大河ドラマ『麒麟がくる』で本木雅弘さんが演じられ、序盤は主役以上にインパクトがあった斎藤道三。
信長や秀吉、あるいは信玄や謙信たちより時代が早い、戦国草創期の下剋上武将として知られ、弘治2年(1556年)4月20日に亡くなっています。
これまでは北条早雲あたりと一緒に語られたりしてきました。
しかし最近は、事情が変わりつつあります。
北条早雲は、実は「伊勢宗瑞」という名であり、室町幕府のエリート武士だったことが知られてきました。
※以下は北条早雲の関連記事となります
北条早雲はどうやって戦乱の関東に拠点を築いた?正体は幕府のエリート伊勢宗瑞
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そして斎藤道三もまた、
【一代ではなく二代で下剋上を成し遂げた】
という説が脚光を浴びております。
こうなると頭が混乱してきますが、まずは
「斎藤道三がどんな人物だったのか? どんな生涯だったのか?」
を確認しつつ、二代説についても見て参りましょう。
※「道三」と名乗ったのは晩年のわずかな期間ですが、最も有名なので統一します
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斎藤道三は【北面の武士】家系だった?
下剋上の代表例とされ、さらには織田信長の妻・帰蝶(濃姫)の父というビッグな経歴の斎藤道三。
信長の妻で道三の娘である帰蝶(濃姫)史実ではどんな女性だった?
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「美濃の蝮(まむし)」という一歩間違えれば厨二病扱いされる異名だけでなく、「息子に殺される」という悲劇的な最期を遂げており、どこから見てもネタだらけな御方です。
生年は、一応この段階では俗説の1494年としておきます(詳細は後述)。
道三の先祖は、代々【北面の武士】を務めたということになっています。北面の武士とは、もともとは比叡山の突撃を防止するため、院政の時代に登用された部隊であり、保元の乱あたりで話題になりますね。
しかし、父の代に何らかの理由で浪人となり、山城国乙訓郡西岡へ。
いったい何があったか意味不明ですが、道三は11歳で京都の妙覚寺に入って「法蓮房」を称したとされています。
ここもしばらくして去り、結局、還俗(僧侶から一般社会へ戻ること)。
西岡に帰ると今度は、油問屋の奈良屋又兵衛の娘と結婚して、「山崎屋」という屋号の油商人となりました。
ですので、生粋の商人でもないんですよね。
武士の家系だとしたら、元からその素養も備わっていたのかもしれません。
守護家の土岐氏に取り入って
いずれにせよ油売りに従事しながら行商の旅にも出ていると、ある日、美濃でかつての弟弟子・日護房に再会、彼の紹介で美濃守護・土岐氏の老臣である長井長弘へ仕えるようになりました。
どうやって取り入ったのか不明ながら、道三の下剋上LIFEの始まりです。
長井長弘は、道三の才能と武技を気に入り、守護である土岐政房の長男・土岐政頼(盛頼・頼武とも)と、その弟・土岐頼芸に目通りさせました。
マムシの道三に国を追われ 信玄に拾われた土岐頼芸~美濃の戦国大名83年の生涯
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話がトントン拍子に行き過ぎな気もしますが、細かい経緯は記録されないので仕方ないですね。
このときの反応は、兄・政頼が「コイツ、只者じゃなさそうだから近寄りたくないわ」(超訳)とお断りモードだったのに対し、弟・土岐頼芸は道三を気に入ったのだとか。
兄弟で真逆な評価というのも面白いですが、後々のことを考えるとさらに……。
美濃守護となった頼芸が邪魔になり……?
土岐氏ではその後、家督争いが勃発します。
「トーチャン(政房)が、兄の政頼よりも弟の頼芸を可愛がり、跡を継がせたかったから」という武家(特に源氏)にありがちな定番トラブルです。
結局ここでは土岐政頼が勝ち、美濃守護の座をゲット。
しかし、頼芸に気に入られていた道三としては、何とかして政頼を追い出して頼芸を守護にし、自分も成り上がりたい!わけです。
そこでこっそりと戦の準備に着手。
大永七年(1527年)8月、5,500の兵を揃えると、政頼に夜襲を仕掛けて、美濃から追い出すことに成功しました。
政頼は命からがら、越前・朝倉孝景の元へと落ち延びていきます。まぁ、命を奪っていないだけ、まだ優しい気もしますね。
これで晴れて土岐頼芸が美濃守護であります。
道三の目論見どおりなワケです。
しかし、実務は長井長弘らが請け負っており、土岐頼芸を守護にしただけでは道三にオイシイ話は回ってきません。
となれば邪魔者は決まってますよね……。
そ、そうです。
土岐氏代々の重臣であり、道三を頼芸に引き合わせた長井長弘。そもそも道三を取り立てた恩人のハズです。
しかし思い出してください、道三の厨二病的な通り名を。
「マムシ」に躊躇なんぞはありません。
かくして享禄三年(1530年)正月。
道三は、政務怠慢など理由に長井長弘夫妻を殺害し、同家を乗っ取ってしまいました。
「長弘が越前の土岐政頼と内通したので上意討ちにした」という説もありますが、はてさて。
ともかくここから道三の飛躍は加速していきます。それは……。
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