光る君へ感想あらすじレビュー

光る君へ感想あらすじ 光る君へ

『光る君へ』感想あらすじレビュー第25回「決意」

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
『光る君へ』感想あらすじレビュー第25回「決意」
をクリックお願いします。

 

天災に見舞われる歳となる

ときは長徳4年(998年)――安倍晴明は帝の御前にて寿ぎ(ことほぎ)の言葉を、立板に水の勢いで語ります。

帝も微笑み、めでたい新年のようで、一人道長だけがどこか暗い顔をしている。

これが柄本佑さんを彼に起用した意味だと思います。彼は無表情であっても、何か秘めているような顔つきになるのがいい。

道長は晴明を追い、人払いをしてまで何か尋ねています。

晴明の新年の言葉が真実でないと疑いをかけます。

「見抜かれましたか」

「やはりそうか」

これからしばらくは凶事が続くと言い、口ごもる晴明を前に、道長は思い当たる限りの凶事を羅列します。

地震か。

疫病か。

火事か。

日食か。

嵐か。

大水か。

「それら全てにございます」

道長は呆気に取られつつ、それらを防ぐために邪気払いをしてくれと告げます。

「災いの根本を取り除かねば、何をやっても無駄にございます」

根本とは、帝でした。帝を諌め、国が傾くことを妨げるお方は左大臣様しかおられないと語る晴明。

どうせよというのか?

道長がそう問い返すと、晴明は“御宝”を使うように言います。はっきり言えと迫っても、晴明はよーくお考えなされよと去ってしまいました。

 

傾国の美女と化した定子

御宝とは一体なんなのか――この謎かけは、藤原公任藤原為時、そしてまひろならば即答できそうなところです。

国を傾けるもの。そして今、帝が政治を放置してまで溺れているものといえば、美女です。

その美女から帝を引き離す“御宝”とは、別の美女ということになります。

これが血筋を問わずに寵姫を選べるのならば、美女コンテストでも開催するところでしょう。中国四大美女の一人である西施は、そうして選ばれました。

しかし、日本はそうならない。

帝の妃とならば血統が大事であり、消去法で探していくと、道長しかその“御宝”を有していない。

道長はそこまで勘が鋭くありませんので、ヒントを求めているのです。

晴明は道長の知識をふまえ、ギリギリのヒントを出しました。

これ以上わかりやすくすると、何かあったときに勘ぐられてしまう――つくづく世渡りがうまい人物ですね。

安倍晴明
史実の安倍晴明はどんな人物だった?陰陽師は本当に呪詛を行ってた?

続きを見る

そのころ帝は職御曹司(しきのみぞうし)で、最愛の定子を腕に抱いていました。

定子はかつてのような寵愛は望まず、自身と娘、そして帝の三人がそばにいられればよいと望みを語ります。それだけで十分だと。

それでも帝は、定子を幸せにしたい。華やいだ顔が見たいという。

雨を帯びた梨の花のような顔を、咲き誇る桜にまで戻したいのでしょう。

帝は時間を巻き戻したい。かつてのような華やかな愛を甦らせたい。

定子は弱々しく反論しようとするものの、帝はかぶせるようにして伊周を呼び戻して顔を見たいと言います。

定子は喜ぶどころか、内裏の反感を買うと怯えています。帝は誰にも何も言わせぬと言い、定子に身を重ね、反論を封じてしまいます。

そんな愛し方ができるのは、結局のところ、いとと福丸や乙丸ときぬのような人々だけなのですよね。

帝は背負うものが大きすぎて、愛で相手を潰してしまいかねません。

気ままに愛し合えない身分制度の酷さを感じます。

藤原定子
なぜ藤原定子は自ら髪を切ったのか?一条天皇に愛され一族に翻弄された25年の生涯

続きを見る

脩子内親王
定子が産んだ第一子・脩子内親王(一条天皇の第一皇女)はどんな生涯を過ごした?

続きを見る

 

隆家の自信

藤原道長が焦燥感にかられた苦悩の表情を浮かべています。

「勅命はまだおりんのか!」

蔵人頭の藤原行成をそうどやしつけているのは、大水が出てからは遅いから、とのこと。

まだ雨季ではないと、帝が事態を先延ばしにしているため話が進まない様子。

あれほど民のことをお考えであった帝がどうしたものか。情けないと道長は悔しがっています。

そしてここが道長の欠点でもあるのでしょう。藤原行成にゴリ押しするだけです。

もしも父の藤原兼家や、姉の詮子ならば、同時進行で複数の手を使ったことでしょう。

するとそこへあの「さがな者」の藤原隆家が、狩りにでも行かないか?と誘ってきました。

狩りとは……。

音曲でも和歌でも漢詩でもない。蹴鞠や打毱ですらない。完全に武者向きですね。

藤原隆家
花山法皇に矢を放った藤原隆家って一体何者?当代一の戦闘貴族は異民族も撃退す

続きを見る

道長が、そんな隆家に「職御曹司には行かんのか?」と尋ねると、「あそこは虚だ」と答え、さらには遊びより政がしたいと言い出す隆家です。

これは使えそうな人材が向こうから網に飛び込んできましたね。

なんでも隆家は、出雲は遠くて知らない者ばかりでどうなることかと不安だったものの、出雲守より土地の者たちと深い付き合いができたそうです。

こう見えて人身掌握に長けている、と嬉しそうな隆家。

確かに今年の大河ドラマの中で、『鎌倉殿の13人』の和田義盛と猪鍋をつついて盛り上がれそうなのは、彼くらいの気がしますね。

道長は己を買い被りすぎではないかと言うものの、買い被りかどうか試して欲しいとアピール。必ず叔父上の役に立つと熱心に言います。

「気持ちはわかった。今日は下がれ」

こう語る時の道長は、呆れるどころか、ちょっとあたたかい光が目にあります。

笑顔で「また参る」と宣言する隆家ですが、それにしても面白い人物ですね。

人間とは生まれた家に関わらず、先天的に行動力がやたらとある人間がいます。彼もそういうタイプなのでしょう。

※続きは【次のページへ】をclick!

次のページへ >



-光る君へ感想あらすじ, 光る君へ
-

×