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【独孤伽羅】
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妻の目を盗んで、宮女の一人に手をつけたら
夫の楊堅がどれほど注意を払おうとも。
やはり彼女のほうが一枚上手だったようで、浮気はアッサリばれました。
当然、伽羅は激怒。夫が朝廷に出ている間に、その宮女を殺させてしまいます。
驚いたのは、帰宅して、それを知った楊堅です。
「うがあああああああああああああああああっ!!!」
いよいよストレスも限界を超えました。そして……。
「も~~、我慢できんっ!!」
馬にまたがると、そのまま城を飛び出してしまうのです。重臣たちが慌てて追いかけますが、止まりません。
どうにか追い付けたのは、二十里ほど離れた山の中です。
「……俺、皇帝だよね? なのに……なんでこんなに不自由な毎日なんだ?」
重臣たちは厳しく言います。
「陛下は、たかが婦人(伽羅)一人のために天下を軽々しく捨てるのですか?」
時間もそれなりに経過。
重臣たちの言葉も重なり、どうにか心も落ち着いてきました。
夜になって後宮へ帰ると、伽羅も泣きながら謝ってきたので、夫婦はどうにか仲直りしました。
とりあえずは、めでたし、めでたし……そのハズだったのですが……。
伽羅の息子たち―大らかな兄・楊勇と悪賢い弟・楊広
現代のような一夫一妻制を主張し、側室を持つことを許さなかった伽羅。
その厳しい眼差しは夫以外、家族や朝廷の臣下たちにも向けられます。
【側室を持った】
その一点だけで、彼女に嫌われ、排斥された人物は少なくありません。しかも徹底されていて、彼女の長男・楊勇もその一人でした。
父・楊堅の即位と共に、長男だった楊勇は太子に立てられます。
性格も大らかでさっぱりとしていて、学問好きでもありました。
しかし、彼は学問と同じくらい贅沢や女性も好きで、かつ礼節に欠けるところもありました。
正室をないがしろにして側室たちを愛したため、伽羅に疎まれていくことになります。
その様子を見て、ほくそ笑む人物がいました。次男・楊広です。
「馬鹿だなあ、兄上は……」
うまくやれば、兄に代わって、自分が太子になれるかもしれない。そう考えた楊広は、早速行動へ。
まず母には、正妻だけと一緒にいるように見せかけて、側室を持っていないように見せかけます。
両親が家に来た時は、室内の装飾を質素なものに変え、わざと目につくところに埃をかぶった楽器を置いて「倹約家」ぶりをアピール。
やがて、楊広が遠い地に総督として赴任することになると、彼は母の前で、ひざまずいて泣き、「親思いの孝行息子」を演じてみせました。
これらのパフォーマンスに、伽羅は感動します。
彼女も厳格な割に、やはり息子に対しては脇が甘くなってしますようです。
悪賢い楊広は、更に腹心たちに命じて、兄の悪口を吹き込ませました。
「次男の広はこんなにも良い子に育ってくれた。それに引き換え、勇は……!」
そして西暦600年。伽羅の進言により、楊勇は太子を廃され、庶人へと落とされました。
後釜に座ったのはもちろん楊広です。
そのことに満足したのか、2年後の602年、伽羅は世を去りました。
彼女は最後まで、次男の本性に気づく事はありませんでした。
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