結婚よりも大変なのが離婚――。
興すより畳む方が難しい事業――。
ほんに世の中は前進より後退の方がはるかに難儀であるが、その最たるものが戦争であろう
特に相手が外国となればなおさら。日本人同士の争いならば、阿吽の呼吸で見つかる落とし所も外国人相手には通じない。
それは秀吉が朝鮮に出兵した文禄の役でも同じことで、両国の交渉事は遅々として進まず、頭を悩ませていたのが小西行長や石田三成であった。
現場担当であり、商人出身の行長。いかなる手法でこの局面を乗り切るか――。
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嘘じゃないよ方便だよ! いいから使者を頼んだよ!
◆朝鮮出兵を押し進めたはよいが、明側の反撃に遭い、戦線の硬直した秀吉軍。一刻も早く終結させるためにはどうするか?
行長が騙す相手は秀吉であり、明の交渉役・沈惟敬にとっては明の皇帝であり。それぞれのトップを丸め込んでとにかく戦争を終わらせようとしたのです。
ちなみに秀吉が明側に出していた講和の条件は、明の皇女を日本の皇室に差し出すことだったり、朝鮮を割譲することだったり、朝鮮王子の人質要求だったり、どれもこれもまさに無茶振り。さぞかし行長の胃はキリキリとして頭痛も止まらなかったことでしょう。
てか、一番可哀想なのは実際に使いに出た内藤如安さんですな。
参加人数5,000人!? 史上最大の花見は吉野でね
◆徳川家康や前田利家など、名だたる武将を引き連れ秀吉が開いた吉野の花見ですね。
祭り好きの秀吉らしく多くの部下を引き連れ、やってきたのは5,000人。
吉野はもともと修験道の役行者が桜の木に本尊(蔵王権現像)を彫ったのが由来で、以来、桜が献木されていて、大々的な花見を催したのは秀吉が初のことでした。
このとき伊達政宗は山伏の格好で寸劇を見せて秀吉を大いに喜ばせたなんて逸話もありますね。いかにも政宗らしい……。
石川五右衛門 鳥の鳴き声警報機で捕まる!?
◆盗賊の頭領として知られた石川五右衛門は、秀吉配下の仙石秀久に捕まったとも、前田玄以に捕らえられたとも伝わっております。
「青磁の香炉」は蓋に鳥の造形物が付いていて、五右衛門が秀吉の寝所に忍び込んだ時にそれが鳴いたとか。
だとしたらまるで自動警報機(イモビライザー)でありますが、まぁ、後に付与された伝説の一つでありましょう。
なお、仙石は褒美としてこの青磁の香炉を秀吉から貰っております。
1つのウソは3つになり、3つのウソは百にも二百にも……
◆小西行長の使いで在北京の明皇帝に会った内藤如安は、「秀吉が降伏する」という趣旨の文書を届けました。
これに対し、明側は「秀吉を子分として認めるから、使者を送るね♪」という展開に。
ヤバイよ、ヤバイ、これは本気でヤバすぎです。内藤如安、いや小西行長の行く末はどないなってまうんや~!
(来週へ続く)
漫画・アニィたかはし
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