青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第26回 感想あらすじレビュー「篤太夫、再会する」

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青天を衝け第26回感想あらすじレビュー
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役への理解は大丈夫なのか?

もう秋です。

劇中でも明治です。

それなのに、主演のインタビューを読んでいても不安になるのはなぜでしょうか?

彼の責任ではなく、現場がちゃんと資料を渡していないのでは?

◆モデルプレス - <吉沢亮インタビュー>「青天を衝け」でたどり着いた境地「ただそこに居るだけで栄一になれる」 草なぎ剛への憧れも語る(→link

ここで吉沢さんはこう語っています。

「新政府で働くようになってからは、自分が正しいと思うことに突き進むという意味では一緒でも、そのための手段というか、自分の道理とは外れたことや、何かを切り捨てるようなことをいたしかたなくやる場面も出てきます。それが“大人になる”ということなのかもしれませんが、ちょっと“汚さ”を覚える栄一というのは、自分の中でも意識して演じています」

人間の本質って加齢だけそうそう変わりません。

渋沢は天狗党・薄井龍之の嘆願を握りつぶしています。

妻の千代を裏切るようなことも平気でしています。

小栗忠順が見抜いたように「この前まで攘夷だ、幕府はけしからんだの言っておいて、幕臣になったのか」というのが渋沢の本質。

小栗忠順
冤罪で処刑された小栗忠順~渋沢より経済通だった幕臣はなぜ殺された

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そういう裏切りを平然とする渋沢像を知らないのか、それともそういうフリをしているのか?

私の疑問は、次の一文を見て溶けました。

「セリフが難しい!経済の話になってくると本当に何を言ってるのかちんぷんかんぷんなので大変です(笑)」

実は、本作で見ていて漠然と感じている違和感の正体がこれだった気がします。主役が意味を理解せずに言っていると思える場面が頻出していたのです。

彼のみならず、多くの方がそう。そこまで難しいセリフでもないし、初期の頃から比べると難易度も語彙力も落ちていませんか?

「おかしれぇ!」

「胸がぐるぐるする!」

なぜ、こんな安易な言葉(難しい語彙を使わない層の言葉)をしつこく繰り返すのか。

疑問だったのですが、セリフの難易度を落とすことで、感情移入をさせているように見受けられます。

『麒麟がくる』は相当語彙力が高いものでした。例を挙げると、信長の台詞が「天下を取る」ではなく「万乗の君」となっていた時は驚きました。読んだことはあっても聞いたことは初めての言葉だったのです。

「万乗の君」とは、一万台の兵車を指揮する君主ということ。

では兵車とは?

古代中国で用いられた戦闘用馬車で、騎乗にとって代わられました。

ゆえに古代中国史でも知らないとパッと想像つかないようなシロモノですが、その単語を言うときの染谷将太さんは理解して噛み締めながら言うような迫力があったものです。

それに、ここまで言いたくないけれど……染谷さんならば、素直にチンプンカンプンとは言わなかったんじゃないか?と考えてしまいます。

慶喜役が乗馬シーンで愚痴っていたインタビューでも思いましたが、仲間内で話すならばともかく、インタビューでここまで赤裸々に本音を語らなくともよいと思えるのです。

「ディーンさんは前回(=連続テレビ小説『あさが来た』)も同じ役を同じ大森(美香)さんの本でやられているので、やっぱり“染み付いている感”というか、(五代が)ディーンさんご自身でもあるなと。ディーンさんの人柄とすごく共存している感じがして、それがご一緒していて気持ちいいなと思うし、すごく魅力的です」

『あさが来た』からの出演者が多く、それを引きずっている人が多すぎてバランスがおかしくなっておりませんか?

あの作品でのディーン様は、せいぜいヒロインを助ける便利なイケメンでした。

しかし、本作ではグラバーから銃器を買って販売する死の商人です。

ディーンさんのルーツである福島県には、こうして売られた銃器で命を落とした人の慰霊碑が各地にある。

そういう五代友厚とディーンさんが共存していてよいのか……そう思ってしまいます。

慶喜と慶喜役を重ねる意見もよく見かけますけど、徳川慶喜と人格的に一致する人間なんて、ろくでもないというのが率直なところです。それこそ「豚一」と皮肉られかねない。

そしてこのインタビューでも、所作指導が甘いと明かされている。

◆NHK大河「青天を衝け」12日再開 吉沢亮「ここからが本領発揮」(→link

そろばんも未経験で「今回、初めて触りました。決まった動きをやるだけなので、手順さえ間違えなければOKみたいな感じです」と舞台裏を明かす。

今年は所作がともかくおかしくて、時代劇はもうダメではないかと不安になることばかり。

その一旦が垣間見える言葉です。

しかし、期待はまだされているようです。

◆ NHK大河「青天を衝け」慶喜がナポレオンルックからの謹慎へ 家族と涙の再会…まるで浦島太郎のその後 第26回見どころ(→link

カリスマ経営者たちによる新展開と、視聴率の“V字回復”に期待したい。

カリスマ経営者たちの新展開とは言いますが、残り15回でどこまで描けるのでしょうか。

ただ、数字のケアについては余念がなく、慶喜を引っ張り、五代友厚をクローズアップする。イケメンがやたらと脱ぐ理由も数字狙いでしょう。広告代理店が好きそうな手法を連発しているわけです。

そうやってなんとか底上げして当初こそよい数字を出し、成功作軌道に乗せる戦術はうまくいきましたけど。

ただ、それも最後まで続くのか。

かつての勢いを失った24時間テレビが裏番組にあろうと、戊辰戦争を描いてイケメンを何人もくどいほど長ったらしい演出で死なせた。

私にはあざとすぎて理解できなかった「ネジを口から出した小栗忠順の斬首」も人によっては「神回!」だったそうで……。

本来最も稼げそうな戊辰戦争で、この数字では……。

※著者の関連noteはこちらから!(→link


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文:武者震之助(note
絵:小久ヒロ

【参考】
青天を衝け/公式サイト

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