青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第32回 感想あらすじレビュー「栄一、銀行を作る」

このまま官として大蔵省にいても何か違うし!

民の仕事をするぞ!

と、ノリノリで大蔵省の辞職を決める栄一。

この頃、栄一とかつて同じ立場だった幕臣や佐幕派たちは凄まじい苦難と直面しています。

例えば、北海道の屯田兵、駿府の幕臣、旧会津藩士など。彼等の中には餓死者も出るほど厳しい状況ですが、そんなシーンは一切流れません。

映像を通じて歴史を知るという点では、非常に良いチャンスだと思うのですが。

栄一だけは、コネもフル活用し、お金もあり、さらには妻妾同居という特典付きですから描けないのだとしたらこれほど不誠実なこともないでしょう。

 

大蔵省を辞める!いや、辞めないで!

栄一は杉浦譲に対して「辞める」と立ち話。

気になるのは、栄一の心根より杉浦の髪型だったりして。

本作は、外見をそれほど再現しておらず、現代風アレンジが紛れ込んでいます。ならば、杉浦もそうしてよかったのではないでしょうか。

郵便届いた日は楽しかったとか、パリのこととか、全てがどうでもよくなる髪型の威力よ。

オフィスも、ちょっと強い風が吹いたら、すべて吹き飛んでしまいそうで、大丈夫でしょうか。現代ならゲリラ豪雨で書類全滅です。

そして大隈重信井上馨の顔芸スタート。

怒鳴り声の連続です。

せっかくだから黒田清隆も呼んできて欲しい。

薩摩隼人の黒田は、井上馨も伊藤博文も鉄拳制裁した剛の者!

明治政府って、政治家同士が鉄拳で殴り合ったり、ピストルで脅迫したり、かなりエキサイティング!です。

なのにイケイケ黒田どんがいないとは何事か。

黒田は五代様とも郷中仲間ですよ。

すると今週も無能枠に落とされてしまった三条実美とゆかいな仲間たちが、栄一の辞職を止めようとします。

顔芸リアクションで必死な皆さん。

「デキる栄一さんに逃げられては政府が回らない! デキる栄一さん戻って! デキる栄一さんが必要なの!」

という意味なのでしょう。辞職を止められることで有能さを出そうとしているのでしょうが、そこは実務の話やデータの提示をしてほしい。

顔芸や、早口で噛み締めないでセリフを言い、ろくろ回しポーズばかりでは、明治初期の実業家というより、現代の動画配信者のようです。

このあとIllustratorでささっと作った新聞を見ながら、みんな大騒ぎ。

私のアタマの中に幕臣たちの脳内コメントが鳴り響きます。

福地桜痴「そういうのやりたいなら、ジャーナリストになれば?」

栗本鋤雲「まったくだ。そんな文句タラタラ言うなら、最初から仕えるなよ」

福沢諭吉「ほんまそれな」

 

第一国立銀行ってどうやってできたの?

栄一が家に戻り、大仰に騒いでいます。

三野村がスカウトに来ていました。三井に来て欲しいとのことですが、栄一は第一国立銀行総監役として歩むようです。

それにしても、栄一って劇中では何歳でしたっけ?

「はぁ!?」みたいな言葉遣い、取引先にするでしょうか。しかも相手は三井のトップです。

栄一ぐらいの年齢と地位の人物がキレ散らかしてギャーギャーワーワー喚くなど、あり得ない。

本作がコントに見えて仕方ないのは、こういうシーンの繰り返しのためでしょう。東京03の方が、よっぽどリアルな作品になっています。

大河ドラマが、ビジネスパーソンのお手本だったのは過去のことかもしれません。

かくして明治6年、「第一国立銀行」ができます。

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設立までの道のりや苦難は、ほとんど何も無い。

粗いVFXと、明治村感溢れるセット。背景はあまりに素朴で、かつ外国人と日本人の栄一が、通訳なしで会話する演出で驚きの連続です。

しかも、算盤対決って……。

日本固有の計算の素晴らしさで勝利!

と、それはそれで否定はしませんが、せっかく経済ドラマで「複式簿記」が出てきたのに、なぜもう少し深く突っ込んでくれないのでしょう。

複式簿記は「人類最高の発明の一つ(→link)」とまで言われたりするのですから、ここで渋沢がリアクションをすれば、知性が感じられて面白くなるのでは?

上記リンク先の記事にも福沢諭吉が『帳合之法(ちょうあいのほう)』を出版し、テキストとして使用したと書かれています。

そういった積み重ねがないから本作が経済大河に見えないんですよね。

 

なぜ薩摩閥の五代とそこまで仲が良い?

そんなこちらの戸惑いを放置し、栄一は自己陶酔しつつ廊下を歩いています。

と、五代がいました。

民間で事業を始めた先輩……というとカッコいいのですが、五代の場合、憎まれすぎて命すら危ういため、大久保利通の手引きもあって下野しております。そんな綺麗な話ではありません。

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そもそも渋沢栄一は長州閥で、五代友厚は薩摩閥です。どうして仲良しになるのか。

今さら五代のアドバイスを受けるのもマヌケでしょう。武士は商業がダメだとさんざんコケにしておいて、薩摩藩士であった五代の助言を受けるとは筋が通りません。

あと本作の栄一は既に忘れたのかもしれませんけど、五代はパリで幕府潰しに奔走していましたよね。

こういうところからして、所詮、栄一はステルス倒幕派だとしか思えなくなる。

ぶっちゃけ歴史人物の史実なんかより、同じフレームにイケメンを収めておけばいい、という制作サイドの意向なんでしょうね。

そして三菱・岩崎弥太郎の登場ですが、なんなんでしょう、この映像は……。

私は悪役です!悪役ですよ!絶対に間違えないでくださいね!

とでも言わんばかり、まるでショッカーのアジトではありませんか。

善玉は明るい照明、悪玉はダークな照明って、さすがに古過ぎませんか?

極めつけは笑い方。

「ガハハハ!」

って……今どきこんな悪役笑いをする人物が出てくるとは、斜め上を行かれてしまいました。

岩崎は海運業で成功した土佐閥系の人物です。大隈重信とも懇意ですから、薩長閥の対抗馬としての起用ですね。

栄一も元幕臣枠だから期待されたかもしれませんが、彼は水戸学、テロ、女遊びと、三拍子揃って長州の伊藤博文&井上馨と気があったので仕方ない。

しかし、三菱関係者も数多く見ているでしょうに、良いのですかね。

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