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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第12回「思いの果て」】
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道綱が語る妾(しょう)とのこと
藤原実資から「一文不通」(アホ)とコケにされていた、道長の異母兄・藤原道綱が出てきました。
なんでも従四位下になっても誰も相手にしてくれないのだとか。どうすればよいのか?とぼやかれ、道長も「さぁ」としか答えられません。
道綱は道長よりも11も歳上なのにうつけだと言います。ずいぶんと素直に言うものですよね。
これは道綱と道長の頭の出来というより、蔵書量の違いも大きいでしょう。
トップエリートともなれば、最新版の宋版印刷の書籍すら手に入るほど。家には日記もあり、インプット量を増やして、賢くなっていくのです。
まひろの家も没落するまでは裕福でしたので、書籍は豊富にあった。
藤原道綱の母・藤原寧子の家はそうではない。そんな厳しい現実も背景にはあります。
そんな道綱は、東三条に行ったと知られたら母は怒るかとやきもきしています。なんでも摂政殿こと藤原兼家は、いまだに寧子のもとに来るとか。
「知ってた」とあっさり返す道長。
道綱が嫌なことを言ったと謝ると、そのようなことで嫌にはならないと、これまたあっさり道長は返しています。
兼家は他の女のところにも通っているでしょうし、今さら動じる道長ではありません。
道綱は自分のことを語ります。
道綱にも妾はいて、それなりに大事にしているけれども、妾側から見ればまるで足りぬようだとか。
それはお母上の考えか?と道長が問いかけると、道綱は「何も言わないけど、見ていたらわかる」としょんぼりしています。
道綱はしみじみと語ります。
嫡妻は夫と同居しているけれども、妾はいつ来るのかわからない夫を待ち続けている。男が可愛がっているつもりでも、妾は常に辛いのだ。
ちなみに藤原寧子の夫である兼家は、わざわざ寧子の家の近くまで牛車で来て、別の場所に行くような卑劣なゆさぶりを寧子に仕掛けていますから、最悪ですね。
道長は道綱の言葉を聞き、まひろが妾になることを拒否した姿を思い出します。
「ならばどうすればいいのだ!」
そう叫んだ己の言葉を思い出す道長。ぼんやりしていると、道綱に語りかけられます。
「聞いてる?」
「聞いております」
「なんだよこいつ! いつもしれっとしおってさあ!」
そうして弟に顔を近づける陽気な兄。
親同士はいろいろあっても、兄弟愛はあるものです。
道長にも、己の結婚とはどういうものかわかってきました。自分の持つ価値に気づいたのです。
倫子の婿取りと友情
抜かりのない藤原兼家は、源雅信を呼び出し、道長の縁談話を進めます。
なんとしても道長を婿入りさせる――。
そうゴリ押しする兼家は、左大臣の胸の内を聞きたいと丁重に言い、この先、道長には相応しい地位も与えると言い出します。
雅信は娘の気持ちを聞きたい……と弱々しく返そうとするも、その言葉を言い終えないうちに兼家がどんどんどんどん話を進めてします。
かくして雅信は断ることもできないうちに、猛スピードで縁談は進んでゆきます。
そんな父の気も知らず、倫子は姫君サロンを開催。
まひろが家事をしていることを打ち明けると、皆から同情され、それでも話を続けます。
畑仕事は気持ちがいい。瓜も菜葉も大きくなれ!と毎日語りかけると、本当に大きくおいしく育つのだとか。
拭き仕事でもある床の掃除も、板目が龍や川の流れのようで、見ていて飽きないそうです。
そんなまひろに対し、お姫様たちの間で困惑が広がると、倫子がこう切り出しました。
「板目、私も見てみましょ!」
倫子の呼びかけにより、皆で床を見始めます。
烏帽子のよう。龍のよう。川の流れのよう。瓜のよう。そうはしゃぐ姫たちを赤染衛門がたしなめます。倫子も無邪気にはしゃいでいる。
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どこかずれたことを言ってしまったとやっと気づいたのか。
まひろが倫子にお礼の意を伝えると、倫子はこれからもずっとこの学びの会に来て欲しいと頼んできます。
最初は苦手だったけれど、今は楽しいと笑顔のまひろ。
はじめは父・藤原為時の依頼で、偵察に来ていたまひろは、大切なものをいくつも見つけたのでした。
思春期を迎えて、芽生えるものは恋心とされます。
しかしそれだけではなく、友情もそうです。
恋愛と友情はどちらも尊い。そんな当然のことをこのドラマは描いてゆきます。
雅信が娘の涙に押し負ける
道長が左大臣家にやってきました。
「此者道長也 摂政」
そう短く書かれた手紙を読みながら、兼家の素早さに困惑するしかない源雅信。
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道長は、広く立派なお屋敷だとお世辞を言いながら、姫君サロンのことも尋ねます。
姫君の学びの会だが、遊んでもいるらしい。そう答える雅信に対し、今日も開催中かと詰める道長、父譲りの強引さを見せてきます。
その様子を、倫子本人と母の藤原穆子も遠くから御簾越しに見ています。
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道長が帰ると、倫子は父に訴えます。
藤原道長を慕っている。打毱の会で見かけて以来、夫は道長様と決めていたのだと。
猫にしか興味がなかったのではないか?と驚く雅信に対し、そのようなことを申し上げたことはないと源倫子が反論します。
道長をずっとお慕いしていた。それゆえ他の殿御の文を開いていないのだとか。
「道長様を私の婿に! 一生の願いです。そうでなければ私は生涯猫しか愛でませぬ!」
困惑しつつ、道長から文は来ているのか?と尋ねる雅信。
倫子は道長の目に留まっているかもわからないと返します。雅信は留まっているようだと摂政様が言っていたとか。
「まことでございますか! どうかお願いです、どうかどうかどうか……」
娘に泣かれ、もう宥めるしかない雅信。不承知とは言っとらんというと、小麻呂を抱いた藤原穆子が出てきて「よかったわね、倫子」と言い出します。
雅信の言質を取り、もう話を進めるしかありません。
恋が成立する過程を、猫の小麻呂も見守っているようでした。
愛おしそうに猫の前足に触れる倫子が素晴らしい。猫もすっかり馴染んでいますね。
娘が可愛らしくて仕方ない雅信。
もはやそういう場合でもなくなっている為時。
そんな対比も浮かんできますが、倫子もなかなか困った境遇になっています。
倫子がかわいい雅信は、赤染衛門までつけ、入内しても恥ずかしくない姫君に育てあげてきました。
しかし難アリだった花山天皇には入内させられず、五節の舞姫も、まひろを倫子の代役にしたほど。
では一条天皇はどうか?というと、さすがに年齢差がありすぎる。
それなのに今までこうも粘っていたのは、愛情なのでしょう。倫子はとてもかわいらしい! 源雅信の気持ちも納得できますね。
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