光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第14回「星落ちてなお」

永祚二年(990年)、あの庚申待ちの夜から四年後――まひろと藤原道長がすれ違います。

まひろは頭を下げ、帰るしかありません。

背後からは源倫子が夫を出迎える声がします。幼い藤原彰子が父に挨拶する声も聞こえてきました。

娘の成長を喜ぶ倫子。

前回の放送では、彰子の発話が遅いと話していただけに、母としては大喜びでしょう。道長もきっと喜ぶ!と思いきや、彼は上の空です。倫子に促され、やっと反応します。

倫子は乳母に彰子を連れて行くように告げると、着替えを手伝おうとしますが、道長はそれも断り、「よい風だ」と心はここにあらず。

まひろだけでなく、倫子も幸せとは思えない。

まひろは身分が違う相手に頭を下げるだけですし、倫子は夫が上の空であることが気になってしまう――これが、あの四年前の決断がもたらした結果でした。

帰宅したまひろは、就職が断られたといとに告げます。

誘っておいて何なのか!と怒るいと。まひろはいとの願いに背いたとつぶやきます。彼女はもうこれ以上、あの夫妻の間にひびをいれたくないのでしょう。

 

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兼家の後継者は誰だ

藤原兼家がよろめきつつ、道隆・道兼・道隆三兄弟の前に座ります。

今日は気分が良いからお前たちを呼んだ。

そして「出家する」と告げるのです。

望み通り関白となりながら、程なくして辞職し、髪をおろす。後継者には、長子である道隆を指名しました。

うやうやしく受け止める道隆に対し、到底、納得できないのが道兼です。父は正気を失った!と叫びつつ、今日あるのは私のお陰だと主張します。

しかし兼家からすれば、正気を失っているのは道兼だという。

「お前のような人殺しに一族の長が務まるか!」

と、手を汚してきたことをあげると、道兼は父の悪事を挙げて対抗します。

円融天皇に毒を盛ったこと。藤原忯子とその子を呪ったこと。

兼家は動じず、道隆は何も知らなくて良い、そのまままっすぐ行けと告げ、道兼は今後も汚れ仕事を担っていけという。それが嫌なら身分を捨ててどこへでも流れてゆけ。

「この老いぼれが、とっとと死ね!」

道兼は、そんな捨て台詞を残して、足音荒く去ってゆきました。

次男の投げやりな態度に冷淡な兼家は、以上だと言い、よろめきつつ立ち上がり、今後、もう父はいないものとして生きるよう道隆と道長に言い残します。

そして歌いながらその場を後にしました。

道兼は出仕をやめました。

なお、ドラマでは描かれませんでしたが、道兼に仕えていた武士の源頼信は、いっそ道隆を殺そうか?と兄の源頼光に持ちかけています。

しかしそこは弟より知恵が回る兄が、暴力上等で関白の座をめぐってはキリがないと却下したとか。

道兼の子である藤原兼隆は、従者を平気で死なせるほど精神が荒廃したそうです。

道兼がまひろの母・ちやはを殺し、汚れ仕事役とされたことはフィクションの範囲ですが、当時最強の武士を抱え、こんなきな臭い話が伝わっていたとなれば、ある程度整合性も取れていると言える。

こういう匠の技がこのドラマの魅力ですね。

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いとは藤原為時の前で頭を下げ、お暇をいただきたいと告げています。本当にお世話になった。何の役にも立てないと詫びています。

いきなりどうしたのかと戸惑う為時。

彼女は、何を食べても太ってしまうから、居場所がないとか。

為時は、それを否定しますが、いとは悩んでいました。

土御門ではまひろが仕事を見つけられないし、いとの仕立物の注文も途切れがち。お暇するしかないと思いつめているのです。

「いくあてなどないであろう」

為時が優しく声をかけます。

まひろの弟・藤原惟規の乳母になって以来、この家にいてくれた。いとは、夫と生まれたばかりの我が子を失いやってきた。もう、この家はいとの家でもある。

「ここにおれ」

そう微笑む為時。

さすが為時、「窮鳥入懐」(きゅうちょうにゅうかい・追い詰められた鳥が懐に入れば害さず守る。『顔氏家訓』より)ですね。

為時は出仕をやめて以来、漢籍を学び、実行に移す、仁者の風格が出ています。

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まひろもそんな父には、敬愛しかないようです。

仕事で人が変わると家族もギスギスしてしまうとは、今も昔もそんなものなのでしょうか。

 


巨星墜つ

息子たちに約束した通り、藤原兼家は剃髪し、病床にいました。

その横で藤原寧子が「道綱、道綱、道綱……」と呟く。

道綱本人はそんな母を止めようとしますが、寧子は道綱のことを忘れないよう道隆に告げて欲しいと囁くことをやめません。

兼家が目を覚まし、「殿様!」と手を執る寧子。

すると兼家がおもむろに歌を詠み始めました。

嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る

【意訳】嘆きながら一人寝し夜明けを待つ間が、どれだけ長いかあなたは知っているの?

詠んだ瞬間、兼家はまだ若く、野心的な青年に戻ったかのように見えました。寧子が愛し、憎んだ姿がふっと浮かんだようです。

「殿……」

感極まった寧子も、絶世の美女に見えます。消えていたはずの恋心が火花のように燃え上がりました。

いつもはトボけている道綱も、今の歌には何かあると気づいたようです。

「私の『蜻蛉日記』よ」

「あれはよかったのう、輝かしき日々に出会った」

そう兼家は言います。

思えばこの二人の愛憎は『蜻蛉日記』によって残りました。文とはなんと素敵なものなのか。

本人たちは当然のことながら大昔に亡くなっている。ドラマでも去ってゆく。

けれども『蜻蛉日記』を開くと、またこの二人は姿を見せてきます。文が永遠の命を与えた二人は、これから先も読み継がれてゆくのです。

そのころ源明子は、兼家の扇を前に呪詛の真っ最中です。

紅唇からこぼれる。呪詛がなんともおどろおどろしい。妊娠中にこんなことをしてよいのかどうか……心配になってきます。

安倍晴明は夜空を見上げていいました。

「今宵、星は落ちる。次なる者も長くはあるまい……」

これも彼の公務員としての業務です。

赤い月のもと、明子は呪詛を続けています。

と、扇がバーンと吹っ飛び、疲労困憊の明子は倒れてしまった。激しい雨が降りしきります。

翌朝、兼家は庭に倒れていました。道長がその手を執り、父を抱きしめています。

「父上、父上……父上!」

そう叫ぶ道長。巨星が一つ堕ちたときでした。

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為時の家に藤原宣孝が来ています。

そして三日前に兼家が身罷ったと告げる。

「激しいご生涯であったのう」

達観したように言う為時。この悠然とした風情の方が、兼家よりも達観していて賢者の風格があると思えます。人の幸福とは一体何なのでしょうか。

そんな為時とは対照的にギラギラした宣孝は、筑前守になったと告げます。

前任者が亡くなったとかで、ド派手衣装による御嶽詣のご利益だと喜んでいます。

「国司になるぞ!」

そう野心を燃やす宣孝。この宣孝がまひろの夫になるわけですが、国司になって懐もあたたかくなったことだし、人助けも兼ねて若い妻を娶るとすれば自然な流れですね。

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「おめでとうございます」とまひろ。

「寂しくなるのう」と為時。

宣孝としても為時一家を残していくのは忍びないとか。

それでも関白が死んだから運は上向きだと告げ、下向の支度があると帰ってゆくのでした。

為時は一人にするよう告げ、涙を流しています。

いとは「嬉し涙なのか?」とまひろに問いますが、父上自身もわかっていないと返す。

うれしくても、悲しくても涙が出ると語るまひろ。道長にも同じことを言っていました。

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