阿片を吸う中国人/wikipediaより引用

中国

アヘンの歴史にみる薬物乱用と英国の恐ろしさ! ケシを吸ったらサヨウナラ

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
アヘン(阿片)
をクリックお願いします。

 


時の皇帝は死刑に定め、林則徐を欽差大臣に任命するも

ここからは、もう少し詳しく当時の様相を見て参りましょう。

アヘンの密輸が横行した場合、問題となるのは大きく2つです。

①流行による風紀の乱れ・健康被害・労働意欲の低下

②海外に銀が流出する経済問題

清の官僚の中には「アヘンの取り締まりは無理だから、輸入を認めて関税をかけたほうがマシなんじゃない?」という折衷案を出す人もおりました。

しかし、時の皇帝は「死刑」という厳しい法律を作り、林則徐(りん そくじょ)を阿片禁輸の欽差大臣(特命大臣)に任命。

徹底した取り締まりを強行します。

賄賂になびかない正義の官僚・林則徐さん/wikipediaより引用

林則徐には中国人が大好きなワイロも通用しません。

アヘンの在庫数も国内流通量から計算し、そしてイギリス商人たちを追い込んでいきました。

かくして1839年6月、林則徐はイギリス商人から没収したアヘン約2万箱を焼却するのです。

普通に燃やすと煙で周辺が大変なことになるため、海水と生石灰で処理して処分しました。

化学知識もカンペキ。いやぁ、本当に凄い官僚サンですね。

 


イギリス本国でも意見は割れていたが、結局……

ただ、この厳しい取り締まりが引き金となり、アヘン戦争が勃発してしまったのも事実でありまして。

イギリス本国でも「麻薬の密輸を禁止されたからって、武力行使するなんて、人として間違ってるよね!」という意見は当然ありました。

議会においても、清への出兵に関する予算案は賛成271票、反対262票の僅差だったそうで、良心は残っていたわけですね。

歴史に「たられば」はありませんが、ココでの投票が否決されたなら、中国、ひいてはアヘン戦争の影響を恐れた幕末ニッポンの歴史も大きく変わっていたでしょう。

かくして1840年から2年間のアヘン戦争がイギリスの圧勝に終わったのは先に報じた通り。

両国の間では不平等条約(南京条約)が結ばれ、清は他の列強にも付け込まれる展開となりました。

林則徐は責任をとって大臣をクビになり、地方へ左遷という憂き目に遭っております。

ただ、彼はそこでも善政を行い、住民に慕われたというのですから、本当にもったいない話です。

現代の日本でアヘンやモルヒネ、ヘロインを許可無く使うと法律に触れます。

では、昔はどうだったのでしょう?

私の遠い記憶ですが「暴れん坊将軍」や「遠山の金さん」などの時代劇で「此れはご禁制の阿片!」みたいな話を見ていたので、江戸時代から御法度だとずーっと思っておりました。

ところが、です。

記事を作成中に初めて知ったのですが、当時、日本でのアヘンはとても高価な薬でほとんど流通がなく、ケシ栽培が全国に広がったのは明治時代前後だと言うではあーりませんか。

江戸幕府がアヘンを禁止したのは「アヘン戦争の教訓から」であり、1858年の安政五カ国条約に輸入禁止の条項が設けられたのです。

もう、完全に誤解してましたよ、金さん(笑)。

あわせて読みたい関連記事

チョコレートの歴史
戦闘でシャキーン!ハーレムでシャキーン!チョコの原料カカオは通貨で薬だった

続きを見る

コブラに胸を噛ませて自殺した美女クレオパトラ そんな計算通りに死ねるもの?

続きを見る

戦国時代に始まったタバコの歴史~今も昔も不良に必須のアイテムだった

続きを見る

コレラジョン・スノウ
死神コレラを止めろ! ジョン・スノウはどうやって致死率8割の恐怖を撃退した?

続きを見る

◆拙著『戦後国診察室2』を、皆さま何卒よろしくお願いします!

戦国診察室表紙


参考

  • 日本緩和医療学会『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』(2010年版)第2章「オピオイド鎮痛薬」
    リンク (※現在はリンク切れ)
  • 「アヘン」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「アルカロイド」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「モルヒネ」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「オピオイド」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「ヘロイン」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「阿片戦争」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ
  • 「三角貿易」『ウィキペディア日本語版』(最終閲覧日: 2025年8月28日)
    記事ページ

TOPページへ


 



  • この記事を書いた人
  • 最新記事

馬渕まり

糖尿病などの生活習慣病を専門とする現役の医師にして生粋の歴女。 武将ジャパンでは2014年から執筆している。 連載『まり先生の歴史診察室』は2冊の書籍となって全国の書店へ流通。 現在はWEBメディアから各方面へ活動の幅を広げ、講演などの依頼も。エックス(旧Twitter)では歴史大喜利に熱を入れている。 ◆主な著書 『まり先生の歴史診察室』GH・2015年 『戦国診察室2』ゼネラルヘルスケア・2022年

-中国
-