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『光る君へ』感想あらすじレビュー第40回「君を置きて」一条天皇の辞世の真意は?

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第40回「君を置きて」
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ここで質問「双寿丸はイケメンですか?」

現代人ならば「イケメンでしょ!」と答える方が多いと思います。私も賛成です。

しかし、いととまひろの顔を見ると、そうは思っていないように感じます。

健康的に日焼けしていて、髪はボサボサで、ガツガツと食事する。思ったことをズケズケという。

もうイケメンどころか「なんだこの野蛮人……」と警戒しているのでしょう。

源氏物語』の世界観は、不健康であり、回りくどいことこそが、男女双方の美形の条件に思えます。

そこから双寿丸は逸脱していて、もう、ありえないのです。

『鎌倉殿の13人』では、木曽義昌が都でさんざんバカにされていました。

彼だっていい男でしたよね。それでも野蛮人扱いだったものです。

北条政子や八重だって、都からきて優美というだけで、源頼朝に靡いていったものです。

なにせ、当時はエレガントさが美形の第一条件!

双寿丸はあえてそこから外していると思えます。

『源氏物語』の「玉鬘十帖」では、優美なイケメンを求める玉鬘に、嫌味のようなことが書かれています。

マッチョな髭黒を玉鬘は嫌っているけれど、男の顔が化粧をした女のようなわけがないのに、仕方ないではないか。そう突き放しているのです。

物語後半に、元気な武者が飛び回る。

これもまた『源氏物語』の世界観を踏襲しているといえばそう思えます。

それに彼は直秀のようにはならないでしょう。

腕っぷしが強く、相手を撃退できる。母と娘が恋する相手は、似ているようで違うのです。

来年の『べらぼう』の世界観となると、江戸っ子にとって双寿丸は「いい男じゃないの!」となるかと思います。

江戸のセンスは現代人にかなり近づいてきていて、当時のモテる男は、火消し、力士、与力とされます。健康的で体もシャキシャキ動くタイプです。

それと食事の感覚も注目でしょう。

双寿丸がガツガツと食欲旺盛であるのは、意義があると思えます。

当時は食事を見られることそのものが卑しいものとされております。

姫が食事をするところを見られるのは、排泄を見られるくらい恥ずかしいとされていたのではないかとすら思えます。

この価値観は江戸時代となると「遊女」にのみ適用されます。

遊女は客といる時は宴会ですら食べることが許されていません。

「地女」と称される一般人はそうでもありません。

浮世絵の美人画には、おいしそうに屋外で天ぷらを食べる江戸娘までもが描かれるようになるのでした。

『鎌倉殿の13人』へと時代をつなげてゆく、そんな双寿丸には今後も注目しましょう。

 


MVP:一条天皇

あえて辞世をどちらにも解釈できるようにしたことで、今回と次回がつながるように思えます。

「君を置きて」の「君」が誰なのか。

それが「揺らぎ」となるからこそ、次回予告でききょうも顔を見せているのでしょう。

本当に難しい役だと思います。

現代人でも真面目な人からすると、「君」が複数いて、どちらかわからない時点で、ものすごく大変なことのように思えるはずです。

演じる塩野瑛久さんは、定子か彰子か、生きるか死ぬか、ずっとその間で揺らいでいるようで、見ていて辛くてたまりませんでした。

こんな美しい人が、こうも苦しみ、儚くなってしまうのか。

そうずっと胸に刺さってきて、私の心も揺らいでしまいます。

見事な像でした。

 


鹿を指して馬と為す

鹿を指して馬と為す――とは『光る君へ』でまひろも語っていた言葉です。

誰かに媚びるため、目の前の鹿を馬だと言い張る。

要するに忖度ですね。

忖度忖度忖度……と組織に蔓延すると、必ず腐敗します。

なぜ、こんなことを書いているか?というと、昨日、大河ドラマの後にNHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』が放送されたからです。

大河ドラマともむろん関係が大いにあります。

NHKスペシャルの中でも、2004年『新選組!』と2005年『義経』では二年連続主演だったとして、映像まで使われました。

ジャニーズ主演の大河は全部で5作あります。

その中で最も重要なのは2023年『どうする家康』であることは、番組の流れを見れば明らかでした。

『どうする家康』制作において強い力を持っていた若泉久朗氏が、NHKを去ったあと、ジャニーズ事務所の顧問となっていたのです。

いわば彼の忘れ形見があの作品と言える。

若泉氏は「取材に応じない」としながら、番組内で突撃されると、NHKのスタッフに向かってこんな風に言いました。

「仲間じゃないですか」

同じNHKなんだからこれ以上、急な追及はしないでくれよ、ということでしょう。

こういう仲間意識、まさに鹿を指して馬だと言い張るような忖度が、大河ドラマまで腐らせたのではないか――あの番組を見て改めて感じたものです。

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私自身は昨年、鹿を見せられても「これは馬です」とは言いませんでした。

それで正解だったのだと確認できた意味でも、昨晩のNHKスペシャルは意義のある番組だったと思います。

「まだまだ踏み込みが甘い」という評価もありますが、一歩目としてはまずまずではないでしょうか。

大木を伐るには何度も斧を撃ち込まねばなりません。

はじめの一撃が最も重要であり、その一撃が見られただけでも今はよしとしたいところです。

むろん次の一撃が続くことが重要ではあります。

NHKの自浄作用に期待しておきましょう。

最後に、来週は衆院選のため、総合での放映時間が午後7時10分からとなります。BSでは変更ありません。お間違いなきように。

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文:武者震之助note

【参考】
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