今年の大河ニュースもだいたい出そろい、最近は再来年(西郷どん)のニュースの方が多くなっているようです。
来年、再来年はひとまず脇に置き、今年の本作に集中したいと思います。
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出城の権利を巡り、エゲツない策を又兵衛に明かす
今週はOPテーマがなく、突然本編が始まります。
大坂方は不満ながらも、籠城に切り替えてゆくことに。それを知った徳川家康は、この報告を受けて「勝った」とほくそ笑みます。
真田幸村は、大坂城の南側は弱点であると見抜き、出城を築くことを考えます。
幸村は馳せ参じた堀田作兵衛から、すえが無事に仮祝言をあげたと聞き喜びます。ここまで姪を育ててきた作兵衛もむせび泣きます。そのグッドニュースのあとにはバッドニュースが……。
徳川秀忠軍の中には、信之の子である信吉(仙千代)と信政がいるというのです。
「すべては、さだめじゃ」
幸村は覚悟を決めます。
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幸村が出城を築く策を大野治長に話すと、同じ考えの者がいるのでその者と協力して進めて欲しいと言われます。
その者とは後藤又兵衛でした。
厨(台所)で酒を飲む又兵衛に、幸村は声を掛けます。顔見知りの台所頭・大角与左衛門を見て幸村は懐かしそうにします。
与左衛門は「あんた、戻ってくると思っていたよ」と幸村に声を掛け、明石で取れた酒肴を差しだすのでした。
又兵衛は出城で大暴れしてやると幸村に言います。
幸村は「あなたは死ぬ気だろうが、こちらは勝てる出城を作るから、築城の権利を譲って欲しい」と策を語り出します。
空堀、乱杭、逆木、鉄砲狭間、溝、体を起こさざるを得ない高低差、二弾構えの鉄砲隊。
まさにこれぞデストラップ!
このあたりのトラップは、第十三回の第一次上田合戦で使ったものを思い出してください。
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「堀の底に累々と屍を重ねる……」
幸村は悪魔のような言葉を語ります。
乱杭や逆木の威力もやはり第十三回で証明済み。このえげつない策を又兵衛も大いに気に入り、呵々大笑(かかたいしょう)します。
要所には譜代の家臣を置くべき!と豊臣方は頑な也
幸村は更に出城の柵を五人衆らに語ります。こうして策を語る時の幸村は実に生き生きとしており、父・昌幸も彷彿とさせます。
しかし、この案は秀頼にこそ気に入られるものの、織田有楽斎と大蔵卿局は「牢人に要を任せている。金目当ての連中を頼れるわけがない!」と全否定。
大蔵卿に至っては「幸村は兄が徳川の家臣。もう徳川方についているのでは?」と言い出します。
一方、有楽斎は「要所には信用のおける譜代の家臣を置くべき」と提案。ついに大蔵卿局は布陣図をくしゃくしゃにして台無しにしてしまいます。
非正規を戦力として大量雇用しておいて、いざとなると正規しか頼りにならないと言い出す。
豊臣はブラック企業あるあるを毎回実践しているかのようです。
大野治長と木村重成は新たな布陣図を作ります。
五人衆たちは自らの名が消え、出城すらない布陣図に怒り心頭です。
毛利勝永、後藤又兵衛は「もう城を出る!」とまで言い出します。幸村はあわてて彼らを止め、掛け合いに行きます。
その相手は茶々でした。
茶々はカルタ遊びをしながら、幸村の訴えを軽くいなします。
「久しぶりですね」と茶々はここで言うわけですが、この札が出てくるのは視聴者にとっては第十五回以来です。
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牢人衆の意見をことごとくつっぱねる大蔵卿局は、基本的に茶々の意見をなぞっているだけ。つまり茶々こそがまるで牢人を信用していないのです。
二度の落城を経験した茶々はなかなか人を信じられないのかもしれませんが、それだけではない気がします。
砦の建設を急ぎ、武具は全て赤で統一せよ
この「不信」こそ豊臣の宿痾といえるでしょう。
時系列をさかのぼってゆけば、徳川方との交渉役である片桐且元を信じられずに大坂城から追い出しました(第四十回)。
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豊臣家は互いを信じられず、対立しあい、裏切りあい、滅びへの道をたどってきたのです。
ここにきて豊臣家上層部が牢人を信じないのもむしろ当然のことと言えるでしょう。
幸村に対して茶々は秀頼が決めたことに口は挟めないとすら言いますが、秀頼こそ茶々に逆らえないのですよね。
茶々は幸村の出城だけは許すと言いますが、幸村は全て信じてもらえなければ意味がない、と提案を断ります。
失意で部屋を出た幸村は廊下で治長とすれ違います。
覚悟を決めた治長は、首脳部には内密のまま、幸村に出城作りの許可を出します。
おお、こんなに頼りになる治長は初めてです。今までの作品では佞臣か茶々の愛人みたいな扱いばかりでしたからね。
かくして敵にとっては極めて狡猾な「死の罠」、幸村の出城が築き上げられてゆきます。
二十日ほどかかりそうだという高梨内記に、幸村は急ぐよう指示を出します。さらに作兵衛に、真田勢全員分の赤備えの防具を手配するよう命令するのでした。
※赤備え……武田信玄の重臣・飯富虎昌&山県昌景兄弟に始まり、徳川四天王の一人・井伊直政も率いた「真っ赤な防具で揃えた将兵たちの軍団」のこと
戦場では最も目立つため、敵に恐れられると同時に標的にもされやすく、この武具で統一することはその家の中でも強い部隊にしか許されなかった
忍従の人生を振り返る信之 お通に苦悩をぶつける
その頃、京都では、徳川家康が徳川秀忠と面会しておりました。
秀忠は素早い進軍に得意げですらあるのですが、家康は怒り出します。
「将軍なのだからゆっくり進軍し威容を見せ付けるべきだ! いつまでも関ヶ原を引きずるな!」
秀忠は戸惑います。この父子には戦う者としてキャリアの差があります。それはこの先はっきり見えてゆくでしょう。
家康の命を受け、全国からおよそ三十万の軍勢が集まりつつあります。
信之の命を受け、姉の松は急いで大坂へ向かっていました。
しかし女人が陣を訪れることはできないと河原綱家から言われた松は、困り果ててしまいます。
その時、松は懐かしい「丹田に力を入れて!」という声を聞きます。声の正体は、松が記憶喪失時代に藤という名で引き取られていた「出雲の阿国一座」でした(第十七回)。
『真田丸』感想レビュー第17回「再会」 秀吉のお母ちゃん&姉ちゃんの人質が絶妙すぎるだでぇ!
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まさかこの話がまた出てくるとは思いませんでした。一座はどうやら徳川の陣まで行くようです。
阿国は代替わりしていましたが、なんとかおぼろげな記憶から松のことを思い出します。
松は強引に一座に加わり、陣にまでたどり着きます。
この阿国もそうですが、服部半蔵、吉野太夫と、本作は代替わりした人や入れ替わった別人を同じ役者に演じさせることが結構ありますよね。なかかなの力業だと思います。
松は、信吉と信政に信之の言葉を伝えます。
「決して真田同士で刃を向き合ってはならない、身内で争ってはいけない、戦が始まったらジッとしているように」
しかし信政は不満です。たとえ身内だろうと、戦が始まったからには本気でやるべきだと主張します。
一方で信吉は父の命令に従うとあっさり言います。憤懣やるかたない様子の信政です。
そのころ江戸の信之は、忍従の人生を振り返ります。
「十四年前、自分だけが徳川につき、父と弟は豊臣についた。断腸の思いだった。戦は徳川に勝った。九万五千石の大名となったが幸せではなかった。妻に内緒で仕送りの日々。まだ戦が始まろうとしている。今度は息子と弟が戦おうとしている。いつになったら心が安まるのか……」
信之はこのあと、当時としてはとてつもない長生きをして、しかもその長い人生の最後まで気が休まらないのですが。
それはさておき……信之が秘めた思いを吐露したのは、京都から呼び寄せた小野お通でした。
信之の病は心因性だと判断し、柔らかな京言葉とアロマテラピーで、ストレスまみれの信之の心を癒すお通。
信之は京都にいると戦に巻き込まれるかもしれないという名目で、お通を呼び寄せていたのでした。
洗練された京女にすっかりメロメロの信之です。
昌幸と薫(と偽吉野太夫)、信之とお通、そして信政とお通の娘と、真田家の男は京女にひかれるところがあるようです。
そんな夫のことを知らぬのか、とぼけているのか、正室の稲は意味深な目線で夫の背をみつめます。どう考えても、これはバレてますね。
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秀頼のすがすがしさ、気品、何もかもが尊く
大坂の出城建築現場では、作兵衛が赤備えのプロトタイプを与八に着せて持参します。
二度塗りした漆でも「まだ赤さが足りない!」と、漆の三度塗りを命じる幸村。
そこへ有楽斎がやって来て、出城を見とがめてしまいます。まあ、あれだけ大がかりな工事ならそりゃいつかはバレますよね。
有楽斎と大蔵卿局は出城の建築を許可した治長を問い詰めます。治長は必死で抵抗し、秀頼も苦しそうな顔で幸村をかばいます。
しかし有楽斎は、
「幸村の父は裏切りに裏切りを重ね生き残った男でございます」
と、決定的な一言を口にするのでした。
これが難しいところなんですよね。
幸村は信繁本来が持つ石田三成・大谷吉継から受け継いだ豊臣への忠義心に真田昌幸の智謀を載せた人物ですので。そんな彼本来の忠義心は、いつか誰かに理解されるのでしょうか。
こうして出城はあえなく建設中止に。幸村の目が死んでいます……。
その日の夕方、呆然と櫓に佇む幸村に、勝永と又兵衛は城を出ないかと誘いに来ます。
「豊臣を見捨てるわけにはいかぬ」
即答した幸村。
その時、幸村はある人に気づきます。なんと秀頼その人でした。
茶色や黒が中心の景色の中に、白鷺のように優雅な姿で立つ秀頼。
秀頼は出城の出来に感心し褒め称えます。
「左衛門佐、豊臣を見捨てぬというのは本当だな?」
「亡き父上、太閤殿下に誓いました」
「この出城、仕上げよ。私はそなたらを信じておる。頼りにしておるぞ」
秀頼からそう言われ、さらに手まで握られ、幸村ら牢人たちは感動し忠誠を誓います。
このときの秀頼のすがすがしさ、気品、何もかもが尊く、そりゃこの人に信じているなんて言われたら死ぬ気になるなあ、と思わせるものがあります。
豊臣秀頼" width="370" height="320" />
城に戻った秀頼は、茶々から出城を認めるとはどういうことかと問い質されます。
しかし秀頼は、茶々に対して有無を言わさぬ勢いで断じます。
「この城の主は私です! この戦、牢人たちの力を借りねば我等の負けでござる!」
茶々は戸惑いと、息子の成長に喜ぶような、複雑な顔を見せるのでした。
前回最後の場面で秀頼は茶々に反論できませんでした。そこから彼は確実に成長しています。
勝てると思わせ突き落とす――そのエゲツなさに痺れてしまう
ここで高低差が極めてわかりやすいコーエーマップが入り、布陣図が示されます。
佐助は敵の布陣を調べあげ、幸村らに報告。
布陣図には、幸村にとって甥にあたる真田信吉、そして旧知の上杉景勝らの名も。景勝とこんな形で再会するとは……と感慨深い幸村です。
徳川の陣には、直江兼続、片倉景綱(※史実では息子の片倉重長が参戦・後に真田信繁娘の阿梅を妻とする)、真田信吉らの姿も見えました。
そして伊達政宗が隣の景勝に「あの真田が入城しているそうですよ。馬鹿ですねえ」と語りかけていました。
どこか複雑な表情の景勝。そこに家康がやって来ます。
調子よく政宗が忠義心アピールし、家康は家康で「相手は有象無象の牢人相手ども、我等の勝利は疑いなしじゃ!」と高笑いするのです。
うーん、この残酷さ。
秀頼のキラキラと輝くような成長ぶりのあとに、この徳川家康とその配下ですよ。
いくら秀頼がめきめきと成長したところで、追いつけるとは思えないわけです。成長途上の秀頼がぶつかる相手は、家康と、レベルが上がりきった大大名たちです。
勝てると思わせて、突き落とす――このやり方がつくづくえげつないと思います。そこも嫌いではありませんが。
家康が「有象無象の牢人」と称した面々は楽観的で、塙団右衛門に至ってはこのあと大名になるとウキウキしています。
明石全登はこんな中でもミサをするとのこと。
真田の赤備えもいよいよ完成。
鹿の角がついたあの兜もいよいよできあがります。
幸村は、関ヶ原以来ずっと無念を抱え戦に備えてきた我々に対し、相手は戦のことは知らないと言い切ります。
豊臣方の布陣図を見た家康は出城が目につき……「また真田か!」
実際、徳川の陣では「仕寄せ」(味方の軍勢が己の身を守りつつ進軍すること)のリハーサルが行われておりました。
これが、全くできていない。と、家康がダメ出し。
秀忠があきれる中、家康と正信が自ら板を持ち、穴を掘りながら実演し始めます。
かなり老いを感じさせるようになった家康と正信でしたが、このときはしゃんとして若々しさすら感じさせます。
本多正信霜月けい" width="370" height="320" />
ここの二人は本当に一気に数十才若返ったようで、見ていて驚きましたね。
もっとも、そのあとは疲労困憊して休憩が必要にはなるんですが。確かに幸村の言う通り、「若武者の戦離れ」は深刻な模様です。
たった十四年で戦のやり方が忘れられるのか、と思うかもしれません。
私が思い出したのは、今年の広島カープのリーグ優勝なんですね。
あのとき「優勝セールのやり方がわからない」という困惑が地元商店街からあがっていました。
優勝は五十年や百年ぶりではなく、二十五年前です。それでもわからなくなるのかと驚いたものです。
さらに考えみると、十年も経ていない東日本大震災でも記憶の風化が問題になっていますからね。忘却というのは早く訪れるものなのでしょう。
ただし、この「戦離れ」こそが徳川二百六十年の礎と言える部分もあるでしょう。
豊臣政権下でも、合戦は禁じ手にされていました。
それでも戦闘スキルが落ちなかったのは、朝鮮出兵で戦い続けたからでしょう。
豊臣は合戦を続けることで諸侯の戦力を発散させることを狙いましたが、徳川は武器を取らせないことで諸侯が戦そのものを忘れることを狙ったわけです。
この大坂で牢人どもを一気に殲滅してしまえば、ますます戦の必要性はなくなるわけです。
家康はより洗練されたかたちで、秀吉の意図を完遂したわけです。
大坂の陣は、その過程の総仕上げというわけです。大坂の陣は真田幸村にとって最高の舞台でもあるわけですが、同時に徳川家康にとって天下統一の総仕上げとなるわけです。
休憩中の家康のもとに、敵の布陣図が届きます。
布陣図を見た家康は「いらん出城を作りおって」とこぼします。さらに出城を守るのは真田と聞いた家康は、
「真田!? また真田か!」
と苦虫を口いっぱいほおばったような、それでいて覚悟を決めたような顔をするのでした。
「決まってるだろう。真田丸よ!」
そしてその出城がいよいよ画面いっぱいに映し出されます。
重機を使って仕上げた50メートルにも及ぶ迫力のオープンセットと、緻密なCGが、私たちの見たことがない出城を映し出します。
そしてこれは、城郭考古学者・千田嘉博氏の研究成果の結晶でもあります。
◆真田丸:難攻不落の“真田丸”は50メートルの巨大セットだった 大型ロケに“潜入”(→link)
出城には真っ赤な六文銭の旗が翻ります。
生涯城を持つことがなかった真田幸村。やっと初めて城を持てた、と感慨深そうに漏らし、「城の名は、何とします?」という高梨内記に即答するのでした。
「決まってるだろう。真田丸よ!」
ここでバイオリンの音色、そしてタイトルバック、ドッカーンと壁の崩れる音。
なんといつものOPがここで挟まれました。
クライマックスにOPのメインテーマを決めるのは大河では定番の演出です。
しかし今年こそドヤ顔でそれをかました年はないでしょう。ラストの騎馬隊もいななき、命がこめられたかのように駆け抜けます。
そしてこの真田丸とは、こう言い換えることもできます。
「このロケ、重機を用いた広大なセットは何でできていますか?」
「決まってるだろう、受信料よ!」
NHKは無駄な受信料CMを作らなくていいです。私はこの真田丸のためなら、色つけて払ってもいいです。
今週のMVP
まず次点から書きます。豊臣秀頼です。
あの気弱で母親に反論できなかったお坊ちゃまが、今週は牢人を心酔させるほど成長しました。
この時点でMVPは彼だな、とうなずいたのですが……結局は「徳川家康」なんですね。
あの仕寄せでシャキッとして、実演までしてしまう、泥臭い戦人ぶり。
生涯を戦に費やしたからこそ、これを終わらせようとするのかな、なんて感慨深かったりします。
軍師として帷幄で策をめぐらせるイメージが強い本多正信もシャッキリしていたのも印象深いです。
この二人の演技、本当に圧巻でした。これは秀頼、勝てない。残念だけど、勝てない。
総評
「真田丸」とは何か? 初回ラストのナレーション曰く、乱世に漕ぎ出した船であったはずです。
その船の舵取りは結局、真田信之に託されました。
大局を見る目があった信之は、うまく船を操り、小さな国衆を九万五千石という大名にまで押し上げました。
が、「真田丸」とはもうひとつの意味があったのではないか?
そう、大坂城の出城です。
◆「真田丸」異例演出に視聴者騒然、オープニング映像をエンディングで使用(→link)
今週は異例のOPをエンディングに持ってくることで、もうひとつの「真田丸」をはっきりと示しました。
今までの四十四回はアバンだ、ここからが真田幸村の真っ赤な舞台だと宣言したわけです。
そりゃ、演出も「ドヤァ……」となるのもある意味納得です。
この演出は賛否両論でして、素直に喜ぶ層と、「深夜アニメかよ」とひきつった笑みを浮かべる層と、「はー、くだらねえ」とがっかりする層と、意見が分かれるのは当然のことかと思います。
個人的には「アリだな!」とガッツポーズですね。
今回の演出がくだらなくて無意味だと思う人は、根本的に本作があわないんじゃないかと思います。ここまで踊り続けていないと踊れない、という類いのものかもしれません。
それはさておき。
なんといっても今週は真田丸の全体図ですね。
これは2010年代歴史ドラマの、ひとつの記念すべき到達点ではないかと思います。
最新の研究成果と、広大なオープンセットと、最新鋭のVFXを駆使した「真田丸」ですよ。これぞ受信料をぶちこむのにふさわしいものなんです。
今だから言えますが、第一次上田合戦はイマイチだった(山城の籠城戦だからあんなもんかもだけど)。
短すぎる関ヶ原が袋叩きになるのではないかと懸念だった(真田目線だから仕方ないかもだけど)。
しかし、大坂の陣で予算をガッと使うのであれば、そうした節約も、一点豪華主義も、むしろ歓迎すべきだと思っていました。
これは何度でも大きな声で主張したいのですが、一話あたりの制作費が大河の十倍と言われている『ゲーム・オブ・スローンズ』でもVFXを多用していますし、気合いの入った合戦シーンは一シーズン一話あるかないかです。
プロット重視なら、合戦をカットしようがそれはむしろ許容範囲なんです。
たとえ今の十倍予算があっても、オープンセットを組んで何度も合戦をやるなんてもはや無理だということを、合戦がないとぶーぶー言うオールド大河ファンは頭にたたき込まないといかんのではないか、と私は主張したいです。
そんなわけで、今年の大坂の陣に予算を絞って、最高の「真田丸」を作るという構想は褒め言葉以外見当たらないわけです。
このあたりは総括記事で詳しく書きたいのですが、本作は大河ドラマとしてだけではなく、2010年代の歴史ドラマという枠組みで作られていると思います。
古きよき大河が好きな方には、くだらないと思える部分もたくさんあるでしょう。
しかし歴史ドラマは、もはや後戻りができないほどの進化を遂げています。
風変わりで突拍子もない演出を入れて、SNSで拡散されることを計算に入れつつ、VFXで予算を削りながら壮大さを出す、そんなことを考えながらではないと作れないエンターティメントと化しつつあります。
本作はその進化の先を我々に見せてくれたのです。
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