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【日本史陰謀論】
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水戸学こそビジネスに最適
ビジネスと結び付けられた、何らかの歴史的要素も取扱注意です。
例えば、以下のような文言を見かけたらどう思われます?
何と言っても政府のお墨付きであり、その人物が信じたものなら間違いない。
水戸学は素晴らしいんだ!と信じてしまうかもしれません。
では、ジョブスについてこう記されていたら?
あのアップルの創設者、世界を変えたスティーブ・ジョブス。
彼が愛したヒッピーの思想こそ、今の世界にふさわしい知恵が詰まっています。
眉をしかめるアップルファンも少なくないでしょう。
ジョブスはヒッピー文化やヨガ、スピリチュアルティと距離が近いことでも知られています。
しかし、ジョブスが実践していたからといって、真似る気にはなりません。
実は、渋沢栄一と水戸学もこの典型例と言えるのです。
幕末の豪農層だった渋沢は、幼少期より教育を受けられる環境にはいました。
しかし、武士の子のように徹底した教育を叩き込まれるわけではなく、その結果、陽明学や水戸学にハマっていきます。いわばファッション感覚ですね。
問題なのは、こうした思想がテロリズムに直結していたことでしょう。
若い頃の渋沢は横浜焼き討ち計画を練るほどでした。
水戸学は危険です。
なんせ水戸学の信奉者であった徳川斉昭が、領内で廃仏毀釈を断行し、鋳潰した鐘や仏像で大砲を作ったほど。
実際に、天狗党がその大砲を撃ってみたところ、ヘロヘロとしか飛ばず、笑いものになったと語り残されています。
ともかく「我々こそが水戸学を継ぐものだ!」として、尊皇攘夷を掲げた天狗党は【天狗党の乱】で壊滅。
途中、助けを求める嘆願書を渋沢栄一は握り潰し、最晩年になってようやく追悼しています。
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では、なぜ渋沢は、ビジネスで大成功できたのか?
『論語と算盤』を出したからには儒教の影響か?と考えたくなるかもしれませんが、それも見当違いであり、早い話が人脈でしょう。
同じ思想を信奉する伊藤博文ら長州藩士と水戸天狗党は繋がりがあり、その人脈を頼ったと考えれば辻褄は合います。
幕臣の子である幸田露伴は、渋沢の伝記執筆後、彼については一切語ろうとしなかったと言います。
徳川慶喜に幕臣として仕え、水戸天狗党とも親しいのに、明治以降は長州との人脈頼りで大富豪となった人物に対し、下手なことが言えなくなっても仕方ありませんね。
渋沢栄一のビジネス理論については、そもそも留保した方がよいかと思います。
帝国主義のもとでの資本主義とは、労働者の人権や環境への影響は二の次にして罷り通ったものであり、現代には通じません。
水戸学は現代ビジネスにおいて何の役にも立たない。
むしろ押し出すことで陰謀論仲間を引き寄せかねませんので、ご注意ください。
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マクロビオティックでガンが治る?
穀物・野菜・海藻などを中心とした食事のマクロビオティックでガンが治る!
んなもん日本史とは関係ないでしょ? と思われるかもしれませんが、さにあらず。
マクロビオティックとは、桜沢如一(ゆきかず/海外ではジョージ・オーサワと名乗る)という日本人が、石塚左玄という軍医の食養論を発展させたものです。
その背景を歴史的に考えてみましょう。
明治維新以降、日本人は自国の食事に劣等感を抱きました。
夏目漱石が典型例で「こんなものを食べているから駄目なんだ!」と嘆くほど。その痕跡は著作にも現れています。
洋食だ! 肉食だ!
と前のめりになっていた当時において、逆の動きを目指すカウンターも生まれます。
日露戦争に勝利すると、日本の神秘ブームが世界的に広がり、食事にも東洋思想が組み込まれていったのです。
そう、マクロビオティックには東洋思想・陰陽が根底にあるのです。
陰陽五行を食材や漢方薬に当てはめる思想は、確かに東洋では古来から。
「医食同源」は中国料理および医学の基本ですね。
しかし、マクロビオティックはそこから理論が飛躍していて、激しい自己流解釈を進めていった。
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こうした“東洋の神秘”は、陰謀論に流されやすい特質を持っています。
1960年代、アメリカではカウンターカルチャーが一世を風靡しました。
ゼンとか、ヨガとか、彼らはメインカルチャーに対抗すべく、東洋の神秘に流された。
それも大雑把に、
「あのインドの神秘を取り入れた、少林寺の禅こそ、サムライのハートの底にある!」
なんて調子で、低品質な事象が平気で取り込まれてゆく。『ニンジャ・スレイヤー』は、トンデモ日本の源流かもしれませんね。
桜沢如一は商才に富んでおりますので、マクロビオティックも禅と結びつけます。
海外での入門書はズバリ『ゼン・マクロビオティック』!
東洋の神秘を実践したこの食事を取り入れれば、西洋医学では治らない病からも回復できる――そんなトンデモ陰謀論はかくして出来上がりました。
今では「ハリウッドのあのセレブも夢中!」と喧伝され、ダイエットやらなにやらの名目で逆輸入されるのですから恐ろしいものです。
陰謀論の世界一周ですね。
Y染色体が引き継がれない女系天皇論はダメ?
女系天皇がなぜダメか? それは男系だけに受け継がれるY染色体が大事です!
東洋に西洋科学を混ぜる――典型的な陰謀論者テクニックであり、染色体の話もそうでしょう。
理系的なアプローチは散々突っ込まれているので、詳しい方にお任せして、今回は歴史から見ていきますと……。
Y染色体の発見は20世紀です。
「明治時代に二転三転しながら男系に絞った際に、Y染色体のことなんて誰も知らない」
これ一発で結論が出ますが、もうひとつ「五日市憲法案」にも注目しますと……。
2013年に美智子皇后(現上皇后)さまが、「五日市憲法草案」について思い出していたと回答しました。
明治14年(1881年)に自由民権運動活動家らが起草した憲法であり、女系天皇を認めることが書かれています。
敢えてこの憲法案を持ち出したからこそ、ニュースになったんですね。
なぜ宮内庁がわざわざ公表したのか?
その意図は明らかでしょう。
さらにもうひとつ別角度からアプローチしましょう。
明治政府はなぜ男性・男系天皇に限ったのか?
「欧米列強と競い合うならば、男性的なマッチョイズムで国家を背負わせた方がいい」
そう考えたと説明され、実際その通りでした。
孝明天皇までの天皇は女性的。化粧をして御簾の奥にいたものです。
それが西洋列強では、王族が軍隊に入り、馬に跨って指揮を執る。
つまり、日本古来の伝統よりも、西洋列強の目線を意識したわけですね。
馬車にせよ、ティアラにせよ、ドレスにせよ、宮中晩餐会のフランス料理にせよ、日本の伝統とは関係ありません。
そんな理由で男系に固定されましたが、実は当時から突っ込まれています。
「女系を認めないと、皇位継承が難しくなりますよ。いつまでも男子だけ生まれるわけではありません」
「イギリスあたりが長持ちしているのは、他国の王室と姻戚関係ができているからです。断絶したら女系を頼って連れてくる。日本はそうじゃないでしょ」
「だいたい、イギリスはヴィクトリア女王の統治下で絶好調でしたよ~」
イギリス王室を持ち出した理由はあります。
彼の国でもヘンリー8世は長いこと女児しかおらず、これじゃあ弱いと男子を求めて離婚と結婚、妻処刑を繰り返したわけですね。
ヘンリー8世の離再離再婚でぐだぐだ~イングランドの宗教改革500年
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ところがどっこい、ヘンリー8世の娘であるメアリーもエリザベスも辣腕をふるいました。
時代が降り、近代ともなりますと、君主の器云々を問うことすらナンセンス。
問題は国を支える臣民の質ですから。
そんなツッコミどころ満載の理論に、当時のプロイセン人も懸念を示しましたが、井上毅あたりが中心となって押し通しました。
明治政府って、血気盛んな薩長中心とした若手政治家が揃ったため、思考回路がマッチョなんですね。
彼らは京都で酒と女を楽しむ合間に政治劇を主導していた。そのクセが抜けない。
なんせ明治天皇は、伊藤博文のノリノリ女遊びを叱りつけたくらいです。それでも治りませんでしたが。
女好きがもはや異常レベルの伊藤博文~女を掃いて捨てる箒と呼ばれ
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そういうノリと勢いで男系にしたわけで、理論強化のため、後にY染色体が持ち出されたのでしょうけど、そういう方には以下のリンクでご対応ください。
◆【”愛子天皇”は是か非か】「男系男子のY染色体を持ち出すなら生殖医療もOKなのですか?」中野信子氏インタビュー 令和皇室、最大の”宿題”をどう考えるか(→link)
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