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『光る君へ』感想あらすじレビュー第26回「いけにえの姫」そしてまひろは宣孝を見限った

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第26回「いけにえの姫」
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太陽のように輝く定子

さて、その中宮側はどうしているか?

藤原伊周が同席していて、左大臣の姫の裳着のことを話しています。

「まだ子どもゆえに入内しても恐ることはない」

そう語ると、定子も恐れていないようで、帝の御心は揺るがぬと信じていると言い切ります。

なぜ伊周は余裕があるのか?

というと、裳着に参列した者が、藤原彰子は挨拶もろくにできぬうつけだと語っていたというのです。

そんなことを漏らすのはいったい誰なのか。斉信辺りが怪しいですかね。

定子が伊周を嗜めつつ、内裏の安寧をはかる帝の御覚悟だと理解を示すと、伊周は「ずいぶん中宮様らしくなったな」と清少納言に同意を求めます。

清少納言は、茶目っ気たっぷりにこう返します。

「唐の国で皇帝は太陽、中宮は月だけれども、私にとっては中宮様こそ太陽です。軽々しく近づくと火傷しますよ」

こうも自信満々のセリフが出さえるのも『枕草子』により己の地位を高めたからのように思えますが、この先、その太陽が消えたら、彼女はどうなってしまうのでしょうか。

 

広がるまひろと宣孝の距離

まひろが、いとと共に子どもたちへ握り飯をふるまっています。

腕から血を流し、怪我をしている子供もいて、その手当てをしようとしていると、そこに藤原宣孝がやってきて「何事だ」と憮然としています。

大水や地震の影響で孤児となった子供たちを助けている。まひろがそう説明すると、宣孝は吐き捨てるように言い放つ。

「穢らわしい」

まひろはムッとして、親のいない子はこのままでは飢え死にすると言います。

「それも致し方ない。子どもの命はそういうものだ」

そして、何事もなかったかのように、丹波の栗を土産に渡すのです。

まひろが皆に配ろうとすると、皆ではなくお前に持ってきたと、遮る宣孝。

ここの場面を見ていて『鎌倉殿の13人』の北条政子を思い出しました。

人を救うにはどうすればよいのか――政子が御家人一の知恵者である大江広元に相談すると、施餓鬼(せがき)を名目に施しができると教えられたものです。

施しをする政子の横には、北条泰時と平盛綱がいました。

盛綱は、北条義時の妻であった八重が慈しみ育てていた孤児の出です。

つまり、あそこまで時代がくだっていると、仏教がより深く浸透し、人を助けたいと願う発想が出てくるのですね。

そして撫民を掲げたことが、泰時以降、北条氏政権の特徴となりました。

優しく先進的なまひろは自然とそれができるけれど、宣孝はそうではないのです。

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まひろが難しいのか? 宣孝が単純すぎるのか?

宣孝は、ある女にまひろの文を見せたと言います。

猜疑心旺盛なまひろは、どんな女なのかと問い詰め、二人だけの秘密を知らぬ方に見られるのは恥辱だと言います。

さらには、見せられた方もいい気分はしない、そういうことをお考えにならないのか?と藤原宣孝に詰め寄る。

「お考えにならないどころか、ほめとった」

そう軽く答える宣孝は、鈍感だから気づいていないだけでしょう。

さらに宣孝は、まひろのような優れた女を自慢したいから、みんなに文を見せているとまで言い始めます。

思わず、送った文を全部返せ、そうでなければ別れる!と言い切るまひろ。

何を言っているかわからぬとトボける宣孝。

戯れかかろうとすると、まひろは「おやめください!」と断固拒みます。

「難しい女だ。せっかく褒めておるのに。またな」

そうぼやいて帰ろうとする宣孝に対し、「また」というときは、これまで送った文を全て持って来い、そうでなければお目にかからぬとまひろは返します。

宣孝の贈り物に囲まれて、どこか悄然としているまひろ。

宣孝は他の女と同じようにまひろを見ていた。贈り物を与え、セクシーに迫れば落とせる――そんな目で見ていた。そう悟り切った侘しさがあります。

彼は、自分の心など見ていないのだと。

 

まひろは宣孝を許す気はない

まひろが洗濯をこなし、いとが厨(台所)へ向かってゆきます。

たとえ金持ちと結婚しようと家事をこなすまひろようです。そこへ弟の惟規がやってきて「どう?」と聞いてきます。

逆にそっちはどうなのか?とまひろが聞き返すと、惟規はあっけらかんと官職は得られそうもないと答えます。

父が戻る前には頼むとまひろがお願いすると、惟規は素直に聞く。

ただ、聞くだけ素直で実際はやらない。

まひろがそういうと、惟規は姉のそんな辛辣さが心配なようで、男の痛いところは突かない方がいいと指摘します。宣孝はそういうプンッとしたところがいいのだと返答するのですが……。

実のところ、放って置かれているとまひろは打ち明けます。

「それ、新しい女ができたからだよ」

「えっ?」

惟規がえらいことを切り出してきました。

なんでも清水の市で、まひろよりずっと若い女に絹の反物を買ってニヤけていたとか。

まひろは自分だって宣孝よりずっと若いのに、そんな自分よりずっと若い女とは……呆れて「お盛んね〜」と言います。

怒っていないのかと聞かれると、怒っているけれども惟規から聞いたとは言えないから黙っておくとまひろ。

策士というか、素直に突っかかればいいというか。

惟規は「家はいい」とくつろぎ、姉上がつつがないならいいと帰ろうとします。

去り際に「宣孝を一度ひっぱたけ。それでも姉上のことは手放さない」とだけ告げて、惟規は去ってゆきました。

それまでは微かに余裕ある微笑みがあったまひろの表情が急速に冷え込み、殺気が溢れてきます。

これが般若の顔か。

そうしみじみと思えるほどおそろしい顔ですね。吉高由里子さんの演技力が炸裂しております。

許す、許さない。

別れる、別れない。

それから、そんな文のやりとりが繰り返されたのだとか。そして……。

「これを見たとたん、まひろに似合うと思うてなぁ」

宣孝がそう言いながら、反物を持ってまひろのもとへきました。

清水の市で見つけたと言ってしまい、まひろの逆鱗に触れます。

若い女子に買ったついでに私にも買ったのか。多淫は体によろしくない。

まひろが宣孝に嫌味を言います。

酒と色は男の寿命と健康を損なう二大悪とされます。

これまた渋沢栄一絡みで変な誤解をしている方を時折みかけますが、儒教文化圏では多淫への戒めがないというのは違います。西洋由来のプロテスタントほど厳密ではないというだけです。

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「かわいくないのう、誰に聞いた?」

「誰でもよろしいでしょう」

気まずい空気が流れ、宣孝はこう切り出しました。

「あの宋の医師か」

そして宣孝は久々にきたのだからもっと甘えるように言うものの、まひろは甘えたくらいでごまかせないとキッパリ返します。

「お前のそういうかわいげのないところに左大臣も嫌気がさしたのではないか? わかるなぁ」

ついにはド級の嫌味を放ってしまう宣孝。

まひろの怒りも限界点を超えました。灰を掴んで、宣孝に投げつけます。

源氏物語』では、髭黒が北の方に灰を撒かれる場面があります。髭黒が北の方を放置し、若い玉鬘に夢中になったせいで、北の方が怒ったのです。

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