皇室・公家 信長公記

信長が内大臣に就任!武官でなかったのは義昭のせい? 信長公記141話

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黄金や香木、反物を献上

これに伴って、信長は摂家・清華家などの公家に領地を進呈しました。

正親町天皇に対しては黄金200枚、沈香(じんこう)・反物、他さまざまな品を献上しています。

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沈香というのは、香木が風雨などで損傷を受けた際に樹脂を出し、それが乾燥してできた香料のことです。

その最高級品が、かつて108話で信長が切り取りを許された「蘭奢待(らんじゃたい)」ですね。

蘭奢待
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他には「伽羅(きゃら)」などが沈香の代表例となります。

天皇からは信長へ、衣服が贈られたようですが、それがどのようなものだったか『信長公記』には記載されていません。

 


山岡兄弟のおもてなし

この日の信長は、官位授受の後、速やかに宮中を退出し、京都を出発。

石山寺世尊院(大津市)に行き、近隣の瀬田城主である山岡景隆・山岡景猶兄弟から昇進祝いともてなしを受けました。

ここで2日間「鷹狩」をしているので、帰り道を急いだというよりは、「用事が済んだからさっさと帰った」という感じでしょうか。

鷹狩
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山岡兄弟は、信長が永禄十一年(1568年)に上洛した後に織田家についた人々です。

ほんの一時期ですが、松永久秀についていたこともあったため、当初は信長の信頼を得られず、必死に働いて何とか認めてもらったという経緯があります。

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そして、本当に信長のことを慕うようになっていたのでしょう。

後に本能寺の変が起きたとき、明智光秀から協力を求められた山岡景隆は、逆に【瀬田の唐橋】を焼き落として明智軍を困らせています。

瀬田の唐橋とは、これまた織田信長が改修工事をしたばかりで、近江と京都をつなぐ交通の要衝でもありました。

25日に信長は安土へ帰還し、この年は穏やかに過ごします。


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長月 七紀・記

【参考】
国史大辞典
『歴史読本』編集部『日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本 (中経出版)』(→amazon
太田 牛一・中川 太古『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon
日本史史料研究会編『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon
谷口克広『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon
谷口克広『信長と消えた家臣たち』(→amazon
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
峰岸 純夫・片桐 昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon

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長月七紀

2013年から歴史ライターとして活動中。 好きな時代は平安~江戸。 「とりあえずざっくりから始めよう」がモットーのゆるライターです。 武将ジャパンでは『その日、歴史が動いた』『日本史オモシロ参考書』『信長公記』などを担当。 最近は「地味な歴史人ほど現代人の参考になるのでは?」と思いながらネタを発掘しています。

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