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【マーシャの日記】
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母と弟妹との別れ
パルチザンたちも抵抗を続けていますが、危険と隣り合わせの日々でした。
彼らの活躍は心強い一方、もしも協力を疑われたら殺されてしまいます。
パルチザンや協力者が殺されたという悲しいニュースが毎日のように届くのを、マーシャは日記に書き留めました。
一方、ナチスドイツは、各ゲットーから男を集め、まとめて殺すようになりました。
殺される男性たちが、本物のパルチザンかどうかは関係ありません。
こういう虐殺は「男狩り」と呼ばれました。
ノルマ達成のために男達が集められ、殺されてゆくのです。
パルチザンがいた建物は、中にいる女子供、はては味方ごと破壊されました。徹底した殺戮です。
毎朝、これが最後の朝かもしれないと思いながら仕事に行く日々。
しかし、それも終わりを迎えます。ゲットーの閉鎖が決定されたのです。
姉のミーラは、偽の証明書を手に入れて脱出済みでした。
母と弟妹たちとともに、マーシャは荷物をまとめ始めました。
そうして移動するうちに、マーシャは母と弟妹とはぐれてしまいます。
母は叫んでいました。
「あの子はまだ若くてよう働けるから、来させないで」
マーシャはなんとかして母と弟妹の方へ向かおうとしますが、途中で気絶してしまいます。
そして彼女一人だけが列車に乗せられて、どこかへ……。
別れた母と弟妹の三人は、あえなく射殺されていました。マーシャはそのことを、ずっと後で知ることとなります。
強制収容所へ
家族と引き離され、心細いまま揺られる列車。
飲食も自由にできないまま、家畜のように押し込まれた中、マーシャはどこかへと連れて行かれます。
目にした建物を見て、マーシャは子供ながらに驚愕します。
カイゼルヴァルト強制収容所でした。
嗚呼、強制収容所に着いてしまうなんて。
せめてママがいれば……。さっきまでは一緒だったのに。
マーシャは嘆くしかありません。
そこで待ち受けていたのは、薄く僅かばかりのスープ。
暴力。
ちょろちょろした水がかかるだけの「入浴」。
マーシャは前歯をたたき折られ、持ち物検査では父の写真を破り捨てられてしまいます。
そのあと、シュトラスデンホーフ強制収容所へ送られたのでした。
「囚人No.5007」
それが、マーシャを示す番号でした。
マーシャは重たい石を載せたトロッコを押す仕事や、工場での仕事をさせられます。
そんな中でも、すり減った鉛筆をなんとか手に入れ、この壮絶な経験を書き留めるのでした。
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