源頼朝を巡って、北条と伊東が睨み合う――。
時政曰く。
「武士として一度匿うときめたからには、死んでも佐殿を渡すわけにはいかないんじゃ!」
平家を恐れる伊東と、それに抗う北条。
坂東の隅で起きたささやかな諍いで、義時の運命が動き出す。
そんな第二話が始まります。
清盛「つまらんことをワシの耳に入れるな」
京では、平家の貴公子である平宗盛が、父・平清盛に伊豆のことを報告していました。
源義朝の子供の話だと伝えると、清盛は「懐かしい名前だ」とふてぶてしく言います。
長男と次男を討ち取ったものの、三男は助けて伊豆に流した。それが頼朝であると。
清盛が、なぜ殺さなかったのか?と宗盛に聞き返すと、父上が助けた、とやや困惑しています。
「忘れた」
清盛は忘れていました。そこまで源氏の牙を抜いたと思っていたのでしょう。
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その頼朝が、伊東祐親の娘に男児を産ませ、逃げられたと宗盛が話しても、清盛はこうだ。
「いちいちそんなつまらんことを、わしの耳に入れるな」
東国の始末は東国の者に片付けさせろ。そう投げやりな態度を取ります。
清盛が愚かとも言い切れないとは思います。
宋との貿易で儲かって儲かってたまらないわけだし、同様の過ちは歴史上にあります。
たとえば『三国志』の曹操。彼は赤壁の戦いで大敗するわけですが、江南の発展を過小評価していたこともあるでしょう。
洛陽周辺の中原が、天下を争う場所として認識されていた。常にアップデートしていなければ、どんな英傑であろうと足元をすくわれるのは今も昔も変わりません。
そうそう、せっかく平氏が出てきたし、今後の期待感を込めて注目したいことがあります。
十年前の2012年『平清盛』は大河の改革を目指していました。
それは惜しいところまでは到達できたけれども、足りない点があったと思えます。宋考証の甘さです。
その反省を踏まえ、今回は日宋関係をより精密にするのではないかと思いたい。源実朝も宋とは関わりが深い人物ですので。
さらには本作と『麒麟がくる』を比較してみたい。同作品では、漢籍由来の言葉が頻繁に使われていました。暴虎馮河などなど。
しかし本作ではそうではない。たとえば北条時政が頼朝をかばったときに、
「窮鳥懐に入れば猟師も殺さずと言います!」
なんてことは言わないんですね。詳しくは後述しますが、これはなかなか重要です。
一触即発の事態にやってきたのは大庭景親
義時と頼朝は追っ手から逃れて、富士の山裾におります。本作は、ちゃんと当時の富士山を再現しているようです。
と、二人の前に、いきなり矢が飛んできました。
坂東、どんだけ治安が悪い!
と思ったら山内首藤経俊(やまのうちすどう つねとし)でした。
「佐殿ぉ!」
なんだか嬉しそうな経俊です。母が頼朝の乳母なので、彼も忠犬というか、すごく嬉しそうに頼朝を頼りにしていますね。
「そちの気持ちはしかと受け取った」
何気なく流しそうになってしまうのですけれども、この時代ってなかなか原始的だと思いますよ。
比較として『麒麟がくる』を挙げてみますと。
若い頃の明智光秀と斎藤義龍が信じ合っていた理由って、学友だったわけです。
机を並べて学び合ったし、お互いの性格は理解している。血縁とか、乳母とか、そういった要素とは別の、同じ学問を通しての関係性です。
そもそも坂東武者は、並んで遊んだり弓矢を射たりはしたけれど、勉強仲間は結成できていません。
頭空っぽの方が夢を詰め込める! そんな歌詞を思い出しますが、人間には、教育が大切です。
場面は北条館に戻り、一触即発だった伊東祐親と北条時政・北条宗時親子の前に、大物武士がやってきます。
大庭景親です。
國村隼さんが馬に乗ってくるだけで、何かこう、負けない気がしてきたぞ!
「なにをやってるんだ、お前たちは」
景親は、身内同士の諍いなんざ見ちゃいられねえぞ、と言い出す。
そうそう、この集団は結婚やら何やら身内にすることで結成しているのに、それすら守れないのでは話になりません。
大庭景親は、清盛を後ろ盾に相模の武士団を束ね、その勢力は伊東を上回ります。当時の北条は伊豆の端っこを治めているだけに過ぎません。
それにしても、どうして大庭景親が出てくるのか?
というと、三浦義澄が「北条が頼朝を匿っていることを教えてくれた」とのこと。
このままでは北条と伊東が衝突の危機だ。ぶつかる前にどうにか……というのも義澄の子である三浦義村の策でした。若いのに食えん奴だ。こういう、誰かの影に隠れて己の策を通す奴こそ厄介ですね。
北条と伊東の落とし所
かくして北条と伊東が、頼朝をめぐって話し合います。
大庭から頼朝を差し出せと言われても、北条は断る。頼朝を北条に移す気はないかと言われても、伊東も断る。
北条が感情任せのように見えるのに対し、伊東はそうではない。
清盛から直々に預かったからには渡せないという理屈です。
そこですかさず大庭景親が諭します。ならば勝手に頼朝の命を奪っていいわけでもない。殺せば耳に入る。失態となって手に負えないと。
そこで仲裁案が提案されます。
頼朝は北条に預ける。以後、一切伊東の娘とは縁を切る。証文を書かせる。
このあたりが落とし所だというと、北条時政はこうだ。
「悪くねえ」
伊東祐親はこうだ。
「ここはお主の顔を立ててやる」
一件落着、解決だ。大庭景親も顔が立ったし、清盛に報告すれば得点を稼げるし、貸しも作れる。それをカラリと笑って喜んでいます。
こういう人がいると話が進みますね。いい人だなぁ。でもこの作品って、いい人ほど……。
帰り道、伊東祐親は工藤祐経一味に襲われます。
なんでこの人ら、こう、いきなり襲撃してくるんですか? あっさり撃退されますが。
あとこの場面でもはっきりとわかりますが、このドラマは口調に注目ですね。
「首ちょんぱ」とか、現代語を使って親しみやすくするとされていますが、それだけではありません。
時政は語彙力が低く、言い方がぞんざいで荒っぽい。
祐親はそうでもなく、時代劇口調になっています。
これは三谷さんの怖いところですよ。こういうぞんざいな口調にする理由は想像がつきます。
細川重男先生という、鎌倉時代の研究者がおられます。
彼の著書は大胆極まりない意訳が特徴で、坂東武者がチンピラモヒカンのような口調で喋り倒しています。地の文も、坂東武者にツッコミを入れることがしばしばある。それがハマっているんですね。
戦国武士ならこうはならないでしょう。
要は、この時代の柄の悪い坂東武者に、こういう口調が似合う。
しかも、時政は坂東彌十郎さんですからね。あんなチンピラ口調なのに、滑舌がしっかりしている。おまけにかしこまった口調になると威厳があるのです。すごいことですよ。
食の好み、結局うるさい
北条宗時と仁田忠常が待っているところへ、義時と頼朝が帰ってきました。
頼朝は着替えて、改めてよろしく頼むとご挨拶。宗時は感激して歓迎。時政は伊東に比べれば住み心地が悪いかもしれないと謙遜する。
そして政子は、食べ物の好みを聞きます。
頼朝は好き嫌いを言える立場ではないと返すのですが、政子がこれを聞くのはただの気遣いかな? 食べ物は大事ですよ。
疲れているのか無言のままの義時には、兄が「小四郎!」と促してきます。
我が家と思ってくつろいでください、と言うと、宗時は満足しているようですが。
このあと、安達盛長が頼朝の好物リストを持って来ました。
素朴なようで、菓子まで要求する。しかも小骨の多い魚は嫌いだってよ。
ふ、ふざけやがって! と言いたくなるけれども、そこは堪えましょう。
個人的な話をしてしまいますが、私は昔、平安時代の食事の再現をみてショックを受けたんですよね。まずそうだなと。
江戸時代や戦国時代よりも、食事の再現難易度が高くなる時代です。注目しましょう。
ゆかりの地のある神奈川では「鎌倉殿のお弁当」といったものもあるそうです。
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ちなみに私は源平時代の酒を再現したものも飲みました。
あれはなんとも言えない味だった。粥を思い切り甘くしたようで、アルコール分は極めて薄い。
今年は大河がらみでこういう再現もあるでしょうから、皆様もぜひ味わってみてください。
政子はやる気満々ですが、義時は無類の女好きだから近づいて欲しくない。何かあったら取り返しがつかないってよ。
父の時政にそう訴えるのに、時政は掃除をして聞いてねえ! しかも頼朝のためではなく、文を送ってきた後妻りくを出迎えるために準備しているとか。富士川まで迎えに行ってくるそうです。
義時はため息をつきます。彼は恋愛とは距離を置く性格のようです。
恋愛だけでなく、激情からも距離を置ける義時。それが次の場面でわかります。
大庭を動かしたのは義村だった
義時は三浦義村と話しています。
義時は口止めをしていたにも関わらず、義村が大庭景親に漏らしたとわかっています。約束を破られた、と。
それなのに、義村は丸くおさまったことに礼をしてもらいたいくらいだと言う。いやいや、先に謝りましょうよ。本当にこいつは友達が少なそうな奴だなぁ。
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義時はむっつりと、身内が一人増えたと思うしかないと諦念の様子です。政子のことなんて考えたらそうも言っていられないでしょ。
義村は、その状況を慰めるどころかこうだ。
「首、刎ねちまえよ!」
知略が高くても手段は所詮坂東武者かーい。さらに首を清盛に届けろと言うわけですが、義時は兄上が許さないと戸惑っています。
「ま、がんばってくれ」
そう去っていく義村。もう、こいつはなんなんだ……。
言いたいことはわかります。首を刎ねて届けたら、そりゃ恩賞くらいもらえるでしょう。
大庭景親は殺したらまずいと言っているものの、視聴者ならば正解はわかっています。清盛は頼朝のことなんて気にも留めていない。首を届けられたところで、怒りはしません。
三浦義村という輩は、誰かの気持ちなんて無視して正解にまっすぐたどりつく知略がある。
一方で北条義時は、周囲の気持ちをふまえた行動をする。
三谷脚本の山本耕史さんは進歩が止まりませんね。頭がキレるナンバーツーであるところは、『新選組!』の土方歳三、『真田丸』の石田三成と同じです。
敗者となったこの二人は、時代の流れに逆らったことや不器用さゆえの悲運がある。
しかし今回はなまじ勝利をおさめるから、狡猾さが上回ってくるのです。
いわばこの三浦義村は、狼顧(ろうこ)の相の持ち主だ。
司馬懿がこう呼ばれたことが有名ですが、狼が振り返る姿勢ということです。体は前に向けて、頭は後ろ。そんなふうに二面性のある言動をする様です。
この義村の場合、義時に口止めされておきながら、それを反故にして利を求めているわけでして、しかもそうしたことを誇っていて反省がない。やはり危険な性質なのです。
義時よ……話の通じそうな賢い友がいたと思ったら、狼顧野郎か。
ため息をつく気持ちはわかるぞ。それでも「お前なんかムカつくし信頼できねー!」とならないところが義時の持ち味でしょう。使えるといえば、使える男ですし。
千鶴丸は出家させた……だとぉ?
伊東祐親は、八重に対して「頼朝は北条が預かる」と説得。二度と会ってはならんと釘を刺しています。
「父上におまかせします」
あっさり繰り返す八重ですが、千鶴丸には会いたいと願う。会わせてくれないなら川に身投げするとまで言います。
「好きにせい」と言い放つ祐親ですが、直後に千鶴丸は出家させたと言い切ります。
場所は伊豆山大権現。まことかどうか念押しする娘に、嘘はつかんと返す。すでに殺害済みなのは視聴者にはわかっていますね。
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そのころ宗時は、八重が別の男と結婚することを義時に伝えていました。
嫁ぎ先は見張りにつけていた家人だと知り、義時は「身分が違いすぎる!」と嘆いています。八重の兄・祐清は、それだけ父が怒っているのだと説明します。
しかし、妹思いの祐清の願いもあってか、嫁ぐ前にもう一度、八重と頼朝を会わせる計画が持ち上がってきます。
「やめておきましょう!」
義時は即座にそう否定するものの、宗時と祐清は弓を射ながら盛り上がっちゃう。
これも義時の特徴で、義村ほど人の感情を無視しないけれども、宗時ほど感情に流されすぎないんですね。
かくして義時の意向は無視され、比企の家で二日後に会う手筈が整えられました。
祐清が八重を連れ出し、義時が場のセッティングをすることになってしまいます。
ここで、その頼朝の様子になるわけですが……。
政子が運んできた膳にアジがあることに気づき、嫌いじゃ、と一言。政子は、小骨は抜いておいたと言いながら、味が嫌いなわけではないですよね、とニッコリ微笑む。脂が乗っていて美味しいはずだと。
政子は賢いなあ。
紫式部の好物がイワシで、それが恥ずかしかったそうなのですけれども、
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そういう味や下品さではなく、小骨のせいだと原因を把握している。だから機転を利かせてきた。
ちょっと古い作風なら「女にしておくにはもったいない」と言われそうではある。
しかし、女でも機転は大事ですから、当時はそういう価値観があると踏まえてこのドラマは作られていると思います。
そこまでしておいて、政子はお膳を運んだだけだと義時にはごまかして、去っていきます。
政子が化粧をするということは
政子と入れ替わりで頼朝と対面した義時は、八重と出会う計画を伝えます。しかし……。
「それは、行かねばならぬのか」
頼朝は、いまさら会ってどうなるのかとウダウダ。しかも脚の爪を切らせながらという対応っぷりです。貴人情けを知らずというか。
「わしは行かぬ」
「お待ちください、それではあんまりです!」
義時は抗議します。
八重は、嫁ぐ前に頼朝の顔が見たい、今の顔を見せたい。
そんな気持ちを説明すると、頼朝は気持ちくらい会わなくてもわかるとそっけない。しかも、このあと兄の宗時にも伝えて欲しいととんでもないことを言い出します。
世話を焼いてくれるのはありがたいが、兵は挙げぬって。
「戦は苦手じゃ」
いやいや、待ってよ、本人の口から伝えようよ!
義時はそう抵抗しますが、
「あとは任せた」と去って行く頼朝です。
義時は、ため息をつくしかありません。気の毒にもほどがある。
そこへ妹の実衣(みい)がやってきて「姉上が……」と言い出します。義時の心労は止まりません。
政子は化粧をしています。頼朝と三島明神デートだそうです。
ほんとうに今年の大河は、いやらしくてけしからんのぅ!
女性が化粧をする場面をじっくりと描くのって、古典の春本や美人画の定番。相手のためにウキウキるんるんと化粧する姿は、それだけでいやらしいわけです。
化粧をしながらセリフをすっと読む演技も大変ですよね。あーっ、いやらしい!
艶っぽい姉に、頼朝はろくな奴ではないと義時が言い出します。悪口は言いたくないけれど……と、言いかけると政子はこうだ。
「では言うな」
ヒエッ!
それでも義時はめげません。もう一度会いたいという八重のことを断ったと言います。
それは相手を思ってのことだと言う政子。あれれ、内心は八重に勝利宣言しておりません?
しかも、義時が思いが冷めたようにしか見えないと伝えると……
「もっと好きな人が現れたんじゃないの?」
おぅおぅ、政子ぉ……もう自信満々か。花ざかりよ!
そんな風格たっぷりに言いますが、この言葉を激怒しながら自問自答する日も来るでしょう。
義時はなおも、頼朝が八重の話をしたのか?と姉に問う。本当に慕っているならそこは明かすべき。頼朝のせいで八重がどうなったかくらい、言うべきだろうと。
「あなたは昔からそう」
私に好きな人が現れたら悪口を言う。私がとられるのが嫌だから? そう姉に言われ、気持ち悪いことを言わないで欲しいと義時は返しますが、ここまで傲慢になるくらい、政子は自分に自信があるのでしょう。
そりゃそうなるわ。政子には、顔かたちを超えた輝きのようなものがあります。美しいとか、美しくないとか。そういう次元を超えている。こんな人がいたら、もうどうしたらいいんですか!
さて、勝手に頼朝と八重のデート会場にされた武蔵国・比企では――。
頼朝を後見する比企家でデート
比企尼は頼朝の乳母です。
乳を飲ませるだけでなく、生涯を後見する役目があります。流罪となったとき、関東へくだって以来15年間、頼朝の援助を続けていました。
これが日本史のおもしろいところです。
こういった女性、女系のサポート役がこうも目立つというのは、なかなか珍しい。そのほうが人間の生存率はあがるから、大変優れたシステムとは言えます。
ただし、こういう「女性を介在した社会構築」を時代遅れだとして、否定した歴史も日本にはあります。それは明治政府が中途半端に西洋列強を見習った結果のこと。
明治以降、上書きされていない女性の権力こそ、これから来る歴史のトレンドではないでしょうか。
世界史規模でもこれは最先端の注目点かと思われます。
大河のオープニングで、尼将軍が堂々と立っていることには大きな意義があります。ですので、比企尼にもご注目を。
比企家では、比企尼はさておき、比企能員と妻の道が、デート会場に選定されたことに戸惑いがあります。
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道が「もっと近いところがあるでしょうに!」と怒る気持ちもわかります。平家に知られたらどうなるのか?と慎重になる方が自然でしょう。
本作はジェンダー観もまっとうにしたいのだとは思います。
道が女性ゆえの感情由来で反対しているとは思えない。彼女の反対はごもっとも。
それに、道以上に気まぐれで、ありのままの姿を見せて、テキトーに振る舞う坂東武者どもが大勢いる。そこには男女差がありません。
しかし、比企尼はキッパリと、「源氏を支えるのが比企の役目だ!」と言い切ります。
彼女の言い方は、北条時政より威厳があるように思えます。道は不満そうな顔をしておりますが。
驕る平家
義時が馬で武蔵を移動していると、堤信遠と出くわします。
いい服を着て、義時に対しては下馬して頭を下げろと言い出す。
ムッとして、そこまでする道理はないと義時が断ると、捕まえられて土下座させられた上に、顔を泥まみれにされてしまいます。
源氏なんぞありがたがって何になる?
そう挑発され、身の程を知れとまで言われる義時。他の坂東武者ならば血の雨が降りそうなところですが、義時は我慢ができるのでなんとかなります。
しかし平家方も迂闊ですよね。威張り散らしてはいけないルールでも決めておけば、別の結果があったかもしれない。
驕る平家は久しからず――とはまさにこのことでしょう。
頼朝と政子が歩いています。14歳で伊豆へ流されてきたことを語ります。まだ幼いのに甲冑をつけ、倒れ込んでいた少年頼朝の姿。
「ご苦労なされたのですね」
政子がそう促すと、頼朝はスラスラと語り出す。
兄弟たちの中には、父と共に命を落としたものもいれば、平家に囚われ死罪になったものもいる。
頼朝は自分自身の運の良さを語り、信心深くなったのはそれからだと語る。
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これは説得力があります。大泉洋さんの読経が実によろしい。気品があって、確かに信じているのだと思える声音です。
そしてここから、伊東の八重のことも語り始める。
かけがえのない存在で、支えであった。しかしそのせいで、八重を苦しめることになったのだと。
「……聞いています」
「同じ過ちを繰り返したくはない。政子殿に、八重のような思いはさせたくないのだ」
そう言われ、政子は頼朝の手を執ります。
「彼の方の代わりはできません。でも私なりに、佐殿をお支えしとうございます」
「政子殿」
手を重ね返す頼朝。
「生きていたからこそ、今、私はここにいる。政子殿と知り合うこともできた。生き永らえてよかったと、これほど深く感じたことはないぞ」
政子はこう言われ、感極まった目で相手を見返しています。私も気持ちは同じです。生きていたからこそ、この場面が見られた……って、ものすごい光景が、目の前で展開されている!
弟に全丸投げのポジティブ宗時
「やっと現れたのよ……私が一生を捧げたいと思った殿方が」
政子は妹の実衣にそう確信を込めて語っています。
何もかもが違う。荒々しい坂東武者は苦手だった。粗野で乱暴。でも、あの人は声を荒げない。乱暴をしない!
実衣はしらけきった顔で、はっきりしない方にしか見えないと返す。
そんなことは微塵も気にせず、政子はうっとりと、悩んでいる頼朝が、正しい道を選ぶお手伝いをしたいと言います。
「あなたも早くいい人がみつかるといいわね」
そう妹に言い切る政子。すごいことになってきました。この二人はなんなのか? 頼朝は政子を罠にかけたようで、政子はようやく自分の野心ごと受け入れる相手を見つけたようで。
お互いが、お互いを、搦めとるような……でもそこに嘘はないし、互いを思う気持ちはあると思える。
この二人を見ているだけで、頭がいっぱいになってしまって、まったくどうしたものやらですよ!
泥まみれになった義時は、頼朝は八重に会いたくないと報告しつつ、比企の館につきました。
それで一人ででのこのこやって来たのかと突っ込まれ、こう返す義時。
「私だって来たくなんかなかった!」
うん……まあ、彼はろくな目にあっていないんですよね。
ドラマのディテールは創作にしても、史実でも義時は頼朝挙兵以来ろくな目に合わないから困ったものだ。
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そして祐清はこうですよ。
「妹にどう話せばいいのだ?」
宗時は「しょうがない、ここは切り替えて先に進もう! 佐殿の心を見誤った!」と言い出す。こんなポジティブはかえって迷惑だ。
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納得できない比企能員は、母上に謝れと言ってくるわ。そして宗時は投げてくる。
「小四郎、頼む!」
「ここは兄上でしょう!」
しかし宗時は相談があるとかなんとか、その場を立ち去るのでした。
頼朝は挙兵をするつもりがあるのか?
比企能員と道夫妻はお怒りです。
料理も無駄になった。前もって佐殿の心を確かめろ。勝手に進めたんじゃないのか、とネチネチ義時を責めて来ます。
しかし比企尼がキッパリと「まともに聞くことはありません」と言い切る。
このものたちは口ではああ言っているけれども、心の中では佐殿が来なくてほっとしているのだから。
そしてこう付け加えます。
「佐殿にお伝えください。比企尼はいつでも殿をお待ちしておりますよと」
なんとか話はついたものの、義時はため息をつきます。
義時の仕事は終わりません。次は八重に伝えるという地獄のような難題が……。
義時は八重に、思いのほか北条の守りが厳しくて抜け出せない、それでもまた会えることを祈っていると伝えます。
優しい嘘をつける。それが義時です。
爺様こと伊東祐親や三浦義村は罠にかけるために嘘をつくけれど、義時は痛みを和らげるための嘘をつく。
しかし八重は手にした木の実を投げつつ、こう言います。
「もっとまともな嘘をつきなさい!」
八重は命懸けでここに来ている。父に咎められれば自害する覚悟もあった。なぜ、あなたも命懸けで嘘をつかない? そんなことで私を騙せると思ったか!
「なぜじゃ! なぜ佐殿はお見えにならぬのじゃ! 言いなさい!」
そう怒りをぶつける八重。頼朝め、こんな可憐な女性になんてことをしてくれたんだ。初恋の相手にこんなことをやらされる義時も気の毒でなりません。
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義時は宗時に、八重さんが気の毒でならないと漏らします。
宗時が「同じぶんだけ佐殿もお辛いのだ」とわけのわからんことを言うと、義時は、確認したいことがあると言い出します。
頼朝は挙兵をするつもりがあるのか?
そう問われた宗時は戸惑っています。
「はぁ……やはりそうですか」
「どういうことだ?」
宗時は勢いだけで、佐殿は平家を滅ぼすつもりに違いないと言う。しかし、肝心の頼朝が挙兵しないと言っていたことを義時が明かします。
「兄上は思いが強すぎる!」
いま、義時がすごくいいことを言った。そうですね、思いだけではどうにもならない。
が、しかし……。
「佐殿は俺を試しておられるのだ!」
おいおい、宗時、なんだか変な神頼みに向かってませんか? まだまだ我々のことを信じられぬから試しているそうです。
「なるほどそういうことか!」
「違うと思います」
そう言っても通じず、兄は挙兵をすると言い切るのでした。
人間心理かもしれない。陰謀論にハマった人みたいな思考回路ではある。生々しさがあるドラマです。
何がおそろしいかって、宗時はごく普通、どころか聡明そうに見えるところでして。
あの見た目でありながら、ネジが数本すっぽ抜けた爽やか疫病神だなんてそうそう思えないわけですよ。
『麒麟がくる』で片岡愛之助さんが演じた今川義元を思い出すと、これまたおそろしさを感じます。
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今川義元の生涯|“海道一の弓取り”と呼ばれる名門武士の実力とは?
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りくにメロメロな親父殿
さて、そのころ時政はお怒りのご様子。
新妻りくを迎えたのに、家の中に誰もいないじゃないか!
戻った息子にそんな不満をぶつけています。しかも姉上こと政子は湯河原デートだってよ。止めなかったのかと嘆く義時。
宗時はむしろ政子と佐殿がそうなったことに喜んでいます。佐殿を婿にすれば盤石だあ! と、八重のことなどスッカリ忘れたかのように浮かれています。な、なんなんだこの人……。
時政はりくのことで頭がいっぱいだし。
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なぜ北条時政は権力欲と牧の方に溺れてしまった?最後は子供達に見限られ
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もうコイツらどうにもならんとばかりに、頼朝が土肥実平の元にいると聞き出した義時は現地へ向かうことにします。
ここから先は見ていて胸焼けしそうな時政とりくの時間です。
「腹はすかんか?」
そう言いながら新妻に近寄っていくあたり、坂東武者らしい野蛮の極みで、もういっそ一周回って清々しい。
この時代、京都の女性にとって食欲を見せることは、性欲を露わにするぐらい恥ずかしいもの。
しかし、りくはわかっています。
彼女は妖艶です。他の皆さんに嫌われようと、しい様がいればそれで満足と色香を見せます。
すごいことになってきた。
政子の健康的な色気とは違う、退廃的な魅力。
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牧氏事件(牧氏の変)|新将軍の擁立を画策する時政が義時と対立 その決着は?
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「かわいいのう、ふふふ……」
メロメロになってしまう時政、もう見ちゃいられないよ。侍女のくまも目線を逸らす。まったくけしからん大河だなぁ!
政子と八重が対峙
義時は土肥の元へ向かいます。なんでも頼朝は朝湯に入っているとかで、義時も入ることにします。
政子はいませんでした。頼朝が誘ったけれども断られたようで、まだ早いと言い、伊東へ向かったそうです。
「やめておけ」と止めたのに、政子はどうしても八重と話したいことがあったそうです。
では政子は何をしに伊東へ?
八重と対面した彼女はこう言います。
佐殿の心は、すでに八重殿から離れている――。
八重はムッとしつつ用件はそれだけかと言います。大事なことだと政子は返し、頼朝が寄越したのではなく、あくまで一存で来たと告げる。
何故そのような図々しい真似をするのかと問われると、八重の頼朝への思いを断ち切るためだと言い切ります。
八重は悟ります。
目の前にいる政子こそ、今の頼朝の思い人であることを。伊東から北条に乗り換えたことを。
そして、次の思い人である政子に、頼朝のことを伝えます。
彼は、決して心の内を見せない。喜んでいると思えば機嫌が悪くなる。ついていくのが一苦労。
寝汗をかかれることがあるから、枕元には常に手拭いを置いて、首の周りを拭いてあげること。
「かしこまりました」
「あと……もうよい」
「後はおまかせくださいませ」
「思いを断ち切ることはできぬ。しかし断ち切るようには努めます」
そう語りあう二人。なんという残酷な会話でしょうか。
八重は悟ってしまった。頼朝は、自分ではなく伊東を求めていたこと。それが明らかになれば、かえって恋心を消しやすいかもしれないけど、事はそう単純でもないのでしょう。
義時にだけ胸の内を明かす頼朝
義時は頼朝に、姉をどうするつもりなのかと詰問しています。
馬に乗り換えるように、八重から姉に乗り移ろうとされているのか? とても承服できない。姉を渡せない。そうキッパリと言います。
「ふふふ。まこと、きょうだい思いのよい弟よの」
「出て行ってください、北条から」
そう言われると、頼朝お得意の話を始めます。
伊豆に流されてきたとき、わしは一人だった。身の回りの世話をしてくれるものはいる。比企尼のように何かと気遣ってくれる者もいる。
しかし、わしには身内がおらん。
いざという時に力になってくれる後ろ盾がおらん。伊東の者たちそうなってくれることを望んだ。しかし考えが甘かった。
そこに北条が現れた。
もう失敗はゆるされない。わしには時がない。わしは北条の婿となり、北条を後ろ盾として、悲願を成就させる。それゆえ政子殿に近づいたのだ。
「悲願……」
唖然とする義時。
「お前だけには話しておく。いずれわしは挙兵する。都に攻め上り、憎き清盛の首をとり、この世を正す!」
「お待ちください!」
戸惑う義時。頼朝は続けます。
「法皇様をお支えし、この世をあるべき姿に戻す! そのためには政子が、北条が欠かせぬのだ。よいな。ことは慎重に運ばねばならぬ。このことは兄にも話すな。小四郎、お前はわしの頼りになる弟じゃ」
「ははっ!」
見つけてしまった。
義時も姉と同じく、運命を頼朝の中に見出してしまったのです。
ものすごく劇的なようで、ドス黒さもそこにはあります。
頼朝は、あれほど情熱的な宗時は信じていないであろうこと。逆に、義時の器を見極めているからこそ胸の内を明かした。
八重の懸念通り、頼朝は恋を利用していた。
法皇を支えるという言い回しからは、頼朝の思考が見えてくる。彼は朝廷と対立するつもりはない。それどころか接近傾向がある。
現時点では誰しもそうだとは思えますが、頼朝は、自分に天命があると考えているのでしょう。
しかし、それがまさか、自分が天命実現のために選んだ女の側にあるなんて、思いもよらないはず。
思惑から結びつく頼朝と政子。
この二人の運命を思うとまったくどういうことかと思えてくる。
その運命に巻き込まれ続ける人物が、このドラマの主人公です。
MVP:北条政子
小池栄子さんのインタビューを読むと、また一層、頭が混乱してきます。
私があの北条政子を演じるなんて!
そう謙遜しているようで、ほんとうはこの人は、いつか政子を演じるとわかっていたような、そんな物凄さを感じてしまう。
そんなわけないと破顔一笑されてしまいそうではあるけれども、これはもう宿命なんじゃないかと思えてきます。
悪女といわれるけどチャーミングだとインタビューでも語っておられる小池さんですが、それは両立します。
凄まじい迫力と、かわいらしい愛嬌は同時に成立するはず。
そういう北条政子が毎週見られるようで、もう感無量です。
北条政子とは、日本史のみならず、世界史的にみてもおそろしいほど重要な人物のはず。
重要性が下がることはなく、むしろどんどん増してゆく人物です。
第一回と第二回で、頼朝と政子という、火花が散るような恋の成立過程は把握できました。
ここで一気に引きずりこむ魔力が十分にある、深淵のような存在。
こんな北条政子が見られるなんてもう、何と言えばよいのかわかりません。すごいことではないでしょうか。
答え合わせがもうできているような
僭越ながら私は、放送前に公開された以下の記事で、
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大河『鎌倉殿の13人』見どころは?残酷な粛清の勝者・義時の悪辣描写が成否のカギ
続きを見る
「視聴率はもう基準として使えないので、視聴者数で算出した方がいい」
と書かせていただきました。
NHK側も視聴者数を発表するようになりました。
◆「鎌倉殿の13人」も“見られ方”に変化 初回は配信も好調「青天」超え!BS組も443万人 多様化進む(→link)
本記事によりますと、見逃し配信サービス「NHKプラス」での視聴者数は、前作『青天を衝け』と比較して2~3倍の視聴数(正確にはユニークブラウザ数)だったようです。
また、鎌倉殿の13人より前のドラマが未発表なので数字の比較はできませんが、本作の視聴者数は、20時の本放送(NHK総合)が1771.9万人だったのに対し、18時からのBSでは443万人いたとのこと。
全体の約21%がBS視聴だった計算となります。
今後もNHKプラスでの視聴は増えていく傾向でしょうし、録画も簡単になったテレビの技術なども考慮すれば、もはやリアルタイム視聴率だけでは計りきれないと、NHK側も判断しているようです。
文章経国思想(もんじょうけいこくしそう)
大河が必ずしも勉強に役立つとは言い切れませんが、今年は推せます。
日本史のみならず、せっかくだから世界史的なことでも考えたい。
今回は【文章経国思想(もんじょうけいこくしそう)】について。
「文学が国家の経営で重要である」とする考えです。
これ、ピンと来ますでしょうか?
共通テストで古文漢文の割合が高すぎる非難されるウェブニュースやSNS投稿のことも踏まえて考えてみたいと思います。
この言葉の由来は『三国志』でもおなじみ魏文帝・曹丕の『典論』由来です。
文章は経国の大業、不朽の盛事なり。
文学こそ国家運営に必要なことであり、永久に朽ちることのない事業だ。
ほんとにぃ? なんかピンとこないなあ……と思ったら、今年の大河と『麒麟がくる』を思い出してください。
『麒麟がくる』では、登場人物が漢籍由来の知識を使って会話をしていました。そもそも「麒麟」だって儒教由来です。
そうした状況は、明智光秀たちが賢かったから?
いえ、それだけではなく、文章を使った教育をきっちりと幼少時から受けているからこそ可能なのです。
それが『鎌倉殿の13人』の坂東武者では成立しない。
「戦乱のない世になれば麒麟がくる……」
「き、りん? 何それ食えるの?」
こうなりかねない。
文章を読み、考え、想像し、作文することにより、人間の思考回路は鍛えられます。
筋トレしないと体がなまるように、頭も考え続けないと鈍くなる。
そうならないためには、文章はとても大切であり、人間社会の成立にも需要な要素になってくる。
文章を作ることはあっても、せいぜい実用的なことだけで、詩や歌すら詠めない段階では、考え方が極端でシンプルになりすぎるのです。
それではいかんから、学びの場を設け、人は思考を鍛えてきた。
『鎌倉殿の13人』と『麒麟がくる』におけるセリフの違いは、作風やテーマももちろんあるけれど、それのみならず文化の発展度も反映されていると思えます。
文学を極端に軽視し、ともかく実用的な文章だけやればいいや……そういうことをすると、とてつもなく悪いことになるのではないか? 坂東武者を見ているとそう思うのですね。
人間は、物語に入り込んで想像する時間が必要です。
三谷さんはそういう曹丕みたいな思考をちゃんと持っているように感じます。
ふざけているようで、物語、文章の持つ力を信じているからこそ、いいものを作っているのだと私は思います。
土スタで、小栗旬さんという発見
さきの土曜日、私は憮然としていました。
ウキウキワクワクと鎌倉時代の本を抱え、小栗旬さんが出る『土曜スタジオパーク』を待っている。
これではまるで、無茶苦茶大河が好きな人ではないか!
そう戸惑ったのですが、実際、『土曜スタジオパーク』を見たらファンになりますよね。
この回は小栗旬さんが語っていたわけです。
いろいろネットニュースにもなっていて、マスクに書きこむとか、大泉のせいとか、そいうった記事もたくさんあります。
そんな中、私が衝撃を受けたことはそれではありません。
まず一点目。小栗さんは地毛で結えるよう髪の毛を伸ばしている。しかもゴワゴワしているらしい。リンスはしないとか? これでもう参ってしまいました。
『ゲーム・オブ・スローンズ』では、出演者がシャンプー禁止令を出された。ツヤツヤヘアーじゃ時代ものらしくないということだそうです。
日本じゃ、そこまで気合い入れる役者はいないだろうと思っていたら、いたんですよ。
次は乗馬訓練。
一回目の馬防柵すら超える場面が、スタントなしだったとは意外でした。
馬術担当者が納得するほど稽古を熱心にしていて、本当に馬がお好きなんだそうです。
確かに楽しそうに馬に乗っていると思いました。それが実際、乗馬に真剣に取り組んでいると知り、衝撃を受けました。
近年の大河で、「乗馬なんて時間がかかっても映るのは一瞬だ」と語る役者を知ってしまったからだと思えます。
そうじゃないだろ、乗馬そのものを味わって楽しもうよ!
そう言いたかったけどうまく言えなくて、その答えを小栗さんが出してくれた。すごくサッパリしました。
三点目は負けず嫌いなこと。小栗さんは言うまでもなく美男子で、大河出演歴もこの年代で突出していて、和装も似合う。それでも絶えず学んでいるとのことです。
今回出てきた宗時が弓を射る場面で、義時は関係ないのに、小栗さんも弓矢で的を射ていたそうです。
なんてこった!
大河の主演まで上り詰めたのに、彼はまだまだ学ぶ気らしい。
片岡愛之助さんは歌舞伎役者で学べることは多い。だから学びに行ったのでしょうか。これは地味に見えてすごいことではありませんか? 弓を射る気満々です!
スタジオで笑う小栗旬さんを見ながら、私はギョッとしていました。
大河のために地毛を伸ばし、馬に乗り、学ぶ。そんな理想的な人が実在したのかと。
彼のことは知っていたけれども、実は何も知らなかったんじゃないか? 姿形を知っている存在が、実は化け物だったと気づいたような、すごい衝撃が雷のように落ちてきた。
彼の顔も、声も、何か違ってしまって、まさかこんなことがあるとは思っていなくて、正直、動揺しています。
大河とは、知っている何かを、まるで知らなかったようにしてこそ正解かもしれない。そう思わされて動揺が止まりません。
好きとか嫌いとかそういうことでなく、ともかく、小栗旬さんは驚異的な何かがあると思えるのです。
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【参考】
鎌倉殿の13人/公式サイト
















