妻妾同居」した。
栄一の2人目の妻・兼子との間に生まれた四男・秀雄はその著書「父 渋沢栄一」で、「社会的な活動は則天去私に近かったろうが、品行の点では青少年の尊敬を裏切るものがあった」と嘆いている。
妾のほかにも芸者や住み込みの女中などにも次々と手を出し、庶子や隠し子が一説には約50人もいたと言われる。
「英雄、色を好む」というが、NHK大河ドラマの主人公としては少々、「不都合な真実」かもしれない。
英雄、色を好む――。
って、それ上杉謙信にも言えるのか。あくまでケースバイケースであり、明治時代でも、渋沢栄一の女癖の悪さは悪評まみれでした。
それがNHK様が取り上げてくださる!セクハラ王道の言い訳ができる! ありがてえ!ということですね。
また次の記事。
◆『青天を衝け』攘夷にのめり込む栄一「みんなが幸せなのが一番」の精神で (1)(→link)
こういうレビューも相当危険なんですよ。
以下に引用させていただきますが、性的逸脱を本能で片付ける本能論に依っています。
これって「子孫繁栄につながらない」という名目のLGBT否定につながりかねませんし、「性的暴行は本能」という危険な論調にも直結しかねないのです。
ゑいの言ったことで印象的なものはまだある。
市太郎が亡くなったとき、嘆く千代に「どんな偉いお殿様だって何十人と子をつくってちゃんと育つのはほんの一握り」と栄一が生まれる前に2人の子を亡くしていると語っていた。
この場面を見て、この時代、男性が正妻以外に子どもをあちこちに作っていたのは、1人でも未来に子孫を残そうという生物の本能からだったのかもしれない。
それもひとつの「みんなの幸せ」を考えてのことであろうかなんてことを思った(あくまで個人の感想です)。
生きるためにどうすることが正しいのかも、よくわからなくなってくる。
本能論で庇うなら『麒麟がくる』で信長が松平広忠を殺した話も問題なくなります(あの信長は現にそう思っていたと推察できます)。
だって広忠は潜在的恐怖。
それを除去するのは本能的に正しいことになる。
たかがドラマの感想なんですけどね。四拍子層を調子づかせそうな「わきまえた意見」だと感じたので、突っ込ませていただきました。
ちなみに、この手の記事ってなぜ「10倍楽しむ」が好きなんですか?
そもそも1の状態がわからない時点ではあまりに根拠薄弱であり、理解できません。
日本スゴイ論
渋沢栄一の持ち上げ記事を読んでいて、気づくことがあります。
日本スゴイ!論調が漂っている。
そもそも「日本資本主義の父」と言われたところで、なんなんでしょう。
終わらない不況がどんどん伸び、「まだコロナで伸ばす気らしい」だの「オリンピックとか正気か?」と海外から突っ込まれる2021年。
日本が凄いのならば、今の状況ってどうなんです?
物価は上がらず給料も据え置きあるいは減収で、若い世代は未来は描けない。ごく一部、高収入の高齢化世帯だけが安泰という現実に包まれている。しかも高齢化社会は今後さらに進み、それを支える世代もいない。
要は日本全体が沈んでいる最中でしょう。
そんな最中、無責任に日本スゴイの賛美を見せられ、初夜の話をして、気を紛らせてる場合でしょうか。
上司との接待カラオケで拍手するノリに、私は付き合いきれません。
むしろ『麒麟がくる』の光秀みたいに、上司から帰れと言われれば帰宅し、宴会でダメ出しする。そんな人生だった!
そんなわけで、特に頼まれていませんが、歌いたいと思います。ハーヨイショ!
『バイオハザードヴィレッジ』の宣伝見ていて思いつきました。
はぁ~!
算盤(そろばん)無ェ
論語が無ェ
史実かどうかもわから無ェ
知恵も無ェ
愛も無ェ
説明ばかり 毎回ぐーるぐる
イケメンで 誤魔化され
踏み潰される史実要素
センスも無ェ
笑いも無ェ
見続けるためには 堪えねば無ェ
俺らこんな大河いやだ
俺らこんなドラマいやだ
突っ込むしかねえだ
見届けたら
銭コア貯めて
来年の予習するだぁ
幕末の水戸藩が闇鍋状態
最後に。
◆ 吉沢亮主演「青天を衝け」が低迷 V字回復に必要な恋愛パートと「田中みな実」(→link)
この手の記事を見ていて気づいたことがあります。
四拍子層にせよ、その他の皆様にせよ。水戸藩の幕末知識があまり浸透されてない?
市販されている書籍にしても、薩長土肥関連は豊富(肥前は影が薄いけど)で、会津と新選組も揃っている。
しかし、水戸関連はまるでブラックホールのように空いている。
なぜ水戸藩はピックアップされないのか?
凄惨な過去が曖昧にされているから、『青天を衝け』では、ああも明るくはしゃげるのでは?と思うようになりました。
ガイドなりインタビューを読む限り、水戸藩に対する理解が非常に脆い。
あまりに能天気だと思うのです。
◆ 満島真之介、「青天を衝け」は今を生きる我々に勇気を与えてくれる作品(→link)
こういうインタビューなんて『まぁそういう丸め方しかないよなぁ……』と同情してしまいますが、もしも水戸藩の展開を知ってしまったら、どこから生きる勇気を得ればいいのか。
勇気どころか顔を引き攣らせながら落ち込むばかりでしょう。
しかし本作の作り手やキャラクターは、その辺、都合の悪いところは一切無視。おそらく面接試験はお得意なタイプでしょう。その場しのぎで良いことを言えちゃう。
一方『麒麟がくる』は、信長にせよ、光秀にせよ、筆記で通って面接で落とされるタイプでした。
陽キャ優等生の、陽キャ優等生による、陽キャ優等生のためのドラマ――それが『青天を衝け』なんですね。
★
土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』がいいです。
渋沢栄一よりも、このドラマの理事会と自分を比較することで、きっと得られるものがある。
◆『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2回(→link)
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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関連記事は以下にございます
◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助(note)
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト