青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第31回 感想あらすじレビュー「栄一、最後の変身」

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青天を衝け第31回感想あらすじレビュー
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小道具班とVFXチームは大丈夫でしょうか?

今週はあらすじに使われる写真を見て、思わず目を疑いました。

◆【青天を衝け】第31回見どころ 日本初の銀行作りに乗り出す(→link

この「國立銀行」という文字。もう少しこう、綺麗にできませんか?

私はそこまで書には詳しくありませんが、例年の大河はもっと美しかったと思います。特に画面の中で大々的に使うのであればなおさらです。

なんてことを感じてしまうのは、最近中国や韓国の時代劇も目にしているからかもしれません。

小道具の字が実に綺麗。三国志ものですと、竹簡に隷書で書いている場合もある。

要は、かなりの手間をかけていることがわかるのです。

それに比べて本作は、小道具が全体的にお粗末。

墨ではなく、ポスターカラーを使ってそれっぽく見せていると思えるもの。

Illustratorで作ったと見た瞬間にわかるもの。

そういうものが毎回のように出てくる。

時間がないことは理解できますが、もう少しなんとかならないのでしょうか? 大河ってNHKの看板コンテンツですよね。私の高望みなのでしょうか?

極めつけは三井組の旗です。

小道具班が手一杯だからVFXを起用したのでしょうが、まるでPS2程度のレベルで合成箇所が浮いていたように見えます。

 


西郷隆盛を褒めていればいいもの?

【大久保と違ってナイスガイ枠】の西郷。

西郷が強硬に戊辰戦争をやらかしたせいで、平九郎や土方が死に、成一郎が苦労したことを栄一はどう思っているのでしょうか?

考えてみたいことがあります。

西南戦争が勃発すると、当時、警視庁にいた斎藤一、会津藩士たちはハッスルしました。

「戊辰の仇!」と絶叫しながら戦った会津藩士の記録が残されております。

会津藩出身の柴五郎は、西郷と大久保の死は当然のことだと受け止めており、そのことを後悔しないと言い切っています。

要するに彼らと比較しますと、西郷隆盛にヘラヘラしている渋沢栄一って、所詮はステルス倒幕派であり、幕府になんの思い入れもない人間ってことが証明されてしまっているのです。

それで自分の言うことをザルのようにスルーするから西郷も「大久保と違って器量が大きい」となる。

しかし、これも要注意です。

西郷って、上野公園のあの銅像のイメージが大きいのですが。あの着流し浴衣で犬を連れている姿からして、糸子夫人がガッカリしたとされています。

実物の西郷は、本作でもおなじみの西洋軍服姿がふさわしい。和装であるにせよ着流しでなく、ちゃんと袴はつけている。

そんなありのままの西郷像はあまりに禍々しかった。

明治新政府への不満が凝縮し、西郷星伝説が生まれるほどカリスマがあったとされ、西郷は反政府アイコンと化した。

そういうイメージを緩和するため、上野の銅像ようなラフなスタイルで顕彰したという説もあるほどです。

それに西郷はメンタルが不安定です。

自殺未遂もありますし、精神状態が悪化しているとわかる言動がかなりある。

明治以降は島津久光に不義理をかなりしつこく責められ、精神状態がますます歪んでいます。

ニコニコとやさしい西郷は、願望ありきのものだと思いましょう。

『西郷どん』といい、NHKは実際の西郷隆盛を描くつもりはないのでしょうか?

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近年大河の西郷像で一番史実に近いものは2013年『八重の桜』の吉川晃司さんと思われます。

吉川さんはすっかり時代劇にふさわしい役者となりましたね。『MAGI』の織田信長も素晴らしいものがありました。

ではなぜ、渋沢栄一は西郷隆盛を褒めたのか?

大事なのはそこですね。

それは反政府アイコンとして人気が絶大である西郷と、そんなスゴイ西郷と理解しあえた自分をアピールすることにはメリットがあったんでしょう。

渋沢栄一の言動って、自分のイメージアップを常に考えていますから。

 


栄一と大久保の対立は所詮“ヤンキー漫画”

何度となく指摘していますが、このドラマの大久保と渋沢の対立軸はしょうもない。

というのも、大久保が本気で潰そうとすればどうなるか、歴史が証明しています。

今週登場した江藤新平です。

彼は明治7年(1874年)に非業の死を遂げました。

江藤は新政府でも屈指のシャープな頭脳の持ち主でした。

にもかかわらず、斬首刑に処され晒されたうえに、その写真が土産として販売されるほど悲惨な最期を迎えたのです。

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士族反乱の中で命を落としたようで、ことはそう単純でもありません。

確かに江藤は反乱を起こしました。

しかし、処断があまりに厳しい。

なぜ?

そのヒントはわざわざ佐賀まで裁判を見に行った大久保利通の言葉に隠されています。

「江藤醜態笑止なり」――江藤のオロオロするところときたら、みっともないったらない!

乱そのものよりも、江藤のシャープな知性が大久保の憎しみをかっていたのです。

佐賀の乱の鎮圧は強引であることは指摘されています。

超法規的ともいえる不可解な鎮圧。これも大久保の個人的な感情があったのではないかと指摘されるところです。

天狗党の乱】の処断をみて、幕府は滅びると書き記した大久保。

そんな大久保でも感情的に有能な人物を私怨で死へ追いやり、憎しみをかってしまう。

歴史の闇がそこにはあります。

江藤と大久保の対立が、重厚な小説だとすれば、本作の渋沢と大久保は?

残念ながら「ヤンキー漫画」程度の対立でしょう。いや、幼稚園児のおもちゃの取り合い? その程度の無邪気なものに見えてきます。

木戸孝允や黒田清隆は登場人物一覧におりませんが、江藤新平はバッチリ出てきましたね。

大久保利通が江藤を葬ったとき、栄一が大仰にキレるのでしょう。

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