べらぼう感想あらすじレビュー

背景は喜多川歌麿『ポッピンを吹く娘』/wikipediaより引用

べらぼう感想あらすじ べらぼう

『べらぼう』感想あらすじレビュー第18回鱗の置き土産 うちの本読んだガキがよぉ

徳川家治田沼意次が話しているところへ、驚くべき凶報が届きます。

西の丸で知保の方が毒をあおったというのです。

なんでも知保は、御台様に瓜二つのお中臈を迎えたという噂を聞いて衝撃を受けたとか。

実の子ができれば養母としてつとめを果たせぬ、徳川には無用と思ったと書いております。

家治は生真面目なので、西の丸へ向かいますが、この時点でおかしい。本気で無用と思っているならば、出家でもすればよいではないですか。

『光る君へ』で描かれた一条天皇藤原定子を思い出してみましょう。

あのとき、追い詰められた定子は発作的に髪を切りました。あれは本気で出家したいとわかる。

しかし今回は狂言でしょうね。

 


この狂言の黒幕は?

田沼意次も知保の狙いを見抜き、宝蓮院か、白河にいる松平定信に疑いを抱いています。

すると高岳が推理します。

次の西の丸が家治の実子となれば、徳川家基の許嫁であり、次の御台所となるはずであった種姫の処遇が問題となります。

種姫は年頃です。家治の実子が育つまで待つわけにはいかない。同年代の養子をとり、次期将軍にしたいというわけですな。

疑いたくはないが、あまりに間がよすぎる。そう意次も推測を認めます。

するとここで予測通り、知保は一命を取り留めたという報告が入ります。

『大奥』橋本(楊洲)周延画/Wikipediaより引用

高岳はそつなく、見舞いを届けるように伝えます。

意次に報告しつつも見舞いを送る――これぞ大奥頂点に立つ気遣い。

意次は「命を取り留めるのも早いものだ」と嫌味を吐き捨てると、高岳も「女たちが仕組んだ狂言だな」と推理します。

知保の枕元には案の定、宝蓮院がいました。

「薬に詳しいものに調合してもらった」

意味ありげな笑みを浮かべながらそう言うと、恭しく頭を下げる大崎。彼女は一橋治済の嫡男・豊千代の乳母となります。

高岳も、意次も、見落としていた要素があることが浮かんできます。

宝蓮院はしてやったりと言わんばかり、今回の子作りが知保と種姫にどれほどきつい仕打ちか、上様にも伝わっただろうと確信しています。

 


鱗の旦那の店じまい

江戸の市中では、店を畳むことにした鱗形屋で、今後についての打ち合わせが進められていました。

長男の長兵衛が地本問屋たちと応対しているのは、なんでも孫兵衛が寝込んでしまったからだそうで。

西村屋与八は、孫兵衛抜きで話を進めていいのか?と尋ねると、それでよいと長兵衛が返します。

西与は『細見』を得て、二男・万次郎の奉公先になりました。

鶴屋喜右衛門は、恋川春町の今後を依頼したいとか。

春町先生と挨拶を交わす鶴喜が、随分と棚ぼたじゃねえか!

そこへ蔦重が来たと、藤八が告げてきやしたぜ。

「どうもどうも、旦那様方! ご無沙汰山にございます!」

嫌がられているのを承知で、店じまいを聞いてやってきたと告げる蔦重です。

蔦屋重三郎/wikipediaより引用

西与はさっそく『細見』の板木を買い取って潰す気か!と嫌味を吐いてきます。

蔦重が「お見通しですか」とおどけると、「もう買っちまった」と答える西与。そこで蔦重が三倍の値を提示すると、なんでも金で買えるわけでないと西与が返します。

恋町は露骨に嫌そうな顔だ。

「鱗形屋が今一番いるのは金のはずだ」と蔦重が粘っていると、耐えきれなくなったのか春町は立ち上がり、出ていくと告げます。

蔦重は、春町が鶴喜のところで書くことになったことを知ってもめげずに、自分のところで書くようにお願いしながら、朋誠堂喜三二の名も出します。

「寄るな! お前のような盗人と話すことは何もない」

しかし、春町はそっけなく断って出ていくのでした。どうやら、まぁさんよりも武士らしさが残っているようですぜ。

 


カボチャの旦那の弔い合戦だ

蔦重がうなだれながら耕書堂に戻ると、歌麿が「お帰りなさい」と迎えます。いいじゃねえの。本当によく戻ってきたな!

そこには深刻な顔をした駿河屋もいます。なんでも今朝、カボチャこと大文字屋が亡くなったそうで。

『近世商賈尽狂歌合』に描かれた大文字屋/国立国会図書館蔵

ここは誰袖が「おっとさん! 戻ってきてくんなんし!」と揺さぶっていたことを覚えておきやしょう。

忘八どもは目にも鮮やかなカボチャ尽くし弁当に舌鼓をうち、追悼していますぜ。

これが日本流のわけわかんねえところかもしれねえ。

日本の葬儀はコメディ映画の題材になるほど、妙に明るいと言いますか。突然死ならばいざしらず、そうでもなければ参列者が飲み食いしますわな。

しかし、本来儒教文化圏では服喪中に美食なんてあってはいけねえことなんすよね。ったく、たくましい連中だぜ。

「そんなことよりサ、出ちまったんだね、西村屋板の細見」

りつがあっさりと話を前に進めます。

蔦重が止められなかったことを詫びていると、丁子屋が『雛形若菜』の新作を見せてきます。

鳥居清長作じゃねぇか」

磯田湖竜斎は美人画を江戸市中に送り出すことからは手を引き、清長が跡を継いだわけですね。湖竜斎は売り上げを気にせずに描く、絵師として理想的なセカンドライフへ移ったわけです。

鳥居清長『雛形若菜の初模様 大文字屋内まいずみ』/wikipediaより引用

清長は今、人気絶頂。清長に描いてもらいたいと女郎も女郎屋も乗り気になってしまっているそうです。

そのためにも西村屋の細見を仕入れる店があるそうで、吉原で派手にやらかすのではないかと、忘八も気を揉んでおりやす。

「ちっくしょう! これじゃカボチャに向ける顔がねえやい!」

「怒っただろうな、あいつが生きてりゃよ」

「だろうな」

そう悔しがっておりやす。こりゃ弔い合戦しかねえんすかね。

松葉屋はまぁさんが書いていた青本の売れ行きを気にしております。

どうやら評判はいいものの、目立たないようで。あまりに出過ぎて埋没しちまうわけですな。

鶴屋は今、芝全交をどっと推してきているそうです。これがうめえ、うがちもいい、洒落れた作風だそうで、「市中にやられちまっているのか!」と駿河屋は苛立っておりやす。

りつが「春町先生は取れないのかい?」と提案すると、他の忘八たちも賛同しました。

「難しい……」と苦い顔になる蔦重。

「吉原に連れてさえ来れれば、あとはもてなす」と皆は盛り上がっていますが、鱗の旦那との結びつきが強いと渋ります。

だからこそ鱗形屋が潰れる今こそ好機だ、もてなしてやるとますます盛り上がってまさ。

蔦重がなだめても、吉原は全力応援するともう聞いてくれません。

「春町先生は真面目なタイプなんで」

「てめえこの野郎、俺らが不真面目だってのか!」

そう誤解されてキレられる蔦重。一体どうすりゃいいんだよ!

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