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『信長の野望』は歴史知識を上げる?義光の「顔グラ・能力値」に注目

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『信長の野望』義光の変化
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大河はダメでも、ノブヤボがある!

こうなるともう山形の人々は大河ドラマには期待していないのかもしれない。

しかし、それでも義光には救いがありました。

2013年発売の『信長の野望・創造』で、ついに陰陽師顔グラを脱出したのです!

今までの陰険そうな顔ではなく、むしろマッチョ。そして甲冑姿になりました。

もう陰陽師じゃないんだ……!

最上義光『信長の野望』より

ギリニも修正され、やっと山形県民も納得できる、そんな義光像になりました。

では、なぜ顔グラフィックが修正されたのでしょうか。

ちょっと考えてみましょう。

 

そもそも肖像画が残っていないゆえに

陰陽師が嫌だというクレーム由来で、あの肖像画が修正されたわけではありません。

実は最上義光には、肖像画が残されていません。

かつてはそう呼ばれている絵がありましたが、研究の結果ありえない箇所が複数あるため、後世の創作であるとして取り下げとなったのです。

関連書籍でも、ある時期から掲載されなくなりました。

陰陽師顔グラは、その問題のある肖像画を取り下げた結果です。

しかも取り下げただけではなく、史料を反映しているのです。

・目つきが鋭い、赤い服

朝鮮出兵前の馬揃えの目撃談準拠

・鉄棒

→最上家に伝わる鉄棒準拠。屏風絵では六尺あまりのものがあるが、あれはあくまで想像の産物

・兜の前立て

→最上家に伝来、最上義光歴史館が復元したもの準拠

・平服グラフィックでも指揮棒を手にしている

→当時の「義光公は、日頃話をしている時でも指揮棒を持っている」という証言準拠

このように、大河ドラマや陰陽師時代よりも、はるかに史実に即しているのです!

思い出してみましょう。

「最近は自治体やファンのクレームのせいで、インフレ能力、それにイケメン化ばっかりだな」

そんな指摘は、果たして正しいのか?

最上義光の生涯を見ると、かなり柔軟で、それでいて芯の通った武将であることがわかります。

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最近では研究も進んでいて、そうした成果や資料が表に出てくるようにもなりました。

信長の野望で数値変更されたのは、ただのクレーム対応ではなく誠実な対応の結果だということは、最上ファンなら知っているのです。

・能力値
・顔グラフィック
・イベント
・列伝

こうした要素が変貌するのは、言わば研究成果の反映なのですね。

積極的にこうしたものを取り入れる『信長の野望』。

ただのゲームではなく、歴史知識の底上げに役割を果たしているということがご理解いただけるでしょうか。

その進化はこれからも続いていくでしょう。

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文:小檜山青

【画像提供】
信長の野望・大志 with パワーアップキット(→link

【参考文献】
『日本史史料研究会研究選書13「最上義光」』(→link
伊藤清郎『最上義光 (人物叢書)』(→amazon
松尾剛次『家康に天下を獲らせた男 最上義光』(→amazon

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