『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』/amazonより引用

真田丸感想あらすじ

『真田丸』感想レビュー第15回「秀吉」 その軽妙さが逆に怖すぎ、ハラワタ真っ黒黒な天下人

こんばんは。

今回の平成28年熊本地震により、被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げますと共に、 皆さまの安全と、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

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『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』(→amazon

 


まずは真田丸関連のニュースから

さて、先週から新章突入ということで、今週も新登場キャラが多いようです。

その反面、信繁青春編の実質的主役であった昌幸は、策だけでは生きていけなくなり力を失ってゆくとか。なかなかシビアな描き方をする作品です。

◆「真田丸」の“夏”「大坂編」は父・昌幸の悲哀 信繁の輝きと対照(→link

ニュースといえば、これもなかなか面白い記事です。

◆意外と知らない、真田丸に見る「大河の裏側」 「チーム論」そして「ネット戦略」 (→link

本作の裏側もわかりますが、昨年は随分準備期間が短かったんだな、とわかります。

そしてこのニュース。

◆真田丸の「線香」が静かな話題に 「花燃ゆ」より売れてます(→link

『花燃ゆ』に鞭打つのはやめたげてよお!

さらにこんな取り組みも。

「真田丸」ニコニコ超会議にブース出展!草刈正雄らトークショー(→link

本編感想前に、先週分の補足。

石田三成の妻・うたは、宇多頼忠の娘です。

真田昌幸正室の山手殿(劇中では薫)も宇多頼忠の娘という説があるため、うたは信繁らの叔母と書かれている書籍もあります。

ただし現在、山手殿が宇多氏の娘である説は信憑性が低いとされてきており、本作の考証担当者は否定しています。

本作では石田三成の妻と真田昌幸の妻は姉妹同士ではありませんので、ご注意ください。

 


彦根屏風から抜け出てきたような名妓・吉野太夫

今週は、徳川勢は出番なし。先週に引き続き大坂編突入です。

信繁は突然、豊臣秀吉に言われるまま、お忍びで大坂の町へと遊びに行くことに。お供をするのはノリが軽い福島正則です。

気の毒なことに、上杉景勝直江兼続はまたも面会を延期されることになってしまいました。

石田三成は秀吉の不在に気づき、片桐且元に「知っていましたね?」と聞きます。

先週、片桐且元がおどおどと胃痛をこらえた顔だったのも、これでわかりました。秀吉のサボタージュに協力させられていたわけです。

秀吉らが向かったのは、名妓・吉野太夫の元でした。

この吉野太夫の服装と兵庫髷が彦根屏風から抜け出てきたようで、なんとも眼福ものです。

メイクも『タイムスクープハンター』レベルまでは再現していませんが、視聴者の目に違和感がない程度まで濃くしてありますね。

秀吉はこの名花を口説き落とそうとしますが、あっさりと断られてしまうのでした。

このあと、三人は昼間っから酒を飲むことに。

清正福島正則の升は大型で、居酒屋のビールピッチャーサイズです。ここで清正正則の升をじっと見る秀吉の目つきが伏線となります。

秀吉はニコニコしていたかと思うと信繁に「お前の親父ナメてんの? さっさと上洛しろよ、喧嘩売ってんのか?」と凄みます。

目が笑っていなくて怖い……とぞっとしていると、三成が現場に踏み込んできます。

信繁をアリバイに使い言い逃れる秀吉。

三成は人工知能秘書AIの如き冷たい口調で、仕事があるから戻るよう秀吉に言います。秀吉は何か思いついたようで、明日上杉に会ったあと話し合うと決めます。

それにしても三成がきびきびと仕事をしていて、ものすごく有能そうと言いますか、ろくに睡眠も取っていないのではと思わせます。

今回のミッションは信達の調略!

秀吉さんに気に入られ街へ繰り出す信繁さん

 


「秀吉がナンボのもんじゃい、上洛なんかしまへんで」by昌幸

上田では、昌幸が秀吉の上洛命令にうんざりしています。

秀吉の恐ろしさがぴんと来ていない昌幸は「秀吉なんか知るかよ、器わからねえし、ギリギリまで粘るわ」と相変わらずの態度。

信長の件で懲りたのはわかるのですが、昌幸の眼力もやや衰えてきたと言いますか、キレのある思考ではなくなっているような気がします。

父を見る信幸のうんざりした顔が、よりその印象を強めます。

昌幸は「秀吉が絶好調って言っても今がピークじゃないの?」と言うのですが、今週のラストにこの台詞を思い出すと……。

ついに登場! 主役感、満載ですw

ついに登場! 主役感、満載ですw

信繁の長女で梅の忘れ形見であるすえは、伯父の作兵衛の元ですくすくと育っています。

その様子を信幸が微笑ましい様子だと眺めていると、何故か姪に授乳してみちゃったと作兵衛が仰天告白……その発想はむしろいらなかった!

ここで「あまり吸わせない方がいいと思う」とマジレスする信幸。

信幸は誰かと話したいでしょうのか、佐助に話しかけるのですが、彼は出浦昌相と忍術特訓中でそれどころではないようです。

空蝉だの火遁だの、視聴者サービスですかね。

火遁の炎は随分ダイナミックで怖いほどで、普段の信幸なら「危ないだろぉ!」と突っ込むと思います。

しかし信幸は疲れ切った顔でスルー。

「もうやだこの一族」という疲労感が全身から発せられているのでした。

仕事のできすぎる出浦

仕事のできすぎる出浦

 

昌幸&信繁は乱世で活き、信幸は治世に優れる

昌幸は薫の膝に寝転がり、耳をかいてもらっています。今日のイチャイチャタイムですね。

秀吉の元についたら、薫ちゃんに約束した大名になってお城プレゼントが駄目になっちゃうかも、と言う昌幸に薫は「あなたの言葉をいちいち信じていたら身が持たないし〜」とツッコミ。

この間、薫の手は昌幸を愛おしそうに撫でたりさわったりして、実に仲が良いですな。

薫はちゃんとここで「自分に似てギャンブラー体質の信繁だけじゃなくて、堅実な信幸も大事に思ってあげてね」とフォローします。

自己中心的だのわがままだの言われる薫ですが、先週の信幸の愚痴を聞いていて、フォローに回る優しさがあるのですね。

昌幸は信幸の活躍は時代が安定するこれからだと言います。

昌幸は自分と信繁は乱世の英雄であるのに対し、信幸は治世において力を発揮する統治者タイプだと知っているようです。

この言葉は、自分たちのような人間は泰平の世では活躍できないと悟っていると見ることもできるわけで、なかなか複雑なのですが。

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三成から酒を誘ってきた そこにいたのは大谷吉継

その日、上杉景勝に出会った信繁は、なんだかばつが悪そうです。

まあ、景勝と来たら、またいつものキラキラと透き通った目で「任せておけよ! 俺がちゃんと秀吉にお前のこと頼むからね」と言うわけですからねえ(後ろで冷たい目線を贈る直江兼続つき)。

もう既に秀吉と一緒にキャバクラに行った、そのせいで上杉の面会が延期になったとか言えませんよね。

場面はかわって信繁の寝所である石田屋敷。

きりは大坂でショッピングを満喫した模様。

ちなみにきりのような人物は室町時代にもいたようで、出しゃばりで呼ばれてもいないのにズケズケ乗り込んでいく若い女のことを生女房と呼んでいたそうです。

きりのショッピング話を無視している信繁。うっとうしいけど、きりの話を聞いていると生の蛸まで売っているとかわかって面白くはあるんですね。

するとそこになんと、三成が入ってきて客人と酒を飲まないかと誘われます。

客人とは大谷吉継です。

彼が顔を隠していないことにクレームをつけている意見を見ましたが、彼は発症前でしょう。

吉継は三成と親しげに会話し、その中で堺代官のオファーは断るとはっきり言います。

ここまで短い会話ながら、三成と吉継の間にある信頼感や友情が伝わってきました。

信繁は三成に「なぜ私のことを関白に伝えていないと嘘をついたのですか?」と尋ねます。

三成はしらを切ろうとするのですが、そこに使いの者が入ってきます。

加藤清正が、先日酔っ払って正体をなくしたことへのお詫びに来たとのこと。三成はしぶしぶ清正への対応に向かいます。

こうして吉継と二人きりで場に残された信繁。信繁はツンツンしていた三成が、デレてきた理由を吉継に尋ねます。

吉継は三成の人物評価は秀吉と連動しているので、秀吉が信繁を気に入ったから三成の中でも好感度ゲージが上がったのだろうと説明。

吉継は「三成の愛想が悪くてごめんね。あいつにかわって謝るね」と頭を下げます。

ほっほう〜、これはなかなかいい三成と吉継。

吉継、初回で既に「親友三成の無愛想さをフォローに回っている感」が出ていますね。

 

「真田への助太刀禁止!」で景勝震える

翌日、秀吉は景勝に面会します。

ここで秀吉は、景勝は謙信の実子であるという誤解をさらっと言います。

まずは飴を見せる秀吉は、本領安堵と官位授与を伝えます。それから鞭として、ある意味景勝にとって一番きつい「真田への助太刀禁止」を言い渡すのでした。

気の毒に景勝の目は潤みだし、「どうしよう、信繁に約束したのに……」と哀しそうな表情になっています。

兼続がフォローしていますが、景勝はもう動揺しています。

秀吉はこの雨に打たれた犬のような景勝を、茶に誘うのでした。

昌幸にダマされるのか?

翻弄され続ける軍神の跡取り……

このあと、廊下で三成が「景勝は謙信の実子ではなく、甥です」と訂正。

流石有能なパーソナルアシスタントです。

この会話で、細かいことにこだわらない秀吉、そこへ突っ込む三成の性格が垣間見えました。

三成の提案で景勝との茶の席に信繁も呼ぶことになります。

残された景勝は「どうしよう……真田を裏切るなんてできない……信繁にどのツラさげて会えばいいんだ……」とフルフルしています。

すっかり落ち込んだ景勝は、辛そうな顔でそのまま信繁に会います。

「秀吉なんてただのうるさいおっさんだったぞ」と強がる景勝ですが、やがてしゅんとして言葉を失ってしまいます。

景勝のフォローに兼続が入ります。

そこへ三成がやって来て、景勝と信繁を茶に来るよう伝えます。

着替えに戻る時間のない信繁に、きりが衣装を持って来ます。

「しっかりねっ!」とか励ますきりですが、人生初の茶が千利休という信繁のプレッシャーは相当なものでしょう。

景勝の重臣・直江兼続もさすがに困り顔

景勝の重臣・直江兼続もさすがに困り顔

 


茶室の中に蠢く秀吉の監視 「こんな圧迫茶事は嫌だ!」

秀吉、景勝、信繁の三人は、狭い茶室に入ります。

そこで秀吉は「昨日のキャバクラ楽しかったな〜」とあっさり信繁と遊んでいたことをバラしてしまい、景勝の前に秀吉に会っていたことがばれてしまった信繁は気まずい思いをします。

秀吉、笑顔でさらりと景勝と信繁の間にくさびをうち込んでいて怖いですね。

そこへ利休が入ってきます。

ぎゅう詰めの茶室で茶を淹れる利休。

信繁は縮こまりながら、秀吉や景勝の作法を目に焼き付けて自分の番に備えます。こんな圧迫茶事は嫌だ!

この場面はカメラワークがおもしろくて、天井から見下ろすような構図で狭さが強調されます。

景勝が茶を飲む様子を、利休は鋭い目でじっと見つめています。

景勝は疲れ切った顔で茶を飲み干すのでした。

次は自分の番かと信繁がドキドキしていると、秀吉はこれでもうよいといい、景勝と信繁を外に出します。

秀吉に利休は、どうであったかと尋ねます。

利休は茶の飲み方から、景勝の複雑な心境と諦念を見て取ります。

この芸術にとどまらぬ政治や人心まで読む鋭敏な感覚が、今後彼を滅ぼすことにもつながるのでしょう。

そして結局のところ、信繁は秀吉に利用されているに過ぎないとわかります。

最初はキャバクラに行くアリバイのため、そして今回の茶に関しては景勝揺さぶりのため。

駄目な大河でありがちな主人公補正として、大物がやたらと主人公の可能性を見いだすというものがありますが、本作ではそうではなく秀吉はむしろ信繁を便利な道具扱いしているだけです。

そうやって便利に扱っているうちに、使えるとなれば重用するのでしょう。

このあたりは吉継の「才能があるとわかった若者は側にべったり置く」という台詞で示されています。

景勝は信繁に、人生で最も苦い茶であったと吐露。

利休の台詞とあわせて、彼の秀吉に従うしかない心境がわかります。

心なしか景勝は、以前よりも小さくなったようにすら見えます。

自信や誇りがべきべきとヘシ折れる音すら聞こえそうな景勝。

秀吉はこうやって、己に従うと誓った大名たちのプライドをヘシ折って行くのでしょう。

それまで己の領地では頂点に立っていた大名たちが、より強い者に従う屈辱を味わうことになる。

それが豊臣政権に従うということなのです。

 

育ちは悪そうなれど、人はとびきりよさそうな秀次

きりは信繁を着替えさせたあとも、大坂城に留まっていました。

そこへ枇杷(びわ)を抱えた青年がやって来ます。

豪奢な服装ではあるのですが、あまり育ちがよくなさそう、でも人はとびきりよさそうな雰囲気。

彼は枇杷を関白夫人である寧に渡して欲しいときりに頼みます。

彼こそが豊臣秀次でした。

秀次はきりが気になって仕方ないようですが、そりゃそうでしょうね。

視聴者や真田の皆さんはきりが残念美人と知っているわけですが、初対面なら「なにこの、すっごいセクシー美人!」ってなりますよ。

そりゃ秀次も気になるわ。だって長澤まさみさんですよ!

この枇杷を抱えた青年が秀次というところに、本作の容赦ない黒さを感じます。

のちの秀次がたどる道を思うと、もうこれだけで十分におそろしい。

このとき、秀次が遅れてしまうと慌てていたのは、昨日秀吉が上杉との面会後に行うと予告していた会議でした。

秀吉、秀次、片桐且元、石田三成が揃う場所に、何故か信繁も参加することに。

一方できりも、枇杷を渡した寧からある会合に寄っていったらと誘われます。

ここで寧が秀次のことを優しい子と評するのもはやりのちのことを考えると辛い台詞です。

 


秀吉、茶々、大蔵卿局と「天正かるた」で神経衰弱

ここからは秀吉日本史教室。

検地の意義、石高から動員兵数を割り出せることがさりげなく説明されます。

この場面、小中学生にとってとても良質な日本史の勉強になるのでは。ここでのやりとりをテストで書けばバッチリ点数取れそうですよ。

この席で秀吉は、検地の意義、そして使う升の大きさを統一することを宣言します。

昨日の清正福島正則の巨大な升を見て思いついたわけです。

秀吉の明敏さ、秀次の鈍感さ、三成と信繁の才知が示されます。秀吉は秀次を後継者として育てようとして考えさせているのに、それがうまくいっていないこともわかります。

そのあと、秀吉は信繁を茶々の元に連れて行きます。

茶々は信濃の猪の子にしては色が白いと信繁のルックスを評価。

色が白いのは当時美男の条件ですから、「田舎から来たわりにはイケメンじゃないの」みたいな感じですかね。

さらにここで秀吉、信繁、茶々と彼女の乳母・大蔵卿局でカードゲーム(神経衰弱と同じルール)を遊ぶことに。

このカードの絵は「天正かるた」ですので興味のある方は調べてみてください。ネットですぐ画像が見られます。

信繁は勘の良さと記憶力で次々と当たりを出します。

ほのぼのとした場面ですが、茶々が隣室に侍る美青年・立花権三と目があってしまったこと、さらにそれに秀吉が気づいてしまったことで、じわりと不気味な殺気が流れます。

秀吉が茶々に執着していること、その執着を妨げる者には容赦ないことがここで示されます。

そして茶々は信繁にも好意を抱いているようで、これはどうにも難しいことになりそうですぞ。

 

ほのぼのとした団欒に血に染まる死神のナレーションが流れる

寧が開いていた会合とは、家庭的な団らんです。

羽柴一族、秀吉子飼いの福島正則、加藤清正ら血縁で結ばれた面々が、焼いた里芋を食べながら楽しそうに過ごしています。

秀吉の母・なかは全然豪奢な衣装が似合っていないのが印象的です。

羽柴一族は成り上がりなんだな、と短いこの場面に凝縮されています。

このほのぼのとした場面に信繁ときりも参加し、穏やかなBGMも流れるのですが、この団らんをぶちこわしにするのが死神ナレーション。

今後、この羽柴一族の結束がバラバラになり、血で染まり、呪われていくことが語られます。

ナレ死とか一時話題になっていましたけど、端的に言って本作のナレーションは死神の声ですから。

そしてその場にいるのが、崩壊したこの一族を最後まで見届ける真田信繁その人なのです。

昌幸は今が秀吉の頂点ではないのかと言いました。勢力としてはそうでなくても、羽柴一族の結束頂点は今このときなのでしょう。

そして結束が崩れたときが運命の終わりでもあります。

 

MVP:豊臣秀吉

サブタイトルと一致したこの人。ダントツでしょう。

信繁青春編の昌幸と同じく、大坂編での彼はもう殿堂入りでしょう。

これからは毎週彼が殿堂入りMVPです。

何がよいって、その黒さ。ニコニコと目が笑っているようでまったく笑っていない、大変恐ろしい秀吉です。

この笑顔のまま人を殺せますよ、黒い小日向さんは本当に怖いですよ!

これぞ秀吉、というかんじです。

秀次は好青年で茶々は天真爛漫、ということは今年の秀吉は彼自身の魂が既にどす黒いという路線で進みそうです。

 

総評

今週の秀吉本格登場で、だいたいの本作の流れは見えました。

秀吉は黒い。もうともかくどす黒い。そのどす黒さで、豊臣政権崩壊の原因を作ってしまう。

茶々には悪意がない、一切ない。ただ気づかぬうちに豊臣政権にひびを入れるようなことをしてしまうかもしれない。

そしてそんな欠陥のある政権を、義あるがゆえに支える信繁。

昌幸は乱世こそ己が泳げる水と考えるからこそ、安定に刃向かってしまう。信幸はその反対であると。

今週はラストシーンが圧巻でした。

闇属性屋敷Pが暗黒微笑を浮かべるような、春日信達謀殺、室賀正武の死に続く会心の出来でしょう。

その死が際立つようにさわやかに演出したと思える好青年の秀次、天使のように愛くるしい辰之助(のちの小早川秀秋)。この彼らがのちにたどる過酷な運命を思うと……。

秀吉やきりの口調が軽いと感想掲示板は大荒れでしょうが、そのくらい軽さを入れなければ重さのあまり沈みこみそうです。

鑑賞後数時間は、惚けたように動けなくなりました。

導入部でこれだけ黒いのに、これからその崩壊部を描いたらどうなってしまうのか。ぞくぞくしながら今後を見守りたいと思います。

大坂編は夏とのことですが、まばゆい日射しの彼方に嵐をもたらす黒雲が常に見えているような、そんな季節になりそうです。


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