青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第32回 感想あらすじレビュー「栄一、銀行を作る」

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青天を衝け第32回感想あらすじレビュー
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今週も家族ドラマ

娘のふみを抱く、妾のくにを千代が見ています。

先週は、くにに対して冷酷と突っ込みましたが、かといって妻妾のことをダラダラ流されてもなぁ。

しかし、こんな劇的なギスギス対立しますかね。同居してかなり時間が経過していて、相応の接し方を双方が身につけていると思うのです。

このあと、栄一は「子どもは多いほうがいい」とかなんとか浮気を誤魔化しています。

やることだけしておいて、ろくに責任も取らない。指摘されるとむくれる。これほど幼稚な男がいるでしょうか。

このあと、時間稼ぎっぽい千代とかっさまトーク。

いかにも良い姑のように見えますが、史実では千代に対して「ほっそりしすぎている」といささか辛辣だったことも伝わっています。

千代が、姑の前で栄一を誉める言葉を、栄一は聞いています。

本作お得意の、誰かが栄一を褒めまくるシーンですね。しかも作文でも読むかのように誉め、よくわからない世界観。

大河は家族ドラマではないのですから、銀行設立時の苦労をもっと描いてほしかった。経済大河の主人公にそれを望んではいけませんかね。

明治になったら栄一の本領発揮!だのなんだの言われてきましたが、今回は算盤バトルに家庭事情ばかりで……本領発揮するする詐欺に感じます。

渋沢成一郎もイタリアから生糸業を学んで帰国しました。

またまた歩きながら「俺らの文化祭がんばろうぜ!」というノリ。「焼きそばいくらにする?ジュースは100円でいいよな」程度にしか見えないんだよなぁ。

富岡製糸場の話も出てきました。

画面にいる女工も少ないし、セットも狭い、色々と予算上の工夫が見えてきて、工女が増えたようには思えない。

すごい賞を取ったと言われたところで、どういう工夫をしたのか全くわからないので、これまた文化祭のバンド演奏で銀賞とった程度にしか見えません。

さらには慶喜まで登場し、戊辰戦争のことを蒸し返しています。時間稼ぎでしょうか。だったらこの二人も忘れないであげてください。

土方歳三「俺のこと全然思い出さないよな……」

平九郎「忘れられたんじゃないですかね、俺ら」

さらに意味不明なのが、徳川美賀子と平岡円四郎の妻・やすの登場です。

なぜ、この二人が出てきたのでしょう。

どうせなら慶喜が駿府で産ませた子供を見たかった。女中が抱いていたら可愛かっただろうになぁ。家族シーンが大好きなドラマなのに、なぜ慶喜の子供は映さないのか。

いやいや、それだけでない。こんな人もいます。

永井尚志「なぜ平岡の妻女を出して、私は出てこないのでしょう? 駿府まで会いに向かったんですけど」

時間稼ぎにしたって、色々と見せ方はあるはず。

永井尚志
忠義の幕臣 永井尚志を我々は知らない 慶喜や栄一に追いやられた無念

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そして定番のロス戦術へ

栄一が役人を辞めたことに対し、母が色々と言っています。

令和の二十代でもあるまいし、明治初期の大物が、なぜ、いちいち母親の顔色を窺うのでしょう。

そして紙幣が出てくる……。

本作って、本当にセキュリティ意識がわかりません。

先週も大隈の妻が夫宛の手紙を盛大にバラしていたし、今週もコレですか。こういうものはちゃんと秘密にしておかねばいけないのでは?

すると、うたが走ってきました。

ここで雑な女子教育が出てきます。

渋沢栄一の女性観、女子教育への認識は、当時としても劣る部類でしょう。

明治の基準にしたって差別的な言動が残されています。

津田梅子「ハイハイ……この人と新札の顔で並ぶなんてやってられない!」

津田梅子
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そして、かっさまは体調を崩しました。

年齢も年齢ですから、不思議はありません。ここでは「かっさま心配だぁ」ではなく、西洋の名医を派遣するとか、色々と孝行息子はできたはず。

本作はロス戦術(重要人物を退場させてロスロスロスロス書き込ませる作戦)が大好きですので、またお涙頂戴を繰り広げるのが見えてきて萎えてしまう。

何度でも言いたくなる。明治初期の実業を映してください……。

細かいツッコミをして申し訳ありませんが、劇中の季節はいつでしょうか?

スイセンが飾られているということは早春。その割に、栄一は袖を出した薄着。かっさまも布団を首の辺りまでかけていない。火鉢すらない。襖も障子も全開。

「栄一、寒くねえかい? ごはん、食べたかい?」

かっさまはそう言いますが、むしろあなたが寒くないのか?とツッコミたくなる。ご臨終間際の割には滑舌も非常にいい。

そして亡くなった瞬間に孫が「おばあさま! おばあさま!」と来た。くにもスイッチを入れたように顔を伏せて泣き、湿っぽいBGMが……♪

千代は別枠で、暗い室内でわざとらしく映される。

栄一も、窓際でわざとらしい顔を作る。

そして回想シーン……なんじゃこれ!

大久保利通が走り回っています。岩倉暗殺未遂事件だそうです。

トイレのあとの猫じゃあるまいし、なぜこのドラマの人物は、いちいち走るのか?

そして江藤新平が散る佐賀の乱はササッと片づけられます。大久保を悪役にするためにも、そこはじっくりやるかと思ったのにがっかり。江藤の意味はあったのでしょうか?

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さらには台湾の話だのなんだのがザザッと出て……。

「三井が生意気じゃ! 小野組もしかり!」

いや、その辺ってドラマのテーマからしたら大事な話では?

素直に動く商人を求めている大久保が三菱を認める――そんな簡単な流れにしたいようです。

すると、悪役笑いで妙なカメラ目線をする岩崎。

書類にハンコを押して、またショッカーのアジトで話しています。

このあと明るいキラキラしたステンドグラスを背景にした栄一に、井上馨が「小野組が危ない!」と言ってきます。

ショッカー岩崎が悪企みをしたそうですよ。

 


総評

Netflixにamazonビデオ、Huluなど、VODの時代です。

海外ドラマのハードルも低くなりましたので、Amazonプライムからオススメ作品をピックアップしたいと思います。

まずは『グッド・オーメンズ』から。天使と悪魔が手を組み、世界の破滅を阻止すべく運命に翻弄されます。

 

次に『陳情令』。ブロマンスとして話題ですが、お話としてもしっかりしています。その方面に興味がない方でも見られます。

 

この作品はアニメ『魔道祖士』と原作が同じ。

テーマは、運命のいたずらによって、正邪で別れてしまった二人がそれでも互いを求め、仲を深める。行く道は違えど、同じ義に生きる。そんな話です。

いいから大河の話をしろよ!

と思われるかもしれませんが、この二作には共通点があり、先に思い出していただきたいのが、今週の岩崎弥太郎です。

やたらと黒い照明。毒々しいステンドグラス。「ガハハハハハ!」という悪役笑い。

なんだこれは?

悪魔が棲む地獄か?

邪派のアジトか?

こんなところで事務作業する三菱って一体?

そんな困惑しかありませんでした。21世紀にもなって、見た瞬間に悪とわかる演出をされてもわけがわかりません。

とにかく古い。絶望的なまでに古い……。

天使と悪魔。

正と邪。

正反対のようで、あいつはダメだ!と思いそうになるけど、わかりあえばちゃんと協力できるはずだ、というテーマがある。それが海外のドラマです。

そんな海外作品があるのに、こんな大河を見せられて、何が何だかわかりません。

明治時代は、ただでさえ勢力争いが複雑で難しい。それを簡略化しようとした結果がコレ。ものすごくバカにされている気分になります。

何が悲しいかって、今、現実世界において呪われているのって、むしろ大正義・渋沢栄一ゆかりの銀行であることでしょうか。

2019年に大河周辺で不祥事が連発し、呪いだなんて言われましたが、今年もそうなってしまうかもしれない。

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