どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第26回「ぶらり富士遊覧」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第26回「ぶらり富士遊覧」
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王道も覇道もないが、詭道はある

『どうする家康』では、「王道」と「覇道」をめぐり、今川義元と問答をする家康の姿が描かれました。

漢文を習い始めた中学生がドヤ顔で披露する基礎知識という感じでしたが……。

儒教思想による太平の世の実現は『麒麟がくる』のメインテーマでもあったわけです。

その数年後に何があったのか?

『どうする家康』は「王道」だのなんだの小賢しく持ち出すわりには、作り手側に卑劣な小細工、つまりは詭道(だましうち)が透けて見える。

プロデューサーの磯氏は、どれほど脚本家が勉強しているのかを至る所で語っているようです。

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ざっとこんなところですかね。

「古沢さんが徳川家康の大ファンだったことがこの企画の初めです」

「古沢さんにとって徳川家康という人物はヒーローだったそうです」

「今川家の人質という、人から見れば恵まれていない状態に置かれながらも、そこから天下統一、しかも戦乱の世を終わらせるという大事業を成し遂げたというところがまさに彼にとっての憧れだったということです」

しかし、脚本家のインタビューはむしろ逆で

◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link

こんな受け答えが記載されています。

――信長の30年もの長い戦乱の歴史を入れていくうえで、どこを残してどこを省くか、選択が大変だったのではないかと思いますがいかがでしたか。

古沢「僕はそもそもいま残っている歴史はフィクションだと思っているところがあります。いま残っている歴史は、勝者が都合のいいように語り継いだものですから、どう解釈しても自由だと思っているんです。日々いろんなことが起きるなか、大きな事件や出来事は歴史として残っていくけれど、小さな出来事は誰も知らずに、歴史に残っていかない。それは仕方のないことかもしれませんが、小さな出来事の積み重ねで、大きな出来事も起こっているはずですよね。そういう現象を“バタフライ・エフェクト”と言います」

赤字にご注目ください。要はこれ、

「どうせ史料なんて嘘でしょw」

という態度なんですよね。

史実軽視というか、そもそも読んでいるかどうかも不明で、いずれにせよ自分の構想に邪魔だったら把握しないということでしょう。

歴史に興味がないわけです。

歴史の授業は寝ていた。歴史なんて退屈な暗記科目でしょ。史跡巡りする奴とかウケるw その時間で酒飲んでかわいい女の子と遊んだ方がいいじゃんww

そんな態度すら透けて見えます。

要するに、いろいろ言い訳していますけど、真面目に考える側を見下す冷笑ムーブが根底にあるように感じます。

「歴史は勝者が作る」といいますが、そんな単純な話のわけがない。

三国志』を例に出します。正史では【赤壁の戦い】の記述が少ないとされます。

ゆえにこんな頓珍漢な意見が出てきます。

「あれってフェイクでしょw だって正史でほとんど書いてないじゃん! そもそも曹操は船焼いて帰ってきたとか言っているしw」

しかし、実際に戦地から焼けたあとや武器が発掘されることもあるし、曹操は統一に頓挫して三国鼎立に突入する。

【赤壁の戦い】を隠して年表を見ていっても、208年には何かあったことは浮かんでくる。

歴史を学ぶ真摯な取組が、この本作脚本家からは何ら感じられません。

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でも「見えざるピンクのユニコーン」もある!

今回の本能寺への決意が見事――そんな指摘もありますが冗談じゃない、結果から雑に逆算して騙しているだけ。

昨今、メディアでもよく報じられるようになった陰謀論者の典型例です。

本作の家康ならば「米を食べてこそ日本人は強いのです!」とか言い出しても、もう驚きません。

再び先のインタビューに注目してみましょう。

◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link

中に、こんな言葉がありました。

古沢「トルネードは歴史として残るけれど、蝶の羽ばたきは人知れず消えていきます。僕にはその蝶の羽ばたきのほうを描くことが重要で、トルネードという歴史は誰もが知っているのだからわざわざ描かなくていいと思ったんですよ」

「蝶の羽ばたき」って、綺麗な言葉遣いですけど、いくらでもどうとでも言える妄想の類ではありませんか。

あまりに曖昧としたあやふやな表現。

つまりは「見えざるピンクのユニコーン」です。

こんな風に言い換えもできて

「漢字は今も残るけれど、神代文字は人知れず消えていきます。僕にはその消えたほうを描くことが重要で、漢字は誰もが知っているのだからわざわざ描かなくていいと思ったんですよ」

手口としては、陰謀論者の常套手段だったりします。

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大河ドラマでこんな危険なやり方を流さないでいただきたい。

NHKは、なりすまし詐欺を防ぐ啓蒙コーナーをニュースで流しますよね?

ああいう番組では「言われたことを信じず、周りの人に確認しましょう」というのが鉄則として語られます。

それが大河ではむしろ「史実はどうでもいい、この妄想こそ真実!」とやっている。

受信料を使って視聴者のリテラシーを下げるとなると、もはや「イヤなら見なけりゃいい」で終わらない有害な存在になってしまう。

例えばこちらのニュースも、見出しの時点でもう怪しい。

◆ 『どうする家康』 なぜ瀬名は「策謀家」として殺されねばならないのか その真の意味(→link

「真の意味」も陰謀論者が好きなフレーズだったりしますね。

 

善く戦う者は人を致して人に致されず

善く戦う者は人を致して人に致されず。『孫子』「虚実篇」

いけてる奴はな、大河が終わった直後、20時45分に出る提灯記事に騙されたりしねーんだよ。

本作は、放送開始前から、懸念がありました。

磯プロデューサーが手掛けた2012年『平清盛』のリベンジを狙っているようで、あの大河の失敗理由を、センスが時代を先取りしていたと証明したい――そんな制作者が、かつてのスタッフとキャストを集め、不敗の要素をもってきた。

主役は屈指の有名人。

尖った作風とされる脚本家。

人気のある戦国時代後期。

そして主演はジャニーズだ!

過去大河から主演も集めて来い!

もしも叩かれても、メディアが持ち上げ記事を量産してくれればなんとかなる。

映画や他の要素とタイアップして、大河や朝ドラで培った人材を駆使して、そこはなんとかしよう!

といった、ところです。

こうしたキラキラルートに現実逃避すれば、脳内勝利は飾れるでしょうが、問題は消えません。

そもそも瀬名の発想は誰が考えたのか?

2017年大河ドラマ『おんな城主 直虎』の46回放送「悪女について」で、直虎がこう言いました。

「いっそ、大名が一堂に会し、やあーっと盟約でも結んでしまえばいいのです」

直虎がそう嘆くと、南渓がさらにこう言います。

「できることしかやらんのか、しみったれた女子だのお」

師とのやりとりを通し、直虎は「自分にできることをやるのだ」と思い付きます。

無闇に策もなく同盟締結へ突っ走るのではなく、徳川家康に仕える井伊万千代(直政)に、直虎から思いを伝え、泰平の世へと導くこと。

直虎は、瀬名に託された形見を万千代に渡し、これを渡すときに家康に志も添えるように伝えるのです。

傷心の家康を前にして、万千代はこう言います。

「御方様が見ておられます。考えましょう、この先の徳川のために!」

こう見事に繋いでいきました。

瀬名の思いが太平の世を築く――それをこんなにも巧みに描いています。

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『どうする家康』は、この構想を基にして規模を大きくし、結果、粗雑にしたように思える。

本作は『おんな城主 直虎』や『麒麟がくる』をうっすらとなぞりながら逆張りしている、そんな描写が目に付きます。

同年に公開された『レジェンド&バタフライ』のネタ(金平糖など)も平気で使い回すほどです。

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となると、時系列的にここから先は『真田丸』を使い回すかもしれませんね。

そして報道の見出しには「『真田丸』を超えた!」なんて踊るようになる。

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『直虎』『麒麟』『真田丸』ファンにとって、辛い日々はまだ終わりませんね……。

 


NHKみなさまの声へ

近年大河ドラマを絵として見た場合、私にとって最も美しかったのは『鎌倉殿の13人』第41回「義盛、お前に罪はない」おける、和田義盛の死でした。

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これはドラマらしい創作が入っています。

記録によれば和田義盛は由比ヶ浜で亡くなっており、源実朝の目の前で全身に矢が突き刺さったあの描き方は創作です。

ただ、どうしてそうするのか、気持ちはわかる!

ただでさえあの時代の甲冑は大変だし、ましてや全身に矢を刺すというのはもう、本当に、凄まじいこと。そもそもあんなに大量に刺すことはない。

でも、だからこそ、やりたい――そういう熱い思いがビンビンに伝わってきた。

和田義盛を演じる横田栄司さんって、髭が似合うんですよ。

あの丸い目。はっきりした顔つき。太い眉。

ああいう顔の人には、大鎧と全身に矢を刺した死に方が似合う。絵になる。

武将がビジュアル的にイケてる殺され方をされて、矢がてんこもりになるのは、多色刷りの武者絵が出回るようになった江戸時代後期でしょう。

あの手の絵はともかく盛ります。盛りに盛って派手にやる。『鎌倉殿の13人』第41回放送の和田義盛は「作画:歌川国芳」と言いたいくらい。

そういう武者絵ぶりが素晴らしく、ドラマでやりたいという情熱が伝わってきました。

ドラマなのですから、上手に盛れるとなれば史実は二の次。歌川国芳と一門の弟子がみたら「俺が描きてぇ!」と喧嘩を始めそうな、そんな思いが感じられた。

動く武者絵が見られるのって、本当に素敵なことであり、これも歴史の楽しみ方でしょう。

今年は、そういう楽しみ方が奪われているから憤慨してしまう。

鳥居強右衛門といえば、有名な武者絵があります。

私としては月岡芳年を推しますが、今年は、あのニタニタした『どうする家康』の姿に汚されたと感じました。

史実云々以前に、歴史への思いにまで唾をぶっかけられるような描き方。

『どうする家康』を見ていると、クラスメートから大事に使っているペンを取り上げて、鼻の穴につっこんで大笑いしていた男子小学生を思い出します。

誰かが好きなものを汚して笑っている。下劣な思想が根底に流れていて、怒りが募るのです。

そしてやたらと褒める提灯記事は、このペンはもう使いたくないと泣きじゃくる相手に、こう語りかける教師のようなもの。

「でもね、あの子はあなたが好きでわざといじわるしたんだよ」

「なかよくしてあげて。けんかはダメ!」

しかし、こちらは小学生でもなく、視聴者の何%かが『鎌倉殿の13人』の坂東武者精神を引き継いでいたら、戦にでもなるでしょうよ。

「お前も大河視聴者の端くれならば、『どうする家康』を斬ればどうなるか……」

「お前さんは坂東生まれじゃねえからかわらないんだろうがな。坂東武者ってのはな、勝つためにはなんでもするんだ。名前に傷がつくくれえ屁でもねえさ」

※『鎌倉殿の13人』31回より

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『鎌倉殿の13人』31回は最高に面白かったなぁ!

それで、だな。こっちはよ、お前はそれでも坂東武者か、って話をしてんだよ。わっかんねーかな。

「アンチが“史実とちがーう!”と喚いている」と言われるのと同時に、バカでアホな虫けら扱いもされんだよ。

今やってる朝ドラがおもしろくてよ。田邊教授っていう学者が出てくるんだ。

そういう学者ってえのは人間的にもえらいもんかと思ったら、そうでもねえ。

主人公の学歴がねえと「虫けら」扱いすんのよ。

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こっちもさ、いくらなんでもあんなもん、ドラマとして強調しすぎじゃねえかと思ってたんだよ。ついこの間まではな。

でもよ、今じゃリアリティのある脚本だと感心してんのよ。朝ドラは勉強になるよな!

あの明治の酒屋の連中の方が、大河の徳川家臣団よりはるかに立派な所作で動くんだよな〜、どうしちまったんだよ!

ということで突然の口調変換でワケがわからなかったと思いますが……。

編集部に聞いたところ、最近は『どうする家康』のYahoo!ドラマ感想などが荒れてるようで、中には私の記事よりも手厳しい意見があるとも聞きました。

私としては妙な影響を受けたくないため目に入れないようにしていますが、とにかく批判的な投稿が増えているとのこと(→link)。

すべては皆さん大河ドラマが好きで、面白い作品が見たいからこそなのでしょう。

でしたら、NHK(→link)へ直接ご意見を送られてもよいかもしれません。

◆NHK みなさまの声(→link

掲示板に書き込むより、確実に効果もあるはず。

大河ドラマを愛するからこその批判であれば、NHKとしてもありがたいことではないでしょうか。

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文:武者震之助note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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