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【どうする家康・文春砲第二弾を検証】
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現場の混乱は、ドラマにでてくる
『どうする家康』は常に混乱しています。
あるレストランに入ったところ、出てくる料理はまずい。接客もめちゃくちゃ。いつもは美味しいのに、繁忙期だったことが悪かったらしい。そんな経験を思い出します。
文春砲の第二弾を読んでいて、私がドラマに対して舌打ちしたくなる陳腐さの原因がわかりました。
『どうする家康』はカメラワークが単調で工夫がない。
いつも同じようなアングルから撮影していて退屈なのです。
スタッフが無能なのではなく、記事によると、別アングルから撮影しようとすると松本潤氏が不機嫌になり、切り上げてしまうとか。
なるほど、それならばああなってしまうでしょう。
小道具のファンシー感も納得できました。
『どうする家康』の小道具は、担当者に日本史資料集を見返して欲しいと思うほどおかしい。
うさぎのフィギュアだの、ボックスフラワーじみた押し花だの、ファンシー感が常に漂っています。
ガチャでカプセルを開けたら出てきそうな……あるいは結婚式のカタログギフトのような、残念極まりない安っぽさが漂っていました。
衣装のセンスもそうです。
戦国時代に求められる感覚は、緊張感や鮮やかな色彩、鋭いシルエットでしょう。シルバニアファミリーじみたふわふわ感は、お呼びではありません。
一体どこぞのファンシー趣味の持ち主が小道具を破壊し尽くしているのか。
ずっと謎でしたが、記事が正しければその謎はあっさり解けてしまいます。
松本潤氏の趣味だった……というワケで……大河小道具担当者の名誉回復を願っています。
かれらは『鎌倉殿の13人』で、本当にいい仕事をしました。
あの時代らしい木簡を用意する。木に字を書く時は、専用の墨だって必要になります。
三浦康信がうっかり墨をこぼしてしまう時は、安定しにくい風字硯を用意する。
坂東武者らしい義時は国産の酒器なのに、セレブ趣味の妻であるのえは宋磁をこれみよがしに使う。
そんな気遣いのできる小道具チームが、今年だけファンシー趣味全開になるなんて、異常な環境がなければありえないことです。
かれらのことを思うと胸が痛い。
台本の遅れも、小道具を見れば察知できることではありました。
手間のかかる小道具は早め早めに台本をもらっておきたいもの。そういう時間のかかる小道具が今年はありません。
『麒麟がくる』の蘭奢待なんて、相当の時間がかかったことでしょう。
◆美術さん、頑張った? 精巧な「蘭奢待」レプリカに視聴者感心 「ホンモノ?」の声も(→link)
こういう小道具を見ることだって、大河鑑賞の楽しみ方なのです。イケメンがカッコつけていればいいわけではありません。
他の大河への対抗意識が隠せない
松本潤氏がイラつき、パワハラを繰り返すことで現場が疲弊している。
その根底にあるのは『鎌倉殿の13人』への対抗意識だと、記事中で指摘されています。
ドラマを見ていて、その点は感じることがありました。
『どうする家康』は、せいぜいここ数年の大河ドラマに対する対抗意識、もっと酷い言葉でいうながら「パクリ」要素も見られます。
『どうする家康』の後半は、家康の隣に本多正信と阿茶局がいます。これは2016年『真田丸』も同じでした。
『真田丸』はまだわかるにせよ、『どうする家康』には家康を支える家臣が序盤から出てきます。彼らが全く目立っていない。
『麒麟がくる』については、あのドラマを嫌っていたのでは?と思える箇所が多い。
清廉潔白な描かれ方をしていた明智光秀と足利義昭が、『どうする家康』ではとことん下劣な人物とされました。
この程度ならば解釈といえるかもしれませんが、それだけとも思えません。
金ヶ崎の撤退戦では、秀吉が必死の思いで危険な殿(しんがり)を務める決意を語る名場面がありました。
それを『どうする家康』では、秀吉はギャーギャーと喚き散らし、実は保身しか頭にないという酷い描かれ方がされていたのです。
◆ 【麒麟がくる】佐々木蔵之介、「金ケ崎の退き口」はターニングポイントに(→link)
◆ どうする家康:ラスト5分のムロツヨシ劇場 クズでサイコパスな秀吉 家康脅すも、笑顔で自身の正当性主張(→link)
『鎌倉殿の13人』の”パクリ“は露骨でした。
あの作品では、義時が女性にキノコを贈るという癖がありました。戦場ですらキノコを探していたと思える場面は、笑いを誘っていたものです。
『どうする家康』では、家康が瀬名のために栗を拾う場面がありました。しかし単発の思いつきのようで、栗を受け取る瀬名の反応がない。義時のキノコの場合は、受け取った側が嫌がる反応を示すことでオチがついていたものですが。
さらには井伊直政が「九郎義経と同じで、顔がよくて力持ち」と発言したり。
◆「どうする家康」井伊直政の「九郎義経と同じ」発言に大河ファン反応 SNS「間違ってもない」「完全に狙ってたでしょ」(→link)
『おんな城主 直虎』で井伊直政を演じた菅田将暉氏は、『鎌倉殿の13人』では源義経を演じました。
そういう大河ネタを狙ったのでしょうが、かえって作り手の歴史知識の拙さを露出してしまったのでは?と感じます。
『どうする家康』での井伊直政は力自慢を強調していましたが、義経は腕力が弱いことで有名。
自身の腕力が弱いことは弓でバレてしまうため、危険を冒してまで弓を回収した「義経の弓流し」という逸話が残されているほどです。
そうしたエピソードを受け、『鎌倉殿の13人』では、義経が兄たちの剛弓に対して劣等感を見せる場面がありました。
腕力の弱いことが伝わってきたものです。
シリアスな大河がよかったというけれど…
大河ドラマは一年を通じて人物像が形成されるもの。
一朝一夕に世界観が構築されるわけもなく、たとえセリフで何か偉そうなことを語っても、視聴者には見抜かれてしまいます。
その結果、第40回放送のパクリは、大河ファンを失笑させました。
◆ 【どうする家康】「修羅の道」同じセリフで『鎌倉殿』リスペクトするも「重みが違う」「脚本が力不足」と “自爆オマージュ” に(→link)
松本潤氏は、小栗旬氏とほぼ同じセリフを語り、何かを主張したかったのかもしれませんが、所詮はハリボテの世界観であり、かえって無惨な結果に……。
この記事には、小栗旬氏が大河主演の大変さを語る言葉もあります。
小栗氏も、松本氏も、同世代で共演も多く、本人同士も仲が良いとされています。
そのため同列に並べる意見も少なくありませんが、大河に関して言えば小栗氏はあの年代でもずば抜けているでしょう。
1995年『八代将軍吉宗』以来、実に8作も出ています。
これだけ大河出演が多い俳優となると、一世代下の染谷将太氏が思い付きます。飛び抜けた“例外”といえるキャリアです。
◆染谷将太、31歳で5度目の大河ドラマ出演 “1作差”渡辺謙はボヤキ「俺の年齢の半分なのに…」(→link)
そこをどう読み違えてしまったのか。松本潤氏は何か空回りしているように思えます。
記事にある松本潤氏友人の言葉は、赤裸々なようで、彼の言い分をそのまま受け止めているように思えるのも気になるところです。
松本氏は『鎌倉殿の13人』のようなハードでシリアスな大河がよかったと語られています。
果たしてそうなのか?
それならばむしろ瀬名を冷酷に処断したがるのではないかと思えるのですが……彼の意見を反映させたとする脚本は、史実よりもずっと甘ったるく、緊張感のない仕上がりになっています。
私には、あの作品の作風が好きなのではなく、それがもたらす名声だけに興味があったように見受けられます。
“いい爺さん”と“悪い爺さん”
松本潤氏は、小栗旬氏ではない別の大河主演経験者に「今度は裏方に回り、プロデューサーでもやるから」と声をかけたことが記事に書かれています。
事実であれば、尊大さや記事で揶揄される全能感というより、中年クライシスを感じました。
若い俳優や女優からは、距離を置かれている気がする。
昔は平気だったのに、今は体を動かすと疲れがどっとくる。
飲み会の翌日、頭がずっと重い。
でも若い連中みたいにノンアルなんてやってられんし……もうそろそろ、若い頃のノリと美貌だけではキャリアを積み重ねていけないのかな?
周りを見れば、ダチだった連中もキラキライケメンから脱皮して、重みのある役を演じている。
俺だってあいつと同じチャンスがあればそうできるはずだ!
そう焦り、今までの積み上げた権力を行使し、振り回しているように思えるのです。
中身のないまま歳だけとった自分を慰めたくて、周りに攻撃性を発揮し、忖度を強要することで癒しを得る。
本人にとっては憂さ晴らし、一種のセラピーかもしれませんが、周囲からすれば暴君のハラスメントでしかありません。
これのどこが徳川家康の物語なのか。歴史上の人物ならば、大宝寺義氏か、皇帝ネロか、『三国志』の董卓あたりがふさわしい。
こうした松本潤氏の雰囲気について、私は文春砲だけで考えたわけでもありません。
SNSでも歴史知識、大河ファンあるあるネタを投稿しながら、批判する相手を罵倒する投稿が頻繁に見られます。
『どうする家康』は、作品そのものからも、報道からも、ファンダムからも、中年クライシスが濃厚に漂っています。
若者はおっさん臭くて見ちゃいられない。
高齢者だって幼稚さに呆れて見ない。
中年だって、何か主張したくて、忖度して見ているだけ。
そんなドツボに陥っている、極めて不幸な作品。
結果、どうなかったか?
小栗旬氏と松本潤氏の関係は、おとぎ話のいいお爺さんと悪いお爺さんを連想させます。
いいお爺さんが真面目に振る舞った結果、妖怪を相手にして思いがけぬ財産を手にした。
それを聞いていた隣の家の悪い爺さんはそれを真似て、かえって酷い目にあわされてしまう。
◆【どうする家康】「修羅の道」同じセリフで『鎌倉殿』リスペクトするも「重みが違う」「脚本が力不足」と “自爆オマージュ” に(→link)
オマージュどころか“パクリ“そのものの展開をしたところ、こんな反応が出ました。
これぞまさしく”いい爺さん“と”悪い爺さん“そのものでしょう。
正直もので勤勉であれば、お宝がもらえる。そのことを小栗旬氏は証明しています。
◆ 【東京ドラマアウォード】小栗旬『鎌倉殿の13人』で主演男優賞「いろんなことをチャレンジできた」(→link)
私みたいに口うるさい大河ファンは、さしずめ飛び出してきた悪い爺さんを苦しめる妖怪の一匹なのでしょう。
私のような妖怪だって、正直で心掛けのいい爺さんには、お宝をくれてやるものですけどね。
どうする大河ドラマ
第一弾に続き、今回の記事でも最後にはNHKやジャニーズ事務所の見解が掲載され、一言で言えば「否定」しております。
ただし、文春サイドの個々の質問には答えず、「事実ではない」とするのみ。
ジャニーズ事務所にいたっては「ドラマ放送の最終的な決定権はNHKにある」というスタンスの一文も付け加えられているほどです。
もしも不正確な記述があれば、以下の記事のようにメディア側に何らかの対応をさせるのでは?
◆ジャニーズとNHKめぐる記事で「裏付け取れず」 プレジデントオンラインが謝罪、記事削除(→link)
なぜ今回に限ってそうしないのでしょう。
影響力のある文春砲だけに、黙っていれば他メディアへ拡散していくのは明白であるのに不思議なものです。
『どうする家康』も10月末にはクランクアップを迎えるとか。
記事が事実であれば、凄まじい圧政に耐え続けたスタッフには「お疲れ様でした」と感謝の言葉を送りたい。
そしてNHKには、パワハラの再発に取り組んでいただきたいものです。
この記事は単なる芸能スキャンダルには留まらない、労働問題そのものでしょう。
ただでさえ時代劇スタッフは減っている。仕事量にふさわしい見返りが少ないともされる。海外の配信会社からの引き抜きも考えられる。
大河を守ることは、この国の時代劇を守ること、文化伝統を守ることです。
役者だけでなく、いわば将兵とも言える彼らにも、敬意と快適な職場環境が用意されるべきだと願うばかり。
10月末になれば、スタッフの皆さんも一時は心安らぐ日が訪れることでしょう。
ただ、なまじ目立つ大河主演俳優は、作品が失敗するとキャリアに暗い影が落ちるリスクはあります。その再起には、危機に際して「どうする?」と問い続けた経験が、生かされることでしょう。
NHK上層部は危急存亡のときが訪れるかもしれません。
スタッフを苦しめる圧政を看過したのであれば、それはやむをえないことでしょう。膿を出し切ることを願うばかりです。
◆NHKにテレ朝も…ジャニー喜多川氏「トイレ性加害」の裏でマスコミに出回る「大物OBとの密着写真」(→link)
そう思っていたところ、なんとファン感謝祭を開催するとか。
◆ 大河ドラマ「どうする家康」ファン感謝祭 ~「皆のおかげじゃ!」(→link)
それを告げるニュースの時点で、このドラマがいかにおかしかったか理解できました。
◆『どうする家康』ファン感謝祭が開催決定 松本潤、松山ケンイチ、杉野遥亮ら登場(→link)
感謝祭の宣伝記事には、次のようなドラマ紹介文が記されています。
今作が初大河となる松本は、誰もが知る偉人・徳川家康を演じる。
国を失い、父を亡くし、母と離れ、心に傷を抱えた孤独な少年・竹千代は、今川家の人質として、ひっそりと生涯を終えると思っていた。
しかし、三河(みかわ)武士の熱意に動かされ、弱小国の主(あるじ)として生きる運命を受け入れ、織田信長、武田信玄という化け物が割拠する乱世に飛び込む。
そして豊臣秀吉、黒田官兵衛、真田昌幸、石田三成と次々と現れる強者(つわもの)たちと対峙し、死ぬか生きるか大ピンチをいくつも乗り越えていく。
上記のように大袈裟に書かれていますが、そんなドラマでしたっけ?
こうしたニュースは、NHK側から提供された資料を参照に書かれているのでしょう。
だとすれば、不思議でならないのが文中にハッキリと
【黒田官兵衛】
と記されていることです。
文脈からして黒田長政の間違いではないでしょう。
つまり、どこかの時点で何らかの都合により黒田官兵衛が消された可能性がある。そして、そのままファン感謝祭が開催される、と。
真摯に大河ドラマを作っていたら、こんなことが起こり得るのでしょうか。
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どうする家康/公式サイト