青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第25回 感想あらすじレビュー「篤太夫、帰国する」

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青天を衝け第25回感想あらすじレビュー
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塩対応された江戸城の慶喜

無血開城で知られる幕末の江戸城。

実際は地獄絵図でした。

ドラマでまるっきりやらないので補いますと。

主戦論が有力どころか、キレてこういう意見まで出ていたのです。

「いっそ上様を差し出そう!」

四面楚歌状態だった慶喜は勝海舟を頼るしかなかった。勝は有能ですが口が悪く、ズケズケと諫言するため、慶喜は嫌がって左遷していたのです。

が、そんな勝でも、自分の首が危ないとなれば引っ張ってきて、交渉の諸々をぶん投げたわけですね。

これで勝は破産します。

というのも、ナポレオンを撃退したロシアにならって、江戸焦土作戦を準備していた。

とはいえ犠牲者を出したくないので、船頭を雇ってなるべく多くの民を避難させるよう手筈を整えていたのです。

そのために自腹を切った。それで金がなくなってしまった。

そんな勝の犠牲を綺麗さっぱり拭い去り、慶喜のために尽くした和宮や幕臣たちのこともぶん投げ、慶喜は謹慎するのです。

小栗忠順は罷免されました……いわば使い捨てです。

小栗の戦略は優れたもので、大村益次郎江藤新平ですら「実現されたら危うかった」という作戦を立案しており、新政府軍から高い評価がくだされていました。

しかし。

どれだけ優れた策があろうと、総大将が取り上げなければそれまでのこと。

三国時代、蜀滅亡後に司馬昭は劉禅を見てこう言いました。

「これでは諸葛亮が生きていても国を保つのは無理であったろうな、まして姜維では……」

そういうことです。

いろいろと慶喜の胸の内を思いやることはできます。ただ、どれだけ優れた才覚の持ち主でも、いざというとき及び腰になって自分の延命だけをはかるのでは、凡将と言われても仕方ないと個人的には思います。

というか劉禅の蜀と、慶応年間における幕府の国力の差を踏まえれば、慶喜の方が悪質とすら思えます。

小栗忠順については、劇中で何の説明もなく唐突に斬首されましたね。

完全冤罪、戦時中でヒートアップし、功名心にはやる相手から、ろくな取調べも受けずに斬首される悲劇なのです。

が、何がなにやらわからない。

小栗忠順の偉大なる功績もまったくわからなかった……筋肉で全てを解決しそう、なんてことまで言われていて気の毒で仕方ありませんでした。

その非業の死もそうだけれども、どうして150年も経てこんな描かれ方をされているのでしょうか。

しかも斬首でまでネジ演出。小栗に恨みでもあるのでしょうか?

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功績がろくに描かれない幕臣のみなさんリスト

平九郎の無駄に長い自決シーンをやるならば、ぜひとも触れて欲しかった、幕臣をリストアップさせていただきます。

幕臣である以上、彼らは敗者に違いありません。

しかし、当人の能力や功績まで踏みにじってもよいものではないでしょう。

幕府側の慶喜と栄一が主役で、その周囲で活躍していた幕臣はモブ状態。功績を消されるか、吸収されるか。存在そのものを消された人物もいました。

まるでブラックホールのような慶喜です。

 


何かがおかしい……

このドラマは何かがおかしいと思えます。

まずは冒頭。

船上のはずが全く揺れていないため、どこにいるのか大変わかりにくかった。

VFXリメイク記事も出ており、努力はしているそうですが、なぜそんな基礎的な映像効果を使わないのでしょうか。

いくら停泊していても、多少は揺れてもよいのでは?

川路聖謨の自殺の場面で、平岡円四郎の妻・やすがあの能天気な調子出てきました。

あれはない。当時の江戸は【薩摩御用盗】の暗躍もあり、治安が悪化しており、ホイホイと明るい態度で遊びに来られるわけもありません。

そういう基礎的な整合性くらい、最低限取って欲しいところです。

言ってみれば、あの場面にやすがいることそのものがおかしいんですけどね。

平岡円四郎ありきで川路聖謨を描くからこうなったのでしょうが、これまた侮辱的です。

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そして今週の時間稼ぎで辛かったのが平九郎でした。

戊辰戦争をだいたい彼一人で表現させようとしたようで。

予算を削減しまくった中、スローを使い、暗闇の中、最低限のそれっぽい演出だけで戦争を描こうとしています。

確かにこのご時世ですし、エキストラをそう潤沢にも使えません。しかし『八重の桜』と脳内で予算の比較をしてしまいます。あれはロケで相当お金をかけていたっけ……そう現実逃避しているうちに「あっという間に負けた!」と絶叫説明をされます。

ここの説明もなぜかおかしくて、栄一は睨みつけるような目線だわ、説明する側は絶叫するわ。

そこはそっと涙ぐむのではいけませんか?

BGMでやたらと盛り上げ、かつゆっくりと、敵に説明セリフまで言わせつつ死なせます。

本作は即死があまりなくて、死ぬところをスローに盛り上げる傾向があります。戦死や暗殺による死とは、一言も口に出せず即死もかなり多いものでしょう。

新政府軍のみなさんも能天気すぎませんか?

敵の兵士が睨みつけ長いセリフをかっこつけて言うまで発砲を待つって……。自分に殺意を持った敵が目の前にいれば、さっさと撃ちますよね。あまりに戦場でのリアリティが薄い。

スローにしてカッコつけつつキメキメセリフ言わせないとダメな呪いでもあるかのようです。

そう思っていたら無駄に無双をして、わざとらしく慶喜に感謝する老夫婦にかばわれる平九郎。

蚕の前で感心している暇があるなら逃げたらどうだろう?

そう言いたくなるほどノロノロと余裕がある平九郎。

「おてい……」

ムズキュンのおていが渡してくれたお守りを思い出す平九郎。

もう何もかもが疑問が湧いてきます。

お守りを見ている間にもっと接近する気配があってもいい。鳥が飛び立つとか。

それすらなく、唐突に敵兵が湧いてきて、甘ったるいBGMとともに平九郎が倒れる。死ぬまでにどんだけ時間をかけたのか。その時間があれば、多少なりとも小栗の功績は説明できたはずなのに、ネジを口内に入れてのスピード斬首でした。

それに、幕末の武士ならば、むしろ女のことを思いつつ死ぬのは、とてつもなくカッコ悪いことです。

だからこそ史実の千代は、わざと夫にそっけなくしていたくらい。当時の女性は男を愛で縛らない美学があった。男にも縛られない美学があった。

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あまりに時間かけすぎると、見ている側は飽きるものでしょう。

敵兵も「なんかカッコつけて死ぬイケメンいるから見守ろうか」状態に見えて、コントにすらなりかねません。

撃たれておきながら叫ぶ演出もよくわかりません。人体構造をちゃんと踏まえているのかどうか。切腹まで長すぎて……。

そして「花と散らん」と言って亡くなるわけですが、幕末であることと、彼や教養からすれば、辞世ぐらいあってもよかったと思います。

辞世を作れないのであれば、最期の言葉なんて言わせず亡くならせたほうがよいでしょう。

大河ドラマですから、辞世を作るスタッフぐらい揃えていないのでしょうか。

箱館戦争の殺陣もひどかった。

あまりに古臭く、お粗末な殺陣です。斬撃が当たっていないように思えるのですが。

ともかく明るい土方もおかしい。

土方は京都時代は荒々しく、冷酷なとこもあった。それが近藤の死を経て、すっかり丸くなり、優しくなった。

それでいて函館では、近藤のことを思い、死に場所を探していた。ストイックで物静か――そういう証言が残されています。

それが劇中で登場したのは、相変わらずやんちゃなカッコつけです。

成長の跡がないバラガキにされていて、違和感しかありません。土方にさして思い入れがなければそれで納得できるのでしょうが、これはいくらなんでもあんまりでしょう。

土方がドヤ顔で銃が使えると自慢しているあたりも、ちょっとひどい。

フィクションではむしろ「刀に拘っていた」ように誇張されがちですが、新選組は洋式調練を取り入れていて、銃を使えることは当然のことでした。

こんなひどい土方の死を、来週、イベント感覚でねっとりやるのでしょうか。

平九郎よりアッサリしていることを願うばかり。土方は死の状況が判明していますから、長引かせないようお願いしたいです。

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