戦国史を現代風に大胆アレンジして楽しむマンガ『戦国ブギウギNEO』の第34話は森蘭丸に注目!
織田信長の色小姓として知られる美形イメージの武将。
実際は、信長の信頼厚い森家の男児ゆえに重用されたのであり、本人も後に5万石の大名となる程です。
今回は、信長と森蘭丸のエピソードを漫画で振り返ってみましょう!
スパイ活動

◆織田信長と上杉謙信が敵対していた頃の話です。
森蘭丸が虚無僧に姿を変え、越後へ潜入。
これなら怪しまれずに敵地を視察できる……と思いきや、謙信の前に立った途端、あっさり見破られてしまうという話です。
森家の家譜に載せられた話で、完全な創作ですね。
謙信が死んだのは天正六年(1578年)で、蘭丸が信長に重んじられるようになるのはその翌年からでした。
史実からすると荒唐無稽そのものですが、蘭丸伝説はどれもこれも非常に面白くて困ります。
妙国寺の蘇鉄

◆安土城を築いた信長。
堺の妙国寺に植えられていた大蘇鉄を気に入り、城内へ移植させたのですが、その後、夜になると庭先から妙な声が聞こえてくるように……。
蘭丸に確かめさせたところ、蘇鉄は泣きながら訴えます。
「妙国寺へ帰りたい……」
激怒した信長が、配下に切り倒すよう命じると、今度は切り口から鮮血が流れ出し、命じられた者は吐血して倒れてしまう。
さすがの信長も気味が悪くなり、蘇鉄を妙国寺へ返した――というお話です。
出典は『絵本太閤記』などで、蘇鉄は今なお堺の妙国寺にあって、国の天然記念物に指定されている点が素晴らしい。
樹高5メートル。
「夜泣きの蘇鉄」として地元民に愛されているようです。
それにしても、泣いている木に近づいて声を聞き取った蘭丸は、怖くなかったんでしょうか。
足の爪

◆信長が足の爪を切ったあと、蘭丸が拾い集めて数えました。
すると、一枚足りない……。
普通なら「まぁいいか」で済ませるところですが、納得しない蘭丸は辺りを探し回り、ついに残りの一枚を発見したと伝わります。
爪一枚と言えども、主君の身体の一部と言える。
それが行方不明であれば、必死に探さねばならない。
という話ですが、もともとは『備前老人物語』に載る無名の小姓の話で、それが江戸時代に森蘭丸バージョンへ差し替えられたようです。
みかん

◆森蘭丸が、贈り物みかんを山盛りにした盆を運んでいたときのこと。
信長が「多すぎる、転ぶぞ」と声をかけました。
ところが蘭丸は気にする様子もなく運び続け、案の定、途中でつまずいて盆をひっくり返してしまいます。
主君の忠告を聞かなかった不忠者――に見えますが、ここからが蘭丸の本領発揮。
彼はわざと転んでみせたのだと伝わります。
もし転ばなければ、信長の「転ぶぞ」という見立てが外れたことになる。そんな恥を主君にかかせないため、自分から転んだ。そういう斜め上を行く発想でした。
上司のご機嫌取りとは少し違いますかね。
信長が何を言い、それが人前でどう響くかまで計算して動く。
近習という仕事の極致かもしれません。
覚悟

◆ラストは、本連載定番の「信長&光秀フリートーク」です。
後に本能寺の変を起こす光秀は、やはり普段から信長のもとで凄まじいプレッシャーを受けていたのでしょうか。
確かにルイス・フロイスの信長評を見ると凄いんですよね。
「戦を好み、軍事鍛錬を怠らず、名誉を重んじ、処罰に厳しい。侮辱されれば必ず仕返しする」
「気は短いが、普段は穏やか。家臣の進言をほとんど聞かず、日本中の大名を見下していた」
こんなん怖すぎるでしょ。
フロイスもよく書けたな。
なお、森蘭丸の生涯については以下に関連記事がございますので、よろしければ併せてご覧ください。
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森蘭丸は信長の色小姓だった?5万石の大名で外交も担った側近の実像
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※著者・アニィたかはしの『大河ブギウギ豊臣兄弟編Youtube』はこちらから👇️
参考文献
- 谷口克広『信長の親衛隊 戦国覇者の多彩な人材』(1998年12月 中央公論社)
- 清水克行『耳鼻削ぎの日本史』(2019年4月 文藝春秋)
- 日本史史料研究会/渡邊大門『信長軍の合戦史』(2016年5月 吉川弘文館)
- 洋泉社編集部『ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀』(2015年12月 洋泉社)
- 林屋辰三郎『日本の歴史12 天下一統』(2005年4月 中央公論社)
文:五十嵐利休


