一橋家の財政立て直しに目覚めた渋沢栄一。
しかし、周囲の状況は急激に変化していきます。
幕府軍が長州を相手に連戦連敗する中、大坂城で徳川家茂が倒れたのです。
慶喜が馳せ参じるのですが容態は思わしくない。
家茂の死因は脚気によるビタミン不足、糖尿病説もあります。甘いもの食べ過ぎで歯はボロボロだったとか。ストレスと糖分の過剰摂取が、寿命を縮めたと推察されます。
孝明天皇と同じくらいタイミング悪いときに死ぬのですが、家茂の場合、暗殺説はありません。
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慶喜が来ると、なぜか起き上がり、まだ死ねないと言い出す家茂。
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だからこそ勅命を受けたからには長州を倒さねばならないと言い切ります。
その覚悟はあるかと問いかける家茂。慶喜はあまりやる気のない口調で、みなも期待しているから回復して徳川を守るよう言うのです。
慶喜にはその覚悟がないんですね。それが本音だろうと、病人の前で言ってしまうのも……。
家茂は慶喜と話したかったと言いますが、将軍とその最重要側近が、死の間際にそれを言い出すってどういうことでしょうか。
そして三日後、亡くなりました。
史実での慶喜、家茂と和宮の関係性を踏まえると背筋が寒くなりますが、ドラマなのでよいのでしょう。
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将軍家をお継ぎになってはいけませぬ!
一橋邸にも悲報が届きます。
猪飼勝三郎から家茂の死を聞いてしまった栄一は焦ります。
しばらくは伏せるにせよ、世継ぎもないまま亡くなった。
「我が殿が将軍になるやもしれぬ!」
「えっ!」
って、なぜ驚くのでしょう。将軍継嗣問題を踏まえれば当然すぎるほど当然です。
徳川家康が出てきて、戦陣の中で亡くなったのは家茂だけだと言います。
家茂の死によって運命も変わります。
栄一は慶喜へ建白する。
「なりませぬ。将軍家をお継ぎになってはいけませぬ!」
まぁ、ほんの少し前まで、バリバリの倒幕運動や無茶なテロ計画を立てたりして、お縄になりたくないから平岡円四郎に拾われ、気づけば今の状態ですもんね。言ってみれば自縄自縛です。
「言いたいことはそれだけか」
慶喜はそう返す。栄一は何を言っているんだという気持ちにしかなれない。
一橋なら支えるけど、将軍になったら嫌……って、栄一は武士道を理解しているんでしょうか。
天璋院も世継ぎには反対します。候補は田安亀之助だと。
なぜ幼い亀之助なのか? ドラマでは天璋院の動機がぼかされれていますが、彼女は慶喜が大嫌いだったのです。それを描かないのが本作のスタンスですね。
和宮はボーッと家茂の亡骸と向き合っている。唐織が土産に届いたという逸話。最期までラブが強調されている。
「将軍にさえならなければ……」
そう夫の苦しみを思いますが……ん? 将軍になったからこその縁談ですよね?
和宮は、慶喜を呪うようなことを言います。なんでもかんでも感情に持っていくのが本作の欠点ですが、史実では慶喜の二心ぶりに和宮は呆れていました。
今回は、和宮と天璋院をはじめ、女性の場面がおかしい。あとからアリバイのために付け加えられたような気配がします。
長州征討
慶喜はのほほんと「幕府、もう滅亡しちゃうかも」と家臣の前で言います。
あまりのことに、真面目な永井尚志は将軍にならねばとムッとしています。
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当然の反応でしょう。だって将軍継嗣問題であれだけ騒いで、永井も巻き込んでおきながら、「空気読めないよね〜」と言わんばかりの演出される永井尚志が気の毒すぎる。
藤田小四郎の扱いを思い出しました。この分ですと松平容保もどうなってしまうのやら……。
慶喜もあれだけ家茂に託されておいて、どうしてこんなにやる気がないのでしょうか。
仮に本心はそうだったとしても、周囲に対しては隠してもよいのではないかと思います。孝明天皇の期待だってあるでしょう。
史実の慶喜だって「もうダメかも」というのはわかっていたと思いますよ。なんせ自分たち、斉昭と慶喜の親子で幕府の屋台骨を破壊し尽くしましたから。
まぁ、本作では「綺麗にカッコよく描く」ことありきで進んでいるので仕方ないですけど。
慶喜は大鉈をふるって改革をすると言い切り、数日後には将軍となって長州征伐へ向かいました。カッコよく帝から任命されています。
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一橋家の家臣団は皆喜んでいますが栄一は愕然としています。さすがに子供っぽく見えてしまうのは私だけでしょうか。
栄一にも色々と理屈はあるにせよ、彼は武士と商人の立場を都合よく使い分けて主張を持ち出している。渋沢成一郎も結構な大声で騒いでます。
かくして長州征討も回ってきました。(小道具さんが少ない時間で作ったぽい)役職一覧が出てきます。
大出世しても勘定で後方支援したいと言い募る栄一。千代へ送った文が届きます。
武士だから形見のつもりの懐剣を送っています。懐剣は武士の妻ならいざというとき自害せよ――というシンボルです。百姓でなく武士として、志士としてこの国のために命を捧げる覚悟と言います。
父は誉といい、母が嘆く。栄一の娘であるうたも出てきます。わかりやすい家族反応の場面です。
しかし、慶喜が出陣準備をしているのに小倉城が奪われてしまう。もう、幕府はもっとしっかりしなさいよ!
「もはやここまでだ、引き際であろう」
松平容保と定敬兄弟が反対しますが慶喜は取り合わず、冷静に勅命をいただき、一時休戦すると言います。
孝明天皇は慶喜が嫌われているのか、それとも帝自身が疎まれているのかと不満を抱き、中川宮に尋ねます。
そして、なぜだか唐突に岩倉具視を大絶賛して、頼り始めるのです。
栄一と成一郎は新しい職へ
蟄居していた岩倉具視が登場。
孝明天皇の非現実的な攘夷政策を批判します。
大胆な不敬ぶりに、不謹慎ながらワクワクしてしまいました。慶喜ユニバースでは天皇すら「理解できない奴!」になるのですね。最近のニュースを思い出しました。
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公家は頭が古いと言い切る。それはその通りではありますが……。
そんな岩倉は次は慶喜が将軍になると大久保利通に聞かされ、喜んでいます。トメというおばあさんも笑いを添えます。
大久保は、薩長が天子様の世を作ると言い出し、岩倉もノリノリで倒幕へ向かってゆきます。
孝明天皇はどうするのか?
と言いますと……まあ色々と胡散臭い話は出てきますが、まずはあらすじを進めましょう。
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さて、慶喜が将軍になって出世したのに、栄一はむくれています。不機嫌です。一橋家でがんばりたいのに将軍なんて嫌だそうです。成一郎も一橋家を離れることに文句タラタラ。別れを惜しむ栄一……とか、そういう話はどうでもいいので、なぜもっと幕末の世情を解説してくれないのでしょうか。
建言を取り上げてもらえなかったと、泣き始める。
すると女性の反応――徳信院と美賀君が出てきます。
徳川慶喜周辺の女性だったら、新門辰五郎親分の娘であるお芳が見たいところ。
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1998年大河ドラマ『徳川慶喜』はもちろんのこと2018年『西郷どん』ですら出てきました。
こうした女性の反応部分は繋がりがちょっと不自然で、必要な場面を削って追加したのかもしれません。
陸軍奉行所書記官として新職場に入った栄一と成一郎。殿が遠くなったと嘆いています。
野暮なことを言いますが、栄一と慶喜ではあまりに立場が違い過ぎます。大河ドラマひとつ取ってみても渋沢栄一が出てきたのはこの作品が二作目です。
栄一の人生にとって慶喜はマストでも、逆はそうじゃない。遠くて当たり前で嘆くようなことではないでしょう。
ともあれ二人はしょうもないことで喧嘩を始めます。
話の本筋とはあまり関係ないですし、追加で入れたシーンでしょうか。構成がなんだかおかしくありません?
新選組・土方との語り合い
不穏な動きを見せる大沢源次郎を捕縛せよ。
新たな仕事についた栄一は、さっそく指名されました。
そんなものは新選組にやらせておけとかなんとか言いつつ、結局、栄一に任されたのです。
と、そこへ土方歳三がやってきます。
土方は不機嫌そうというか、平板な口調でボソボソと話しかけてきます。
栄一はいきなり捕縛するという土方の方針に異議を唱えます。対テロ特殊警察である新選組に何を言っているのか……道理に反するとかなんとか。
さらには自分にも腕があるとかなんとか言いますが、天然理心流の強みを知らないのでしょうか。
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確かに、こういうことを言ったという栄一本人の回想はありますけれど。剣士としてより現場指揮官として有能である土方なら、言いくるめて栄一を下がらせそうな局面です。まぁ、そこはドラマですよね。
栄一は腕があると得意げ。しかし史実では走るのだって……いや、やめておきましょう。
かくして大沢を見つけて、一人で捕らえにいきます。
「たのもう!」
しっかり名乗って入っていく栄一。コントなのか?と思わずズッコケそうになりましたが、「わかりやすい」を売りにしている本作ならではの演出でしょう。
実践的ではないせいか、殺陣もリアリティ不足。屋内戦闘とは? そう考えさせられる場面です。
栄一はピンチに陥り、土方が(やはり天然理心流らしくない)殺陣で倒します。なんだか変なサウンドエフェクトも入っていて、トランス状態になれそうですね。
助けてくれた土方に対し、救助が遅いと言いたいらしい栄一。俺を守るのが役目だとかなんとか強がります。
不思議にも、土方はそんな栄一を誉めます。心服したそうですが、栄一は、幕臣なんて馬鹿馬鹿しいと答える。風通しが悪い。本音むき出しで「亡国の臣となるんだい」だって。
しまいには「徳川は潰れちまう」と言い出し、もはや完全に土方と新選組へ喧嘩を売っています。
出会ったばかりの人間、しかも土方相手に何を言っているのでしょう……。
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