鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第31回「諦めの悪い男」

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第31回「諦めの悪い男」

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二代目鎌倉殿の源頼家が病に倒れました。

かろうじて息はあるものの、頼朝と同じ病状。

阿野全成の祟りではないか?とざわついております。

阿野全成
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新しく登場した医者は佐々木秀義の孫だそうで、祖父と孫を俳優・康すおん(かんすおん)さんが二役で演じます。なんなんだこのセンスは……。

その医者が、望みはある、汗はかいている、生きようとする証だ、吉兆だとは言いますが……頼朝の時と同じではないですか!

比企能員が「頼朝と同じ場所にいてはいけない」と移そうとすると、北条時政がここでカットイン。

瀕死の頼家をめぐって比企と北条が火花を散らしています。

義時が、そんな二人を見て苛立ちが頂点に達したのでしょう。その場にいる大江広元のもとに預けると言い出します。

驚きながら、先年妻に先立たれて何かと行き届かないとしながらも、義時の願いを引き受ける広元です。

広元は武士でなく「文士」扱いであり、中立の立場として扱われています。

大江広元
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ただし、本人には自らの確たる意志があり、どちらの派閥にも操られたりはしていません。

 

比企と北条の鍔迫り合いが激化していく

オープニングテーマに続き、ナレーション。

初代よりはるかに若くして、二代目は倒れた。

御家人同士の対立もまた遥かに大きい。

鎌倉に戦の匂いが漂い始めている――。

長澤まさみさんの落ち着いた声で、不吉な世界へグイッと引き込まれ、母である北条政子が、丈夫な体に生んでやれなかったと悔やんでいます。

と、頼家の乳母であり、比企能員の妻である道は、昔からお体が弱かったと嘆く。

乳母と生母の二人が自分のせいだと言い合いながら、政子は道を労っています。

しかし、ことの本質はそこではないのでは?

かつて万寿(頼家)の儀式をダシにして御家人たちが謀反計画を起こした挙句、その始末として上総広常が始末されました。そこを踏まえると、頼家はそもそも始まりから呪われている気もします。

そして上総広常の生まれ変わりが北条泰時というほのめかしもあるわけで……不吉な予感はどんどん強くなっていく。

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能員は一幡を鎌倉殿にする手続きを進めようとして三善康信にかけあい、朝廷に伝えようとしています。抱いていた一幡に遊びに行くよう促すと、ぬけぬけと義時の前でこう言います。

鎌倉殿(頼家)は百に一つも助からない――。

ここで源氏の血を引く者リストが図で解説されます。

系統は二つあり、頼朝の子と、全成の子。

全成には頼全と時元という男児がいました。

一方、頼朝には三名いて、一幡、善哉という孫、頼家の弟として千幡が表示されます。他にもいる頼家の男子は、ドラマでは省略されていますね。

問題は、それぞれの子の後ろにいる乳母夫でしょう。

◆一幡には比企

◆千幡には北条

◆善哉には三浦

乳母夫とは、本来、子供の生存率を上げるためのシステムだったのに、弊害のほうが大きくなってしまっている。

義時が出ていく能員を呼び止め、思い通りにはさせぬと釘を刺します。そのうえで鎌倉殿が元に戻ることを祈っていると。

さぁ、本音はどうでしょうか。

 

頼朝の遺言書を義村が偽造

北条義時の前に、三浦義村和田義盛が座っています。

そこで善哉の乳母夫である義村が、書状をそっと差し出した。

頼家とつつじの子が男児であれば、これを源氏の棟梁とする。乳母夫は三浦義村――。

走り書きだけど、頼朝が書き残したってよ。

すかさず和田義盛が「いいのがあるじゃねえか!」と浮かれ、これで比企もぐうの音も出ないってハシャいでますが……。

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義時は冷静です。

「お前が書いたんだな」

「そうだ。何枚でもあるぜ」

「勘弁してくれ!」

義時は絶望しつつ紙を破ります。

当たり前ですね。むしろ、義村の頭を引っ叩かずに耐えている義時がえらい。

にしても、なぜ義時は義村の嘘を見抜けたのか。三谷さんらしいミステリぽい展開ともいえますね。

何もかもがあまりにうまくできすぎているとなると、かえって怪しいということです。

美人で、仕事もできて、薄給でも文句を言わない。残業も、休日出勤もしてくれるし、おまけに露出の高い服装で出社してくる……そんなモバイルアプリじみた押しかけ秘書が実在するかどうか?

機密情報を全部盗まれるなんてことがあるかもしれない。有能で美味しい存在には警戒が必要ですね。

それでも悪びれず、比企の天下にしたくねえ、善哉しかねえと言い張るのが義村。

比企をぶっ潰す!と盛り上がり、反対する義時に対しては「そんなに三浦に力を持たせたくないのか」とウダウダ言い始めました。

では、どう対処するのか?

義盛にせっつかれ、「それを考えている!」とキレる義時。

大変なことになってきました。

 

比企の手で実衣の息子が殺され

八田知家が火葬準備をしており、クヌギに松を混ぜると言い出しました。

材木を集めると立ち上がる知家に、義時は八田殿は比企に近いと声をかけます。実際、全成に手を下したのも彼でした。

「もしもこの先……」

「鎌倉が比企と北条で割れているのは俺でもわかる。でもな、俺はどっちの側でもない。俺は俺だ」

キッパリと、そう言い切る知家。

一番うまい身の処し方かもしれません。こんなシンプルな説明で風格を見せる市原隼人さんが今日も素敵だ。

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北条時房があわてて京都からの知らせを届けてきます。

京都で修行中であった全成の子・頼全が源仲章によって首を刎ねられたとのこと。

この源仲章は在京都御家人かつ後鳥羽院の側近という特殊な人物です。

気品ある美貌でありながら悪どい顔をする。美しいけれど毒がある。まるでトリカブトの花の精のような、生田斗真さんの新境地が見られました。

いずれにせよ全成の息子が討たれ、ハッキリしたことがあります。

「比企が我らに刃を向けてきた……」

北条の者たちが集結します。

「許せねえ!」

時政は激怒。鎌倉殿の命令だというが、比企の仕業だと息巻いています。

りくが「実衣は知っているのか?」と尋ねると、政子は身を隠すように伝えていました。

しかし、そこへやってきたのが子連れの実衣。

この子たちは自分のそばにいさせて渡さない!とキッパリ言い切るのです。

気持ちはわかると言いながら、引き渡しを求める政子と、やっぱり断る実衣。

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実衣の妹ちえが子供子たちを引き取ろうとして、その夫・畠山重忠が「比企には決して渡さない」と重ねて説得すると、ようやく折れ、かつ彼女の本領発揮ときました。

「すぐにでも比企を攻め滅ぼしてください。首を刎ねて大きい順に並べるの」

重忠が戦支度を整えるとかえって大きなことになると躊躇しています。

重忠は常に犠牲を最小限に抑える思考があります。義時も苦い口調で、鎌倉を火の海にはしたくないと付け加えます。

さて、そんな義時の手は?

 

りくが義時に念押し

まずは一幡(頼家の長男)を止める。

担ぎ出すのは善哉(二男)か? いや、千幡(頼家の弟)にする。

そうまとめたのは、千幡なら元服も近く、御家人たちも納得するという見通しがあります。

それが叶わなかった時のために兵を集めるよう、重忠と時政に出陣の準備を命じる義時。

これにはりくも同意であり、実衣も全成の遺志だと納得していて、何気ないけど重要な描写になっています。

大河ファンに揶揄されがちな、女性人物のセリフとして、次のような言い回しがあります。

「いくさは嫌でございまするぅ〜」

どの大河で、誰が言ったのか――そういう詳細はどうでもよく、ともかく戦を避けるためヒロインが薄っぺらいセリフを使うことを指摘したものです。

女の子は平和が好きでしょ、ゆるいでしょ、といったニュアンスですね。

あるいは女性の脚本家だったり、女が主人公だと「スイーツ大河」とされるスラングもあります。

そうした状況を踏まえて実衣の言動を見ると真逆。

夫と我が子を理不尽に殺された恨みを晴らすため、仇討ちした敵の首をどうやって並べるかまで指示する。スイーツどころかかなりのビターです。

彼女は幼少期から冷静で皮肉っぽく、きついことを言う性質でした。先天的な個性として残虐さがあり、なんなら畠山重忠の方が慈愛を持っている。

近年でも『八重の桜』や『おんな城主 直虎』は、むしろシリアスな残虐描写が多かった。

ただし、実際に戦争を体験した世代が「戦は嫌だ」というセリフを入れるのであれば、薄っぺらいどころか自身の経験を反映させたとも見なせるでしょう。

そして、実衣と同じく、かわいい女性の枠から大きくはみ出した女性がもう一人いますね。

りく(牧の方)です。

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義時を呼び止めると、比企を滅ぼした後のことを聞いてきます。苛立っている義時に、幼い千幡では政ができないと言い、誰がやるのか?と問う……というより、念押ししてきます。

北条の惣領は我が夫だ、と。

義時が正直なところを伺うと前置きしつつ、尋ねます。

「義母上は、父上に政(まつりごと)が務まるとお考えでしょうか?」

もちろん。そう言い切りながら、夫の器を信じていると断言するりく。そのうえで汚れ仕事を義時に押し付けます。

邪悪ですね。

頼朝にせよ、義時にせよ、自分が拳を振り下ろした結果、血が飛ぶところから目を逸らすことはありません。

ところが、りくはそうではない。

こういう想像力の欠落した策士には、目の前に首でも置きたくなります。

己のしでかすことが一体何を巻き起こしているのか、目の当たりにした方がよいでしょう。

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