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まんが日本史ブギウギ30話 初の征夷大将軍は坂上田村麻呂じゃないよ

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    奈良平安時代の為政者にとって、東北地方はアタマの痛い土地。
    言わば、地続きの“外国”であり、「いつ攻められるんじゃないか」と、北の防御ラインは死活問題でした。

    そこで朝廷が設置したのが宮城県の多賀城です。
    ときの為政者は、ここを拠点に北へ北へと勢力を伸ばしたワケですが、同時に彼の地には、戦闘部隊を率いた責任者を折につけ送りました。

    坂上田村麻呂で有名な「征夷大将軍」です。

    彼があまりに有名なため、受験生は、田村麻呂が最初の征夷大将軍だと思いがちです。が、違います。
    それは大伴弟麻呂でした。

    ここでは受験生の皆様のため、知的好奇心の絶えない方のため。

    東北を鎮圧するために任命された職種と人物を確認しておきましょう。

     年 名称人物
    709年陸奥鎮東将軍巨勢麻呂
    720年征夷将軍多治比縣守
    784年征東将軍大伴家持
    788年征東大将軍紀古佐美
    790年征東大使大伴弟麻呂
    征東使大伴弟麻呂
    征夷使大伴弟麻呂
    794年征夷大将軍大伴弟麻呂
    796年鎮守将軍坂上田村麻呂
    797年征夷大将軍坂上田村麻呂

    いかがでしょう?
    思ったよりも多くの将軍たちがおりません?

    と、確認が終わったところで……日本史ブギウギ、第30話、スタート!

    ◆紀古佐美の跡を継いだ大伴弟麻呂。
    その下で働いていた坂上田村麻呂も、実は、お父ちゃんからして有名な武闘派の人でした。

    ゆえに蝦夷討伐にも抜擢されたのでしょう。

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    ◆蝦夷というと「蛮族」というイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。

    しかし、阿弖流為は単なる猪武者ではありませんでした。
    朝廷からの前任者・紀古佐美へ痛打を与えるなど戦術に強い場面も見せ、その結果、大伴弟麻呂と坂上田村麻呂が呼ばれることになったのですから、自ら虎の尾を踏んでしまったのかも……。

     

    ◆坂上田村麻呂を相手に敗北を覚悟した阿弖流為たち。素直に降伏を受け入れました。
    残念ながら戦いの詳細は記録が残っておらず、どのような戦闘だったかは不明であります。

     

    ◆坂上田村麻呂によって捕らえられた阿弖流為たちは「命だけは助けてやる」という言質を取ったとされておりますが、実際は、そんな甘いもんじゃありませんでした。

    田村麻呂は命を残すよう提言します。
    一方で貴族たちは「野性獣心」(野蛮で獣の心を持ったまま)だと断じ、結局、アッサリ処刑してしまうのです。

    802年のことでした。

    ※次週へ続く

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    著者:アニィたかはし

    武将ジャパンで新感覚の戦国武将を描いた『戦国ブギウギ』を連載。
    従来の歴史マンガでは見られない角度やキャラ設定で、日本史の中に斬新すぎる空気を送り続けている。間もなく爆発予感の描き手である(編集部評)

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    アニィたかはし

    2014年から歴史系の漫画家として活動。
    2015年にはコミック版『戦国ブギウギ』を全国の書店へ向けて発売。
    武将ジャパンでは、従来の歴史マンガには無かった独特のポップ感で『ブギウギシリーズ』を展開している。
    現在は『大河ブギウギ』シリーズを連載中。
    ◆主な著書
    『織田信長の戦国ブギウギ』鉄人社・2015年・ISBN-13 : ‎978-4865370324

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