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『光る君へ』感想あらすじレビュー第27回「宿縁の命」不実な女まひろを宣孝は許すのか?

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第27回「宿縁の命」
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あまりに見事な屏風の完成

いよいよ屏風が作られる、そんなシーンが出てきました。

作品というのは、用途を想像してこそわかるものがあります。

和紙の色合い。

かな書道の流麗さ。

そして和歌。

当時の鑑賞環境が見られることはドラマの利点です。

来年も、博物館のガラスケースに入っているのではない、手に取って楽しむ「浮世絵鑑賞の場面」が出てくるでしょうから、楽しみですね。

道長の思惑通り、この屏風は公卿の多くが支持していることの証明となりました。

彼の政に大きな意味を持つことになる。道長視点に立てば素晴らしいことです。

とはいえ、政治的ライバルからすればどうなのか。

ましてや、かつてその公卿と親しくしていた清少納言あたりからすれば、どうなのでしょう。

その前に、実資が屏風を目にして驚いています。

実資は教養に溢れる人ですので、政治的思惑を抜きにして芸術を鑑賞するとなると興味津々なんですね。さっそく公任の歌に感心していました。

さらに花山院の歌まであるとなると、目が泳いでしまう。

道長に、歌を詠んだ公卿リストを渡されると、さしもの実資にも動揺が見られます。

それでも道長は、筋を曲げない姿に感銘を受け、忌憚なくご意見を賜りたいとまで言ってきます。

すっかり参ってしまう実資なのでした。

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彰子の入内と、定子の皇子出産

11月1日、ついに彰子の入内となりました。

そのころ読経が響き、藤原伊周藤原隆家の二人が弓を射ております。

出産の穢れを祓う儀式であり、中国由来です。本国では文を重んじるため廃れたとのこと。中国由来ながら現地で廃れたといえば打毱もそうですね。

程なくして産声が響き、子が無事に産まれました。

彰子入内から6日後、定子は皇子を産んだのです。

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帝は、中宮と皇子の無事を喜んでいます。

しかし、その姿を見る行成はどこか複雑な顔。心優しい行成は、道長も、帝も好きなのです。

皇子出産の一報に落ち込んでいるのが居貞親王(のちの三条天皇)でした。

道長が祝いの品を手配するというと、親王は叔父上も痛手であろうと言います。

そのようなことはないと返す道長に対し、居貞親王は道長の娘が入内したことも意味がなくなると続けます。

しかし、意味はあると力強く返す道長。

皇子の誕生でますます傾く帝の心を、彰子が戻すのだと確信を込めて語ります。

そんなによい女子なのか?と興味津々の親王。

「おかげさまで」

そう語る道長は、どこか自信がないようにも見えますが……。

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藤原伊周は、定子の産んだ皇子を東宮にする望みを抱き始めました。

そんなに急がないで欲しいと願う定子。

すると弟の隆家が、皇子を東宮にするとなると、今の帝を退位させねばならないと気乗りしない様子です。

帝が退位すれば、肝腎要の定子の力も弱まる。焦るとよい目が出ないと語っています。

伊周がムッとしていると、か細い声で「喧嘩しないで」と定子。

帝の心を掴んで離さない定子がいなければ、もう中関白家はどうにもならないだろうに……その定子が弱っているように見える。

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詮子と帝の決裂

一方で、健在である女院こと藤原詮子が帝の前に姿を見せました。

詮子は皇子の誕生を祝いつつ、帝のような優れた男子に育てると宣言します。

しかし帝その人は、皇子を自分のようにはしたくない、己を優れた帝とも思っていないとつれない態度。

私が手塩をかけて育てた帝が優れていないはずがないと詮子が続けても、中宮一人すら幸せにできていないと嘆く帝です。

母の仰せのままに生きてきた。それなのに公卿に後ろ指をさされている。

そう落ち込んでいると、伊周のせいであり、帝をたぶらかした定子が悪いにおわせる詮子です。

しかし帝の心に母の言葉はもう届かない。

彼女の言われるままに彰子を女御を迎えたが、愛することはないと告げるのです。

詮子が中宮ばかりを気遣うことを嗜めると、そういう母から逃れたくて中宮に救いを求め、のめりこんでいったのだ!と言い切ります。

「全てはあなたのせいなのですよ!」

帝から強く非難され、愕然とする詮子。

我が子にそんなふうに母を見られていたのかと衝撃を受けています。彼女にしても、どれだけ辛い思いで生きてきたか……と訴えますが、帝は帰るよう冷淡に言い放ちます。

詮子は嘆きます。父の操り人形で、政の道具であった。それでも生き抜いてきた。

しかし帝にすれば、自分だって母の操り人形なのです。父から愛されない母にとっての慰み者であった。

詮子は言葉に詰まります。

帝は女御の顔を見て参ると立ち去る前に、母の顔を立てねばならないと言い捨てていくのです。

詮子は深い絶望に沈んでいくように思えます。

帝は変わりました。天譴論すら忘れたようです。

宣孝に続いて、ここの詮子もフランス宮廷を連想させます。

イタリアのメディチ家から、フランスのアンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスという王妃がおりました。

聡明で初々しい少女であったものの、夫は年上の寵姫を熱愛している。

そのせいでだんだんと性格が歪み、我が子を支配し、フランス史に残る大殺戮事件の糸を引いたともされています。

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なんてのは夢物語であり、その間に真摯な思いがなければ、心はねじれてしまう――そんな嘆きがみえる、圧巻の演技でした。

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