鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第42回「夢のゆくえ」

源実朝は夢を見ています。するとそこへあの人が――。

「私だよ、上皇様だよ」

源頼朝の夢に現れた祖父の後白河院を彷彿とさせるようなフランクな口調で、共に日本を治めようと実朝に語りかけます。

北条には決して惑わさないように、義時は食わせ物であると念押しして一言。

「さらばじゃ」

思わず荒い息遣いで目覚めてしまう実朝に、隣で寝ていた千世も驚いています。

面白い場面のようで、歴史的に実に重要ではないでしょうか。

当事者たちはどこまで自覚しているのやら。振り返ってみれば、後白河院のときも、武士である頼朝の救いを得なければどうしようもなかった。

そして後鳥羽院も、武家の棟梁・実朝を頼りにしようとしている。

天皇に絶対的な権力があれば、たとえ夢の中だろうが頼んで来ないでしょう。武士という力が育っている証拠でもあります。

 

政を動かし始める実朝

「義時に異を唱えることができるのは、お前だけだ」

「鎌倉殿のためにこの身を捧げます」

実朝に頼られ、即座に忠誠を誓うのは北条泰時

彼は諫言することこそ、よりよいことだと学んでいます。

というのも、まだ幼い金剛のころから、泰時は『貞観政要』を愛読書としていました。

この中には魏徴(ぎちょう)という、諌めることが仕事の「諌議大夫」が出てきます。

唐太宗が何かするたびに「いかがなものか」と口を挟む役割です。別にひねくれているわけでもなく、そうすることでよりよい政治になるから責務を感じつつ諫言していたのです。

東洋では、こういう諫言をする人物は重宝されます。褒美を取らせることすらある。

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徳川吉宗目安箱に激辛意見が届けられた際、感心して回覧したそうです。

自分は意見を聞く度量がある。どんどん色々言ってくれ!

そんなアピールは大切。むろん、その意見は内容がしっかりしていて、単なる誹謗中傷ではない保証が必要です。

北条泰時は、東洋的な好人物であり、そんな泰時を黙らせようとする人がいたら問題ありです。

かくして源実朝、北条泰時、三善康信と、北条義時三浦義村大江広元の三者と、すれ違う彼らが対立する構図となりました。

ナレーションの長澤まさみさんも、次のように語っています。

和田一族は義時によって滅ぼされる。

しかし、そのことが実朝を覚醒させた。

強大な義時に対抗するため、実朝が頼ったのは後鳥羽上皇。

義時ら宿老を前にして、源実朝がある提案をしました。

今年は日照りが続いたから、将軍家領だけでも年貢を三分の一にしたい――。

広元は、気持ちはわかると言いつつも否定的です。義時と義村も、御家人が反発するんじゃないか?として、反対。

これに対し、実朝の意を汲んだ泰時が、所領を区切りつつ年ごとに減らすと提案します。三善康信がその原案を用意していましたが……。

「お前はどういう立場でここにいるのか!」

義時がドスの利いた声で泰時を睨みつけると、実朝が自身の一存だとフォローします。

実朝の援護を受けて、泰時も黙っていられないのでしょう。

義時が頼朝の義弟ということで側にいたように、鎌倉殿の従兄弟ということで実朝の横にいると返します。しれっとして、泰時も随分と口が達者になりましたね。

 

執権 北条義時

北条義時は自邸で酒を飲んでいます。

隣にいるのは妻ののえ。野心あふれる彼女は、義時が執権になるようせっついてきます。

執権になれば誰も文句は言えない! 名乗ればいい!

そう煽る、煽る。

「名乗ってしまおうよ!」

誰かと思えば、のえの外祖父・二階堂行政だ。隠居してやることがないんだってよ。

しかも、義時が執権にならなければ、孫を嫁がせた意味がないとのたまう。

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でも、なぜ義時は執権を避けようとするのか?

というと、父の北条時政を思い出すからなんだとか。

政を恣(ほしいまま)にして鎌倉を追われた男にはなりたくないとこぼすと、のえは、考えすぎ、執権義時いいじゃないとさらに煽る。行政もノリノリだ。

結局、義時も決意を固めるようですが、果たしてそんなことでよいのでしょうか。

伏線である気もします。夫を人としてではなく、権力の器として愛した妻は今後どうなるのか。

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「よう執権殿!」

執権になった義時をいきなりイジり始めるのは三浦義村です。

その方が都合がよいとかなんとか、義時がゴニョゴニョ言い訳していると、遅かったくらいだと突っこんでいます。

義時をからかう義村は、やはり根性が悪い。執権職という重責をどこまで本気で分かち合おうとしているのか、これではわかりません。

嗚呼、北条義時よ。

権力の頂点に上り詰めて、妻も盟友も露骨な野心と利害でくっついているだけとは、一体何のために生まれて、生きてきたのやら……。

仏の眼差しを注いでくれた八重はもういない。同じ目をした泰時は実朝を見ている。

地獄のような人生です。

最低最悪、こんな男の人生を一年かけて見せられるとは、これぞ新境地ですね。

 

姉の政子にキレる実衣

実衣(阿波局)が姉の北条政子に対し、実朝のことを語っています。

これからは御家人たち任せにせず、自分で政治をする――そう義時たちに対して宣言していた。

政子は不安な表情です。というのも自身の息子であり、実朝の兄である源頼家を思い出し、不幸な最期を迎えないか心配なのです。

私がついているからと自信満々の実衣を無視するかのように、政子はさらに実朝と義時の不和も心配しています。

ついには私が支えようか……と言葉にすると、実衣が憎々しげな顔でキレ始めました。

「まただわ! 私が何かしようとすると、いつも姉上が邪魔してくる!」

そんなに信用できないのか!と腹を立てる彼女に、政子はこの一件を任せることにします。

それにしても、実衣のふてぶてしさよ。

確たる意志を伴いながら憎い顔ができるところが彼女の強みであり、かわいいだけとか、綺麗なだけとか、そんなところにとどまらないチャーミングさが持ち味ですね。

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もう今年も終わるから、将来の大河のことも考えてしまいます。

宮澤エマさんは、お江も春日局もできる斉藤由貴さんの後継者になれそうです。大河の常連になっていただきたい。

実朝を前にして、御家人一同が政を進めようとすると、大江広元が文書を読む手を止めました。

なんでも目の調子が悪いのだとか。

そこで代わりに三善康信が読み上げるのですが……。

伊豆の長岡七郎が、米の取れ高が半分なのに、将軍領だけ年貢が三分の一に引き下げられたことを不公平に思っているのだとか。

将軍領だけ温情をかけるから贔屓だと訴えられる――そう指摘された実朝は、少し慌てながら、泰時を派遣して伊豆の不作を調べさせると言います。

と、既に弟の時房を派遣している!と義時が厳しい目つきで遮ります。

さすがは執権殿だと褒められるわけですが、越権行為だと叱り飛ばせないのが実朝であり、やはり侮られています。

凍りつきそうな座を実衣が慰めます。

いろいろ試してみて見つからなければ次の手を考えればよい。それが大事なことだとフォローするのですが、鎌倉殿を攻めているわけではない、と前置きをいれて義時がさらに凄む。

周りの者たちがもっとしっかりせよと申しておる!

泰時へ牽制を入れたのでしょう。しかし画面を見ていた視聴者の皆様も、義時の恐ろしさに背筋が一瞬ゾッとしたかもしれません。

次に参りましょうと実衣が促しています。

 

陳和卿とは前世からの縁がある!?

考えが甘かった……。

将軍領の年貢減について北条泰時が詫びていると、源実朝は上皇が贈ってきたという掛け軸を眺めています。

聖徳太子像でした。

聖徳太子は尊い身の上に案ずるわけでもなく、功徳を積んで道を示した。それを目標とすると実朝が語ります。

すると、源仲章が京都から戻ってきたと康信に告げられます。

仲章は、宋の国の匠・陳和卿を連れてきていました。

東大寺大仏殿を再建した人物であり、かつて頼朝が面会を望んだところ「人を殺しすぎている」と断わられていた相手でもありますね。

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実朝の顔を見た陳和卿は、いきなり泣き始めました。

なんでも初対面でなく、前世で出会ったことがあるとのこと。実朝の前世が医王山の長老で、陳和卿はその弟子だったというのです。

「長老様、おひさしゅうございます」

涙まで流して感動する陳和卿を見て、実朝も何か気づいたか、ハッとした表情となりました。

なんでもこの光景を以前夢に見ていたとか。夢日記をつけていた実朝は、確かにそんな記録があったのを確認すると、陳和卿に向き合います。

「何か言いたいことがあるのではないか? 船にまつわることで」

「大きな船を作りましょう! 誰も見たことのない大きな船を。それで宋へ渡り、交易を行うのです」

実朝は聖徳太子の遣隋使を思い出しました。すかさず陳和卿に船を作れるかと問うと、「もちろん」と返す陳和卿。

「すぐに取り掛かってくれ」

前のめりで計画に取り掛かってしまう実朝ですが、一体どういうことなのか。隣にいた泰時が怪訝な表情を浮かべています。

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