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一揆なめんなよ(絵・富永商太)

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その日、歴史が動いた 鎌倉・室町時代

武士は出て行け、バカヤロー!農民たちが見せた意地・山城の国一揆

更新日:

 

『一揆』という語句の定義 説明できます?

歴史教科書に定番の単語はいろいろありますが、『一揆』(いっき)ほど訳のわからんものもないような気がします。

一応「武家や貴族に属さない農民や野武士が起こす暴動」という定義にはなっているようなのですが、それだったら「反乱」でもいいですよねぇ。
辞書的な意味では「反乱」はただ単に「権力者に逆らって武力行動を起こすこと」になってますし。

ところがどっこい、この反乱も歴史的には「誰に対して逆らったのか」「戦闘はあったのか」などなどの基準で乱とか変とか役とか、20世紀あたりだと事変なんて分類まで加わるわけですが。
「誰かに逆らったこと」=「反乱」で、その中に一揆を含めた諸々があるという考え方が一番わかりやすいですかね。

一揆

画・富永商太

 

というわけで(どういうわけだか)、今回は教科書で習う割に事の顛末がさっぱりわからなかった人も多そうな、とある『一揆』のお話です。

「もうお偉いさんのゴタゴタはうんざりだ!」

と、山城国(現・京都府南部)で地元民が三行半……もとい、争いをやめさせるための要求書をつきつけました。
教科書でいう【山城の国一揆】の勃発で、文明十七年(1485年)の12月11日のことです。

15世紀あたりは当コーナーではあまり扱ってこなかったので、ざっくり当時の情勢をお話しするところから始めましょう。

 

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弱い農民像はあくまで江戸時代の名残

何となく予想のついている方もおられるかもしれませんが、山城のみならず、この時代の一揆の大半は応仁の乱の飛び火のようなものです。
京の市街すら焼き払われ、室町幕府の権威が地に落ちた状態ですから、当然のように治安が乱れます。
中には元々幕府のお役人だったくせに、どさくさに紛れて私腹を肥やそうとする不届き者まで出る始末。そうなると、農民を始めとした武力も権力もない一般庶民にしわ寄せが行くのは目に見えています。

天明の大飢饉

農民というと「お殿様に逆らえず、年貢を搾り取られて食うや食わずの生活をしている」と想像することが多いですよね。
しかし、これは江戸時代になってからの話。
大飢饉やら火山の噴火やら大地震が頻発していた時代であることに加え、大名は大名で家計が火の車ですから年貢の取立てを厳しくせざるをえず、逆らう手立てを奪われていたので江戸時代の農民はいわゆる「弱者」だったのです。

 

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 「警護する=さぶらう」転じて「サムライ」に

室町時代の農民は、こうしたイメージよりももっと強くたくましい人々でした。
逆に言えば、この時代のような「強い農民」を出さないために、家康が「百姓は生かさず殺さず」という方針を掲げたのでしょう。

なぜ農民が強かったかというと、ただ単純に自衛のためです。

元々武士というのは、貴族が地方に持っている荘園(私有地の畑など)や、身辺警護をする人々のことを指しました。警護することを古語で「さぶらう」といい、転じて「さむらい」=「侍」という身分ができたのです。
ですから本来は、畑を耕している農民にとっては味方のはずでした。

足利尊氏でゲス!ところが最近は、尊氏の部下だった高師直と呼ばれてるでゲス!私は誰なんでしょう?

現代で無理やり置き換えると、貴族がオーナー、農民が地方支社の社員、武士が本社と契約して地方に来た警備員というところですかね。
この警備員が自分達の利権のために地方でケンカし始めたとしたらどうでしょう?
本社に訴えようにも、本社内でもゴタゴタしていてろくに話を聞いてもらえません。
そうしたら、会社を辞めるか自分達で対処するしかないですよね。

こうして自分達で対処する道を選んだ地方の社員=農民は、自ら武器をとって自衛を図ります。
そして武士と衝突したのがいわゆる「国一揆」です。その国の人がまとまって起こした一揆という意味ですね。

 

馬借一気に徳政一揆 この時代は暴動の嵐 

だいたいセットで語られる「一向一揆」との違いは、まとまるきっかけの違いくらいでやってることはさほど変わりません。

ちなみに他にも馬借(ばしゃく。馬を使った当時の輸送業者)が団結して起こした「馬借一揆」とか、お金を高利貸しから借りすぎて返せなくなった人が起こした「徳政一揆」というのもあります。

馬借

『石山寺縁起絵巻』に描かれている近江坂本の馬借/福井県文書館より引用

最後のは現代だと自業自得のように思えますが、戦のとばっちりで畑が荒らされたなどの理由で返済計画がパーになってしまったというケースも含まれますので、ただ闇雲に踏み倒そうとしたわけではありません。

とまあ、当時の世の中はこんな感じでどこもかしこも暴動の嵐。
地元の争いだけでなく、いつどこから別の火種が来てもおかしくないのですから、農民はますます自衛を強めていきます。
山城の場合は室町幕府から近いこともあり、応仁の乱の余波が大きく、一触即発の状態でした。
当時幕府のお偉いさんに仕えていた人も、戦のときだけ兵になるけど普段は農民というパターンが多かったので、当然農民とのパイプもあります。
これらの人々が団結し、国一揆になったのでした。

 

武士は出ていけ!関所を撤廃しろ! 

彼らが目指したのは、山城を農民の自治国にすること。
そのためにはドンパチをやらかすばかりで迷惑にしかならない武士を追い出す必要があります。

そこで、代表が集まり「ハタ迷惑な武士のミナサマへ」と要求をまとめました。超訳するとこんな感じです。

一、武士は皆出て行け!

まあ当然ですね。

二、貴族さんに直接年貢を納めるようにするから、口出しすんな!

この頃、年貢は荘園にいる武士に一旦渡して、持ち主の貴族のもとへ運んでもらっていました。
自分達で持っていくようにするから、もうアンタらはいらんということですね。

三、私腹を肥やすために作った関所を撤廃しろ!

これは応仁の乱の当事者の一人・日野富子(八代将軍・義政の正室)がやったのと同じ手法で、必要のないところにまで関所を作って関税でボロ儲けという荒稼ぎに反対したものでした。

一揆

ただ単にこの三つを要求しただけではなく、「受け入れられないなら、今度はオラたちがお前らを襲うかんな!」というおどs……もとい、強固な姿勢を見せたことで、この国一揆は成功します。

しかしそれはあくまで一時的なものに過ぎず、同時期に起きた加賀の一向一揆ほど長く自治を保つことは出来ませんでした。※加賀の一向一揆は約百年間自治を保ち、信長の時代まで大名がいない空白地帯でした。

 

当初は成功するもののまた元の木阿弥に 

なぜかというと、参加したメンバーが元々一枚岩だったわけではなく、この国一揆のためだけに団結したようなものだったからです。
そのため、一揆が成功した後は再び細かい点で利害が絡み合い、自ら崩壊していってしまいました。

また、半士半農だった人は主筋の影響も避けられないため、そこでもまた不都合が起きると「お前どうしたらいいかわかってるよな^^」なんて板ばさみにあったりもしたのです。

こうして一旦は成功を収めたものの、山城がその後自治国になることはなく、再び武士の管理下に入ることになります。

正確には一揆ではありませんが、このように「地元の有力者をまとめて成功した」最大の例が毛利元就だったりします。山城の国一揆も、ずば抜けて優秀な人が柱になっていたらもっと長続きしたのかもしれません。

もっとも、山城の場合京の都が近い分そこを狙ってくる大名達の影響は免れられませんから、元就以上の才覚が必要そうな気がしますけどね。

長月 七紀・記

参考

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http://indoor-mama.cocolog-nifty.com/turedure/2006/12/post_b8b4.html
http://homepage2.nifty.com/bu-ra-ri/ikki.htm





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