青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第12回 感想あらすじレビュー「栄一の旅立ち」

こちらは3ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
青天を衝け第12回感想あらすじレビュー
をクリックお願いします。

 

雄藩が攘夷を止めた理由は?

ナレーションがこんな風に語っていたのを覚えておられますか?

長州藩や薩摩藩はイギリスをはじめとする諸国の艦隊との戦いに敗れ、攘夷は無謀であることを知りました。

京でも過激な攘夷を唱える公家や志士たちが突然追放され、事態は混沌としていました。

薩英戦争は、単純に「敗北」とは言い切れないと思うのです。

薩英戦争で意外に少ない薩摩の被害~その後イギリスと仲良くなったのは実益から

続きを見る

攘夷が難しいと悟ったのは確かです。

ただし、商業(貿易)を重視したから方針を変えたのであって、その辺の説明があまりにお粗末。

薩摩にせよ、長州にせよ、海が近く、海外の脅威を感じやすかった。それは水戸も同じですが、どこが違ったのか?

というと薩長はいち早く貿易の可能性に気づいたのですね。

こうした感覚は海のない会津あたりとは大きく異なる点ですし、海はあっても水戸藩が抱けなかった視点です。

世界史的に機運が高まっていた国際貿易に気づいたからこその躍動と言える。

そして主役が渋沢栄一となれば、多少の誇張はしてでもその視点を取り入れて欲しいと思ってしまう。

攘夷で盛り上がりながら「家族のことを思ったから無理だよね」でなく

「あの異人に藍染を売ったら儲かるんじゃないか?」

ぐらいにした方が、クレバーに見えませんか? さすが栄一、銭の感覚には鋭いなwとなりませんか?

今のように感情論ばかり振りかざされてもその辺の凡人と同じでアホ臭く見えるだけです。

放送時に「栄一の賢い頭脳が描かれているんですよね」みたいなツイートが投下されれば、多少はバズるのかもしれません。

しかし私には、栄一の頭脳がわからない。その鋭さは全く読み取れない。

むしろ気になるのは、先週の号泣シーンで涙が流れていないように思えたところとか。それを誤魔化すために照明が暗いように思えたこととか。

軽薄で、誤魔化し体質で、嘘つきで、自分勝手なことばかりが伝わってくる。

去年と比較するのは申し訳ないながら『麒麟がくる』の光秀は賢かったと思います。

これは他の複数名の人物もそうでしたが、彼は【アブダクション】を使っていました。だからこそ、一乗谷の街で会話しただけで、朝倉義景の軍備がお粗末と見抜けた。

『鬼滅の刃』呼吸で学ぶマインドフルネス~現代社会にも応用できる?

続きを見る

それにしても、近現代大河に対する目線って甘くありませんか?

渋沢栄一と関係の薄い京都情勢が省かれまくって具体的な事件名すら出てこない。

今後、戊辰戦争は描かれないと私は予想しておりますが、栄一目線でいくなら戊辰戦争スルー、帰国したら幕府滅んでいた路線は確定ですかね。

幕末描く意味はあったのか?となりそうです。

 

卑劣だろうと、生き延びればいいだに

このドラマはイケメンだの初夜だのうるさい割に、愛がないと思います。

千代に頼まれるまで娘を抱こうともせず、背中を向けている栄一。娘の抱き方があまりにぎこちない千代。

せめてもうちょっと練習できなかったのでしょうか?

家庭科の授業で赤ちゃん人形を抱っこする中学生コンビのようで、夫婦愛がまるで感じられません。

それに、家族愛もアリバイじみている。

とっつぁまにせよ、栄一にせよ、いちいち入るわざとらしい挿話を辿れば、結局、自分が出世したいだけのように思える。

攘夷計画を中止するときだけ、普段はあれだけ冷たい態度をしていた家族のことを取ってつけたように思い出す。

焼き討ちにあう被害者のことを思った方がマシだったかもしれない。

日頃は周囲に冷たいくせに、いざとなるとアリバイに家族愛を持ち出す――要するに卑劣なんですね。

160両ちょろまかした息子をテキトーに誤魔化しているように見える。そんな父子もあまりに薄っぺらい。鉄拳制裁するくらいの方がまだマシでしょう。

結局、生きるか死ぬか、金がなくて明日死ぬかもしれないなんてことがない。

甘やかされたお坊ちゃまの、しょうもねえ自己満足を見せられているような感覚。

『花燃ゆ』の方がそこはマシだったかもしれない。あれは吉田松陰が叔父にかなり厳しくされておりましたから。

このドラマは作り手が「生き延びればいいだに」みたいなことを言うのが聞いちゃいられないというか、日本人はそんな簡単にご先祖の苦労なり経験なりを忘却するものかと愕然とさせられます。

水戸藩が提唱したテロリズム思想のせいで犠牲に遭った者もいる。その子孫だって今の時代を生きているんですけどね。

 

“通俗道徳”の明治は藩閥コネまみれ

このドラマは大変有害です。

確かに江戸時代福沢諭吉が「門閥制度は親の敵でござる」と嘆いたような身分構造はありました。

では、明治政府はそれを正したのか?

というと、そうではない。

明治時代の通俗道徳(自己責任論)
青天を衝けでは描き切れない明治時代の闇~貧乏人は努力が足りない論

続きを見る

藩閥政治が跋扈する。

西南戦争では、会津出身の山川浩が無理ゲーを強制され、それを跳ね除け大戦果を挙げたにも関わらず、

「山川は会津じゃろが」

と長州出身の山県有朋が文句つけたというのだから、どうしようもありません。

山川浩
まるでマンガ! 元会津藩士・山川浩の西南戦争は凄まじき戊辰リベンジ

続きを見る

浩の弟・山川健次郎が活躍したことで、この流れを否定する意見もありますが例外でしょう。

留学生は薩長が多い。それがなまじ同郷出身者同士で遊んでしまうため、「負け組のガッツに期待だ!」枠に健次郎が入っただけです。

山川兄弟の妹・捨松、そして津田梅子の場合、「まっとうな女は留学させられないから」という理由で選ばれています。

津田梅子
6才で渡米した津田梅子の絶望~それでも女子教育に生涯を賭けて

続きを見る

捨松は困窮した家庭における口減らしというどうしようもない裏事情がありました。

しかも留学から帰国したら、

「英語できる女がいてもしょうがないわ! そこのところ無計画に留学させちゃった、適宜嫁にでも行け。って、もう歳を取りすぎたか」

とぶん投げられる最悪の展開に遭遇します。

山川浩&山川健次郎&捨松たちの覚悟を見よ!賊軍会津が文武でリベンジ

続きを見る

そう考えると、新札の顔として津田梅子の方が断然大河向きだと思いますけどね。

朝ドラですって?

なぜ女性だとそうなるのか……。

近現代が朝ドラなら、渋沢栄一だって朝ドラでよかった。『マッサン』や『あさが来た』という先例もあります。

話を戻しますが、本作で誘導するような「身分差別のない明治時代」なんて大嘘は危険でしょう。

渋沢栄一が出世できた理由は幸田露伴が分析しています。

時代の子。上向きの明治にうまく乗ったのです。

彼が一番才能があったかどうかは正直不明。たとえ才能があっても、負け組として屯田兵になるしかなかった人もいたでしょう。

ドラマにおいては鋭い才覚を見せるワケでもない。

浮かれ騒ぐ軽薄なラッキーボーイ。

一年通してやる意味がわかりません。

※続きは【次のページへ】をclick!

次のページへ >



-青天を衝け感想あらすじ
-