その登場人物で、例えば秦の始皇帝などは世界史の教科書にも載っている有名人である。
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が、問題なのはキングダム主人公・信だ。
果たして彼は実在の武将なのか?
存在していたならば、一体どのような人物だったのか?
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王翦の属将として活躍
結論から言うと、「信」は実在の可能性は高い。
『史記』の白起・王翦列伝や刺客列伝には、始皇帝の天下統一事業で活躍した秦将に「李信」という人物がいたことが記されている。
たとえば、刺客列伝で簡単に訳すと、こんな感じだ。
(燕の太子・丹が荊軻という者に命じて秦王を暗殺しようとして失敗したので)
秦王は激怒した。
趙で大軍を編成し、王翦に命じて燕を討伐。十月、王翦軍は燕の首都・薊の城を抜く。
燕王・喜と太子・丹は精兵とともに東へ脱出し、遼東(半島)に勢力を保った。
秦の将軍・李信はこれを激しく追撃。
そこで代(北方の小国)王・嘉は燕王・喜にこのような手紙を送った。
「秦がこれほどまでに燕を激しく追い立てるのは、太子・丹がいるからです。あなたが太子を殺し、秦王に献上すれば、秦王は必ずや兵を解いてくれるでしょう。そうすればあなたの国も一息つけるはずです」
李信が太子・丹を執拗に追い回したので、丹は衍水(河の名前)に隠れていたが、燕王は使いをやって丹を斬らせ、その首を秦に献上しようとした。
しかし、秦は燕を攻めるのをやめず、5年後、秦は燕を滅ぼし、燕王・喜を捕虜にする。
『史記』 刺客列伝 ※1原文は文末に掲載
「王翦(オウセン)」という将軍は、『キングダム』の中で“六将級の実力を持つ”とされているあの「王翦」である。
それ以前の部分でも出てきており、太子・丹が荊軻に始皇帝の暗殺を依頼するシーンで、燕の窮状を説明するのに「王翦が数十万の兵を率いて漳(しょう・さんずいに章)・鄴(ぎょう・業におおざと)に布陣しているし、李信は太原・雲中に進出している(地名はすべて趙の街)」と述べている。
なるほど、当時の李信は王翦の属将として、主に趙・燕との戦いで活躍していたようである。他のエピソードとしては……。
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