初詣

寺社・宗教

日本人が知ってるようで知らない 初詣で大人気の神社 歴史やエピソードまとめ

2024/12/31

今年の初詣はどこへでかけたらよいか?

どうせ当たんねーんだから近くでいいべ。甘酒もらえるしな。

と、例年はテキトーに決めている方も、身内に、受験や出産を控えた方がいたら、合理性などいっさい無視して、一度ぐらいは神に頼りたくもなるでしょう。

そこで本稿では、毎年、初詣で人気となる神社のご利益を分析。

『今年のお祈りだけは、絶対に叶えたい!!!!!』

といった願いを強くお持ちの方に向けて、『全国「一の宮」徹底ガイド』(→amazon)の著者である恵美嘉樹がまとめましたので、よろしければ一読御覧ください。

 

日本の神様別神社数ランキング

まずは「全国にはどんな神社がどれだけ存在しているのか?」を確認しておきましょう。

調査に使うのは国学院大の神様別神社数ランキング。

信仰分布が調査されたもので、以下に掲載された神社は皆様のご近所にも一つはおありでしょう(11~20位は記事末に掲載)。

①八幡信仰(応神天皇)7817社:宇佐神宮

②伊勢信仰(アマテラス大神)4425社:伊勢神宮

③天神信仰(菅原道真公)3953社:北野天満宮

④稲荷信仰(倉稲魂神)2970社:伏見稲荷大社

⑤熊野信仰(世界遺産の熊野三山)2693社:熊野三社

⑥諏訪信仰(タケミナカタ)2616社:諏訪大社

⑦祇園信仰(牛頭天王=スサノオ)2299社:八坂神社

⑧白山信仰(石川・岐阜県境の日本三大霊峰白山)1893社:白山比め神社

⑨日吉信仰(比叡山延暦寺の守り神)1724社:日吉大社

⑩春日信仰(藤原氏の氏神)1072社:春日大社

【参考】岡田莊司/加瀬直弥編「現代・神社の信仰分布 : その歴史的経緯を考えるために」国学院大「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成」(→link

まずは3位の天神信仰から見ておきましょう。

 


天神様は欠かせない

知恵と学問の神様といえば、平安時代の貴族・菅原道真公。

地位の低い貴族でありながら、知恵と学問により大出世を果たした道真は、現代でも天神信仰の神様として知られますね。

菅原道真像(菊池容斎)/wikipediaより引用

道真は、延喜3年(903年)2月25日、政争に敗れて左遷された九州の大宰府で亡くなります。

その後、都で疫病などが発生したことで、道真が怨霊となったと受け止められ、鎮魂するためにまつりあげ(神格化)られました。

呪いをもたらす力を持っている怨霊を神さまにしてしまえば、その強力な力で我々を守ってくれるのではないか?

そんな逆転の発想で創設されたのが、京都の北野天満宮です。

天神さまというのは、神格化に伴って神様としてつけられた「北野天満大自在天神」の名前からです。

なぜ、学問の神かというと、前述したとおり、知恵と学問により大出世したからです。

道真公復帰までの長い道のり

怨霊になったものだから、さぞかしチャッチャと一位の神様に担ぎ上げられたイメージもありますが、実際は色々なステップがありました。

以下、年表で確認していきますと……。

903年:死去

923年:元の官職である右大臣へ復帰し、正二位の位が贈られる。左遷の命令書は焼却(セコいけど真に焦る様子も伝わってくる)

947年:孫の菅原平忠を安楽寺別当(現在の太宰府天満宮トップ)に任命し、おじいちゃんの魂を慰めてもらう

981年:ひ孫を神社寺院の役職ではなく太宰府そのもののナンバー2(大宰大弐)にして、ひいおじいちゃんに喜んでもらう

993年:左大臣、正一位にランクアップ。同じ年のうちに、さらに太政大臣という最高位を贈る

という具合でした。

やっぱり神様が出世するのも努力努力努力、なのでしょうか。

北野天満宮(京都市)

創建については

『北野天満自在天神宮創建山城国葛野郡上林郷縁起』

というめっちゃ長い資料が残っています。

そこには面白いことが書かれています。北野天満宮ができたのは、幼女の巫女のお告げだというのです。

北野天満宮

942年、京都に住んでいた巫女性質の童女・奇子さんに取り憑き、「北野に社殿をつくってまつってくれ」と要求。

しかし、怪しい身分の巫女だったので、ほんまかいなと実現せず。

いつまでたっても天変地異や疫病などがとまらないので、しゃあないからやってみようかと5年後の947年、現在の北野の地に移ってきたということになっています。

太宰府天満宮(福岡県太宰府市)

太宰府天満宮は『帝王編年記』などの資料ではこうあります。

道真が亡くなり、墓を築こうと遺体を牛車で運んだところ、途中で牛が止まってしまって動かなくなった。

仕方がないので、そこを廟所とした。

「安楽寺」という寺院として建物が造られるなどしたのはその2年後、正式に国が認めたのは919年のことで、天皇の命令で社殿を造っています。

太宰府天満宮の合格祈願絵馬

湯島天満宮(東京都文京区)

湯島神社・湯島天神で知られる東京の天満宮系の代表格。

天之手力雄命という地元の神様をまつる神社でしたが、1355年に地元民が夢をみて「天神様をまつるべ」となって、菅原公もまつること(勧請)になりました。

その後、衰退するも、元祖・江戸城をつくった太田道灌が1478年に再興させます。

湯島天満宮

 

縁結びといえばリア充な出雲の大国主さま

縁結びといえば出雲大社――その認識は60年ぶりだった2013年の遷宮を経て、もはや国民に浸透してきた感があります。

オオクニヌシ(大国主神)が、なぜ恋愛成就の神となったのか?

端的に言うと、オオクニヌシがモテモテのリア充だったからです。

数ある兄弟の中から、絶世のお姫さまに選ばれたり、スサノオという恐ろしい神様のまな娘から一目惚れされて駆け落ちしたり、なかなか奔放な御方です。

恋人だけでなく、名前もたくさんもっています。

八千戈(やちほこ)神

葦原醜男(あしはらのしこお)

顕国玉(うつしくにたま)神

大物主(おおものぬし)神

大国魂(おおくにたま)神

大己貴(おおなむち)神

大名持(おおなむち)神

などなど。

ネタバレをすれば、オオクニヌシとは1人の人物ではなく、アマテラス率いる天孫系の神様に対する「その他大勢」の神様を一緒くたにした神様だからです。

名前もたくさんあれば、奥さんもたくさんいるのも当然。

つまり、オオクニヌシは出雲だけでなく、地方(京都から見た)にはたくさんいるのです。

縁結びをお願いしたくて、出雲まで行かないと焦っている婚活中のみなさん、まずは地元神社の神様がオオクニヌシやオオナムチでないか?をチェックしてみたらいかがでしょう。

また、「大国主」という文字が、仏教の大黒天と結びついて恵比寿様になり、お金の神様でもあります。

出雲大社(島根県出雲市)

いわずもがなの出雲大社。

オオクニヌシをまつっていますが、お祭りしているのは、オオクニヌシに国を譲らせた天孫系の天穂日命(あまのほひのみこと)の子孫であり、出雲国造として現在でも出雲大社の宮司職をついでいます。

神話が現代まで「リアル」として息づいているすごい神社です。

出雲大社

出雲大神宮(京都府亀岡市)

京都府にある出雲の古社で、丹波国の一の宮です。

京都(丹波国一の宮)の出雲大神宮

山陰道の入り口に鎮座するのが出雲の神社というのはなんとも興味深いですね。

日本海側の出雲勢力が京都のすぐそばまで広がっていたということを示す証拠と見ると、とても面白い古代史が描けます。

 

勝負の神 八幡さまのミステリーなお姿

勝負ごとに御利益がある神様は結構多い。

日本書紀でオオクニヌシに国譲りをさせた藤原氏の祖神「タケミカヅチ」、古事記で国譲りをさせた「タケミナカタ」、九州・出雲・東国を征服したヤマトタケル……。

なかでも、初の武家政権・鎌倉幕府を開いた源頼朝が氏神として信奉した八幡様は、その後、武士にとっての第一の勝利の神となりました。

今でも、プロのスポーツクラブの多くは、八幡系の神社に奉納すると聞きます。

八幡様自体は非常に謎に満ちた神様です。

なにしろ、古事記や日本書紀には出てきません。

はじめて正史に登場するのは、日本書紀の次の正史『続日本紀』であり、しかも、九州の宇佐神宮(大分県)なのに、

宇佐神宮

まつっている神様は日本最大の古墳(いわゆる仁徳天皇陵)の被葬者である可能性が高い応神天皇なのです。

応神天皇と八幡神の関係だけで1冊の本が書けるくらいなので、以下の記事に譲り、

八幡信仰と八幡神社
八幡信仰は数がダントツ日本一!全国に7,817社もある理由をご存知でしょうか

続きを見る

今回はサラッ説明しておきます。

なぜ八幡神が勝負事に強いか?と言うと、朝鮮半島に勝利した神様だからです。

応神天皇というより、その母の神功皇后という女性が軍を率いて半島を制圧した(応神はそのころ胎児としてお腹にいた)という逸話が元ネタですが、この渡海作戦に重要なサポートをしたのが八幡様とされています。

九州で八幡系の神社にいくと、大きい扁額で「敵国降伏」という文字がみて、ギョッとすることがありますが、今も昔も、日本と大陸はいろいろ着いたり離れたりを繰り返してきた証拠といえるかもしれません。

とはいえ、八幡様は排他的な性格ではありません。

752年に奈良の東大寺大仏をつくるときに「わたくし八幡の神があらゆる神たちに協力させて絶対に大仏建立を成功させる」との神託を出しています。

やるときはやるが、常に好戦的というわけではないんですね。

この性質から、全国の神社の祭神ごとの数を国学院大がカウント(冒頭の一覧)したところ、見事に1位に輝いたのがこの八幡様でした。

源氏の氏神であることで武士から保護され、さらに大仏のケースからも「お寺の守り神」として広く信仰されたから、江戸時代に一気に広がっていったのです。

宇佐神宮(大分県宇佐市)

全国で約8,000もある八幡神の総本山。

謎すぎる八幡神がいよいよ謎めく神社です。

宇佐神宮

本殿には、左から応神天皇、比売神(ひめかみ、海の女神・宗像三姉妹と考えられているが謎)、神功皇后の三神がまつらています。

つまり、一般の人が手をあわせておがむ中央の建物には、応神や神功ではなく、皇族でもない謎の女神が鎮座しているのです。

そのため、邪馬台国九州説の人の中には、「実は卑弥呼をまつっているんじゃないの」という人もいます。

鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)

言わずもがな2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台となった場所ですね。

1063年に源頼朝の5代前・源頼義が京都の石清水八幡宮から八幡様を鎌倉に招いたのが由来です。

鶴岡八幡宮

 


お金の神様は? 子宝の神様は?

八幡様と対抗できると言えば、やはりお稲荷様でしょう。

「稲が成る=いななり」というのが由来という説もあるように豊穣の神さま。

非常に有名な神様ですが、八幡様以上に謎だったりします。

稲荷神社といえば狐(きつね)。

しかし、狐は狛犬と同様に神様ではなく、神の使いです。

祭神は総本山の伏見稲荷大社では、宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)・佐田彦大神(さだひこのおおかみ)・大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)・田中大神(たなかのおおかみ)・四大神(しのおおかみ)の合わせて五神。

五座あわせて稲荷大神としていますが、やはり最初のウカノミタマが一番重要と思われます。

日本書紀ではイザナギ・イザナミが産んだ数多くの神の一柱で食べ物の神様、古事記ではスサノオの子となっているのですが、何をしたんだかよく分からない神様なのです。

どうも渡来系の泰氏が信仰していたらしく、大陸系の信仰が入っているのは確実なれど、どんな神か?というとナゾ。

日本書紀や古事記にでてくる神だから古いんでしょ?

と思いがちですが、どうもこの神様を祭神にしたのは、後付けの感があります。

ウカノミタマでなく、稲荷大社として国史にあらわれるのは、平安時代827年になってからなのです。

このときの記録は「従五位下を授けられた」というものでした。

稲荷様といえば、たくさんの赤い鳥居と「正一位」ののぼり。

ところが平安初期や奈良時代までは、国が注目した神社ではなかったようです。

一度、五位をつけてからは平安時代中に従一位(940年)、942年頃には正一位の頂点に立ちました。

このスピードは異例で、なんらかの呪術的な効果のある祈りを平安時代の稲荷大社が「発明」したという可能性が高いでしょう。

例えば「ハーブで護摩をたいて、病気をなおす」とか。

国学院大の調査では、全国の神様数ランキングで、八幡、伊勢、天神信仰につづく4位につけています。

これだけ増えたのは理由があって、江戸時代に「イナリ=家成り」というだじゃれ的な意味合いから、屋敷地には必ず稲荷社を置くことが浸透したからです。

伏見稲荷大社(京都市)

奈良時代の711年に秦伊呂具が創建したと伝えられています。

もともとは三座だったのが後に五座へ増えたようです。

なぜ、稲荷に狐かというと、ウカノミタマの別称の御饌津神(みけつかみ)を「三狐神」と書き誤ったことから、そのまま稲荷=「狐」となってしまったという、あれれ?という説もあります。

伏見稲荷

 

伊勢神宮では日本の安寧と世界平和を

これで神様数ランキング3位の伊勢信仰(アマテラス)について記せば、上位4位の神様を網羅。

日本全国どこでもOK!となりますが、今回、個人の御利益を願う場として伊勢信仰をピックアップすることをやめました。

実は、歴史的に見ると、古代の伊勢神宮では、天皇であっても、個人のお願いをするのは禁忌だったからです。

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ただし、現在は個人の願いも受け付けてくれていますので、安心してお参りしてください。

昨今の緊迫した世界情勢などから、日本の安寧あるいは世界中の平和を一番に願いたい方には強くオススメです。

また、ほかの神社でも自分の希望をお願いした次には、「世界平和」を願うのもいいですよね。

 


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文:恵美嘉樹(amazonで販売中の著作一覧→link

◆神社・神様数ランキングの11~20位です

⑪愛宕信仰(修験道の聖地・京都の愛宕山の神で愛宕権現)872社 愛宕神社(京都)

⑫大山祇・三島信仰 (瀬戸内海に浮かぶ「山」=大三島)704社 大山祇神社(愛媛)・三嶋大社(静岡県)

⑬鹿島信仰(藤原氏のオリジン、タケミナカタ神)604社 鹿島神宮(茨城)

⑭金比羅信仰(うどん県の金比羅さま)601社 金刀比羅宮(香川)

⑮住吉信仰(宗像3姉妹と並ぶ海の神3兄弟)591社 住吉大社(大阪)

⑯大歳信仰(やってくる~神様、年神)548社 葛木御歳神社(奈良)

⑰厳島信仰(海の女神、宗像3姉妹)530社 厳島神社(広島)

⑱貴船信仰(水の神)463社 貴船神社(京都)

⑲香取信仰(霞ヶ浦をはさんで鹿島神宮と対岸) 香取神宮(千葉)

⑳恵比寿信仰(海のむこうからやってくる恵みの神) 西宮神社(兵庫)

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恵美嘉樹

作家・歴史旅コンサルタント。 「旅を通じて歴史研究の最前線を社会に還元する」を理念に、二人組ユニットとして活動している。 慶應義塾大学および明治大学の大学・大学院で日本史・世界史を専攻し、歴史書籍の編集者や航空会社の国際広報など、多分野での実務経験を積む。 その後、日本初の“歴史旅コンサルタント”として独立。「日本遺産」「ヤマト巡歴」「世界史街道」など、新たな知的旅行スタイルを提案し、古代史から世界史まで広い領域を対象に、旅と歴史を融合させた企画・執筆・講演を行っている。 ◆主な著書 『日本の神様と神社 ― 神話と歴史の謎を解く』(講談社、2009年) 『全国「一の宮」徹底ガイド』(PHP研究所、2007年) 『図説 最新日本古代史』(学習研究社、2008年) 『最新 日本古代史の謎』(学習研究社、2011年) ◆国立国会図書館データ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/01104329

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