担当編集さんから久しぶりにこんなメールがきていました。
「鎌倉殿の13人見ていたら、義仲の額にブスっと矢が突き刺さってフェードアウトしましたが、あれって即死するもんですかねぇ? そういう例って医学的にあります?」
いや……私、内科ですから……というか、今の時代にそんな事例あるわけないでしょ!
と思ったのですが、数年前に弓道部の練習で頭に矢が刺さって死亡という痛ましい事故がありました。
万が一、額に矢なんて突き刺さったら、フツーは即死しそうなものです。
1184年3月4日(治承8年1月20日)は木曽義仲の命日。
ということで、ちょっと調べてみました。
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矢が水平に刺さったら即死はない
脳に矢がぶっ刺さったとき、人はどうなってしまうのか?
こういう時は脳外科医に聞くのが一番ということで、かつて「脳の質感は玉子豆腐」と教えてくれた医師に聞いてきました。
答えはこちら。
矢が水平に突き刺さったのであれば即死はしない
仮に貫通したとしても「即死はないと思う」というコメントをいただきました。
命が危なくなるのは呼吸中枢のある延髄(脳の下の方にある)がやられた時であり、実際にそこまで矢が突き刺さるかどうか不明ながら、上から下へ急な角度で刺さった場合は即死の可能性が出てきそうです。
よく頭蓋骨をタテに切った(矢状断した)脳の断面図がありますよね。
あの図を見れば延髄の位置も一発でわかりますので、拒否感のない方はリンク(→link)をクリックしてみてください。
ちなみに、万が一、水平で入ったとしても、拳銃で撃たれたら即死。
弓矢よりもはるかに衝撃が大きいため、延髄にダメージを喰らうとのことです。
ともかく、矢が額に突き刺さる――というのは見た目と違って、即死に結びついたりしないんですね。
そうなると問題があります。
いったい木曽義仲はどうやって亡くなったのか?
史料から、もう少し義仲の死について考えてみたいと思います。
※以下は木曽義仲の関連記事となります
なぜ木曽義仲は平家討伐に活躍したのに失脚へ追い込まれたのか?
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『吾妻鏡』『愚管抄』では?
まずは『吾妻鏡』から。
源義経は仙桃院御所の警備にいて、義仲と戦ったのは一条次郎忠頼たち。
近江国の粟津(あわづ)附近で、相模国の住人・石田次郎(為久)により義仲は誅殺された。
というわけで、記録からは木曽義仲の死に方は不明です。
ちなみに石田三成は石田為久の子孫を名乗っているそうです。
続いて『愚管抄』はどうでしょう。
4~5騎で落ち延び、義経が追いかけ、大津の田中で、義経の部下伊勢三郎らが義仲を打って頸を持ち帰った。
やっぱり死に方は分かりません。
まぁ、もしも矢が刺さったならその場で倒れるでしょうから、すかさず組み討ちでとどめを刺され、斬首されたのでしょう。
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