光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第18回「岐路」

長徳元年(995年)、筑前守と大宰少弐の任期を終えて、藤原宣孝が戻りました。

お土産は「変わった味のする唐の酒」とのこと。

宋代に造られ始めたという「白酒」です。まだ本場でも珍しい品をよくぞ手に入れました。

 

魅惑の宋とビジネスチャンス

2023年に放送されたドラマ『パリピ孔明』で、オーナー小林が「昔の酒は弱い」と孔明に問いかけていました。

孔明が生きた三国時代は醸造酒でも、宋代になると蒸留酒である白酒ができてくる。日本で焼酎ができるのはまだまだ先のこととなります。

白酒は慣れないと香りがキツいようにも思えますが、その奥深さを理解して味わえるようになればよいもの。

よろしければ皆さんも一度お試しになってみてはいかがでしょう?

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蒸留酒の話からは、宋の技術力の高さも伝わってきます。

宣孝は、戦人が好むというこの強い酒を、まひろにも勧めてきました。

飲み干して「カッ!とする」と度数の高さを表現するまひろ。確かに戦の前に己を鼓舞するにはよいと語ります。

宣孝はしみじみとこう言います。

まひろは打てば響くいい女になった。歳を重ねて色香を増した。

なんなんでしょう、この、宣孝の圧倒的なスケベ感は!

女性を酔いつぶして不届な行為をはたらくものは論外としまして。同意のうえで酒を少し飲ませ、頬に血の気がのぼる様を楽しむのは、粋な男という感があります。

宣孝が、親切なおじさんから、色気あるおじさまにランクアップを遂げた瞬間でしょう。

まひろは「お戯れを」とあしらいつつ、宋のことを聞き出そうとします。

博多の津には商人だけでなく役人、薬師(医者)も来ているとか。

さらに宣孝は【科挙】のことも説明します。

合格すれば身分が低くとも政治に関わることができるシステムであり、実は日本でも一時導入されていましたが、廃れてしまいました。

まひろはこの話に驚いています。

知識としてはあってもおかしくないとは思いますが、実践されている様を聞くとなると色々と違うのでしょうか。

科挙は時代ごとに異なります。

唐代は、科挙はあっても、まだ貴族制度が残っていました。

明代以降はテクニック重視となり、多様性が失われ、弊害も大きいとされます。

その点、宋代はバランスがよく、この時代は官僚のレベルが高いとされます。宋代政治は日本でもお手本とされたものです。

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まひろは、そんな身分に縛られない宋に憧れ、行ってみたいとうっとり。

宣孝は唐の薬を取り出します。切り傷に驚くほど効くとかで、藤原実資が見たら欲しがりそうな逸品ですね。

この薬を売り捌くことで、宣孝はボロ儲けをしました。

地方赴任は金儲けのチャンス。財も蓄えたから、妻を増やす気にもなってきたのでしょうか。

さらには唐ものの紅まで、まひろのために買ってきました。

早速つけさせてみる宣孝。

「よいではないか! 思い描いた通りじゃ!」

満足げな宣孝は、本当に良い意味でいやらしくなりましたね。

為時は色気から話を逸らしたいのかどうか、太宰府の魚の話をします。

嬉しそうな宣孝は、イカ、エビ、タイがうまいと返しつつ、生物は持って帰れぬと言うしかない。

まひろは太宰府から宋の距離を聞きます。

船で十日、宋の都(開封)まで陸路で二ヶ月。

まひろが行く気になるからやめてくれと為時が言うと、ならばわしが一緒に行く、商いもできると微笑む宣孝。

為時は「その気になったら困る」と返すしかありません。

このシーンからは、宣孝とまひろの距離が縮まるだけでなく、別の影も見えてきます。

かつて直秀と旅立つことを夢見たまひろ――今度は宋へ旅立つことを、別の誰かと考えてしまうのではないでしょうか。

楽しみになってきましたね。

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次の関白は誰だ?

仕事をする公卿たちが出てきます。

藤原道綱が、先の関白である道隆の死から十日が経過したと言うと、中宮は「兄の伊周を関白にせよ」とせがんでいるのではないかと見通しを語る平惟仲。

藤原実資が憎々しげに吐き捨てます。

「出過ぎものの中宮が!」

伊周は若すぎるばかりか、帝も若い。

その懸念を道綱が口にすると、実資も「たまにはよいことを言う」と同意しています。

さらに、道兼は帝の叔父で、伊周は従兄弟であるから、道兼が関白になるべき順番だろうと続くと、実資も「好きではない、全く好きではないが」と付け加えながら、「関白は道兼がなるべきだ!」と熱く主張します。

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継承順位について兄弟と父子を絡めると混乱するのは世の常。伊周と道長のように、甥と叔父が対立しかねません。

この対立パターンは例えば『鎌倉殿の13人』にもありました。

和田義盛の父・杉本義宗は、三浦義明の嫡男でした。

本来は彼が三浦を継ぐはずでしたが、その前に亡くなってしまい、弟の三浦義澄が当主となります。

平安貴族でなく坂東武者同士の対立が血生臭い惨劇となることは、ドラマで描かれた通り。

こういうことを繰り返していたら同族同士が潰し合い、危険である――と、人類は認識するようになります。

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時代がくだると兄の血統を重視し、叔父は当主を継承しないことが成立してゆきます。

日本では戦国時代にはそうなっていて、例えば大河ドラマですと『麒麟がくる』の明智光秀(甥)と明智光安(叔父)がそうでしたし、『どうする家康』の本多忠勝(甥)と本多忠真(叔父)も同様の血縁関係でした。

どちらも叔父が甥を守り抜き、当主としています。

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