まんが戦国ブギウギ

まんが戦国ブギウギ58話 大河ドラマで黙殺された超非道の鳥取城包囲戦

2020/04/16

戦国史上、最も派手な合戦は?

そう問われたら、多くの方が【関ヶ原の戦い】や【第四次川中島の戦い】あるいは【三方ヶ原の戦い】あたりを挙げるだろうか。

では最も過酷な戦は?

それは何も「大軍vs大軍」による命の奪い合いだけとは限らない――。

いささか古くなるが2014年の大河ドラマは『軍師官兵衛』であった。

ご存知、豊臣秀吉の片腕・黒田官兵衛の立身出世を描いたもので、同ドラマではその途中、完全に抹殺されたエピソードがある。

【鳥取城の渇え殺し】である。

城に籠もった数千人もの城兵や農民たちが飢えに苦しみ、餓死者も多数出たという日本史上まれに見る残酷な戦い。

おそらくやNHKの放送には耐え切れないと判断されたのであろう。

はたして秀吉と官兵衛が敢行した過酷な「渇え殺し」とは?

 


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鳥取城のツネイエ

◆そもそも鳥取城はなぜ秀吉に囲まれたのか?

それは1581年、織田軍(秀吉)の西進に対して鳥取城主の山名豊国が降伏しようとしたところ、家臣の森下道誉・中村春続に追放されてしまったからです。

この両者は毛利を頼り、その結果、吉川元春の命で派遣されてきたのが吉川経家だったのです。吉川晃司じゃござーせん。

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吉川経家さんはすでに悟っていたのでしょう。

城へ出向くときには首桶も持参していたとされ、ここから経家も含めた鳥取の悲劇が始まるのです。

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戦略

◆鳥取城を攻める前、秀吉と官兵衛は隣国の商人を使い、米を買い漁ったという話があります。それが事実であれば、買取相場は不明ですが、かなりの高値だったのでしょう。

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城兵たちはモノの見事に策略に引っかかり、城内の米を売却。

秀吉軍に囲まれたとき、すでに備蓄米は平時の3ヶ月分しかなかく、実際には戦時だったため、1ヶ月分ほどしか残ってなかったと言います。なぜなら周辺の農民たちも逃げ込んできたからです。

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官兵衛と秀吉に米を高値で買ってもらい、それが何倍もの仕打ちになって帰ってきたんすな。経家さんが悲惨すぎる……。

 

◆【三木城の干し殺し】と同様、秀吉と官兵衛は鳥取城に対して徹底的に「付城(見張り用の砦)」作戦を進め、水路・陸路からの補給を遮断しました。

みるみるうちに飢えていく鳥取城。親兄弟も関係なく死者の肉を漁るほどの地獄絵図になったと伝えられております。

大河ドラマで流さないワケですな。

でもね、史実は史実として伝えるべきだと思うんですよね。誰だって二度とこんな悲劇は望まないわけで……。

 


決着

◆援軍もままならず、死者の肉を喰らいあう惨状の中、究極まで粘った吉川経家さん。

結局、降伏の道を選ばざるを得ませんでした。

天正9年(1581年)10月。
6月の開戦から実に4ヶ月間、真夏の包囲網に耐えた精神力は驚くべきものがあります。

降伏の条件は、城兵の命と引き換えに責任者たちが切腹――。

というもので、後の清水宗治さんとソックリな状況ですが、少し事情が違ったのは、このとき信長と秀吉は吉川経家の命を救おうとしていたことでしょう。当初、切腹までは言っていなかったのです。

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ところが、経家さんは秀吉からの打診に対して首をタテにふらず、自身が責任を取るとして腹を切りました。その後、首は信長の元へ送られ、丁重に葬られたとか。

ひるがえって現代。
臭いものにフタをしてしまった結果、その中に埋もれていた美談まで腐らせてしまったとしたら、やはり国民的ドラマとしては反省すべき点ではないでしょうか。

ちなみに、経家の子孫はその後、鳥取藩池田家の家臣として江戸時代を通して現代まで残り、笑点の前司会者(桂歌丸さんの前)・五代目三遊亭圓楽さんがその血筋だったと言います。

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本連載の過去作品→戦国ブギウギ
もう一つのマンガ連載→日本史ブギウギ

著者:アニィたかはし
文:五十嵐利休

書籍版『戦国ブギウギ』です!

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アニィたかはし

漫画家。現在は武将ジャパンにて、まんが『大河ブギウギ べらぼう編』シリーズを連載中。 2014年より歴史漫画家として活動を開始し、2015年には連載作品をまとめた商業コミック『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社)を全国発売。 以降、独自のポップ表現と歴史知識を融合させた「ブギウギシリーズ」を継続し、戦国・江戸・幕末など幅広い時代を題材とした作品を制作している。 2024年からは大河ドラマの各回を題材にした“ドラマ考証型マンガ”へと表現領域を拡大し、作品の幅をさらに広げている。 ◆主な著書 『織田信長の戦国ブギウギ』(鉄人社、2015年、ISBN:978-4865370324) ◆国立国会図書館データ https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/001200494

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