どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第26回「ぶらり富士遊覧」

2023/07/10

天正9年(1581年)、武田方の高天神城が徳川軍に包囲されています。

食糧も尽き、援軍も望めない危機的状況。

すべては勝頼がマザーセナに背いたからでしょうか。

あの素っ頓狂なナレーションも復活しました。本作の果断であったナレーション消滅も無しですか……。

 


どうする月代

頭部の毛を剃り、家康が月代にしています。

磯氏がチーフプロデューサーの大河ドラマは、なぜ服飾に過剰な意味を持たせるのでしょう。

覚悟を決めたように剃った。そう思えて、月代の在り方に誤解が生じませんかね?

さっさと髷を結えばいいのに、なぜか垂らしたままで話す家康もマナー違反に感じられてなりません。

おまけにヘアメイクをしているとはっきりわかるのは、現場の士気が低いからでは?とも勘繰りたくなります。

 


あらすじ:おじさん構文バージョン

オイラの、最愛の瀬名チャンが死んじゃった! うそーーーーーーーーーーーーん!!!

悲しいよぅ……ぴえん( T_T)\(^-^ )それなのに家康チャンは、やる気がないしww

そりゃ、みんな怒るヨネ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾激おこぷんぷん丸www

脳筋クズ野郎だった、DQN武田勝頼は、滅びてザマァww 家康チャンは富士で、遊ぶってよw

富士山で、殺しあいをした、鎌倉ナントカとか、本当に日曜夜のテンションを下げたよね♪(´ε` )

空気読めっていうか、ふつー、大河で殺し合いとか、みたくないヨネ( ´Д`)y━・~~

今年はワクワク^ - ^しかも、かわいい愛チャンが、笛を吹いてくれるww

ヤッパリリゾートといえば、美女とムフフ( ✌︎'ω')✌︎男はみんなそういう楽しみが欲しい^ - ^

そんなわがままな要求に答えてくれる神回ダネ!『どうする家康』って毎回神回だもんネ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

なお、神回認定は公式で行なっております。

◆“松本潤×有村架純”の神回は紀行までも秀逸(→link

理解できないのは、私のような邪教徒クソレビュアーってことですね。

余談ですが、現在、炎上中である以下の記事を読みながら、

◆【ガチゆえに】タリーズの店員さんに「自腹で飲むくらいオススメのドリンク」を聞いたらスタバと対応が違い過ぎて心が折れた(→link

『どうする家康』のことを思い出してしまいました。

80年代で止まったサブカルセンスで作っているという共通点がありませんか?

ナウなヤングにバカウケ!

 

どうする秀吉

家康が豹変して落ち着きが出たせいか、以前より少しマシになった――そんな声を見かけました。

そうなれば嬉しいことであり、後半は持ち直すのか。

と、そこでガックリさせられるのが豊臣秀吉です。

「人たらし」と称され、裸一貫から天下人になった秀吉の才知は、突出していて振り返るまでもないと思っていたのですが、今年はあまりにゲス野郎で唖然としてしまう。

しかもこの秀吉のいやらしさって、

「ホラww お前らww こういうゲス悪役好きだろwww」

という打算が見え見えのところなんですよね。

わざとらしいほどドーランで黒くした顔。もじゃもじゃ頭。見ているだけでウンザリします。

今回から弟の秀長も出てきましたが、秀吉に寄せたモブにしか見えませんでした。

 


どうする地図

もう突っ込むのも飽きたけど、まだ言いますよ。

地図があまりに雑すぎます。

わじゃわじゃした図面が生理的に気持ち悪い。

進軍というより害虫が這いずり回っている様にも見えてしまう。

こんなところで奇をてらう必要など全くないでしょうよ。コーエーテクモゲームスさん並のクオリティでなくても、せめて普通に見られる地図にして欲しい。

 

どうする敗走と千葉真一さんの利用

今川氏真の時も思ったのですが、本作は、敗走時の将兵が、紛れるとか隠れるとか、そういう発想が一切ない。

あんな真っ赤な陣羽織を着ている武田勝頼では愚かにしか思えません。

そして勝頼のセリフがおかしい。

自分で「信玄が全てを注ぎ込んだ至高の逸材」とか言いますか?

隣で穴山信君が驚いた顔を浮かべていましたが、心の中で『海原雄山か!』とか突っ込んでいたんじゃないですかね。ったく、大喜利じゃないんだから。

THE美味しん本 海原雄山至高の極意編(→amazon

武田勝頼の死についていえば、要するに、演じる眞栄田郷敦さんのイメージ戦略ありきとしか思えません。

映画『300』のスパルタ勢みたいなノリで、なぜそれを大河ドラマで再現してしまうのか。あの作品、時代考証が無茶苦茶でギリシャ人が爆笑したネタ枠扱いです。

今回で退場となる眞栄田郷敦さんについては、磯氏が起用理由を熱く語っておりました。

◆「どうする家康」“新・勝頼像”に眞栄田郷敦「運命的」CP語る起用理由「風林火山」千葉真一さんとの縁も(→link

そして、この前の『ファミリーヒストリー』では、眞栄田郷敦さんが登場されていました。

私は、眞栄田郷敦さんの父である千葉真一さんの大ファンです。彼の逸話を見ていて、興味深いと思えたことは確かでした。

しかし、それを『どうする家康』に露骨なまでに落とし込んでいるのがわかって、思わず眉間に皺が寄ってしまいました。

インタビューで磯氏は勝頼に関する新説だのなんだの、持ち出しています。

確かに勝頼暗愚説は否定されています。

ただし、その際に触れられる要素としては、勝頼には信玄の残した負の遺産がのしかかっていたことがあげられます。

そういう要素は全く触れず、義信の名前すら出さず、信玄が最初から勝頼を寵愛していたように描いたのが『どうする家康』です。

なぜそうなったのか?

偉大なる父が可愛がった息子という、演じる側にあわせた都合だとはっきりしました。

『ファミリーヒストリー』で挿入された劇中の場面を見ると、むしろ千葉真一さんの急死すら味付けのためのネタ扱いにしていると思えました。

視聴者が演者とドラマを重ね合わせるように意識している、と。

これではあまりに失礼。そして、日本の芸能界は大丈夫なのか?と唖然とするばかり。海外では、こういうことはやらなくなっています。

『SHERLOCK』でブレイクしたベネディクト・カンバーバッチは、両親ともに大スターです。

しかし本人は二世であることを押し出さず、地道にキャリアを積んできました。

あえて芸名を用いて、二世であることを隠すことが海外では多い。前面的にあえて出さないのです。

Amazonプライムの作品『MAGI』では、大河主演経験のある緒方直人さんと、緒方敦さんが共演していたにもかかわらず、宣伝ではそこを強調していません。

海外の宣伝戦略を取り入れているし、あえて大河ではなくAmazonを見据えたところに、覚悟の強さを感じたものです。

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そういう覚悟とは異なる二世起用宣伝戦略を、眞栄田郷敦さんで見せられています。

むろん彼は全く悪くありません。千葉真一さんの死まで、宣伝戦略に落とし込むような作り方をした制作者サイドが悪い。

それに案の定こういう記事では、世間の勝頼ファンが今回の大河に感じている不快感は無視しますよね。

このドラマの勝頼は、全くもってろくでもなく、長篠の戦いも酷かった。

おまけに瀬名の馬鹿げたカルト慈愛の国抗争をぶち壊したせいで、卑劣で、戦うことしか知らない愚か者のようにされた。

なぜ、これほど武田勝頼を下げて描いたのか。

そのくせ『真田丸』とは違って斬新だのなんだのネットニュースが騒ぐのですから、頭を抱えたくなるばかりです。

『真田丸』の勝頼は暗愚ではありません。

少なくとも今回の下劣な勝頼よりずっと気品に溢れていて、勝頼役の平岳大さんも二世俳優ですが、前面に出すことはありませんでした。

こんな提灯記事もあります。

◆眞栄田郷敦『どうする家康』初登場 “勝頼”『真田丸』とのギャップに反響「大河史上一番強そうな勝頼」「とんでもなくかっこいい」(→link

脚本によって史上最低にされた勝頼だったと私は思います。

結局『どうする家康』って、適材適所というより、話題性だけでキャステイングしていませんか。

その点、眞栄田郷敦さんも被害者。

役者の親の死を、あんな風に扱われて、あまりにも心無い作り方です。

もしも民放がこういう暴走時代劇を作ったら、笑い者になって終わるだけだったのに、よりによって大河で……。

もう、私の脳内では、柳生十兵衛がこのドラマの制作者を斬っています。

裏柳生、口伝に曰く、 戦えば必ず勝つ。
此れ、兵法の第一義也。
人としての情けを断ちて、 神に逢うては神を斬り、 仏に逢うては仏を斬り、 然る後、初めて極意を得ん。
斯くの如くんば、 行く手を阻む者、 悪鬼羅刹の化身なりとも、 豈に、遅れを取る可けんや。

そうそう、リメイク版『柳生一族の陰謀』で、千葉さんの当たり役である柳生十兵衛を引き継いだ溝端淳平さん。

あの作品では最高に輝いていました。

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それだけに彼の時代劇作品には期待していたところ、『どうする家康』では打って変わって酷い役を演じさせられ、嘆かわしいとしか言いようがありません。

千葉真一さんのファンとして、今年の大河には怒りすら湧いてきます。

 

どうする衣装

大久保忠世の桃色がどうにも受け付けない。

『麒麟がくる』の朝倉義景が紅梅を思わせる色合いなら、こちらはスイカバー。

いかつい男(自称・色男)にピンクを着せてウケ狙いをしているんですよね?

スイカバー(→amazon

さらに、井伊万千代の赤と黒の横縞甲冑はなんでしょう。

こちらは殺虫剤あたりのパッケージを連想させますが……はて、なんだったかな。画像の引用は避けておきましょう。

本作は、イメージ像を描くのが本当に稚拙だと思います。

『鎌倉殿の13人』の作画担当者が歌川国芳と、月岡芳年ら国芳一門の弟子一同ならば、『どうする家康』は何と言うか……“いらすとや”とワードアートを用いたチラシのようなセンスと申しましょうか。

イマジナリー信玄にしても全くダメ。それでも家康より信玄のほうがマシに見えるのはどうしたものか。

月代を剃った家康は確かに変わりました。

江戸中期以降、色好みで家を潰す豪商三代目みたいな雰囲気になりましたね。

そういう土曜時代劇の主役なら、もっと演者さんの魅力を引き出せた。

しかし、これは戦国が舞台の大河です。

信長のベストにしても、どこの古着屋で調達したのか?という出来合い。

大阪のおばちゃんコーディネートを思い出してしまいました。飴ちゃんをやたらと配りそうなファッションにしてどないするん?

このノリでひらパーが広告を作ってくれるならよしとしましょう!

 

どうする遺体損壊と配慮

このドラマは、遺体損壊が好きですよね。

明智光秀に、勝頼の首をいたぶるようなゲス発言をさせて、家康を持ち上げる。

そんなことをしないと家康の魅力を引き出せないということでしょうか?

光秀って、残された逸話から察するに、そういうことをしない人だったはずで、要は『麒麟がくる』の逆張りをしたいだけですよね。

本作は初めからそうでした。

今川義元の首を槍につけて投げる信長。敵兵を踏みつける鵜殿長照。なぜ、そんな下劣な感性を前面に押し出すのか?

生首を出すにせよ、兜つけたままというのがマヌケでついていけない。実際にそういうことがあっても、あえて劇中でやらない配慮ができないものでしょうか。

公暁は、殺した源実朝の首を持ち歩いていたと記録されています。

しかし『鎌倉殿の13人』では、源実朝の首のかわりに源氏に伝わる髑髏を持ち歩くようにされていました。

このドラマを批判する側は、想像力不足で「史実」にうるさい連中だというニュースが出ています。

◆「史実からかけ離れたファンタジー」なのか?繰り返される大河ドラマの史実問題…それでも『どうする家康』が“ナシ”とは言い切れない理由(→link

記事タイトルに二度も「史実」という言葉を入れ、まるでそれだけに固執しているかのような印象。

史実にこだわる頭の固い連中が喚き散らすだけで、実は面白いドラマなんだよ、とでも誘導されていますよね。

違います。とにかくドラマとして陳腐な上に、配慮に欠けるシーンが多いから、心底受け入れられないのです。

若者や女性には受けているという誘導も好きですよね。

しかしその若者像って、平成レトロくらいで止まっていませんか?

「今の若い子はやっぱり、ドット絵絵文字が好きなんだよな〜w」

あたりで止まっているでしょう。

そういう絵文字が打てないからスマートフォンは流行しない――ドヤ顔でそう語っていた人の顔が浮かんできます。

 

どうする歌舞伎役者

歌舞伎役者と大河ドラマといえば、大変な事件がありました。

とはいえ、私は歌舞伎役者を大河に出すことには反対しません。むしろ安心できます。

彼らは和装所作がともかくうまい。現場にいれば、それだけ底上げがなされます。

つまり、主役級と近い位置に入る配役がよく、『鎌倉殿の13人』の坂東彌十郎さん、中村獅童さんがその好例でした。

皇族を演じることも多いですね。後鳥羽上皇の尾上松也さんや『麒麟がくる』の坂東玉三郎さんは適役だったし、両作品に出ていた片岡愛之助さんも実に素晴らしかった。

しかし、本作の茶屋四郎次郎は一体……。

存在を忘れたのかと思うほど出番が少なかった。

そして今年は他の役者の所作が甘いから、彼だけ浮いてしまう。むしろ大仰な動きを笑い物にしているようにすら見えます。

歌舞伎役者としての技量や経験より、『いだてん』のヒャーヒャー叫んでいた姿と、大河主演というブランド、製作者のリベンジ欲求枠に思えてきます。

今年は日本の伝統芸能が嫌いなんでしょうか。

人をガチャのカードみたいに扱う。そういう良識の無さも滲んできて、いたたまれない気持ちになります。

 

どうするアニメ

富士山へ向かう途中、小冊子を動かす、なんだかわからないアニメが入りました。

あの微笑ましいタッチは何なのでしょう。

『あまちゃん』の鉄拳さんとは違いますよ。

あれがウケるww とか思っているんだとしたら、もう絶望的にセンスがない。

中国時代劇『天意』という作品があります。SFと楚漢戦争にぶち込んだバカ時代劇であり、かなりの低予算で作られています。

ゆえに合戦シーンはアニメでカットすることが多い。

とはいえダークレッドに金色の兵士が動き回り、重々しいナレーションが重なるため、重厚感がある。

同じアニメの使い方でも、どうしてここまで差がつきますか?

 

どうする立ちっぱなし

所作といえば、このドラマは目下の人間が平気で尻を目上の相手に向けたり、立ちっぱなしで見下したりするんですよね。

基本ができていない。

 

どうする富士山

日本の霊峰・富士山が、まるで銭湯でした。

いや、銭湯には風情があるが、これはただの手抜きでは……。

富士山の前の水面がゆれていないって、あれはもう完全に絵ですよね。

 

どうする万千代

万千代のモテ描写が、昭和平成のレトロ感覚で辛い。

ボンクラで性格の悪さが滲み、自分のことを「おいら」と呼ぶこいつが、なぜモテるのか意味不明です。

確かに綺麗な顔をしている。静かに佇んでいればモテることでしょう。

それが、本作の味付けのせいで緊張感がなく、まるで武士らしさが感じられません。なぜか狡猾さだけはいつもあるんですよね。

といってもこれは彼一人の問題でもなく、スイカバーの精霊・大久保忠世もそうです。

天下国家に肉薄できる立場にいながら、考えることは女、モテ、女……なんてくだらない連中なのでしょう。

 

どうするおもてなし

またもや「えびすくい」が出てきましたね。

家康の所作からして脱力してしまいますが、笛が下手なはずの愛がピーピー吹いているのはどういうことでしょう。

彼女は当初、2~3メートル先の人物も判明できないほどキツい近眼設定でしたが、それもいつしか無くなってるし。

そんな本作の場当たり展開は今回も健在で、本業でもない茶屋に鼓を打たせてよいものでしょうか。

彼は部外者です。ただでさえ商人は複数の勢力と交流する人間であり、いつ織田や徳川の反勢力と接触していたってわからないではありませんか。

暗殺疑惑を疑われても仕方ない状況であり、おもてなしをする方の徳川としては、舞台に近づけてはならない人物です。

『麒麟がくる』では連歌会での暗殺計画。

『鎌倉殿の13人』では芸人による暗殺計画。

こういう例もあったのに、そんな状況でヘラヘラ笑う信長も、家康も、セキュリティ意識がないんですね。

それにしても愛はなんなのか。

秀忠がまだ幼いはずですよね。

このドラマは乳母を出さず、戦国時代に「三歳児神話」を持ち込んだマザーコンプレックスっぷりが持ち味だったはずなのに、愛は育児放棄ですか?

 

どうする主演の鍛錬

『麒麟がくる』の長谷川博己さんは、初回で屋根から吹っ飛んでいました。

古流剣術もこなし、茶の所作も流麗。

『鎌倉殿の13人』の小栗旬さんは、初回で乗馬飛越をこなしました。

弓術もこなす。所作も隙がない。

で、26回という後半になっての家康ですが……えびすくいも、乗馬も、茶も、どうにも所作が甘い。

1月ならばまだしも、もう7月です。前述の主役二人と比べて、どうしたことかと悲しくなってきます。

長谷川さんのような端正な明智光秀に仕上げるのは無理だとわかっているから、今回は光秀を下劣の極みにして、どうにかしようとしたんですか?

同じ枠の、わずか数年前の作品を足蹴にするような真似ができるのは、作り手の精神性が幼い証拠かもしれません。

それでも、素材を提供している大手メディアでは絶賛記事が掲載されますので、問題はないんですかね。

現に視聴率は低迷していて、歴代ワースト2はほぼ確定なんですけどね。

視聴率を速報しているメディアの「二桁維持」というフレーズの苦しいことよ。

 

どうした瀬名への思い

信長に従っても、別にいいと思うのです。

疑問なのは、瀬名の弔いすらないところでしょう。

別にバカでかい寺を建てなくてもいい。自室でそっと涙を流すとか。瀬名を思い出して目が赤くなるとか。あってもいいはずなのに、愛と浮かれているんですから見てられない。

今週も相変わらず追悼のない作品です。

瀬名も、両親や田鶴をろくに思い出してもいないので今更ですが……とか思っていたら昭和平成レトロのようなイチャコララブコメが回想される。

しかも回想が流れるだけで、家康に涙ぐむこともさせません。

で、いきなり信長を殺すと言い出して、なんなのこいつ。

 

どうかしてるぜ家臣団

殿は変わられた。豹変した。それはわかりました。

で、それを補うように、家臣がズラズラ全員でやってきて、説明セリフを語らせるのは何なのでしょう。

説明することでした表現できないと考えているようですし、このときの家臣たちのだらけきった所作も緊張感を削いでいる。

一糸乱れぬ有様でやってきて、一斉に座り、頭を下げるような気品があれば説得力がある。

でもこの家臣団は、居酒屋にやってきたチンピラ仲間にしか見えない。

すみませーん、生ビール持ってきて〜。とか言い出しても違和感がないんです。

 

どうしたらそうなる! 本能寺黒幕説

本能寺まで46日――そんなカウントダウンが出ました。

サイコパス系家康と、本能寺黒幕説が組み合わさったかのような展開。

本能寺の黒幕説が流行した時代はとうに過ぎ去り、むしろ古臭いセンスになりつつあるのですが、まさかこのまま突き進むのですかね。

それを前提に、この先の展開を想像してみたいと思います。

月代を剃った家康曰く――

「わしの瀬名を“マザーセナ”(救世主)だと理解できない罪は許さないと言ったのに、その道を踏み外した武田はどうなった?」

築山カルト信者たちは一斉に応じる。

「滅びました!」

「滅びるしかなかったな。では繰り返す。わしの瀬名を“マザーセナ”(救世主)だと理解できない罪は許さないと言ったのに、その道を叩き潰した信長はどうなると思う?」

「滅びます!」

「そう。あと46日で滅びる……ではもう一度! わしの瀬名を“マザーセナ”(救世主)だと理解できない罪は許さないと言ったのに、その道を叩き潰した信長。その後継者となった秀吉はどうなると思う?」

「滅びます!」

「最終回までいくぞ! わしの瀬名を“マザーセナ”(救世主)だと理解できない罪は許さないと言ったのに、その道を叩き潰した信長。その後継者秀吉。そいつらを奉じる真田幸村その他愚かものども。どうなると思う?」

「滅びます!」

「そうだ、『どうする家康』完! こんな素晴らしいドラマを理解できぬものは大河を滅ぼす罪を犯した。償わなければならない! アンチやクソレビュアーを築山に呼びつけて、教育を受けさせるのじゃ! 分かっているな!」

※この発言は、あくまでクソレビュアーの脳内で行われたことです

まぁ、どんな展開になっても最終的に結果は同じでしょう。

20:45には脚本家の経歴と、毎回同じドラマの概要と、どこかで拾った存在したかもわからないネットの声を貼り付けた賞賛記事が出ます。

にしても、この『46日後に死ぬ信長』はあれですね、『100日後に死ぬワニ』への熱いオマージュですね。

宣伝戦略が大失敗するあたりも真似て欲しい。

 

BBCから学べること〜天下の興亡は匹夫も責め有り

NHKと同じ公共放送として、イギリスのBBCがあります。

何やら今年は大河アンチが多い様子。

そこでNHKはBBCの態度を参考できると思いまして、こちらの記事をもってきました。

◆ニコニコ大百科 モーリス・マリーナ オーナーズクラブ(→link

理不尽な視聴者のケチの付け方に対し、こう返したんですね。

引用します。

以下はTop Gear側の反応である。

ジェレミー「まさかそんな組織に入りたがる人間がいるとは。(略)視聴者を取り乱してはいけません。例えキ○ガイであったとしても。」

ハモンド「自分の手に脱糞とか馬鹿過ぎる。暗殺者が自分の頭ごと標的を撃つみたいな。」

と、冗談はさておき、NHKはBBCから何を見習えばよいのか?

歴史ドラマとしての出来なのか、合戦シーンの迫力なのか……と、今さらそれも無理でしょう。

BBCとNHKを比較すると、商業展開への厳密性が挙げられます。

BBC以外が販売しているものとのタイアップにはかなり厳しい。企業の宣伝にもルールがある。NHKはその点どうなのでしょうか。

前回の朝ドラ『舞いあがれ』は、脚本家が自作した短歌を、作中で天才歌人設定の人物が詠むという設定でした。

劇中の編集者は、その歌を褒めちぎる。自分の作品をこうも褒め、天才の歌は売れて売れて仕方ない、そう描くってすごいことだと思いました。

で、その歌集が今度発売されるとか。朝ドラ効果もあり、なかなか好調なんだそうですよ。

それはそれで結構なことと言ってもよいのでしょうか。

脚本家は、ドラマを使った自作自演方式で和歌を褒めるよりも、支離滅裂だった脚本をもっとまともにできなかったのかと言いたくもなりますが、話はそこでもなく。

これは宣伝に朝ドラを使っているのでは?

NHKの倫理観は?

ここ10年の朝ドラは企業宣伝のようなテーマも多く、なし崩し的になっているとは思いますが、それにしてもNHKは弛緩しきっているのでは?

もしもジャニーズへの追及を阻んでいるのは大河主演俳優への忖度ゆえにだとすれば、 NHKはいま地雷の上にいるわけです。本能寺よりこちらの方が気になります。

BBCは視聴者の目線も厳しく、時代考証で間違えようものならば、国の恥だと徹底的に叩かれます。

NHKはそういうところからして脇が甘い。そんな弛緩ぶりを許しているのは、視聴者やマスコミにも原因ありだと私は思います。

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天下の興亡は匹夫も責め有り。顧炎武『日知録』

今年の大河を手放しで褒めることは、どういう意味があるのか。

NHKを甘やかしていいのか?

と、私は考えてしまいます。

歴史知識よりも芸能界裏話が重視され、大河という国民的コンテンツをどう思っているのか。そんな報道姿勢は歴史に対する侮辱だと思ってしまいます。

公平性という点でもうひとつ疑問を。

NHKの大河ドラマと朝ドラはノベライズされることがしばしばあります。

そのノベライズ担当者が、自分が手がけたドラマを絶賛する連載を持っていることが多い。今年の大河もそうです。

ノベライズされない作品や、その担当者が連載で褒めない場合、酷評が増える傾向があります。

これは果たして公共放送としてあるべき姿なのか? 公正と言えるのか?

ステマどころかダイマ(ダイレクトマーケティング)ですよね。

◆なぜ「アナ雪2のステマ騒動」は起きたのか (→link

 

渇しても盗泉の水を飲まず

渇しても盗泉の水を飲まず。陸機『猛虎行』

喉が渇いていても、「盗泉」の水ならば飲まない(=困窮しようと不義はせぬ)。

毎週この作品を絶賛する識者はいます。

その冒頭にはこうあります。

◆松本潤、『どうする家康』家康役で“憂い”の魅力発揮 思慮深さのある役で放つ輝きと説得力(→link

「もっと驚き! もっと見応え!」と青い松本潤と紫の松本潤がNHKの新BSのCMをやっている姿は華々しい。

鮮やかなカラーシャツに白いパンツでソファに座っている姿にはスマートなセレブっぽさがある。

スマートなセレブって、一体なんなのでしょう。

定義も意味もちょっとわかりませんが、それはさておき、同じものでもこうも見え方が違うのかとしみじみ思ってしまいます。

私には、あれは犯罪隠蔽と加担を平然とする公共放送の姿勢に見える。

こちらの記事にあるように、

◆「嵐が過ぎ去るのを待つ」でいいのか ジャニーズ問題とテレビ局(→link

テレビ局側がジャニーズ問題と癒着し、嵐が過ぎ去ることを待っているようにしか思えません。

お前らがいくら騒ごうがどうせ世間は忘れるだろ。無駄なんだからおとなしくテレビでも見てろよ。そう言われているようで腹が立つのです。

被害者の救済や犯罪の糾明よりも、忖度や保身が大事なのでしょうか。

そんな姿勢で愛だの大義だの語られたところで笑止千万。

識者曰く、主演をジャニーズにすればヒットは固いとか。

◆松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは | 2023年の論点(→link

人身御供と引き換えに手にする勝利の果実とは、そんなに甘いものでしょうか?

このようなニュースも出ています。

◆【山下達郎全コメント】「私の姿勢を忖度と解釈するなら構わない。そういう方々に私の音楽は不要でしょう」(→link

しかし既に海外と取引のある企業は姿勢を変えました。

◆ 資生堂 キムタク“資生堂CM起用案”が性加害問題で消えた(→link

大河もそうしないと、 NHKは未来まで燃やすことになりかねないのでは?

私にとって、今年の大河は稀に見る駄作でよかったかもしれません。流石にこの流れの中、ギルティ・プレジャーを覚えつつ、絶賛するとなったら辛い。

 

しかし、結局瀬名は傾城傾国の悪女です

磯さんには申し訳ありませんが、結局、瀬名が悪女という点は覆せていないと私は思います。

◆dメニューニュース:築山殿最期に1000人涙 中区で大河PV、トークショーも(→link

トークショーでは、磯さんが瀬名について「今までは悪女として描かれることが多かったが、今回は等身大の姿を描きたかった」と解説。

悪女とする文書などは江戸時代以降に書かれたことが多いとして「事件までの展開を丁寧に考えてきた」と振り返った。

楊貴妃という日本でも有名な女性がいます。

彼女自身は天真爛漫とした性格であったものの、悪女枠に入る存在でもあります。

瀬名も楊貴妃も、呂雉や西太后のような枠ではないけれど、政治に影響を与え、家を傾けかけた。瀬名の場合、さらに嫡子まで殺す羽目になった。

これはもう悪女。傾城傾国の類なんですね。

ゆえに、以下のようなことを説得されても

◆有村架純が演じた「瀬名」の最期に涙が止まらない…大河ドラマ『どうする家康』に秘められた「裏のテーマ」(→link

私は納得できません。

こんな話は大河の歴史を考えればすぐわかります。

第1作目は井伊直弼が主役の『花の生涯』。

原作が異例のヒットを飛ばしていました。というのも、明治維新礼賛論への見直し路線が画期的だったからです。

いちいち筆者祖母の言葉を引くまでもなく、一作目の主役を持ち出せば終わる問題です。

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古い話を長々と持ち出さずとも、2020年『麒麟がくる』がありました。

あのドラマは、主役のオファーがあった長谷川博己さんですら、アンチヒーローとして描かれるのだろうと思ったそうです。

足利義昭役の滝藤賢一さんも、足利義昭ならば小悪党だと思っていて、台本を読んで驚いたとのこと。

あの作品で描かれた明智光秀と足利義昭の像を、薄汚くしたのが『どうする家康』の人物像です。

それに瀬名こと築山殿の再評価はすでに『おんな城主 直虎』で済んでいました。

あの作品では、家康の苦悩、妻を救うべく信長を欺くこと、悪女とされてしまった瀬名の悲劇……何もかもが綺麗にまとまっていました。

小野政次も、瀬名も、あの作品では悪評をひっくり返していたのです。

『青天を衝け』は、悪質な歴史修正的をしてまで徳川慶喜像をクリーンアップしました。

演者にあわせて歴史人物像を更新するというのは禁じ手であり、私は全く評価しませんが、それでもドラマとしての出来は今年より上です。

『鎌倉殿の13人』でも、北条政子、梶原景時、源実朝といった人物像が、最新研究をもとに上方修正されています。

北条政子を演じるとなったとき、小池栄子さんは調べると悪女とばかり出てきて驚いたそうです。

その像を上書きすることに成功したのです。

なぜ北条政子像は時代によってこうも描き方が違うのか「尼将軍」評価の変遷

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人は、自分の知らないことを長々と、肩書きの立派な相手からやられると、なんとなく「あ、そうかも……」と呑み込んでしまうものです。

さらにそれを読み解き、作者の結論を理解したのだと思うと、なんかスッキリする。

要は権威ですね。

大きな媒体で立派な肩書を持つ男性が小難しいことを言っていると、「じゃあその意見に合わせようか」となる人は一定数いるでしょう。

こちらのような記事が量産され

◆松本潤、『どうする家康』家康役で“憂い”の魅力発揮 思慮深さのある役で放つ輝きと説得力(→link

そして、刷り込みが進んでいく。

けれど、『どうする家康』は、そうではない物語を模索している。なにかをやろうとして失敗した物語をあえて描く。傍から見たら笑われそうな、とるに足らない計画を思いついた結果、案の定、失敗してしまったという悲劇の物語なのである。でも、戦をしたくないと思うことは自由だし、間違っているわけではない。願いや思いつき、最初の芽がこれから育っていけばいいわけで、その芽を『どうする家康』は描いている。

実に嘆かわしいことです。

『真田丸』で勝てぬとわかっていながら、家康に突っ込んでいった『真田丸』とか。

井伊直親と小野政次と平穏に暮らす世界なんてほど遠く、崩れてしまったけれど、それでも顔を上げて歩いていく『おんな城主 直虎』とか。

信長と笑顔で語った「大きな国」の構想を思い出しつつ、本能寺へ光秀が向かっていく『麒麟がくる』とか。

ここ10年の作品が挑戦してきたことをまるっきり無視して、なぜ『どうする家康』ばかりを過剰に褒めるのか。

どうして今年の大河は、褒める記事がことごとく既存大河を不正確に貶める歴史修正をやらかすのか。

まるで宣伝戦略にも思えてきますが、ある意味、一貫性はありますよね。

劇中でも他の人物を貶めることで、家康や瀬名を持ち上げますもんね。

自己鍛錬を回避する卑怯な戦術ですが、それでも今作から大河を見る役者のファンは騙せるとでも考えているのでしょうか。

『どうする家康』を褒めるとなると、やたらと『花より男子』が持ち出されますよね。

10年以上も前の民放ドラマを持ち出されて「今どきの若者はこういうのが好きだから」というスタンスはもう呆れるしかありません。

あのドラマを知っているというだけで、三種の神器を手にした平家みたいに威張っているようだ。

私が幼い頃、こういう大人はいました。

「お前みたいに、本で仕入れた知識でこっちを言い負かす、こましゃくれた頭でっかちのガキよりも、芸能情報や、ご近所人妻のよろめきを知っている俺様の方が世の中の真理を知ってるんだよッ!」

冗談みたいな話ですが実体験です。そのことを思い出すんですよね。

『花より男子』といえば、小栗旬さんも出ていましたが、『鎌倉殿の13人』ではしつこく取り上げられたりしてませんよね。

完全に過去の作品になっていて、そもそも知らない視聴者も大勢いたでしょう。

この一点でも、役者の相違が明らかになってむしろ残酷……。

思いつきで褒める側と、それに乗る側にとってはどうでもよいのかもしれませんが。

 

王道も覇道もないが、詭道はある

『どうする家康』では、「王道」と「覇道」をめぐり、今川義元と問答をする家康の姿が描かれました。

漢文を習い始めた中学生がドヤ顔で披露する基礎知識という感じでしたが……。

儒教思想による太平の世の実現は『麒麟がくる』のメインテーマでもあったわけです。

その数年後に何があったのか?

『どうする家康』は「王道」だのなんだの小賢しく持ち出すわりには、作り手側に卑劣な小細工、つまりは詭道(だましうち)が透けて見える。

プロデューサーの磯氏は、どれほど脚本家が勉強しているのかを至る所で語っているようです。

◆「どうする家康」ネット号泣…瀬名&家康“微笑みの永訣”演出語る裏側 総力結集の一発撮り&カニ柄の小袖(→link

ざっとこんなところですかね。

「古沢さんが徳川家康の大ファンだったことがこの企画の初めです」

「古沢さんにとって徳川家康という人物はヒーローだったそうです」

「今川家の人質という、人から見れば恵まれていない状態に置かれながらも、そこから天下統一、しかも戦乱の世を終わらせるという大事業を成し遂げたというところがまさに彼にとっての憧れだったということです」

しかし、脚本家のインタビューはむしろ逆で

◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link

こんな受け答えが記載されています。

――信長の30年もの長い戦乱の歴史を入れていくうえで、どこを残してどこを省くか、選択が大変だったのではないかと思いますがいかがでしたか。

古沢「僕はそもそもいま残っている歴史はフィクションだと思っているところがあります。いま残っている歴史は、勝者が都合のいいように語り継いだものですから、どう解釈しても自由だと思っているんです。日々いろんなことが起きるなか、大きな事件や出来事は歴史として残っていくけれど、小さな出来事は誰も知らずに、歴史に残っていかない。それは仕方のないことかもしれませんが、小さな出来事の積み重ねで、大きな出来事も起こっているはずですよね。そういう現象を“バタフライ・エフェクト”と言います」

赤字にご注目ください。要はこれ、

「どうせ史料なんて嘘でしょw」

という態度なんですよね。

史実軽視というか、そもそも読んでいるかどうかも不明で、いずれにせよ自分の構想に邪魔だったら把握しないということでしょう。

歴史に興味がないわけです。

歴史の授業は寝ていた。歴史なんて退屈な暗記科目でしょ。史跡巡りする奴とかウケるw その時間で酒飲んでかわいい女の子と遊んだ方がいいじゃんww

そんな態度すら透けて見えます。

要するに、いろいろ言い訳していますけど、真面目に考える側を見下す冷笑ムーブが根底にあるように感じます。

「歴史は勝者が作る」といいますが、そんな単純な話のわけがない。

『三国志』を例に出します。正史では【赤壁の戦い】の記述が少ないとされます。

ゆえにこんな頓珍漢な意見が出てきます。

「あれってフェイクでしょw だって正史でほとんど書いてないじゃん! そもそも曹操は船焼いて帰ってきたとか言っているしw」

しかし、実際に戦地から焼けたあとや武器が発掘されることもあるし、曹操は統一に頓挫して三国鼎立に突入する。

【赤壁の戦い】を隠して年表を見ていっても、208年には何かあったことは浮かんでくる。

歴史を学ぶ真摯な取組が、この本作脚本家からは何ら感じられません。

周瑜
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でも「見えざるピンクのユニコーン」もある!

今回の本能寺への決意が見事――そんな指摘もありますが冗談じゃない、結果から雑に逆算して騙しているだけ。

昨今、メディアでもよく報じられるようになった陰謀論者の典型例です。

本作の家康ならば「米を食べてこそ日本人は強いのです!」とか言い出しても、もう驚きません。

再び先のインタビューに注目してみましょう。

◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link

中に、こんな言葉がありました。

古沢「トルネードは歴史として残るけれど、蝶の羽ばたきは人知れず消えていきます。僕にはその蝶の羽ばたきのほうを描くことが重要で、トルネードという歴史は誰もが知っているのだからわざわざ描かなくていいと思ったんですよ」

「蝶の羽ばたき」って、綺麗な言葉遣いですけど、いくらでもどうとでも言える妄想の類ではありませんか。

あまりに曖昧としたあやふやな表現。

つまりは「見えざるピンクのユニコーン」です。

こんな風に言い換えもできて

「漢字は今も残るけれど、神代文字は人知れず消えていきます。僕にはその消えたほうを描くことが重要で、漢字は誰もが知っているのだからわざわざ描かなくていいと思ったんですよ」

手口としては、陰謀論者の常套手段だったりします。

大河ドラマでこんな危険なやり方を流さないでいただきたい。

NHKは、なりすまし詐欺を防ぐ啓蒙コーナーをニュースで流しますよね?

ああいう番組では「言われたことを信じず、周りの人に確認しましょう」というのが鉄則として語られます。

それが大河ではむしろ「史実はどうでもいい、この妄想こそ真実!」とやっている。

受信料を使って視聴者のリテラシーを下げるとなると、もはや「イヤなら見なけりゃいい」で終わらない有害な存在になってしまう。

例えばこちらのニュースも、見出しの時点でもう怪しい。

◆ 『どうする家康』 なぜ瀬名は「策謀家」として殺されねばならないのか その真の意味(→link

「真の意味」も陰謀論者が好きなフレーズだったりしますね。

 

善く戦う者は人を致して人に致されず

善く戦う者は人を致して人に致されず。『孫子』「虚実篇」

いけてる奴はな、大河が終わった直後、20時45分に出る提灯記事に騙されたりしねーんだよ。

本作は、放送開始前から、懸念がありました。

磯プロデューサーが手掛けた2012年『平清盛』のリベンジを狙っているようで、あの大河の失敗理由を、センスが時代を先取りしていたと証明したい――そんな制作者が、かつてのスタッフとキャストを集め、不敗の要素をもってきた。

主役は屈指の有名人。

尖った作風とされる脚本家。

人気のある戦国時代後期。

そして主演はジャニーズだ!

過去大河から主演も集めて来い!

もしも叩かれても、メディアが持ち上げ記事を量産してくれればなんとかなる。

映画や他の要素とタイアップして、大河や朝ドラで培った人材を駆使して、そこはなんとかしよう!

といった、ところです。

こうしたキラキラルートに現実逃避すれば、脳内勝利は飾れるでしょうが、問題は消えません。

そもそも瀬名の発想は誰が考えたのか?

2017年大河ドラマ『おんな城主 直虎』の46回放送「悪女について」で、直虎がこう言いました。

「いっそ、大名が一堂に会し、やあーっと盟約でも結んでしまえばいいのです」

直虎がそう嘆くと、南渓がさらにこう言います。

「できることしかやらんのか、しみったれた女子だのお」

師とのやりとりを通し、直虎は「自分にできることをやるのだ」と思い付きます。

無闇に策もなく同盟締結へ突っ走るのではなく、徳川家康に仕える井伊万千代(直政)に、直虎から思いを伝え、泰平の世へと導くこと。

直虎は、瀬名に託された形見を万千代に渡し、これを渡すときに家康に志も添えるように伝えるのです。

傷心の家康を前にして、万千代はこう言います。

「御方様が見ておられます。考えましょう、この先の徳川のために!」

こう見事に繋いでいきました。

瀬名の思いが太平の世を築く――それをこんなにも巧みに描いています。

『おんな城主 直虎』感想レビュー第46回「悪女について」

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『どうする家康』は、この構想を基にして規模を大きくし、結果、粗雑にしたように思える。

本作は『おんな城主 直虎』や『麒麟がくる』をうっすらとなぞりながら逆張りしている、そんな描写が目に付きます。

同年に公開された『レジェンド&バタフライ』のネタ(金平糖など)も平気で使い回すほどです。

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となると、時系列的にここから先は『真田丸』を使い回すかもしれませんね。

そして報道の見出しには「『真田丸』を超えた!」なんて踊るようになる。

◆大河「家康」ついに伊賀越え判明 「真田丸」より深刻苦難 陰湿光秀に命狙われ絶体絶命 家康走る!(→link

『直虎』『麒麟』『真田丸』ファンにとって、辛い日々はまだ終わりませんね……。

 

NHKみなさまの声へ

近年大河ドラマを絵として見た場合、私にとって最も美しかったのは『鎌倉殿の13人』第41回「義盛、お前に罪はない」おける、和田義盛の死でした。

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これはドラマらしい創作が入っています。

記録によれば和田義盛は由比ヶ浜で亡くなっており、源実朝の目の前で全身に矢が突き刺さったあの描き方は創作です。

ただ、どうしてそうするのか、気持ちはわかる!

ただでさえあの時代の甲冑は大変だし、ましてや全身に矢を刺すというのはもう、本当に、凄まじいこと。そもそもあんなに大量に刺すことはない。

でも、だからこそ、やりたい――そういう熱い思いがビンビンに伝わってきた。

和田義盛を演じる横田栄司さんって、髭が似合うんですよ。

あの丸い目。はっきりした顔つき。太い眉。

ああいう顔の人には、大鎧と全身に矢を刺した死に方が似合う。絵になる。

武将がビジュアル的にイケてる殺され方をされて、矢がてんこもりになるのは、多色刷りの武者絵が出回るようになった江戸時代後期でしょう。

あの手の絵はともかく盛ります。盛りに盛って派手にやる。『鎌倉殿の13人』第41回放送の和田義盛は「作画:歌川国芳」と言いたいくらい。

そういう武者絵ぶりが素晴らしく、ドラマでやりたいという情熱が伝わってきました。

ドラマなのですから、上手に盛れるとなれば史実は二の次。歌川国芳と一門の弟子がみたら「俺が描きてぇ!」と喧嘩を始めそうな、そんな思いが感じられた。

動く武者絵が見られるのって、本当に素敵なことであり、これも歴史の楽しみ方でしょう。

今年は、そういう楽しみ方が奪われているから憤慨してしまう。

鳥居強右衛門といえば、有名な武者絵があります。

私としては月岡芳年を推しますが、今年は、あのニタニタした『どうする家康』の姿に汚されたと感じました。

史実云々以前に、歴史への思いにまで唾をぶっかけられるような描き方。

『どうする家康』を見ていると、クラスメートから大事に使っているペンを取り上げて、鼻の穴につっこんで大笑いしていた男子小学生を思い出します。

誰かが好きなものを汚して笑っている。下劣な思想が根底に流れていて、怒りが募るのです。

そしてやたらと褒める提灯記事は、このペンはもう使いたくないと泣きじゃくる相手に、こう語りかける教師のようなもの。

「でもね、あの子はあなたが好きでわざといじわるしたんだよ」

「なかよくしてあげて。けんかはダメ!」

しかし、こちらは小学生でもなく、視聴者の何%かが『鎌倉殿の13人』の坂東武者精神を引き継いでいたら、戦にでもなるでしょうよ。

「お前も大河視聴者の端くれならば、『どうする家康』を斬ればどうなるか……」

「お前さんは坂東生まれじゃねえからかわらないんだろうがな。坂東武者ってのはな、勝つためにはなんでもするんだ。名前に傷がつくくれえ屁でもねえさ」

※『鎌倉殿の13人』31回より

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『鎌倉殿の13人』31回は最高に面白かったなぁ!

それで、だな。こっちはよ、お前はそれでも坂東武者か、って話をしてんだよ。わっかんねーかな。

「アンチが“史実とちがーう!”と喚いている」と言われるのと同時に、バカでアホな虫けら扱いもされんだよ。

今やってる朝ドラがおもしろくてよ。田邊教授っていう学者が出てくるんだ。

そういう学者ってえのは人間的にもえらいもんかと思ったら、そうでもねえ。

主人公の学歴がねえと「虫けら」扱いすんのよ。

◆「らんまん」ついに田邊教授が本性発揮「小学校も出てない虫けら」のパワハラ発言【ネタバレ】(→link

こっちもさ、いくらなんでもあんなもん、ドラマとして強調しすぎじゃねえかと思ってたんだよ。ついこの間まではな。

でもよ、今じゃリアリティのある脚本だと感心してんのよ。朝ドラは勉強になるよな!

あの明治の酒屋の連中の方が、大河の徳川家臣団よりはるかに立派な所作で動くんだよな〜、どうしちまったんだよ!

ということで突然の口調変換でワケがわからなかったと思いますが……。

編集部に聞いたところ、最近は『どうする家康』のYahoo!ドラマ感想などが荒れてるようで、中には私の記事よりも手厳しい意見があるとも聞きました。

私としては妙な影響を受けたくないため目に入れないようにしていますが、とにかく批判的な投稿が増えているとのこと(→link)。

すべては皆さん大河ドラマが好きで、面白い作品が見たいからこそなのでしょう。

でしたら、NHK(→link)へ直接ご意見を送られてもよいかもしれません。

◆NHK みなさまの声(→link

掲示板に書き込むより、確実に効果もあるはず。

大河ドラマを愛するからこその批判であれば、NHKとしてもありがたいことではないでしょうか。

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文:武者震之助(note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-どうする家康感想あらすじ

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