『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第22回「虎と龍」不穏な材料にゾックゾクするやろ~

2017/06/04

こんばんは、武者震之助です。

龍雲丸率いる盗賊団を、木材切り出しのために雇用すると決めた井伊直虎。家臣たちはその決断に怒り、驚きます。

今週は「地域社会にやって来たよそ者と、住民はどう折り合うか?」という現代にも通じるテーマのようですね。

 


直虎と政次が2人揃って龍雲党の視察に出かけ

直虎はとりあえず寺の預かりにしようと南渓和尚に頼みます。

と、この生臭坊主は「イケメンだしなあ。目がいいよねえ」となかなか失礼なことを言うのです。

「べっ、別にそういうことじゃないし! スキルのある人間を雇用したいんだし!」

と反論する直虎。そう本気で思うなら小細工するなよ、と言う南渓です。

それもそうか、と早速、小野政次に相談する直虎。

「……はぁ」

しかし小野政次は、深いため息をつき、思い切り「馬鹿じゃないの」という顔をする。

直虎は政次と作業現場に向かいます。既に元盗賊団は、奥村六左衛門が楽しそうに仕事をしています。

元盗賊のためかこそこそ作業しているんですよ、と六左衛門がぽろりと漏らしてしまい、気まずい空気が流れます。

龍雲丸と対面した政次は、威嚇するような足ドンポーズを取りながらも、表面的には慇懃な態度で作業を見て回ります。

近藤殿(近藤康用)がいるから、領地の境には近づくなよ、井伊は匿ってやっているんだからな、と脅す政次。

「恩着せがましいこと言われなくても、いつでも出て行けますよ」

龍雲丸がそう毒づくと、政次は満面の笑みを浮かべて「それはありがたい」と言うのでした。

心底いなくなって欲しいんでしょうね。今週も政次の顔芸が面白い。

冷たい態度の政次に、直虎は「悪いことしないように気をつけるからね」と言いますが、嫌味を返す政次でした。これは完全に政次は、スネているんじゃあないでしょうか。

 


初めての伐採作業におっかなびっくり、その後にキュンキュン

直虎は、六左衛門や高瀬を連れて、森林伐採現場へ。

今週も真壁刀義さん扮する力也が頑張っています。プロレスラー枠としてうまい起用ではないでしょうか。

盗賊たちの慣れた手つきに関心しきりの直虎と六左衛門は、自分たちも鋸での木材伐採にチャレンジ。

当たり前ですが、チェーンソーみたいな便利なものがない時代、木材加工はホントに大変だなぁと思っていたところ……

「いいですか? 手はこう」

直虎の背後から龍雲丸が手を添え、鋸の引き方を始動するのでした。

イケメンと顔が近づいてドキドキする直虎。直虎の手の白さ、繊細さと龍雲丸の手の色の違いがなんとも色っぽいですねえ。

高まる鼓動。そもそも鋸を前後に引く動きがちょっと、と思っていると!

「歯が入ったのがわかります?」

直虎の耳元でささやく龍雲丸……って、なんちゅうもんを見せてくれるんやNHK! これはアウトじゃないのか!!

煩悩MAXの直虎は、イケメンとの顔が近いことに動揺。思わず身を引いて走り出し、モグラ(ゴーグル男)の元へ逃げ出します。

煩悩を隠すように大根を洗いながら、「一味に読み書きができる者がいるらしいな」とモグラに話しかける直虎。読み書きができるのは龍雲丸で、しかも彼は武家の子らしい、と聞き出します。

 

まるで少女漫画のように思い出していると……浮かんでくるのはスケコマシ

その夜、直虎は龍雲丸の出生に思いを馳せます。

というか、完全に妄想モード。もしかすると、井伊直親のように追われていて、そのまま家に戻れなかったのかも、とときめく直虎。

「もしかして、亀の代わりに井伊を守るために……?」

ドキドキ煩悩タイムです。

つーか、こんな正統派少女漫画みたいな展開でいいんですか!? と思っていると、ロマンチックな音楽が止まります。

「我らはともに、見事にスケコマされたということでございましょう!」(第20回より)

回想に出てきた“しの”の言葉に我に返り、寝ることにする直虎でした。

一方で龍雲丸も「細っこかったなあ」と直虎のことを思い出していたりはするんですが……。

これは政次が気の毒なパターンだ。

 


そのころ今川や、井伊谷三人衆の間では……?

駿府の今川氏真は、松平家康から同盟を断られました。

井伊谷三人衆の鈴木重時、近藤康用、菅沼忠久は、

「武田、松平、織田に圧迫されて、このまま今川はどうなるのか」と話し合っています。

さらに話題は、井伊谷のことへ。

井伊が材木を扱うと知った近藤康用。いったいどういう経緯なのか、もしかするとあの盗賊でも使っているのか、という流れになってしまいます。

康用は濃いもみあげをふるわせ、動揺を見せるのでした。

龍雲党の存在に、井伊の領民たちも動揺します。

まぁ、変な格好ですし、怪しい雰囲気ですからね。しかも前科持ち。うろたえる領民に「元はみんな赤ん坊だし」としょうもないことを言う南渓でした。

直虎は龍雲丸を意識するあまり、様子を見に行けなくなります。

そんな直虎のもとに、元盗賊団たちが「ばくち場」を開いて困っていると領民の女たちがやって来ます。

ばくちの蔓延というのは当時も社会問題や風紀の乱れとして認識されていました。

配下を率いた中野直之は、「ばくち場」を急襲。しかし龍雲丸は悪びれず「丁半ばくちくらい、かわいいもんじゃないですか。他の奴らだってやってるかもしれないし」とヘラヘラ。

純朴な井伊の民に、あんまり刺激の強いことをやらないで欲しいと懇願する直虎です。

直之は、龍雲丸のなれなれしい態度にイライラ。

この後も、村人の酒が盗み飲まれるわ。村娘が追いかけられるわ。

『龍雲丸たちが災いを持ち込んだのではなかろうか』というトラブルが続出します。

一方の龍雲党も『なんでこんなに疑われるのか』と怒り出します。

ついにはムッときた龍雲丸も「今までの分の給金をもらって出て行ってもいい」と言い出すのでした。

 

伐採技術を盗んだら、後は追い出してしまえばよい!?

常に商売を考える方久は、「いっそ繁華街でも作って遊ばせたら」と直虎一行に対して提案します。

しかし政次は、スキルを盗んで追い出せばよいと言い出します。それはそれで合理的、これからの冬場は領民の小遣い稼ぎにもなる、と説く政次。

直虎は「雇用期間が終わったら使い捨てなんて嫌だなあ」と抵抗します。

「有期雇用で何が悪いんですか。井伊の民が苦情を訴えているんですよ。相手だって給与を払えば出て行くと言っている以上、それでいいでしょう。つながりを保ちたいのは殿だけですよね」

政次は「アイツら、とっとと出て行けやがれ」と心底思っているらしく、本音が出た説得なのでした。今までの意図的に嫌われ者を演じているのとは、違います。

直虎と六左衛門がこっそりと龍雲丸の様子を見に行くと、材木を盗もうとした仲間を鉄拳制裁していました。

ゴクウは「どうせ盗むと思われているなら盗んでもいいじゃないですか」と言います。

さらにカジが、「直虎はクソ侍とは違うってお頭は言ったのに、あいつらまるで俺らを信じていねえし!」と龍雲丸に怒りをぶつけます。

龍雲丸は「もう二度とこんな話受けねえから、勘弁してくれ」と部下に謝ります。龍雲丸の本音にショックを受ける直虎です。

すると、直虎と六左衛門の近くで奇妙な音がして、六左衛門はおびえて直虎に抱きつきます。

ただの猪の鳴き声だと説得する直虎。

呆れ顔をしているかと思ったら、何かを考えついたようです。六左衛門にその用件を伝えに行かせる直虎。

ちなみに政次(第19回)と六左衛門が後ろからハグしても、直虎はドキドキしないようです。政次……。

 

酒の席で打ち解け合う両グループのメンバーたち

「殿が食事をふるまいたいと仰せだ!」

六左衛門は龍雲党にこう告げます。

直虎は「猪の声も正体がわかれば怖くない。龍雲党だって正体がわかればそういうものかも。和解と交流の鍋パーティでもみんなでやろう!」と思いついたわけです。

地域住民の交流バーベキューみたいなものですね。

直之は八助と角太郎、それにモグラとカジたちと猪を狩りに向かいます。猪狩りのノウハウを語り合い、なんとなく打ち解ける両者でした。

直虎主催の鍋パーティは盛況のようです。

盗まれた酒をめぐって一触即発にもなります。

「南渓のせいにしよう」というわけのわからん解決パターンになりそうなところで、酒を盗んだ真犯人が福蔵だと判明して一件落着。

ゴクウによるお嬢さん追いかけっこ事件も、お嬢さんの落とし物を届けようとしたら相手が逃げて困ったという、「森のくまさん」パターンでした。

酒の席でとけてゆく誤解。直虎の意図は当たりました。

龍雲丸は直虎の魅力に感服。他の侍とはひと味違うと認めたようです。役目を続けたいと告げる龍雲丸に、大喜びの直虎でした。

直虎の喜ぶ姿を見た政次は、無言で家に帰ってしまいます。南渓が視聴者と同じ憐れみの目で彼の背中を見送ります。

政次は家でぼっちを噛みしめ「くだらんぞ、但馬……」てつぶやいたのでした……。

酒乱気味の直虎は「猪はまだかー!」と叫ぶわ。龍雲丸にからむわ、酒癖の悪さを発揮。

「どうせどこぞに子がおるのであろう! このまま井伊に残れ、我のものになれ!」

龍雲丸と直親を重ねて暴言をも吐く、直虎なのでした。

後ろハグという身体接触でメロメロになり、あっさりと直親と龍雲丸を重ねる直虎。どんだけチョロいんですか!

一方、政次の元には怒りの形相の近藤康用が訪れており……。

 

MVP:ぼっち政次

完全にキャラクターとして面白さが定着してしまい、顔芸だけでも笑ってしまいます。

意識はしていても別に結婚できるわけでもなし、どうできるわけでもない、そんな政次。

それでも直虎は直親に一途だから、と思っていたのに「第三の男」龍雲丸ですよ。

宴会から無言で去り、「くだらんぞ、但馬」と自分に言い聞かせるところは涙なしでは見られない不憫さです。

本当の不憫さはこれからなんでしょうけれども。

次点は直虎ですかね。たけから前回は「古い方の姫」、今週は「とっくにとうがたった」と暴言を吐かれるわ、酒乱ぶりを発揮するわ。

ぶっこわれたヒロイン像が楽しいのです。

 

総評

本当に癖の強い作品だよなあ、と一通り笑ったあとで思いましたね。

林業考証や伐採指導をつけておいて、中身は学園ドラマか、少女漫画ですからね。

鋸指導で後ろハグの場面は、視聴者をいい意味で凍り付かせたのでは。何にどれだけ挑んでいるんですか、今年は。

テーマとしては、冒頭で書いた通り、普遍的なものだと思います。

新しく入った人と、交流して理解しようね、ということで現代社会にも通じる話です。

このほのぼのラブコメに一瞬ふっと影が差したのが、駿府で悩む今川氏真の場面。

その話題を話したあとで井伊谷三人衆はすぐに木材泥棒の話に変えてしまうわけですが、こうして皆が鍋を囲んでいる間にも、井伊谷の外ではとんでもない事態が進行しているわけです。

「ああやって鍋を食べていた頃は幸せだったよね」

そうしみじみ思うような、ひどいひっくり返し方を本作はすると思います。

龍雲丸の出生の謎もありますが、龍雲党のモグラって甲斐の金山から流れてきたんですよね。いろいろと不穏な材料を仕込んできていて、ゾックゾクします。

ゾックゾク&ほのぼの、どちらも楽しめるのが本作です。


あわせて読みたい関連記事

井伊直虎
井伊直虎の生涯|今川家や武田家などの強国に翻弄された女城主の生き様

続きを見る

井伊直政
井伊直政の生涯|武田の赤備えを継いだ井伊家の跡取り 四天王までの過酷な道のり

続きを見る

徳川家康の肖像画
徳川家康の生涯|信長と秀吉の下で歩んだ艱難辛苦の75年を史実で振り返る

続きを見る

本多忠勝の肖像画
本多忠勝の生涯|家康を天下人にした“戦国最強武将”注目エピソード5選とは?

続きを見る

榊原康政
榊原康政の生涯|秀吉に10万石の賞金首とされた“徳川四天王”の生き様とは?

続きを見る

絵:霜月けい

【TOP画像】
『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』(→amazon

【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link

TOPページへ


 



リンクフリー 本サイトはリンク報告不要で大歓迎です。
記事やイラストの無断転載は固くお断りいたします。
引用・転載をご希望の際は お問い合わせ よりご一報ください。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-おんな城主直虎感想あらすじ

右クリックのご使用はできません
目次