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【彰子に仕える式部の同僚女房たち】
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左衛門の内侍:いじめ女房
本名は橘隆子(たちばなのたかこ)。
ドラマの中で、寝坊したまひろに向かって「男の足でも揉んでたの?(男と寝てたの?)」と嫌味を放ったことで、一気に知られるようになったかもしれません。
なぜ、あんな意地悪に描かれるのか?
というと、やはり『紫式部日記』に残された有名なエピソードからでしょう。
『源氏物語』を読んだ一条天皇が「この作者は博識で、日本紀(日本書紀)も読んでいるに違いない」と評した――と聞いた左衛門の内侍。
「学があることを自慢する鼻持ちならない女だ」という意味を込めて、紫式部のことを「日本紀の御局」と呼んだ、というものです。
不思議なもので、いま見ても、ねっとりとした嫌味な言い方であることが伝わってきますよね。
※ドラマでの配役:菅野莉央さん
馬中将の君:もう一人のいじめ女房
左衛門の内侍と同じく、まひろに対して意地悪なお姫様である馬中将の君。
いったい『紫式部日記』でどんな風に描かれているのか?
というと、なかなか印象的であります。
藤原彰子が無事に出産を終えて、内裏に還御(かんぎょ・戻ること)するときのこと。
紫式部はこう記しています。
次の車に小少将、宮の内侍、次に馬の中将と乗りたるを、悪ろき人と乗りたりと思ひたりしこそ、あなことごとしと、いとどかかるありさまむつかしう思ひはべりしか。
【意訳】
次の車に小少将の君、宮の内侍、私と馬中将の君が乗ったんだけど……。
馬中将が、いかにも嫌いなヤツ(私)と乗っているという様子で辛い><;
だから女房なんてやりたくないの><;
紫式部が陰キャだからでしょ?
考えすぎなんじゃないの?
そんなツッコミもあるかもしれませんが、馬中将の君の出自を考えると、紫式部の感覚が正しいような気もします。
彼女は、父が藤原相尹(すけまさ)で母が源高明の四女でした。
道長の妻・源明子も高明の娘ですので、明子の姪にあたる血筋となります。
父の相尹はトップ貴族ではないけれど藤原道隆や藤原定子ら中関白家と親しく、馬中将の君自身も、定子方として「五節の舞」にも出ているほどです。
ドラマの中でまひろも源倫子の代わりに五節の舞に出ているので、もしかしたら劇中でも触れてくるかもしれませんね。
※ドラマでの配役:羽惟さん
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