絵・くらたにゆきこ

織田家

なぜ信長は何度も裏切られたのか『不器用すぎた天下人』を読めば疑問がスッキリ

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
不器用すぎた天下人
をクリックお願いします。

 


不器用って、自信の裏返しかもかもな

本書を読むと、絶妙な喩えのおかげで、四百年以上前の信長像が「人間臭く、ちょっとダメなんだな」と思えてきます。

されど筆者は極めて真面目に、信長の外交や人付き合いに何が欠落していたか、分析を続けます。

分析の中身は是非とも手に取ってお確かめください。

ざっくりと本書をふまえて私の主観でまとめてしまうと、

『信長は自信がある男なんだな』

ということです。

織田信長/wikipediaより引用

相手にとって嫌なことをして多少ムッとされても、それに気づくどころか「でも俺相手にこいつが裏切るわけがないよな!」と信じ込んでしまう。

自分や相手との関係に自信がないと、言動の端々をチェックして「嫌われたのかな?」と顔色をうかがうようになるわけですが、信長にはそういうところはないわけです。

信長って結構優しいかも?というのも近年言われていますね。

本書でも裏切りの第一報を聞いた時に「まさかそんなことないよな!」と驚き、相手の弁解を聞くワンチャンスを与えようとすると指摘されています。

このあたり、自信と育ちのよさがあるのだと思いました。

 


本書の通奏低音としてRADWIMPS

豊臣秀吉と比較するとわかりやすいかもしれません。

信長と違い、秀吉はコンプレックスの塊とも言え、何かあれば『相手に侮られ、逆らわれるのではないか?』と考えていたのではないでしょうか。

それゆえ、その素振りを見せただけで、ワンチャン与えず処断してしまう、と。

豊臣秀吉/wikipediaより引用

ちなみに筆者は、本書の通奏低音としてRADWIMPS「億万長者」をあげています。

本書を読み、信長の一生を思い、この曲を聴くと不覚にもウルッと来てしまいます。

凄く気になるでしょう?

本当に面白いんですよ。

私のレビューはふざけているかもしれませんが、中身は極めて真面目な信長の分析論です。

笑って泣けて、スッキリ!

戦国ファンの皆様なら、ユニークな信長論は絶対損をさせませんよ!


あわせて読みたい関連記事

織田信長
尾張の戦国大名・織田信長49年の生涯~数多の難敵と対峙し天下人になるまでの道

続きを見る

徳川家康の生涯
三河の戦国大名・徳川家康の生涯~人質から天下人になるまで苦難の道を辿る

続きを見る

豊臣秀吉
足軽から天下人へ日本一出世した豊臣秀吉の生涯 ド派手な逸話はどこまで史実か?

続きを見る

浅井長政
信長を裏切り滅ぼされた浅井長政29年の生涯~その血脈は三姉妹から皇室へ続いた

続きを見る

武田信玄
武田信玄は最強の戦国大名と言えるのか? 戦歴を中心に振り返る53年の生涯

続きを見る

信長を2度も裏切った松永久秀は梟雄というより智将である~爆死もしていない!

続きを見る

文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

金子拓『織田信長 不器用すぎた天下人』(→amazon

TOPページへ


 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

小檜山青

東洋史専攻。歴史系のドラマ、映画は昔から好きで鑑賞本数が多い方と自認。最近は華流ドラマが気になっており、武侠ものが特に好き。 コーエーテクモゲース『信長の野望 大志』カレンダー、『三国志14』アートブック、2024年度版『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『覆流年』紹介記事執筆等。

-織田家
-