命定め(麻疹)

徳川綱吉/wikipediaより引用

江戸時代

綱吉の命も奪った「命定め」は赤面並に怖い?江戸時代に13回も大流行

NHKドラマ10『大奥』が凄まじい反響ですね。

パラレルワールドのように最初から男女が逆転した世界が描かれているのではなく、赤面疱瘡という、天然痘のような病気で男だけが死んでしまうことから、女の社会進出が進む――。

当時の医学なら、そうあっても不思議じゃないような設定が、妙なリアリティを醸し出していて、ここは「予防接種で対応するしかないでしょう!」と、目安箱に投書したくなってウズウズ。

しかし現実問題、江戸時代には、赤面疱瘡と同様に恐ろしい【命定め】という病気が計13回も大流行したのをご存知でしょうか?

その正体は麻疹(ましん・はしか)。

かつては危険だったこの病気。

ドラマでは仲里依紗さんが演じて話題になった徳川綱吉も、症状からして麻疹で亡くなったことが推測されています。

春から初夏にかけて流行る傾向があり、一体なにがどうして危ないのか、見てまいりましょう。

 


一度感染すれば免疫が付き一生かからない

麻疹は発熱と皮疹を特徴とする急性感染症で、原因は麻疹ウイルスです。

非常に強い感染力を持ち、感染すると1-2週間の潜伏期の後、風邪症状と38度くらいの発熱。

この熱は一旦下がりますが、半日ほどで再び39-40度の高熱となり身体に発疹が生じます。

発疹に先立ち口の中に白い斑点ができるのが特徴的で、2度目の発熱の際、口腔粘膜の荒れのせいで痛みを生じることが多く、経口摂取の低下と併発する下痢で脱水をおこしやすくなります。

また角膜の損傷で失明したり、予後の悪い脳炎をおこしたり、意外に怖い病気なのです。

しかし、1度かかると免疫がつき、その後は一生かかりません。

予防注射がなかった頃は、幼いうちに麻疹にかかって免疫がついたことから、若い時期に趣味や色恋沙汰に没頭することを「はしかのようなもの」と表現するのはここからきています。

日本では対策に遅れをとっていましたが、昭和53年から始まった予防接種および平成18年からの追加接種の結果、平成21年には約1万人、平成23年には293人と稀な病気になりつつあります。

平成14年には年間患者数20万人(アメリカでは100人程度)でしたので、その効果は我々にも実感できるでしょう。

 


天然痘が『もがさ』で麻疹が『赤もがさ』

麻疹の死亡率は日本などの先進国では0.1%程度です。

しかし、全世界でみると3-5%と高い数字。

江戸時代以前の死亡率もこのくらいか、もう少し多かったのではと推測します。

『麻疹』という名前自体は、皮疹の色や形が麻の実に似ていることから付きましたが、もともとは中国由来の言葉です。

実際、日本で麻疹と呼ばれるようになったのは江戸時代以降で、それまでは『赤もがさ』と呼ばれておりました。

『もがさ』は天然痘のことで発熱と皮疹という症状が似ているからでしょうね。

ちなみに天然痘は【見目定め】、麻疹は【命定め】の病と呼ばれました。

もちろん死亡率は天然痘の方が格段に高く、麻疹はあばたも残しませんが、その割りにあっけなく死んでしまうことから命定めと呼ばれたんでしょう。

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