井原西鶴

井原西鶴/wikipediaより引用

江戸時代

井原西鶴はゲス~いゴシップ小説で売れっ子作家になった?52年の生涯まとめ

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・好色物・武家物・町人物・雑話物

西鶴の作品は、中心となるテーマによって

・好色物
・武家物
・町人物
・雑話物

に分類されます。

一つずつ解説していきますね。

好色物

最も有名なのは好色物で、先述の「好色一代男」などはここに入ります。

だいたい「色」という字が入っているので、わかりやすいですね。

この場合の「色」はもちろん、色恋沙汰のことです。

【代表作】
『好色一代男』天和二年(1682年)発行
『好色五人女』貞享三年(1686年)発行

武家物

武家物も字面の通り、武家社会を描いたものです。

衆道や敵討ちなど、いかにもな話が多くなっています。

西鶴が浮世草子を書いていた頃は、江戸でも男女比がだいぶマシになってきていて、衆道は廃れ始めていましたが、お話としてはそれなりに人気のあるネタだったようですね。

【代表作】
『武道伝来記』貞享四年(1687年)発行

町人物

町人物も、まぁ、見たまんまの話で、町人=町に住んでいる人々の生活がネタになっています。

西鶴にとっても最も身近なネタだからか、ノンフィクションに近いものもありました。

【代表作】
『日本永代蔵』貞享五年(1688年)発行
『世間胸算用』元禄五年(1692年)発行

雑記物

雑話物は、上記の三つに当てはまらないものです。

親不孝をテーマにした短編集『本朝二十不孝』などがあります。

【代表作】
『本朝二十不孝』貞享三年(1686年)発行

それぞれ、歌舞伎などでも扱われるような題材ではありますが、西鶴の場合は

「当時は不道徳だとされていた事」

「当時生存していた実在人物」

という、なかなか際どいネタを選ぶ傾向がありました。

表現力はもちろんのこと、そうしたネタ選びも世間の高評価を得る理由の一つだったと思われます。

人の「自分では出来ないこと」を創作の世界でもいいから垣間見たい――そんな欲求はいつの時代でも同じです。

下世話なワイドショーやゴシップ誌。

あるいは呼んでいてゾッとするようなホラーやサスペンス。

それらが一定の地位を保ってきたのも、人の本能からかもしれません。

 

再評価されたのは実に200年後!

こうして見事転身に成功した西鶴。

されど晩年は順風満帆とはいい難いものでした。

儒教主義の政治やデフレ・インフレによる不況など、あまり明るいとはいえない時代と被っているのです。

また、元禄2~4年(1689~1691年)まで、西鶴はなぜか小説の執筆をやめ、一度は決別したはずの俳壇に再び出入りしていました。

この時期の西鶴は肥満体質になっていたようです。

晩年の手紙には「今程目をいたみ筆も覚へ不申候」とも書いているので、糖尿病による眼疾患でも患っていたのでしょうか。

しかし、そうなると、小説の執筆が辛くなるのも仕方ありません。

長時間の執筆には視力と集中力が不可欠ですからね。

面白いのは、他の作家にボロクソな批評をされたときはブチ切れ、著作で反論してたことですね。

まるで現代のブログ&Twitterです。

ともかく亡くなる直前まで執筆を続けていたので、完全に創作意欲が失せていたわけではなかったようです。

西鶴が元禄六年(1693年)に52才で亡くなった後、目立った「浮世草子」作家は出てきませんでした。

パクリやリスペクトレベルのものはあったようですが、西鶴ほどのオリジナリティや速筆がいなかったのです。

というか、作家ってオリジナリティか速筆か、どっちかに振り切れる人が多い印象で、両方MAXな西鶴が珍しいんですよね。

西鶴自身の名も、江戸時代の間に埋もれてしまっています。

再評価されるのは、なんと明治三十年代!

没後200年ほどが経過してからのことです。

もしもずっと埋もれたままだったら……教科書に彼の名や作品は載っていなかったんでしょうね。

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【参考】
国史大辞典「井原西鶴」「浮世草子」

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