麒麟がくる感想 斎藤家

大河ドラマ『国盗り物語』の道三や信長を知れば『麒麟がくる』も面白くなる!

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シンクロする人物像と視聴者

そんな『国盗り物語』と『麒麟がくる』の道三像を比較すると、明確に変化があります。

『麒麟がくる』の道三は、本人が油売りではなく、父親が油売りなのです。

女主人をたらしこんだとしても、それはあくまで父親のことではあります。どういう手段で成り上がったのかは不明ですが、モテるとは言われません。

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道三を演じているのは、本木雅弘さん。

言うまでもなく美形であり、大河主演経験者でもあります(1998年・37作目『徳川慶喜』)。

彼の演じる道三が女たらしであるということは言及されていないように思えます。

むしろライバルの織田信秀の方が、伊呂波太夫あたりと楽しい時間を過ごしていたとされるほど。

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性格を比較しても、明るくフランクな信秀と、女たらしどころか友達すらいないような道三では、かなり違いがあるのです。

深芳野という側室が出てくることは確かなのですが、彼女相手にもあまりコミニケーションが取れていなかったようではありました。

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我が子・斎藤高政斎藤義龍)との間柄もギクシャクとしたものでした。

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『国盗り物語』の道三が、高いコミニケーション能力、たらしのうまさを持つとすれば?

『麒麟がくる』は、むしろコミニケーションができない、不器用ぼっち。

興味深いことに、これは演じる役者さんにも通じるものを感じます。

『国盗り物語』の平幹二朗さんは、信長に扮した高橋英樹さんの「若さがうらやましい」と語り残しています。

一方、本木雅弘さんは、義龍役・伊藤英明さんの若さをうらやましながらも、演技面ではむしろ自己の中の理想とのズレに悩んでいたと明かされています。

NHKの人気番組『プロフェッショナル』に登場したときに見せた本木さんの素顔は、思うように道三を演じられずに悶々と悩む姿でした。

演じる像も、演じる側も、時代とともに変化する。

令和の道三は、昭和よりも暗くてストイックになり、興味深いものがありました。

息子・義龍や稲葉良通ら家臣からは露骨に嫌われ、光秀からすら罵倒される道三。

“稀代のたらし”どころか、ムカつくドケチマムシになった道三。

なぜこうなった?

そこには製作側の何らかの意図があるはずなのです。

『国盗り物語』の斎藤道三像には、史実以外のモデルもいたとされています。

「今太閤」と称された田中角栄です。

パワーが漲り、のし上がる実力がある。そんな政治家像とシンクロする道三を描く野心がそこにはありました。登りゆく英雄像は、戦後復興が軌道に乗り、経済成長に酔いしれる視聴者の気持ちともシンクロしたのです。

となると、令和現在、視聴者は『麒麟がくる』のどのあたりに共感を寄せるべきなのでしょうか?

我が子・義龍の「偽り」を愚かであると罵倒する道三か?

妻・帰蝶に褒めてもらえると、無邪気な笑みを見せる信長か?

ドケチ上司や蹴鞠上司に苛立つ光秀か?

大河の英雄像と、その時代を生きる視聴者像にも、きっと何かシンクロする要素はあるはずなのです。

 

斬新な映像技術を求めて

大河ドラマは、伝統的なようで常に斬新な要素を追求するものでもあります。

『国盗り物語』では、初めてハンディカメラが導入されました。それまでのカメラは重たく、台座があって、セット内に持ち込めなかったのです。

しかし、本作はあえてそこに挑みました。PCP90というハンディカメラを果敢に持ち込んだのです。

わずか9キロ、アメリカから輸入されたこのカメラは、札幌オリンピックや政治家の記者会見で利用されていたものでした。

ドラマとしては史上初です。

かぶりつきで撮影できる映像は、映像に臨場感をもたらしました。

その一方で、カメラマンに槍や刀が当たったり、役者と接触することもあったとか。技術的にも映像伝送が難しいものがありました。

そんなデメリットを上回る、迫力と斬新性というメリットゆえに、ハンディカメラは確信をもたらしたのです。

『麒麟がくる』の「桶狭間の戦い」では、毛利新介が高く飛び上がり、今川義元にとどめを刺す場面が話題となりました。

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あの場面はワイヤーアクションを使用しています。

歴史を描くものであろうと、技術は最新鋭のものではならない。

それでこそ、見る側を驚かせることができる!

その点では『国盗り物語』も『麒麟がくる』も一致します。

 

「時代世話」の伝統

『国盗り物語』の人物を見ていくと、原作・司馬遼太郎『梟の城』から忍者・葛籠重蔵が登場します。

他にも忍者や庶民が登場しております。

『麒麟がくる』における菊丸、駒や望月東庵の場面を「いらない」と評することもあるようですが、『国盗り物語』にも彼らのような人物は登場していたのですね。

いつの間にか、こうした人物たちは「オリキャラ」等と呼ばれ、ときに本筋を邪魔するものとして扱われるようになりました。

大河ドラマはもともとオリキャラは少なく、そうした作品しか知らない視聴者にとってはノイズになってしまうのかもしれません。

しかし、ここで考えたいことがあります。

歌舞伎や浄瑠璃のような、日本の伝統的な芸能に、彼らのような人物はつきものでした。

歴史上の人物を扱う「時代物」に対して、名もなき庶民の生き方を描く「世話物」というジャンルがあります。

「時代物」であっても、当時の庶民の姿や時代背景を描くために、「世話物」の要素を加えることは定番の手法でした。歴史小説でも、こうした技法はもちろんあります。

ところがどういうわけか、大河ではあまりやらなかったために『麒麟がくる』がおかしいというバッシングされているようです。

実のところ『麒麟がくる』は、斬新さと伝統的な部分を混じえつつ作成されているんですね。

『国盗り物語』と通じる要素もあれば、意図的に変化させていることもある。最新研究の反映もあれば、作品としての挑戦要素もあるのです。

それだけに6月21日の代替放送で『国盗り物語』の名シーンが流されることは、今後『麒麟がくる』をより深く楽しむために良い機会なのではないか――そう思う次第でもあります。

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文:武者震之助

【参考】
『国盗り物語』※amazonプライムでご覧いただけます(→link

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