マーシャの日記(清水 陽子 (翻訳) 新日本出版社)/amazonより

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リトアニアのアンネ・フランクと呼ばれる『マーシャの日記』があまりにも壮絶だ

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母と弟妹との別れ

パルチザンたちも抵抗を続けていますが、危険と隣り合わせの日々でした。

彼らの活躍は心強い一方、もしも協力を疑われたら殺されてしまいます。

パルチザンや協力者が殺されたという悲しいニュースが毎日のように届くのを、マーシャは日記に書き留めました。

一方、ナチスドイツは、各ゲットーから男を集め、まとめて殺すようになりました。

殺される男性たちが、本物のパルチザンかどうかは関係ありません。

こういう虐殺は「男狩り」と呼ばれました。

ノルマ達成のために男達が集められ、殺されてゆくのです。

パルチザンがいた建物は、中にいる女子供、はては味方ごと破壊されました。徹底した殺戮です。

赤軍パルチザン兵(ベラルーシ・1943)/Wikipediaより引用

毎朝、これが最後の朝かもしれないと思いながら仕事に行く日々。

しかし、それも終わりを迎えます。ゲットーの閉鎖が決定されたのです。

姉のミーラは、偽の証明書を手に入れて脱出済みでした。

母と弟妹たちとともに、マーシャは荷物をまとめ始めました。

そうして移動するうちに、マーシャは母と弟妹とはぐれてしまいます。

母は叫んでいました。

「あの子はまだ若くてよう働けるから、来させないで」

マーシャはなんとかして母と弟妹の方へ向かおうとしますが、途中で気絶してしまいます。

そして彼女一人だけが列車に乗せられて、どこかへ……。

別れた母と弟妹の三人は、あえなく射殺されていました。マーシャはそのことを、ずっと後で知ることとなります。

 


強制収容所へ

家族と引き離され、心細いまま揺られる列車。

飲食も自由にできないまま、家畜のように押し込まれた中、マーシャはどこかへと連れて行かれます。

目にした建物を見て、マーシャは子供ながらに驚愕します。

カイゼルヴァルト強制収容所でした。

嗚呼、強制収容所に着いてしまうなんて。

せめてママがいれば……。さっきまでは一緒だったのに。

マーシャは嘆くしかありません。

そこで待ち受けていたのは、薄く僅かばかりのスープ。

暴力。

ちょろちょろした水がかかるだけの「入浴」。

マーシャは前歯をたたき折られ、持ち物検査では父の写真を破り捨てられてしまいます。

そのあと、シュトラスデンホーフ強制収容所へ送られたのでした。

「囚人No.5007」

それが、マーシャを示す番号でした。

マーシャは重たい石を載せたトロッコを押す仕事や、工場での仕事をさせられます。

そんな中でも、すり減った鉛筆をなんとか手に入れ、この壮絶な経験を書き留めるのでした。

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